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グーグルが無料TVを開始:テレビ業界も淘汰の時代へ

テレビ業界も、新聞業界の後を追い始めたようです。新聞業界は遅くとも13.98年以内に消滅ないしそれに近い状態に陥るというのが当ウェブサイトの予測ですが、ついにグーグルがテレビ事業にも乗り出すようです。何が怖いのかといえば、テレビ業界にとっては「電波」という参入障壁が完全に消え去る可能性が出てきたことです。それまで競争がなかった業界に「競争相手」が出現すれば、あっという間に淘汰されてしまいかねません。

新聞業界の未来

スマートフォンなどの電子デバイスの普及の影響でしょうか、『新聞朝刊の寿命は13.98年?』や『新聞夕刊は7.68年以内に消滅』などでも以前から取り上げてきたとおり、新聞業界のさまざまなデータから判断する限り、紙媒体の新聞自体、おそらく10年以内に消滅ないしそれに近い状態に陥るものと予測されます。

「紙媒体の新聞朝刊は2022年10月から数えて13.98年以内に消滅する」。こんな話を、当ウェブサイトでは最近、しばしば提示します。この「13.98年」についてはときどき、一部の読者の方から「なぜこの年数なのか」と尋ねられますので、本稿ではその計算ロジックと関連する数字を深掘りしたうえで、新聞社を待つ「3つのシナリオ」について考えていきましょう。新聞部数データ「朝刊の寿命は13.98年」の計算根拠以前から当ウェブサイトで「13.98年」という数値をよく登場させています。これは、一般社団法人日本新聞協会が公表している新...
新聞朝刊の寿命は13.98年? - 新宿会計士の政治経済評論

今から15年前、まだスマートフォンが今ほど普及していなかったころ、「世の中から新聞が駆逐される」とは、誰が思ったでしょうか?当ウェブサイトを訪れてくださるような知的レベルが高い読者の皆さまも、おそらくは9割方、何らかの新聞を取っていたのではないでしょうか?

ところが、現在だと「新聞を読まない」という人が急増しています。ネットが普及したことで、さまざまなポータルサイト、ニューズサイトなども充実し、さらにはウェブ評論サイトなども無数に出現したことで、新聞など読まなくても、最新の話題やそれらに対する考え方を知ることができるようになったからです。

というよりも、むしろ単独の新聞に情報を依存することの方がリスクですし、ネット環境の普及に伴い、「その道の専門家」が直接、情報発信することも増えたため、新聞で読むよりも遥かに多様で遊戯な意見が、ネット上には溢れているからです。

いまや、新聞社に残されている道は、①新聞事業を「副業」にして、それまでの「副業」(たとえば不動産業や中国共産党の宣伝、宗教団体の機関紙の印刷請負など)を本業にするか②新聞事業を全面的にウェブ移管するか、それとも③廃業するか、のいずれかでしょう。

テレビ業界は一見盤石だが…

こうしたなか、新聞と並ぶオールドメディアの筆頭格といえばテレビですが、テレビもおそらく数年後に、新聞と同じ道をたどることでしょう。

こんなことを申し上げると、「本当か?」と疑問に感じる人もいらっしゃることでしょう。

以前の『病院の待合室から「消えたもの」』でも取り上げましたが、最近だとコロナ禍の影響もあってか、銀行や病院の待合室から新聞・雑誌が消えているようなのですが、それでも「テレビ(とくに地上波テレビ)が撤去された」という話は、あまり耳にしません。

近所のとある病院を訪れると、「とあること」に気づきます。待合室から新聞、雑誌などの紙媒体が消えてしまったのです。きっかけはコロナ・武漢肺炎の流行ですが、おそらくその病院では、「新聞、雑誌自体を撤去してしまってもとくに苦情はない」と判断し、恒常的に撤去したのではないでしょうか。起業したばかりの事務所に怪しいメールが…東京の繁華街の片隅で、怪しげな事務所が開設された。山手線の駅名を冠した自称会計士が起業したのだ。すると、それを待っていたかのように、開業したばかりのその事務所の代表宛てに、ある日、こ...
病院の待合室から「消えたもの」 - 新宿会計士の政治経済評論

著者自身もさる理由で平日の朝、近所の某病院を訪れた際に、待合室では地上波テレビの朝の情報番組が韓国料理の情報を嬉々として流しているのを目撃したほどです(もっとも、待合室にテレビを視聴している人はほとんどいませんでしたが…)。

このように考えると、「テレビが新聞と同じ道をたどる」と言われても、あまり説得力がないと感じる人がいても、それは当然のことです。

ですが、世の中はネットの出現により、着実に変わり始めています。

そもそもネットが出現する前までだと、誰かが「テレビ事業」を始めようと思えば、総務省に頼み込んで電波を割り当ててもらうところからスタートしなければなりませんでした。テレビ放送を「配信」する手段が、電波しか存在しなかったからです。

しかし、現在だとすでにYouTube、ニコニコ動画などのプラットフォームが存在しており、「素人」が動画サイトにチャンネルを開設し、動画配信を行って収益を得る、といったことが常態化し始めています。なかにはちょっとしたテレビ番組を上回るほどのクオリティを持つクリエイターもいます。

ついにグーグルがTV配信開始

そして、テクノロジーの進化は、さらに恐ろしい勢いで進んでいるようです。それが、グーグルが先週公開した、「800以上の無料テレビチャンネルを視聴可能なグーグルTV」と題したブログ記事です。

Discover more than 800 free TV channels with Google TV

―――2023/04/11付 Google blogより

リンク先は英語ですが、要点を日本語訳すると、こんな具合です。

  • 本日より、複数の製作者による800以上のチャンネルを無料で視聴できる新しいエクスペリエンス Google TV を導入します
  • 本日以降、 Tubi、Plex、Haystack News からの無料チャンネルへのアクセスをLiveタブに直接統合し、 Pluto TVの既存のチャンネルのラインナップも統合し、アプリをダウンロードしたり起動したりしなくても視聴できる無料の組み込みチャンネルを Google TV から開始します
  • これにより、NBC、ABC、CBS、FOX のニュース チャンネルを含む、合計で 800 を超えるチャンネルとプレミアム プログラムを閲覧できるようになりました。また、スペイン語、ヒンディー語、日本語を含む 10 を超える言語でプログラミングされた、世界中のチャンネルを視聴することもできます

また、 Google TV については、日本語版のウェブサイトも開設されているようです。

現時点では日本の視聴者に対し、具体的にいかなるサービスが提供されるのかについては、よくわかりません。

ただ、このテクノロジーの革新的なところは、もはや「テレビ局」と「放送局」は、同一ではなくなる(かもしれない)、という点にあります。

日本語版のサイトなどによると、 Google TV を視聴するには、 Google Chromecast を購入してテレビに認識させる方法のほか、スマートテレビを購入する(※現在のところ、ブランドとしてはSONYTCLがあるようです)などの方法があるようです。

【参考】Google Chromecast

(【出所】アマゾンアフィリエイトリンク)

競争相手がいなかった業界に競争相手が出現すると…?

これのいったい何が脅威なのでしょうか。

現状では、「なんだかよくわからない」、と思う人も多いでしょうし、従来の「家電量販店などでテレビを買ってきて自宅に据えればすぐに地上波を視聴できる」というやり方に慣れている人からすれば、「テレビをWiFi接続し、ストリーミング機能を使用する」などといわれると、それだけで「いや、もう結構です」と思うかもしれません。

しかし、便利なテクノロジーが新たに出現するときは、たいていの場合、「今までのやり方が好き」という人がいる一方で、新しいテクノロジーに飛びつく人もいます。そして、もしそのテクノロジーが便利ならば、いったん慣れてしまうと、もう元に戻れなくなります。

ちなみに Google Chromecast のコントローラーを眺めていて気付くのは、そのボタンの少なさです。

参考までに、東芝製のテレビリモコンを眺めてみると、なぜか「1」から「12」までのボタンが目立つ場所に配置されていることが確認できます。

【参考】東芝製のテレビリモコン

(【出所】アマゾンアフィリエイトリンク)

もしもスマートテレビが猛烈な勢いで普及し始めると、世の中には「いっそのこと、テレビチューナーなどなくても構わない」という人も増えてくるかもしれません。

ちなみにチューナーレステレビは、NHKが受信料を半強制的に徴収する根拠である放送法第64条第1項にいう「協会の放送を受信することのできる受信設備」ではないようです。

放送法第64条第1項抜粋

協会の放送を受信することのできる受信設備<略>を設置した者は、同項の認可を受けた受信契約<略>の条項<略>で定めるところにより、協会と受信契約を締結しなければならない。<略>

いずれにせよ、NHK自身を含め、「電波利権」に守られてきた地上波テレビ業界そのものが現在、揺さぶられていることだけは間違いないと考えて良いでしょう。

いずれにせよ、生物学の世界でも有名ですが、それまで競争がなかった世界に「競争相手」が出現すれば、既存種はあっという間に淘汰されてしまいます。それと同じことが、テレビ業界にも起こりつつあるのかもしれません。

新宿会計士:

View Comments (18)

  • ネットの業界用語のひとつに「engagement」というものがあります。どれだけたくさんの時間をつぎ込んでいるかの指標です。「入れ込み度」と言い換えても同義です。engagement を高めることが達成目標です。この頃ひとびとの注意はスマホ画面に乗っ取られてしまいました。テレビは画面に注意を集め続けるためにあれこれ手を打っているようですが、一度離れてしまった視聴者はもう戻らない。当方はこのごろ 4K 画面に Google Chrome タブを開き Youtube ホームページを表示させ、動画の一覧をつらつら眺めて時間を潰しています。美しい春の絶景も、海の向こうの国際時事ニュースも、突然始まる重要ニュース生中継もばっちりです。CM 除去のため Youtube にサブスク料金払ってもいいかと思い始めているところ、当方にとって Youtube に対する engagement は入れ込みの閾値を超えてしまってます。

    • 私のYoutubeへのengagementはそれほどでもないにせよ、以前よりは確実に上がっています。YoutubeはPCで見ることはほとんど無く、リビングのテレビがもっぱらです。

      広告の挟み込みによる嫌がらせが巧妙化してきており、根負けしてサブスク契約しようかと思い始めています。

    • 私はPC/スマホ共にBraveというブラウザを利用しています
      https://ja.wikipedia.org/wiki/Brave_(%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%96%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%82%B6)
      広告ブロッカーとセキュリティ保護が強めで、ブロックによりメモリ消費減少速度上昇が見込め、おまけの気持ち程度ですが広告利用による暗号通貨収入もあります。

      そしてBraveブラウザでYoutube視聴した際には途中の広告が表示されません(今の所)のでYoutubeを頻繁に視聴される方には便利なブラウザだと思います

      まぁブロックによりレイアウト崩れたり機能や表示されないサイトも偶にあるようなので、他とも併用してますが今のところは快適です
      私は利用してませんがPCやスマホの画面をテレビに繋いで大画面で見ることも可能なようです
      【便利】Braveブラウザの映像をテレビで見る方法【Chromecast編】
      https://cryptobegin.online/brave-television/

      ※推奨しても私に手数料が入るわけではないのでwご利用は自己責任で^^

  • マスゴミ見てるのは情弱でしょ
    高年収プレーヤーは見てない人ばかりやし
    中立装ってテロ礼賛してるらしいし、テレビ見てる人は反日活動の片棒担いでるの気づいたほうがいい

  • もはや、テレビも新聞同様、断末魔な状態ですね。

    イラネッチケーは、当初目的達成し報道以外不要なのに職員超高給なぼったくり受信料、
    報道は、全テレビ局で報道しない自由を行使しつつ、有害ゴミ情報ありだし、
    アニメ等欲しいコンテンツは、インターネットで必要に応じ倍速で視聴できるし・・・
    CMもインターネットに負けてるし。

    電波オークションを導入し、サッサとトドメをさしていただきたいです。

    • 補足です・・・
      >イラネッチケーは、当初目的達成し報道以外不要なのに職員超高給なぼったくり受信料、
      報道→災害等緊急報道
      ※通常の報道はイラナイ
      ※受信料は税金にして会計検査を毎年受検してください
      ※莫大なイラネッチケー資産は売り払って国庫に返納してください

  • テレビ業界は本気で生き残る気持ちがあるのでしょうか。私などが知らない世間様の需要があるのかもしれませんが。若者には見向きもされず、中高年からもそっぽを向かれ始めて。

  • 情報ありがとうございます。

    日本のテレビ業界は、全力でつぶしに来ると思います。
    政治家、経財界人、芸能人、スポーツ選手、ありとあらゆるチャンネルを使って、法律で規制するようにしかけてきそうです。併せてNHK含む地上波でネガティブキャンペーン、雑誌で如何に有害であるか、などなど展開されそうです。

    このTVは、左翼に乗っ取られたテレビ業界に対抗し得る、一縷の望みと言っていいと思います。これらの妨害に負けないように大切に育ってほしいと願いますし、応援していきたいです。

  • 地上波93チャンネルで東証の開いている時間帯に「StockVoice」という番組をやっている。
    内容はリアルタイムの株式市場の解説といろいろな相場関連の特集だ。
    この番組はインターネットでも視聴できる。というよりも私はネットでつないでイヤホンで聞きながら、別のタブで株やFX取引などをしている。
    株取引をしない人には何の意味もない番組なのでいずれネットのみになってもおかしくないと思っている。コマーシャルはテレビで見ても、ネットで見ても効果は同じだろう。

  • 毎度、ばかばかしいお話しを。
    オールドメディア:「「オールドメディアを視聴しない若者は、情弱である」というキャンペーンを開始しよう」
    ありそうだな。
    蛇足ですが、もしかしたら、テレビ局のオジサン社員は、「本当に近頃の若者は、この番組のよさが分からないなんて」と言っているのではないでしょうか。

    • 出版新聞テレビこそ自分たちに似たひとたちとだけ交流している「エコーチャンバー産業人」と思います。

  • そもそも、テレビを見ているテレビ局社員ってどれぐらいいるのでしょうか?

    • たか さま
      >テレビを見ているテレビ局社員
      テレビ局では、自分たちの番組を視聴しなくてもよいから、番組のスポンサーの商品を購入しろ、という命令が出ているのではないでしょうか。

  • ニュースの原稿読んで、アホなコメントしかできないならAIに任せたらどうですか?
    人件費削減できるよ、やったね、以下略

  • YouTubeで初めてガジェット系ユーチューバーがチューナーレステレビを紹介している動画を見たのは、もう10年近く前じゃないかな? じつは日本の大手家電メーカーも前から作っていたけど、地上波テレビ全局からCMの放送を拒否されていたらしいです。

    テレビ業界はそんな事をやっているから、娯楽番組しか見ないノンポリ層にも飽きられちゃったんでしょう。ちなみに 「まだ、その動画あるかな?」 と思って検索してみたけど、「チューナーレステレビ」 の比較動画が山ほど出てきて、とても見つけられそうにありません。(^^;)

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