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産経が「ツイート表示回数」で読売、朝日、毎日を圧倒

産経ニュースの圧勝です。ツイッター社による「インプレッション数」(ツイートが表示された回数)をツイートに表示するという仕様変更が実装されたことで、産経ニュースが発信するツイートの表示回数が読売新聞、朝日新聞、毎日新聞などを圧倒的に上回っていることがわかってしまいました。また、フォロワー当たりのインプレッションで見ると、東京ローカル紙であるはずの東京新聞は、意外と健闘しているようです。

ツイートのインプレッション数表示機能実装

ツイッター・ユーザーの方であれば、数日前からツイッターの画面に変化が生じたことにお気づきでしょう。

「そのツイートが表示された回数(インプレッション数)」が、他人のツイートであっても確認できるようになったのです。

図表1は、山手線の駅名と組み合わせた怪しげな自称会計士がクリスマスイブ発したツイートの例です。

図表1 怪しげな自称会計士のツイート

(【出所】ツイッター・画面キャプチャ)

これで確認すると、ツイッター上、「リツイート(RT)」回数や「いいね」の件数よりも左側に、「表示回数」が掲載されていることがわかります。

ちなみにこの「インプレッション数」、自身のツイートであれば、これまでであっても確認することはできました。「ツイートアナリティクス」の画面を閲覧すれば、「いいね」「RT」「コメント」とともに、インプレッション数についても表示されていたのです。

ところが、今回のツイッターの仕様変更では、この「自分以外には確認できなかったインプレッション数」が、だれにでも確認できるようになってしまいました。

この点、現状では、このインプレッション数のカウント方法はかなり杜撰であるとの指摘もあり、一部のユーザーは「ブラウザのリロード機能(F5ボタンなど)を使えばインプレッションが増える」、「スクリプトでアクセスするだけでも良いらしい」、などと主張しています。

この点について著者自身が確認したわけではありませんが、もしそれが事実だとすれば、この「インプレッション数」そのものを妄信すべきではないのかもしれません。

また、一部のユーザーは、最近、ツイッターに「有料のブースト機能が実装された」、などと報告していますが(※著者自身はそのような機能をまだ目撃していません)、この「ブースト機能」と合わせ、「カネを払ってインプレッション数を水増しする機能を実装させるつもりでは?」などとする主張もあるようです。

『FLASH』が報じた「産経>朝・毎・読」

ただ、現時点において確認できていることがあるとしたら、とにかくツイッターに「ツイートの表示回数」を誰にでもわかるようにする、という機能が実装された、ということです。

こうしたなか、先月の『ツイッターで特定アカウントの「いいね」が減少した?』では、「ツイッター社のキュレーション・チームが解雇された結果、左派メディアなどのツイートの『いいね』が減少した可能性がある」、とする話題を取り上げました。

11月3日ないし4日を境に、いくつかのツイッターのアカウントで「いいね」の数が激減したのではないか、といった噂がネット上で話題になっています。これについて著者自身がとあるアカウントを「目視」で確認したところ、たしかに「いいね」の数が減っているような疑念を持つには至ったのですが、現時点においてこれを数量的に裏付けることはできていません。本稿は、ちょっとした「ネットの噂話」の報告です。すでにネット上で話題になっているのでご存じの方も多いかもしれませんが、ツイッター上のいくつかのアカウントで、11月4...
ツイッターで特定アカウントの「いいね」が減少した? - 新宿会計士の政治経済評論

これに、「続報」があったようです。

「産経」が「朝・毎・読」よりTwitter「表示回数」多いという事実 他紙の“ミュートされすぎ”が浮き彫りに

―――2022/12/25 20:12付 Yahoo!ニュースより【FLASH配信】

写真週刊誌『FLASH』のウェブ版は昨日、ツイッターのインプレッション数が表示されるようになったことを受け、とある「政治担当記者」が、「産経新聞のツイッター・アカウントである『産経ニュース』の表示回数が、読売、毎日、朝日などを圧倒してダントツだった」と述べた、というのです。

これは、事実でしょうか。

気になるところです。

実際に調べてみた:サンプルは12月24日・25日のツイート10件

そこで、著者自身が調査してみることにしました。といっても新聞社が発信するツイート数は膨大ですので、ここでは12月24日と25日の両日における主要紙のツイートを10件選び、そのインプレッション数を調べる、という方法を取ります。その際の方法は次の通りです。

  • ツイッターの「検索ボックス」に「from:XXXX since:2022-12-24 until:2022-12-25」と入力する(XXXXは@から始まるその新聞社のユーザー名が入る)
  • 表示されたツイートについて、上から順番にクリックし、インプレッション数を調べる

この方法を使い、次の5つのツイッター・アカウントを調査してみます(図表2)。

図表2 主要5紙のツイッター・アカウント
表示名 ユーザー名 フォロワー(①)
産経ニュース Sankei_news 707,712
読売新聞オンライン Yomiuri_Online 836,855
朝日新聞(asahi shimbun) asahi 1,337,936
毎日新聞 mainichi 981,724
東京新聞(TOKYO Web) tokyo_shimbun 103,978

(【出所】著者調べ)

そして、調査した結果が、図表3です。

図表3 主要5紙のインプレッション数合計(サンプル数はいずれも10件)
表示名 インプレッション(②) ②÷①
産経ニュース 843,506 1.191877487
読売新聞オンライン 94,303 0.112687383
朝日新聞(asahi shimbun) 119,467 0.089292014
毎日新聞 132,804 0.13527631
東京新聞(TOKYO Web) 54,169 0.520965974

(【出所】著者調べ)

産経のインプレッション数は

なんと、産経ニュースのインプレッションが843,506件で、たしかに5紙ではトップでした。これは読売の約9倍です。

もちろん、サンプル数が10件と少なく、この10件に偶然、インプレッション数が数十万件のものが含まれてしまったならば、インプレッション合計も膨らんでしまいますので、上記図表3はあくまでも「サンプル調査」であり、絶対視しないでいただきたいとは思います。

実際、今回の調査で産経ニュースのアカウントのインプレッションを押し上げたのは、たった1ツイートで45.4万回のインプレッションを獲得している、こんなツイートです。

ただ、カウントした産経ニュースのツイートのなかには、ほかにもインプレッション数が10万回を超える、つまり読売新聞オンラインの10件のツイートの総インプレッション数を大きく上回るものが2件含まれているため、あながちサンプルに偏りがあるとも言い切れないでしょう。

フォロワー当たりのインプレッション最下位は朝日新聞

この図表で興味深いのは、それだけではありません。

フォロワーで比較すると、133.7万人とこのなかで圧倒的に多いはずの朝日新聞については、10件のツイートのインプレッション数がわずか119,467回(=1ツイートあたり約1.2万回)であり、この119,467回をフォロワーで割ると、0.089回に過ぎません。

つまり、朝日新聞のアカウントが10件ツイートを発信しても、その10件のツイートのうち1件でも表示されたのは、フォロワー100人あたりたった9人(ツイート1件あたりに換算すればその10分の1)、という計算です。

このことは、朝日新聞のフォロワーの多くは、事実上、ツイッターの休眠ユーザーではないか、といった可能性も出てくるのです。

もっといえば、読売新聞は最大手でありながら、インプレッション数では朝日、毎日、産経に及ばないというのも興味深い点ですが、それだけではありません。毎日新聞のインプレッション数が朝日、読売両紙を上回っているというのも興味深いところです。

また、東京新聞はインプレッション数、フォロワー当たりのインプレッション数はいずれも産経新聞には及びませんが、少なくともフォロワーあたりのインプレッション数は朝日新聞と比べて6倍近くに達しており、このことは、東京新聞には「熱心なフォロワー」が存在していることを示唆しています。

東京新聞が東京ローカル紙であることを思い出しておくならば、「インプレッション数だけで見れば」、事実上、東京新聞が読売、朝日、毎日の各紙を凌駕しているようなものでもあります。これも客観的事実としては、興味深い点でしょう。

「インプレッション数」でバレる「新聞の社会的影響力の低下」

こうしたなかで思い出すのは、『「情報の双方向化」こそ、新聞が生き残れる数少ない道』などでも取り上げた、「新聞部数の急減」という話題です。

新聞は10年後に1000万部を割り込むかもしれない新聞業界を眺めていて不思議に思うのは、自社、あるいは自分たちの業界の不祥事に対し、あまりにも無頓着であること、そして読者コメントを受け付けない「言いっ放し」の姿勢です。昨日、当ウェブサイトでは日本新聞協会のデータをもとに、新聞業界の現状について「速報」的に解説しましたが、改めて新聞業界(やテレビ業界)が生き残るための「処方箋」について考えてみたいと思います。反省しないオールドメディア業界オールドメディアの罪は「民主党政権誕生の幇助」当ウェブサイトで...
「情報の双方向化」こそ、新聞が生き残れる数少ない道 - 新宿会計士の政治経済評論

このなかで当ウェブサイトでは、「朝刊の部数が夕刊の部数と比べてあまり大きく減っていない」という事実に着目し、「朝刊部数のミステリー」を説明するための仮説を4つほど提示しました。

【仮説】朝刊部数の落ち込みが夕刊部数と比べ緩やかである理由
  • ①折込チラシ…朝刊に折り込まれるチラシを目当てに朝刊を取り続けている世帯がいる
  • ②訃報欄需要…地元紙に掲載される訃報欄などには根強い需要がある
  • ③夕刊の廃刊…夕刊を廃刊する新聞が増えており、その分、夕刊が朝刊と比べ大きく落ち込んでいる
  • ④「押し紙」…消費者に販売されていない虚偽の部数が水増しされている

(【出所】著者作成)

このなかの、特に④については、現在、新聞販売店が新聞社を相手取り、いくつかの訴訟が提起されている状況ですが(『また「押し紙」疑惑:もし広告主も新聞社を訴えたら?』等参照)、著者自身、おそらくは大なり小なり、新聞部数は水増しされていると考えています。

『弁護士ドットコムニュース』というウェブサイトによると、福岡県の新聞販売店の元店主が株式会社西日本新聞社を「押し紙」で訴えたのだそうです。この「押し紙」とは新聞社が実際に販売されていない新聞紙を販売店に押し付ける行為などを指していると考えられますが、もしも新聞業界全体がこの「押し紙」を行っていたならば、新聞販売店の問題にとどまらず、広告業界全体にも影響が及ぶかもしれません。新聞部数の推移先日の『過去17年分の朝日新聞部数推移とその落ち込みの分析』では、一般社団法人日本新聞協会のデータ、およびさ...
また「押し紙」疑惑:もし広告主も新聞社を訴えたら? - 新宿会計士の政治経済評論

このあたり、新聞業界が各紙の実売部数を含めた正確な経営状態を開示しようとしない時点で、どうも「怪しい」と思わざるを得ないのですが、ただ、ツイッター社がインプレッション数を(勝手に)公表し始めてしまったがために、新聞業界がこれまで隠蔽してきた「社会的影響力」が、思わずバレてしまった格好です。

いずれにせよ、オールドメディア受難の時代が本格化するのは、むしろこれからであることだけは間違いないでしょう。

新宿会計士:

View Comments (13)

  • みなさんにお尋ねします。
    本日の朝日新聞の社説は、イーロン・マスク以降のツイッター社を批判するものでしたが、これと(この)朝日新聞のインプレッション数が最下位だったことをつなげて考えるのは、考えすぎでしょうか。

    • まあ、
      長年苦労して潜り込ませた
      うちの息のかかった部隊を
      首にして殲滅しやがって?
      ‥とか 正直に言うような
      朝日旧聞さんではないですからねえ(^^);

      突然の閲覧数表示開始にも
      「しまった! 
       クリック部隊準備する間もなく奇襲された」
      と工作棚に上げて怒っているのでは?
      と推測します。

      イーロンマスクさんGJ感謝です。

  • >フォロワーの多くは、事実上、ツイッターの休眠ユーザーではないか、といった可能性も

    これからもツイッター社は機能拡張のかたちで段階的に内情をばらすと期待できます。それでは困る(なぜだ=棒)ひとたちがおそらくたーくさん居るんじゃないか(いったい誰だw)と推測できます。根拠レスの勘ぐりだとは言わせません。マスク氏は分かってやっているのです。

    •  休眠ユーザーだけでなく
      (やらかしたときの)監視ユーザーも多いのではないかと思います

  • 私は今年からTwitterを始めた新参者ですが、会計士様の論考は、概ね私の体感に一致します。
    Twitterを見るようになって、「ニュースを配信しているのは産経だけではないか??」とすら思うようになりました。

    朝日や毎日の記事も時々流れてくるのですが、ほとんどがニュースと呼ぶよりも、お涙頂戴の世論工作のようなものなのでうんざりです(全部ではないです)。

  • ツィッター社の「瞬間風速的な」数を見ても、やっぱりな〜と言う気持ちになります。つまり普段思っている私なりの仮説が裏打ちされた、と(^.^)V。朝日新聞は幾らフォロワー数が多くても、死んでる(休眠中、永遠に笑)フォロワーです。フォロワー当たりのインプレッション最下位は朝日新聞(爆笑)。熱心な反社は興味無いんかな?

    産経ニュースのインプレッションが843,506件で、5紙でトップという事は、産経の支持層は紙媒体だけでなく、産経のネットニュース等も見ているという事か。更に地方では、ほぼ産経は販売網、駅売りも無いので、ネットを利用していると解釈しました。産経もたまにピンボケなニュースを出しますので、5年後、10年後は紙媒体を辞めてるか、首都圏、関西圏だけになっている可能性はあります。朝日、毎日、、、(失笑)。

    • >更に地方では、ほぼ産経は販売網、駅売りも無いので、ネットを利用していると解釈

      重要な指摘です。
      Twitter にしろ、Youtube にしろ、Insta や Tiktok にしろ、握っている情報はものすごくて(実体はログのかたまり)すべてを白日のもとに晒してしまうと、どっかの政権が吹き飛んだりする可能性は大なのです(日本だとは言いません)それらをうまく使って工作したつもりでいるひとたちwは、マスク氏の手のひらで転がされていることに気が付いているのでしょうか。

    • 産経、東京、日経は販売網が少ないので押し紙も少ないと思います。
      専売所にとって、諸紙は本紙と違って過剰在庫はマイナスでしかない。

  • 関西の番組で毎日記者の言葉
    ・現場で必死に集めた記事。それなのに偏向報道で政局に結びつけるなんてしないですよ。
    これがBBCから中国の新聞と言われた毎日の代表的な記者なんですよ。
    自分で変われるなんてあり得ない。潰すしか無い。 と本気で思った。

    ネット社会になり常態は良い方に向かっているとは思いますが、スパコン・AIでトップにいる中国は次の情報管理方法を模索しているだろうな。
    国内なら叩き潰せば良いけど世界をどう欺すか。

  • で、もう一つの日本を代表する新聞である 日本経済新聞 電子版のフォロワーが、375.9万 なわけで。
    FLASH は、格の違いで扱わなかったのかねぇ。

    • 少しスレチではありますが、うちの郵便受けに入っていた日経新聞のチラシがあるので内容を転記します。
      タイトルは『令和の時代に経営者やマネジメント層があえて宅配で日経を読む理由とは』です。

      どんな情報でも、自分の時間を費やせば必ずたどり着ける今の時代にあえて宅配で日経を読む理由。それは『タイパ』に優れているから。『タイパ』とはタイムパフォーマンス。少し言い換えれば、単位時間あたりの情報収集効率を極限まで高めるということ。そして、宅配の日本経済新聞はタイパと最も相性の良いツールなんです。
      インターネットからは無限の情報を得ることができます。その場外の多さゆえに情報の重みがわかりづらくなっています。一方、宅配の日本経済新聞はビジネスにおいてマストな情報の視覚的な扱いや頻度を増やしたりすることで今必要な情報がわかりやすくなっています。だから、タイパと最も相性の良いツールと言えるのです。
      1日あたり87円で(中略)全幅の信頼が置ける存在となり、いつの日か役立つことをお約束します。

      とのこと。論評は差し控えます。

  • 産経、東京(と毎日)を見る人はそれを見たい人が見ているという感じで、朝日は惰性で見ているか故人アカウントってことなんでしょうかね。

    フォロワーに関しては数ではなく伸び(率)で見るべきだという話を見かけました。面白いコンテンツを発信していれば新規のフォロワーが増え、一方つまらくても人々は積極的にフォローをやめたりはしないという理屈だそうで。