本件は補足です。OSINTの本領発揮でしょうか、東京都・福祉保健局が適法な手続なしに「Colabo」などの団体と随意契約を締結していた疑惑に関連し、東京都の人事異動を確認したところ、前財務局長が副知事に、前福祉保健局長が財務局長に、それぞれ異動している事実が判明します。さすがにこれで「都知事は知らなかった」が通るものなのか疑問です。
当ウェブサイトをご愛読いただいている方ならば、「OSINT」という用語に見覚えがあるかもしれません。先日の『社会のネット化でだれもがOSINTジャーナリストに』でも取り上げたばかりだからです。
案外、誰もがジャーナリストになれる時代が到来したのかもしれません。当ウェブサイトで好んでいる「公開情報をベースに議論を組み立てる」という手法は「OSINT」とも呼ばれるそうですが、ネット時代が到来したことで、このOSINTの手法は私たち国民にとってすぐ隣に存在するのです。OSINTとウェブ評論よくこんなサイトが続いたものだ当ウェブサイト『新宿会計士の政治経済評論』は2016年7月以降、「読んでくださった方々の知的好奇心を刺激すること」を目的に、誰にでも確認ができる客観的な事実関係や統計数値、法規... 社会のネット化でだれもがOSINTジャーナリストに - 新宿会計士の政治経済評論 |
このOSINTとは、英語の “Open Sournce INTelligence” の略語だそうで、日本では「オシント」などと発音されることもありますが、要するに「誰でも入手可能な情報をもとに推論する作業」のことを意味します。当ウェブサイトの議論も、広い意味ではこの「OSINT」といえるかもしれません。
この「OSINT」の威力がよくわかる出来事がありました。
先ほどの『Colabo問題で地方自治法違反か=川松真一朗都議』で取り上げた「東京都の地方自治法違反容疑」という話題に関連し、その後もツイッターなどで複数の方の情報を眺めていたところ、気付いたのが、「人事異動を追いかける」、という視点です。
川松都議は15日の都議会・財政委員会で、本来ならば都知事の承認が必要な「1000万円超の随意契約」を、東京都福祉保健局が財務局との協議なしに勝手に結んでいた疑いがあることを明らかにしました。こうした答弁を引き出した川松氏の手法は、見事というほかありません。
いわば、答弁した財務局の前山琢也・契約調整担当部長は、「財務局としてはそのような契約がなされていたことを知らない」と述べたようなものですが、はたして「財務局は知らなかった」で逃げられるものなのか――。
これに関連し、東京都のウェブサイト『幹部人事異動』に開示されている局長級などの人事異動を調べてみたのですが、なかなかに興味深い事実がいくつかわかりました。
これによると2020年7月13日に財務局長に就任した潮田勉氏が翌・10月24日に「退職」し、そのまま東京都副知事(4人のうち序列3位)に就任。10月25日付で保健福祉局長だった吉村憲彦氏が後任の財務局長に就任していることがわかります。
「保健福祉局長→財務局長」、「財務局長→副知事」、という人事異動を見ると、吉村憲彦財務局長(前保健福祉局長)、あるいは前財務局長で都知事の側近である潮田勉・副知事が、「東京都若年被害女性等支援事業」の概要を知らないはずはないと見るのが自然でしょう。
いずれにせよ、本件は東京都規則で必要とされる財務局との協議もなされておらず、見積経過調書の作成や情報公開などの必要な手続が漏れているなど、さまざまな点において地方自治法・同施行令・東京都規則などへの違反の疑いが濃厚です。
小池百合子・東京都知事を筆頭に、これは東京都幹部にとって「知らぬ存ぜぬ」では済まされない問題になりかねません。
いわゆる「百条委員会」の設置に至るのかどうか、あるいは捜査当局が関心を示すのか。
現在のところ、新聞、テレビを中心とするオールドメディア(産経などを除く)はこの「Colabo問題」を「なかったこと」にしようとしているフシもありますが、オールドメディア関係者も東京と関係者も、ネットを通じたOSINT分析をあまり甘く見ているとしっぺ返しを食らうのではないでしょうか。
ここは心ある国会議員や地方議会議員(川松真一朗・東京都議、浅野文直・川崎市議、浜田聡・参議院議員)、あるいは暇空茜氏といった人々の活躍に期待したいところですが、我々一般人も「OSINT」を使って疑惑を追い詰めるのに寄与できる部分はあるのかもしれません。
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OSINT、このサイトに来るきっかけだったワクチン接種数で菅首相の目標予測を多くのマスコミが批判しながら多くのマスメディアが手集計してない、してても知ったうえで批判してた懸念を思い出します。
そして東京都人事。昨年11月に表面化して昨日の川松都議の委員会質問まで1000万条件に異議を唱えなかったのが不思議だったのですが、ははぁそうですか局長案件として完全にコントロール下だったと。うへぇ・・・。
我ながら酷い文章を送信してしまった。
新宿会計士さんが接種データを手集計していて事後報告が過去の日付に加算されるバックデートの仕様から菅首相の予測が妥当としていたのに多くのマスメディアが誤認していたって事柄です。
特定野党や特定メディアが騒がないのが不思議と言えば不思議だし、当然と言えば当然だし。
公金チューチュースキームは、都知事の周囲では公然の秘密だったんですかねぇ。
実は、国家の情報機関(CIAのような)の情報活動の9割以上は、OSINTです。
いかなる秘密主義の独裁国家でも、国営放送や指導者の演説は外に出るもので、それらを収拾して、整理・分析することで、おおよその動きは分かるものです。
Colabo問題について遡ったら、直近がコレでした。
新宿さんは、小西に集中しててColaboは猫マタギしてる感じですかね。
https://mainichi.jp/articles/20230414/k00/00m/040/286000c
「苦しみ理解してない」 生活保護費受給者ら失望 高裁で逆転敗訴
安元久美子 山本康介 毎日新聞 2023/4/14
Colaboが女性支援として必要な経費だ!と計上し、自治体がそれを認めるのであれば、その項目は生活保護の査定基準と合致している必要があると思います。
東京都はそれをきちんと説明できるのでしょうかね?
(毎日新聞社も疑問に思わないのですかね?)
まぁこれも一般情報からだけでも推察できるOSINTの一例として。