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【泡沫政党】選挙が近づくと浮上する「保守新党」構想

ツイッター上で先日、とある自称保守論客が自民党に代わって新党を作る、などと発言したことが話題となっていたようです。ただ、非常に残念ですが、その場の勢いで新党を作ったところで、「右のれいわ新選組」ができてしまうのが関の山となる可能性は濃厚です。政治家にはインテリジェンス(知性)とプリンシプル(行動原理)の双方が求められるからです。それに、政治家は「自身の主張を実現できたかどうか」という「結果論」で評価されます。極端な話、有力保守政治家は泡沫保守政党を作るよりも、自民党内部で力を持つ方が早いのです。

選挙は「最もマシな政治家を選ぶプロセス」

いつも当ウェブサイトで主張しているとおり、選挙というものは、「よりどりみどりの素晴らしい候補者群」の中から「理想の候補者」を選ぶ手続ではありません。非常に残念ながら、「酷い候補者群」の中から「一番マシな候補者」を選ぶものだと考えた方が良いでしょう。

たとえばさびれた食堂街にある「自民食堂」の場合、出て来る料理は基本的に「高くてマズい」ものばかりですし、ときとして私たち客(≒有権者)が注文すらしていないものを押し付けてくることがありますし、結局、そのことによる高いコストを負担するのは私たち国民なのです。

ただ、日本国民はかつて、「自民食堂はダメだから、いちど違う食堂に入ってみよう」と考えて、民主党食堂に入ってみれば、「食事ではないなにか別のもの」を出されて酷い目に遭った、という経験をしたことがあります。

現在の「最大野党」である立憲民主党も食堂に例えてみれば、「メニュー表に自民食堂の悪口しか書いていないレストラン」のようなものでしょう。せっかく食堂に入っても、料理を作る店員も、料理を持ってくる店員もいないのです。さすがに日本国民を舐め過ぎでしょう。

日本を良くするには、選挙を繰り返す以外に方法はない

いずれにせよ、現実問題としてまともに政権を担い得る政党が現時点で事実上、自民党しか存在しないことで、日本国民には立憲民主党に政権を委ねるという選択肢はありません。

「日本維新の会が立憲民主党に代替し得る選択肢に浮上しているではないか」、などと主張する人もいますが、現時点において、日本維新の会そのものが与党として政権入りしたことはありませんので、日本維新の会の実力はまさに「未知数」です。

このあたり、個人的には今後、自民党が公明党との選挙協力や連立を解消し、「右の野党」との連立を組むことで、これらの「右の野党」が経験を積んで政権を担い得る人材が育つことを願いたい、という気持ちがないではありませんが、そもそも日本維新の会が「右の野党」なのかどうかは不明です。

それに、故・安倍晋三総理大臣のように、プリンシプル(政治家として何を大事にするかという原理・原則)、インテリジェンス(知性・知能)の両方を兼ね備えている政治家というのは例外的であり、たいていの場合はどちらか片方が(下手をすると両方が)欠落しています。

その意味では、素晴らしい政治家に日本の総理大臣になってもらうためには、結局のところ、選挙を繰り返す以外に方法なないのです。

(※どうでも良い話ですが、インターネット上では最近、安倍総理の出身大学名や潰瘍性大腸炎という持病を揶揄したうえで、安倍総理に知性がなかったかのような言い方をしている人たち涌いているようなのですが、この場合、知性がないのは安倍総理ではなく、そのような主張をする人たちの方でしょう。)

新党構想は泡沫政党に終わるのが関の山

ただ、解散総選挙のうわさが広まってくると、やはり出て来るのが、「新党構想」です。

ツイッター上ではトレンド欄で、とある自称保守作家の方が新党を作る、という話題が出ていました。

この保守作家の方は昔、某新聞社に対しては「言いたいことは140文字では言い表せない」などと主張しながら、山手線の駅名を冠した怪しげな自称会計士に対しては「(言いたいことは)140文字で説明して」と要求したことでも知られる、なかなかに支離滅裂な方でもあります。

こうした個人的体験は脇に置くとしても、冷静に考えて、こうした「保守新党」に期待する人は多いのですが、これについてどう考えるべきでしょうか。

非常に残酷な言い方ですが、おそらくほとんどの場合、まったく意味がありません。多くの場合、「右のれいわ新選組」になるのが関の山だからです。

まず、政治家として何かができるとしたら、「愛国心」などのプリンシプルだけでなく、さまざまなスキルが求められます。差し当たって必要なスキルは法律を読み込む能力、経済・金融・会計などの数字を読み込む能力、そして外国首脳らとコミュニケーションをとる能力(できれば英語力)でしょう。

これまで政策に関わってきたわけでもなければ、法律や政治の専門知識があるわけでもなく、英語などの語学力があるわけでもなければ、米上下両院議員など、外国の政治家に知り合いがいるわけでもないそんな評論家が新党を立ち上げたところで、なにができるのでしょうか。

ましてや、幸運にもこうしたプリンシプルとインテリジェンスに恵まれている政治家であっても、少数政党は「泡沫政党」に終わるのが関の山です。

そういえば前回の参議院議員通常選挙でも、一見すると保守っぽい主張をしている人物が作った新党が議席を獲得していますが、たったひとりやふたり、議席を獲得したところで、現実に何かができるとは限りません。現実に参院選から1年近くが経過し、その政党が何らかの成果を出したという話題は、寡聞にして存じ上げません。

青山氏や浜田氏の事例

もちろん、政治家としての信念があれば、野党でも「目立つ」ことはできます。

2019年の参院選・比例代表で議席を獲得した「(旧)NHKから国民を守る党」で、当選した直後に辞職した当時の立花孝志代表の後継者として繰り上げ当選した浜田聡参議院議員のように、WBPC問題を含め、たった1人でも興味深い国会質疑を精力的にこなしている人物はいます。

浜田氏は医師としての経歴から、子宮頸癌ワクチンの推進に取り組んでいるほか、コロナ禍初期にはマスク転売を巡って政府に質問主意書を出しており、最近だと「日本共産党の非合法化も選択肢のひとつ」と発言するなど、かなり興味深い国会議員であることは間違いありません。

N党vs共産党、浜田氏「共産の非合法化は合理的」

―――2023/3/6 18:22付 産経ニュースより

ただ、浜田氏の発言にはおもにネットでの岩盤保守層を中心に、多くの人が共感しているであろうことは想像に難くありませんが、やはりそれらを実現するためには力が足りません。

このように考えると、アプローチを変えることも有効かもしれません。

たとえば青山繁晴参議院議員のように、敢えて自民党の参議院比例代表で出馬し、トップではないにせよ圧倒的に多くの票を獲得して自民党内で発言力を持つ、というのは、ひとつの戦略としてはあり得るものです。

青山氏自身が選挙活動中に有権者に約束したことをすべて実践できているかどうかは疑問ですが、政治はあくまでも結果論であり、もしも青山氏が野党に所属していたならば実現できていなかったであろうことが、自民党に所属することで実現できたのだとしたら、それは青山氏の戦略が正解だった、ということです。

(※ちなみに某自称保守論客の方は、青山氏のことを「私は国会議員としては認めない」などとも述べているそうですが、いったいなにを勘違いなさっているのでしょうか?青山氏を国会議員として認めるかどうかはその方ではありません。私たち有権者です。)

国民民主党は「成功例」となり得るのか?

こうしたなか、あえて「成功例」となり得る可能性があるとしたら、国民民主党がそれかもしれません。

衆議院ではたった10人の勢力でありながら、一部法案では与党案に賛成するなど、柔軟な国会戦略を取り、結果的に自党の主張を部分的ながらも実現させようとしているからです。

国民民主党は2022年の予算案に賛成することで、ガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」の凍結解除を「検討する」と岸田文雄首相に明言させることに成功しました(※ただし、その国民民主党は、2023年予算案には反対しましたが…)。

もしも次回衆院選で自民党が議席を減らし、政権運営が困難になってくるような事態が生じた場合は、国民民主党としては与党案に賛成するなどの柔軟姿勢を通じて、自党の政策を実現させる可能性がより高まるかもしれません。

ただし、この場合であっても、議員は最低限、ちゃんと法律と経済を勉強しなければなりませんし、「うな丼大臣」と批判する立憲民主党のような態度をとることは許されません。

とくに国民民主党の所属議員の多くは、少し前まで、立憲民主党と同じ「民進党」、「民主党」などの組織に所属していましたし、玉木雄一郎氏を含めた同党の関係者に対し、無条件に全幅の信頼を置いて良いという保証はできません。

あくまでも今後の行動と実績を見極める必要がありそうです。。

このあたり、当ウェブサイトの読者コメントなどを眺めていると、幸いにして、当ウェブサイトを訪れてくださる方の多くは、政治の現状を理解し、もどかしい思いをしながらも、地道に選挙で必ず投票することの重要性を理解しています。

私たち有権者に求められるのは、結局のところ、自分の頭でちゃんと考えたうえで「最もマシな候補者」をきちんと見極め、投票することに尽きるのです。

新宿会計士:

View Comments (23)

  • 最近つくづく日本は、自民党右派+野党右派の右派政党、自民中道+公明+野党中道の「リベラル」政党、立憲+社民+れいわ+共産の左派政党の三つに再編されるべきだと思っています。
    まず日本は、自民党ですら大きな政府を目指しており、どこに支援の重点を置くかしか論点がありませんから、米国や英国を真似ての二大政党なんて無理ですよね。
    まずは、政府予算の大小、防衛政策の強弱、産業政策の自由度などを抜本的に明確にしてもらいたいと思っています。
    私は一応、比例票は自民党に入れますが(私の地域は個人は宏池会なのです)、意味のない地方の公共事業や過剰な第一次産業の保護には賛同できないので。

    • 狭い国土に多い人口、乏しい資源、多発する災害、
      その中で「小さな政府」を目指すのにも限界があると思う今日この頃。

      人口減少というのも、国の形を整えるのに、よい機会だとも思いますが・・・・。
      さて。

  •  コメント失礼します。

    https://samurai20.jp/2023/05/lgbt-6/

     以前も張りましたが、今回のLGBT法案騒動はビジネス保守の暴走の成れの果て。そして未だに喚いて煽って目立てればいいというのが右側にも居ます。保守政党を立ち上げるかも知れない奴もその一人です。
     立候補すれば当選はするかも知れませんが、他の政治家、特に自民関係と協力出来るかは甚だ疑問です。昭恵夫人を踏み躙ったからです。人間の屑だと認識し、今でも忌み嫌って居ます。

    https://nikkan-spa.jp/1842659

     右のれ新になるのか、参政党やn党に合流するのか知りませんが、税金啜りが関の山だと思ってます。自称桜井誠と手を組んだりして。
     山田太郎議員も嘗ては民主党議員でしたが、今は自民で頑張ってくれてますね。フォーラムに参加すると良く仰ってるのが「諸悪の根源自民党」与野党色んな議員と関りながら、毎日調整してる様子です。
     ビジネス保守の暴走に議員が辟易しているのが事実なら、奴含めて情報を流して貰える自称保守は減ってくのでしょうね。
     電脳は便利ですが、最後は現実での直接対決。歩兵は欠かせない。
     とりあえず稲田議員にはツイッターで労いの言葉を送りつつ、「与野党対立による時間稼ぎで流局、廃案に期待します」と応援してきました。
     稲田議員の案や主張に賛同はしませんが、尻拭いやってくれてる方に最低限の敬意は払うべきと判断しました。人間は感情と利益で動きますので。

    • 誰も指摘しないけど、
      山田太郎は、みんなの党 → 維新の会 → 自民党。

  • 日本には残念ながら、保守政党は育たないですね。
    理由は簡単で、マスコミの力が強い事と有権者が選挙に無関心すぎる事だと思います。

    ただまぁ、居ても立ってもいられないと思って一念発起することを否定する気にはなりません。それはそれで立派な事じゃないかと思います。残念ながら、定着して大きくなることは難しいように思いますが・・・

    私が一番危惧するのは、中途半端にかき回して、保守が分裂して、結果、左翼どもに利することなれば本末転倒だな、と思います。それだけは避けねばならないと思います。

  • 新宿会計士様がおっしゃることはもっともで、非常に現実的だと思います。
    しかし、一般の保守層が今まで通りに自民党の中の保守勢力を応援すれば、結果として他の保守政党が育ちにくいというジレンマ。
    私はどうしても今の自民党を応援する気になれないので、他を大きくする方に賭けてみようと思っています。たとえ失敗に終わろうとも。
    まあここは人それぞれですかね。新宿会計士様の主張通り、選挙を放棄することが一番やってはならないことだと思います。
    あ。ご存知かとは思いますが、百田氏が新党を立ち上げるのはLGBT法案が決まってしまったらという条件付き。百田氏自身は出馬しないらしいです。というか、まだ構想段階の話にすぎず、次の選挙には120%間に合いません。(私は百田氏を好きでも嫌いでもありませんので今は様子見です)

    • 私もです。
      今の自民党を応援する気はありません。
      票を投じたら賛成する事になってしまうからです。

  • 今日の記事とここまでのコメントを読んで感じた感じた事は、結局、国民が賢くならなければならない、という事です。
    常々、不思議に思っている事は、ATMの新聞を毎日読んでいる人間が、未だ相当数いるという事です。

  •  どうにも少数野党に投票するのは、そもそもの能力評価的なリスクと、票の分散が野党第一党・立民あたりを利するかもという不安があって躊躇していましたが。
     ここ数日の議論で意外と効果的かもしれないことと、民主党地すべり勝利の時と違って、マスコミ主導によって自民でさえなければ良い、などという人間がかなり減ったこと、さらに仮定ながら「なぜ自民党に入れなかったか」「なぜ少数野党が躍進したか」の情報が、"マスコミの偏光フィルターを介さずに"国民から議員まで流れるであろうこと、等々、時代の変化によって環境がかなり改善されたのかなと感じており、低リスクでの自民切り・特定会派潰しが可能になったかもしれません。

     いやでもやっぱ怖いな……。とりあえず新党にいきなり投票はバンナムのゲームを発売日に買うようなものなのでやめよう。

  • 今もある小政党と票が割れることによって、結果的に育たない悪循環・・・。

  • 多少なりとも保守派に受け入れられる党派は、過去にも発生しましたが、どれもこれも上手く行きませんでした。例えば「新党さきがけ」。中立のフリをして最後は社会党などと連立内閣を築きましたし、やった事はロクでも無い。自民党と伍する「右の野党」って無いでしょう?日本維新の会は、そのへんまだダークです。国民民主党は評価はしますが、党としての勢いが無い。

    与党の自民党は右から左迄、幅が広すぎて何事も進みが遅いです。しかしそれを選んだのは国民の私たちです。私は間違っても立憲民主党や共産党には投票しませんが(オット公明党も)、自分の票が死に票になるのは、とても悔しいので当選しそうな候補者で、考え方の合う人に入れます。日本では極左派系を除いた二大政党制は根付かないですね。諦めました(笑)。

  • そもそも保守なんて左翼と大差ない、イデオロギー
    ごっこをしているだけの、大多数の国民には支持されない
    オワコン集団なのでは?
    保守を何かまともなように語る事に違和感があります。

  • 勢いで言っただけで実現性はないでしょう。
    政治団体を作っても、すぐに仲間割れをして長続きはしない。
    政治というのは、味方を増やす必要があるが、全く逆のタイプ。
    新党ビジネスのようなもの。

    • >>>新党ビジネスのようなもの。

       新党ビジネス、全くその通りです。

      れいわ、とか、N、とか。
      過去にも、様々いましたね。

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