日本政府観光局は19日、2023年3月時点の訪日外国人旅客数の速報値を公表しました。これによると入国者数は1,817,500人でした。コロナ前の2019年3月時点の2,760,136人と比べれば、まだ94万人ほど少ないものの、主な要因はコロナ前に691,279人だった中国人入国者数が75,700人と、62万人ほど減っていることで、かなりの説明がつきます。
日本政府観光局は19日、2023年3月時点の訪日外国人旅客数(速報値)を公表しました。これによると日本を訪れた外国人は1,817,500人であり、入国者の内訳は韓国人が466,800で最多となり、台湾人(278,900)、米国人(203,000)、香港人(144,900)などが続いています(図表1)。
図表1 訪日外国人(2023年3月)
国 | 人数 | 割合 |
1位:韓国 | 466,800 | 25.68% |
2位:台湾 | 278,900 | 15.35% |
3位:米国 | 203,000 | 11.17% |
4位:香港 | 144,900 | 7.97% |
5位:タイ | 108,000 | 5.94% |
6位:中国 | 75,700 | 4.17% |
7位:ベトナム | 53,600 | 2.95% |
8位:シンガポール | 52,700 | 2.90% |
9位:フィリピン | 46,600 | 2.56% |
10位:豪州 | 45,200 | 2.49% |
その他 | 342,100 | 18.82% |
総数 | 1,817,500 | 100.00% |
(【出所】JNTOデータをもとに著者作成)
一方、図表1に示した入国者数について、JNTOはコロナ以前の2019年3月時点のデータと比較しているのですが、これに倣って4年前の3月との比較をしてみると、中国人入国者数が60万人以上のマイナスとなっていることがわかります(図表2)。
図表2 2019年3月と2023年3月の比較
国 | 2019年3月 | 2023年3月 | 増減 |
韓国 | 585,586 | 466,800 | ▲118,786 |
台湾 | 402,433 | 278,900 | ▲123,533 |
米国 | 176,564 | 203,000 | +26,436 |
香港 | 171,430 | 144,900 | ▲26,530 |
タイ | 147,443 | 108,000 | ▲39,443 |
中国 | 691,279 | 75,700 | ▲615,579 |
ベトナム | 47,881 | 53,600 | +5,719 |
シンガポール | 43,687 | 52,700 | +9,013 |
フィリピン | 48,277 | 46,600 | ▲1,677 |
豪州 | 44,175 | 45,200 | +1,025 |
その他 | 357,826 | 342,100 | ▲15,726 |
総数 | 2,760,136 | 1,817,500 | ▲942,636 |
(【出所】JNTOデータをもとに著者作成)
逆にいえば、中国人入国者が戻っていないことを除けば、コロナ前のインバウンド需要はほぼ回復しつつある、という言い方もできるかもしれません。とくに米国、ベトナム、シンガポール、豪州など、コロナ前の水準を超えている国も散見されるからです。
この点、とくに米国や豪州からの入国者の増加は、円安効果などの影響もあるのかもしれません。また、韓国では数年前に苛烈な「ノージャパン」キャンペーンが展開されていたはずなのに、気が付いたら入国者数でトップを占めているというのも、大変不思議な現象でもあります。
このあたり、著者自身は以前の『【宣伝】正論2020年5月号に論考が掲載されました』などでも繰り返し述べてきたとおり、インバウンド観光需要に多くを期待すべきではない、と考える人間のひとりではあります。
本稿は、ちょっとしたお知らせです。本日発売の『正論』に、「金融評論家 新宿会計士」名義の論考が掲載されています。当ウェブサイトでは今から約3年前の『日本政府は「訪日客4000万人目標」を撤回せよ!』で、日本政府が掲げる「2020年4000万人訪日客」目標を巡って、「数値目標が独り歩きするリスクがある」と主張しました。当時、わが国を訪れる外国人観光客数は「うなぎのぼり」であり、多くの人々が「2020年に4000万人という目標が達成されることは間違いない」と考えていたのではないでしょうか。そういうなかで、「4000万人... 【宣伝】正論2020年5月号に論考が掲載されました - 新宿会計士の政治経済評論 |
その理由は簡単で、「外国人観光客の人数目標」を入れること自体、「人数」が独り歩きするリスクが極めて高いと考えているからです。
いずれにせよ、外国人観光客が増えるのが良いかどうかは別として、外国人観光客の需要がずいぶんと戻ってきていることだけは間違いないといえるでしょう。
View Comments (6)
経済は確か、回復基調にあるのに、来日旅行者が回復していないのは不思議ですな。もっとも、来てほしくないんですがね。
相変わらずバカの国というか、嫌われていることに気が付かない国が1位に居座り続けていますね。昔の一時期は、台湾からの来訪者が韓国人旅行者を凌ぐ勢いぽかったときもありましたが、最近はそうでもないのが残念です。もっとも人口比の差がありますから、韓国人旅行者数を抜くのは難しいかも。
人口が740万くらいなのに、リピーター率No1の香港人が頼もしい。
私見ですが、彼の国の来訪者の半分は在日の行き来かと。
儒教なので盆と正月の法事でしょう。
(親戚の家に泊まるから旅行単価が安い)
今はまだよいですが、本格的に観光需要が戻ってきたら、他国からの来訪者に振り向けたいホテルや運輸のリソースを彼らに食われたら機会損失ですから、タイミングをみてたまには日本から反日ネタを投入するような工夫があってもよいかなぁ、とも思えますね。
CRUSH様
>私見ですが、彼の国の来訪者の半分は在日の行き来かと。
それはよく言われていることですよね。結局は在日の往来が多いんじゃないかと。これは私の私見ですが、私の知っている在日コリアンで韓国に帰っているような人をあまり知りません。もっとも私の知ってる在日コリアンは日本人寄りで、韓国よりの在日コリアンをあまり知らないだけですが。
>他国からの来訪者に振り向けたいホテルや運輸のリソースを彼らに食われたら機会損失ですから
そうですよねー。個人的には、日本への愛が強い台湾人をたくさん知っている身としては、ガッツリ台湾人の心をつかむよう努力してほしいです。案内の看板で、あのへなちょこの「簡体字」を見るたびなんか苛立ちを感じます。中国本土人と台湾人をごっちゃにしてみないでとも思います。
リピーターの多い香港人なんかも歓迎ですね。日本語勉強している人率が高いですからね、香港人は。
台湾、米国、香港、タイ、中国、ベトナム、シンガポール、フィリピン、豪州 、その他(各国)
皆さん、ようこそお越し下さいました。
歓迎いたします。
ちょっこうb中国本土からの訪日者は 4月3日まで陰性証明が必要でした。入国制限が緩和となった4月以降 中国からの旅行者も急速に回復してくると思われます。
また 海外諸国の物価が異常高騰しているため 物価の安定している日本への旅行者はさらに増加してくると思います。(日本下げの輩は 喜んで日本安売りだと騒ぎ立てたいのでしょうが 日本が正常なのです)。
問題なのは すでにこの来日者数であっても オーバーツーリズム、観光公害がおきつつあることです。お金持ちほど、混雑を嫌います。
人数よりも上質の客の獲得を 目標とすべきです。
一部文が乱れました。すいません。