本稿は、雑感です。当ウェブサイトではマニアックな記事を掲載することもあるのですが、「なぜ一般ウケしないマニアックな記事を書くのか」に関して、見解を述べておきたいと思います。端的にいえば、「読む人が読めばそれなりに価値があるから」、ということです。なお、ついでに読者コメントについても改めて説明と注意喚起を行っておきます。
目次
そろそろ7年目ですね
本稿は、ちょっとした「打ち明け話」です。
当ウェブサイトを開設したのは2016年7月のことですので、今年7月で開設から7年目を迎えます。あと3年も続ければ「10年選手」、というわけです。
正直、当ウェブサイトを始める前は、少々、迷いもありました。
「金融評論」などという堅苦しい話題を掲載したところで、誰がアクセスしてくれるのか。
会員制でもない無料のサイトで、果たしてでやっていけるのか。
それに、書くべき「ネタ」がなくなってしまったら、いったいどうすれば良いのか――。
結論からいえば、それらはいずれも杞憂でした。とくに最初の論点に関しては、ふたを開けてみたら順調にアクセスが増え、ページビュー(PV)は恒常的に、毎月100万件を超える状態となったからです。
もちろん、このPV数は月により変動しますし、最も多い時には400万件に達する一方、少ないときだとギリギリ100万件、といったケースもあります。
広告収入の仕組み
では、この手の無料ウェブ評論サイト、いったいどうやって運営しているのでしょうか。
そのヒントが、広告収入です。
当ウェブサイトにごアクセスいただいている方ならお気づきの通り、当ウェブサイトではこれでもかというくらいに広告が表示されます。これらの広告、当初は手動でひとつひとつコードを埋め込む必要があったのですが、最近だと広告配信が自動化されており、ウェブ主側としてはどこにどんな広告を配信するか、気にする必要がありません。
しかも、広告は自動的に配信され、その多くは「追跡型」です。
たとえば、あなたが当ウェブサイトを訪れる直前に、不動産サイトなどを眺めていたとすれば、当ウェブサイトには不動産の広告が配信されますし、生命保険や共済などのサイトを訪れたのだとしたら、当ウェブサイトにはやはり「がん保険」だの、「火災保険」だのといった保険商品の広告が配信されます。
というよりも、当ウェブサイト側では、読者の皆さまの端末にいかなる広告が配信されているか、いっさい関知していません。
ごくまれに、当ウェブサイトに「立憲民主党を批判するくせに、立憲民主党の広告が張り付けられているのは、おかしいじゃないか」、といった「お叱り」を受けることもあるのですが、残念ながら、これについては当ウェブサイト側においてはコントロール不能です。
また、変わり種では「わいせつな広告が表示された」、「不快だ」、などとするメールが届くこともあるのですが、念のために申し上げておくならば、当ウェブサイトの広告の多くは「追跡型」です。不快感を抱くことについては同情申し上げますが、これに関して管理人が謝罪(?)すべき筋合いのものではありません。
書くべきネタと「事実・意見の峻別」
さて、肝心の「書くべきネタ」に関してですが、現在のところ、その「ネタ」に困る、という状況には陥っていません。というよりも、日々、「ネタ」の方から飛び込んでくるからです。
これもいつも申し上げていることですが、世の中のニューズサイト、ウェブ評論サイトで取り上げられている話題は、そのほとんどが、「客観的事実関係」と、「それに対する記事執筆者としての分析・見解・感想」などで成り立っています。
たとえば、客観的事実関係とは、こんな具合です。
「衆院憲法審査会が毎週1回開催されている件に関連し、立憲民主党の小西洋之・参議院議員は2023年3月29日、記者団に対し、『毎週開催は憲法のことなんか考えないサルがやることだ』、『何も考えていない人たち、蛮族の行為だ。野蛮だ』と述べた」(2023/3/29 18:40付 産経ニュース『小西氏、憲法審の毎週開催「サルがやること」「蛮族の行為」』より)。
この産経の報道自体、小西氏が「切り取りが行われている」と批判したようですが、それでも「サル」、「蛮族」の部分については否定していないようであり、また、同じ発言については毎日新聞も次のように報じているため、客観的事実と扱って良いでしょう。
「小西氏は『サル発言』の前後に『オフレコ発言しないほうがいいかもしれないけど』『サルって言ったら差別発言になるのかな?』などと述べたが、撤回や修正はしなかった」(2023/3/30 20:42付 毎日新聞デジタル日本語版『立憲・小西氏が発言陳謝 「憲法審、毎週開催ってサルのやること」』より)。
これに対し、主観的意見とは、こんな具合です。
- 小西氏のこの発言は、衆院憲法審査会メンバーをサルや蛮族にたとえたという意味で大変に深刻な問題であり、小西氏は今すぐ議員辞職すべきである。
- 小西氏のこの発言は、言葉遣いは多少過激だが、憲法審査会が毎週行われていることの異常性を指摘したものであり、ことさらに問題視すべきものではない。
主張(A)と(B)、どちらの方が妥当なのかは、当ウェブサイト側では敢えて申し上げません。これは情報の受け手である読者の皆さまが判断すべき筋合いのものだからです(おそらく100人中99人くらいの意見は一致するとは思いますが…)。
PVが低いがどうしても書きたい記事もある
さて、こうしたなかで、ウェブ評論サイトの記事の話題の選定とPVの関係についても触れておきたいと思います。
何となくお気づきの方もいらっしゃるとは思いますが、当ウェブサイトにおいては、読者コメントが大盛況となる記事もあれば、あまりコメントが付かない記事もあります。これはある意味では当たり前の話です。一般に「ウケる」話題と、そうでない話題があるからです。
ただ、当ウェブサイトのスタンスとしては、「PVのみ追求」という記事のみ掲載するのではなく、たとえPVが少なくとも、やはり「金融評論家」の「本業」に属する記事については執筆せざるを得ないのです。『クレディ・スイス「AT1償却」は制度設計上当然の話』がその典型例でしょう。
ロイターに「クレディ・スイスのAT1の無価値化」という論点が出ていたのですが、これについては読んでいくとどうも記事の執筆者、あるいはマーケット参加者の基礎知識が明らかに不足していると思わざるを得ません。そもそもAT1とT2は制度設計上、株式よりも先に無価値になる可能性があることが、2010年のバーゼルⅢテキスト公表時点から指摘されていたことだからです。CSのAT1償却で聞こえる投資家の怨嗟の声米国でシリコン・バレー銀行(SVB)などが経営破綻した余波でしょうか、もともと信用不安のうわさが絶えなかっ... クレディ・スイス「AT1償却」は制度設計上当然の話 - 新宿会計士の政治経済評論 |
AT1(英語で “Additional Tier1 Capital” 、日本語では「その他Tier1資本調達手段」)は銀行自己資本比率規制上の資本の概念であり、これについて深く知るためには、その前提条件として、会計上の「負債」「資本」の概念の違いを理解しておくことが必要です。
また、ただでさえ複雑な「リスクアセット」、「自己資本」などの概念に、今度は「TLAC」だの、「損失吸収条項」だの、「TBTF」だの、「G-SIBs」だのといった用語がテンコ盛りになってしまうと、やはり一般ウケはしないのでしょう。
ただ、こうした「一般ウケはしない」、「したがってPVも伸びない」という点を理解しながらも、敢えてこの「AT1」の論点を当ウェブサイトにて取り上げたのには、やはり著者自身が「金融評論家」として、何としても絶対に触れておかねばならないからです。
したがって、多少、読者の皆さまから「わかり辛い」などと苦言を呈されるようなことがあったとしても、当ウェブサイトではこの手の「金融専門誌に掲載されていそうな話題」を取り上げることをやめるつもりはありませんので、この点につきましてはご了解賜りますと幸いです。
PVは低くても価値が高い記事があるらしい…
もっとも、興味深いことに、ウェブサイトを運営するための広告収入という観点からは、意外と「PVが多い記事」ではなく、この手の「専門的な記事」の方が、「実入り」が大きいようなのです。
この理由については、正直、よくわかりません。
ただ、アクセス状況などから判断する限り、専門性が高い記事に対しては、会社組織などで「それなりの立場」にある人が熱心に閲覧してくださっているようなのです。広告のアルゴリズム上、こうした「熱心に読んでくださる方」の方が、「単価」が上昇する、ということなのでしょうか?
このあたり、当ウェブサイトはべつに広告収入を目当てに運営しているつもりはないのですが、それでも「広告収入」という視点からは、当ウェブサイトに関連し、「社会から必要とされているもの」が何なのかを間接的にうかがい知ることができることもまた事実です。
もちろん、単純なPVであれば、「わかりやすい記事」の方が多いことは間違いないのですが、「わかりやすい記事」だけでなく、自分自身が書きたい「専門性が高い記事」「数字に基づく記事」などについても、じつは世の中から評価されているのかもしれません。
じつは一時期、あまりにも専門性が高すぎると判断した記事については、執筆・掲載を見送っていたのですが、これに関しては今後、少し軌道修正をしたいと思います。ニューズ解説などの「わかりやすい記事」の割合を6~7割程度に抑えつつ、残りを「専門的な記事」「数字に基づく記事」で構成してみようと思います。
読者コメントに関するお願い
なお、読者の皆さまには、改めてお願いがあります。
これまでも何度か申し上げてきたとおり、当ウェブサイトでは極力、罵倒語などを使わないように努めたいと考えており、読者コメント欄でも、必要以上に侮辱的・攻撃的なコメントは控えていただきたいと思います。
たとえば特定民族や特定国全体の行動を批判することは問題ありませんが、「バカ」、「低劣」などと侮蔑語で貶めて表現することは、「やりすぎ」です。
また、国会議員や官僚、新聞・テレビ記者などの「社会的権力者」に対して批判することは自由ですが、それと同時に、やはり人格面において必要以上に攻撃することは控えていただきたいと思いますし、殺害予告など犯罪を示唆するものについてはコメントを削除するだけでなく、場合によっては捜査当局に通報します。
ちなみに最近、当ウェブサイトへのコメント数が減っていることにお気づきの方もいらっしゃるかもしれません。
これには一部の記事がマニアック過ぎる、という要因もあるかもしれませんが、基本的にはコメント承認基準の運営をかなり厳格化していることに伴うものです(といっても、基準そのものについては厳格化したわけではなく、従来通りです)。
社会全体がネット上の罵倒に対してより厳しい視線を注いでいる以上、当ウェブサイトにおいてもそれに先駆けて、健全な読者コメントをお願いしたいと思う次第です。
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その昔、左翼系議員が保守系ブログにエロい広告か出てると文句をいい、恥をかいた事がありました。
AT1て、簡単に言うと融資をしてたつもりが、気がついたら株を買ってたでござるよ、てな話だと思ってます。
金融系の話は面白いけど、コメントをだせるほど詳しくはないので見てるだけになります。
>金融系の話は面白いけど、コメントをだせるほど詳しくはないので見てるだけになります。
私もそれです。
とても何かを語れる訳ではないんですが、記事自体は大いに勉強になってありがたいと思うものは数多くあります。
続けていただけると幸いと思っています。
自分もそうです。ブログ主さまの記事は専門的でありつつもできるだけ分かりやすく書いてくださっていると思います。
奈良県民の皆さま。知事選、絶対行ってくださいね。
出典:小野田紀美リツイート
https://pbs.twimg.com/media/FtKUz7QaEAEBb3_?format=jpg&name=medium
奈良県民の皆さま。知事選、絶対行ってくださいね。
出典:小野田紀美リツイート
https://pbs.twimg.com/media/FtKUz7QaEAEBb3_?format=jpg&name=medium
あ、すみません。手がすべりました。
マニアックなネタ、好きですよ。
コメントしたくてウズウズしてますが、なにせ素人なので畏れ多くて敷居が高いッス。
高橋洋一チャンネルなんかも好きです。
需給曲線とかフィリップス曲線とか、
「素人さん向け」
のシンプルな原理原則レベルで説明してくれますから。
卒業から30年間いつもいつも思ってたのです。
「なんで誰も教科書の理屈で説明してくれへんのん?」
応用とか最新理論とか得意気に語る前に、まずそこからやろ。
広告繋がりでコメント。ブログ主の広告表示の仕方はありがたいです。他のブログだと、広告表示が中央に来て、見えない。見えないから×(しかも小さい)押そうとしたら、誤って広告を押してしまうというイライラがありませんね。
私なんぞが申し上げるまでもないと思いますが、コメント数は結果としてついてくるものなので、気にせず必要なことを実行されることに尽きると思います。
こちらが物事の分析をテーマにしていることは承知していますが、テーマが時事問題の場合はどうしても対象物の状況変化に意外性や新規性があるかどうかで、コメントを書くためのエネルギー値が変わってくるのは正直あります。例えば直近では日韓岸田ディールの結果が出た時のコメント数の多さは、同じ志向のコメンターさんが多いことを示している気がします。
だからといって時事問題の速報性を追い求めれば、サイトの主旨が変わってしまいます。多分私は読まなくなると思います。
こちらのサイトを発見してから数年になりますが、この間私は多くの学びを得ました。思考方法について随分向上があった実感があります。新たに得たもの、本来こうじゃないのかと思ったことの正しさを確認できたもの、様々です。感謝してもしきれません。速報性を求めるサイトではこんなものは得られないと思います。
以下は「だから何」の結論が今ひとつ導けないし、所詮は私個人の嗜好の話でしかないので参考にならないかと思いますが敢えて。
私は、笑いや気楽さも取り入れながらも冷静な分析が秀逸な楽韓さんの記事をよく読みます。記事を読んでいる間は何かコメントを書こうかと思うこともあるのですが、コメント欄が一方的な韓国叩き一色になっていることが多く、それを読んでいるうちに書く気が失せると言う現象が、私にはあります。コメントには分別をわきまえたものもありますが、言い過ぎと思われるものもあり、読んでいると総合的に何か書く気が失せるのです。「またか、お腹いっぱい」と感じています。
韓国系は怒り呼び起こすニュースが多いので、それを受けた感情の発露の場としてコメント欄を使うのはわかりますが(私もそうすることがままあります)、諸刃の剣の面があるのかもしれません。
まとまらない曖昧な話で申し訳ないですが、このタイミングで書くべきかと思いましたので敢えて書きました。
単純に、何をコメントしようか考えて、結局は投稿しない事は多々有りまして。まあそれなりにノリ突っ込みしたい時も有れば空気も読めずガチ罵倒したくもなる事も多々有りますわな。
逆に、「exactly!」やら「それな」と言いたくともそれが羅列するだけのコメント欄も風紀的にどうなんだ、と言うのも当然有りますし、かと言ってお嬢さんーお入りなさいーとふんわり縄跳びを回していただいたところで、豪快に足を引っかける自信しか無い記事も有りますのでそこら辺は各々考慮しつつやっていくしかないでしょう。
人格的批判を除けば小西猿蛮族発言も議員が何やら憲法審査会なるものの頻度と開催者について口汚く罵倒しているな程度ですし昨今の寿司ペロ事件も世の中には醤油ボトルを舐める珍しい御人が存在する
程度の問題かと思います。
ただ御座敷に脱糞する問題だけに関しましては人格を絡めずには批判することは難しく、
「どんな教育を受けているんだ!ウンコするな」
議員「証拠はあるのか!名誉毀損だ」
などということが罷り通れば、世の中ウンコまみれになってしまいます。安易に自己の倫理観や正義感を振り回さないよう自戒したいものですがウンコの処理については厳しく追求する必要があります。
ご専門の金融関係の記事の方が読み応えがありますし、他の媒体から得られない情報や考察には大変希少価値がありますので、増やして頂くことは大歓迎です。
門外漢故に十分理解しているとは言い難いのですが…
たまに、特定のトピックに対して基礎からロジックを組み立てる特集記事を書いて頂いていますが、このようなスタイルは初心者にとっては議論のキャッチアップに有益ですので、大変有り難いです。