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個人のツイートが「いいね」数で大手新聞社を凌駕する

ツイッター上の影響力では産経が朝日を圧倒か

個人が発信する情報の社会的影響力が、大手新聞社のそれを遥かに上回る時代が到来してしまいました。個人が発信したツイートに対して寄せられた「いいね」などの反応数が、大手新聞社のそれの100倍を超えるという事例が見られたからです。ネット社会では「情報発信者が誰であるか」ではなく、「その情報そのものが優れているかどうか」で評価されるようになったのです。

飯山陽氏という社会的影響力を持つ個人

飯山陽(いいやま・あかり)氏といえば、麗澤大学客員教授でイスラム思想研究の大家としても知られている人物です。ただ、飯山氏といえば、個人的には、ツイッターやYouTubeなど、インターネットを通じた情報発信活動を精力的に行っているという点でも注目している人物のひとりです。

その飯山氏、昨日夜時点で、ツイッターでは18.9万人、YouTubeの『飯山陽のいかりちゃんねる』はたった2週間前に開設されたばかりであるにも関わらず、すでにチャンネル登録者が5万人を超えています。

その飯山氏のツイートといえば、たとえば大手メディアの記事に対し、専門的な知見から簡単なコメントを付す、というパターンが多いのですが、ほかにも詳細な反論などについては、『note』などで展開する、といったものもあります。

いずれにせよ、飯山氏に対するファンが多い理由も、「イスラムに詳しい」という、日本ではあまり見かけない貴重な知見を持っているだけでなく、そのツイート内容などのわかりやすさなどがあるのだと思います。

飯山氏が朝日新聞のツイートを引用したが…

ただ、本稿で注目しておきたいのは、飯山氏のこんなツイートです。

飯山氏は昨日、朝日新聞の記事を引用ツイートするかたちで、「朝日のイーロン・マスク&ツイッターについての記事」を、「つきあっていた彼女にフラれたあとストーカー化した人」、「延々しつこくその彼女の悪口を言って回る人」などにたとえてみせたのです。

ちなみに元ツイートは、これです。

これは、朝日新聞デジタル日本語版に同日付で掲載された『うそ情報、拡散しやすく? ツイッター、コロナ偽情報対応を撤回』という記事に関する朝日新聞公式アカウントによるツイートです。

これについて本稿で注目しておきたいのは、「朝日新聞の記事と飯山氏の引用ツイートのどちらの方が信頼できるか」、という点ではありませんし、その点についてのご判断は、読者の皆さまにお任せします。

余談ですが、朝日新聞の記事のツイッターを通じた拡散力というテーマについては、昨日の『「SNSさまよう左翼論者はイライラ」=田中教授指摘』あたりと議論が重なるのかもしれませんので、よろしければご一読くださると幸いです。

ツイッターから追い出された「サヨク」的な人たちが「マストドン」というSNSに流入し、そこでさまざまなフリクションを発生させているという話題が出てきています。これについては結局のところ、「異論は認めず、言論自体を封殺する」といういつものやり方が通用していない、ということでしょう。これについては上武大学の田中秀臣教授も「SNSさまよう左翼論者がイライラしている」などと指摘する記事を執筆しています。サヨクのみなさんに対するイメージ個人的に、「サヨク」と呼ばれる人たちの言動には興味があります。「サヨ...
「SNSさまよう左翼論者はイライラ」=田中教授指摘 - 新宿会計士の政治経済評論

「いいね」の数は100倍を突破

それよりも本稿で注目しておきたいのが、双方のツイートに対する反応(たとえば「いいね」の数)の違いです。

昨晩9時時点で「リツイート」(RT)、「引用ツイート」(QT)、「いいね」(♡)の数を数えてみると、それずれ次の通り、飯山氏の圧勝でした(図表1)。

図表1 両者のRT/QT/♡の数
ツイート者とフォロワー RT QT
飯山陽氏(18.9万人)(I) 638件 8件 3,356件
朝日新聞(133.7万人)(A) 16件 44件 26件
I÷A 39.88倍 0.18倍 129.08倍

(【出所】2022年11月30日午後9時時点、ツイッター上で著者カウント)

これには、軽く衝撃を受けます。

朝日新聞の元記事についた「いいね」の数が26件に過ぎないのに対し、飯山氏のそれには129倍もの数の「いいね」がついているからです。「朝日新聞」公式アカウントはフォロワーが133.7万人と飯山氏の7倍に達しているにも関わらず、です。

ちなみに「引用ツイート」数では朝日新聞の方が44件と、飯山氏の8件と比べて5倍以上の数に達していますが、その目視した限りでは、朝日新聞の記事に共感する立場からの引用ツイートは2件で、残り42件が朝日新聞に批判的なものでした。

朝日新聞の公式アカウントを調べてみると…

ただ、気になって朝日新聞の公式アカウントが発信したツイート(リツイート・引用ツイート含む)について、昨日夜9時時点で上から順番に78件分の「コメント」、「RT/QT」、「いいね」の数を片っ端から数えてみたら、もっと驚くことを発見しました。

「コメント」、「RT/QT」、「いいね」などについてはヒトケタ台のツイート、あるいはゼロというツイートも散見され、全部合算してみても図表2のとおり、これがフォロワー133.7万人のアカウントなのかと、軽く衝撃を受けたのです。。

図表2 朝日新聞の公式アカウントが発信したツイート78件の調査
コメント RT/QT いいね
総数 117件 670件 751件
1ツイート当たり 1.5件 8.59件 9.63件

(【出所】2022年11月30日午後9時時点、ツイッター上で著者カウント)

もちろん、カウントする際の条件が「上から順番に」、というものですので、ツイートを発信してからすぐのものについては、なかなか「コメント」「RT/QT」「いいね」がつかない、という可能性はありますが、それにしても意外な気がしました。

これがフォロワー数人、数十人というアカウントならわからなくはないのですが、朝日新聞のアカウントのフォロワーは133.7万人に達しているはずだからです。著者自身もフォロワー数はたかだか4300人あまりですが、それにしても発信したツイートにいただく反応の数は、朝日新聞よりも多いこともあるのかもしれません。

しかも、この反応の数を押し上げているのは、次の2つのツイートです。

この2件のツイート、「いいね」が昨日夜9時時点でそれぞれ148件と95件でしたので(※)、この2件で反応数がずいぶんと押し上げられていた格好です(※ただし、ツイッター上の「いいね」などの数は刻々と変化しますので、現時点で確認すると、「いいね」などの数はもっと増えているかもしれません)。

和田政宗氏対神奈川新聞社の事例

ということは、朝日新聞の普段のツイートの多くは、反応がヒトケタ台、酷い場合にはゼロ、というケースも珍しくはないのでしょう。朝日新聞といえば最大手の一角を占めているはずなのですが、これは大変に意外な結果と言わざるを得ません。

これで思い出すのが、ちょうど1年前の『ネット化で個人が新聞社を上回る情報伝達力を持つ時代』でも触れた、和田政宗参議院議員という「個人」と神奈川新聞社とのやりとりです。

ツイッターで、新聞社の公式アカウントを超えるフォロワー数を持つ個人がいますが、これも凄い話です。先日否決された武蔵野市の住民条例案を巡り、和田政宗参議院議員と神奈川新聞の間で、ちょっとしたトラブルが生じているようですが、それと同時にもうひとつ痛感するのは、紙媒体の新聞しか読んでいない人とインターネットユーザーとの間で生じ得る、あまりにも大きな格差です。言い換えれば、情報発信力で新聞社が個人に負けている、ということでもあります。和田政宗参議院議員vs神奈川新聞少し前に、ツイッターでこんなツイー...
ネット化で個人が新聞社を上回る情報伝達力を持つ時代 - 新宿会計士の政治経済評論

これについては(和田氏の言い分に基づけば)「神奈川新聞が和田氏の発言を捏造してヘイトスピーチとレッテル張りをした」という事件ですが、それ以上に興味深いのが、ツイッターのフォロワー数で、両者がほぼ拮抗している(あるいは和田氏の方が少し多い)、という事実でしょう。

もちろん、和田氏といえば国会議員(しかも自民党所属)という政治的な権力を持つ人物でもあるため、一般人と同じ土俵で比較すべきではないという指摘はあるのかもしれませんが、それでも和田氏という一個人が、地方紙とはいえ新聞社を相手に、敢然と反論したというのは、ネット社会ならではの現象でしょう。

このように考えていくと、ツイッターなどの言論空間では、基本的に、「新聞社である」、「テレビ局である」、といった「権威」ではなく、そのアカウントが発信する情報に対してどれだけ多くの人が反応するかがひとつのポイントではないでしょうか。

だからこそ、飯山氏や和田氏のような個人であっても、情報発信するテーマによっては新聞社を上回るほどの社会的影響力をもたらすことができるのです。

「いいね」の数では産経新聞は朝日新聞の20倍

ただ、「新聞社」対「個人」、という軸だけでなく、たとえば新聞社のなかでは比較的「保守」傾向があるメディア――とくに産経新聞――と比較してみると、どうなるのかは気になるところです。

そこで、産経新聞のアカウント「産経ニュース」(フォロワー70.4万人)についても、同じような基準、すなわち「ある時点で上からn番目までのすべてのツイートの反応数」を調べてみました。調査した件数は朝日新聞より少ない34件ですが、その結果が図表3のとおりです。

図表3 産経新聞の公式アカウントが発信したツイート34件の調査
コメント RT/QT いいね
総数 536件 2,725件 6,398件
1ツイート当たり 15.76件 80.15件 188.18件

(【出所】2022年11月30日午後10時時点、ツイッター上で著者カウント)

…。

正直、ここまで露骨な差異が生じるとは思ってもみませんでした。1ツイート当たりのコメント数は10倍以上、RT/QTは9倍以上、「いいね」は20倍近くに達しているからです(図表4)。

図表4 ツイートに対する反応
コメント RT/QT いいね
朝日新聞(A) 1.5件 8.59件 9.63件
産経ニュース(S) 15.76件 80.15件 188.18件
S÷A 10.51倍 9.33倍 19.54倍

(【出所】朝日新聞は図表2、産経ニュースは図表3)

フォロワーでは朝日新聞のほうが産経ニュースのそれを上回っているはずですが、ここまで大きな差異がついているというのも興味深いところです。

ちなみに朝日新聞について「コメント」「RT/QT」「いいね」が多かった2件を選びましたので、産経についても同じく2件ほど選んでおくと、次のとおり、「いいね」の数が1000件を超えているものが2つありました。

いずれにせよ、「その発信者が誰であるか」ではなく、「その発信した情報そのもの」によって信頼されるかどうかが決まる――。

これこそが、ネット時代の本当の意味なのです。

下手をすると個人ブログが新聞社を上回るほど信頼されるという時代も、もうすぐそこに来ているのかもしれません。

新宿会計士:

View Comments (18)

    • ネットやってないのに
      どうやってフォロワーになったの…
      フォロワーなのに情報拡散に非協力的なの笑う

      • 朝日の場合は「フォロワー」じやなくて「ウォッチャー」が正しいみたいですね

  • トランプ前大統領のツイッター使用禁止を解くことに関してネット投票を諮ったところ、全世界1500万人が投票したということが最近ありましたが、民主主義を標榜する現代社会にあって、ないがしろにできない数字だと当方は考えます。
    しかも投票をゆがめようとする bot(投票工作をする人造アカウント)を検出する絶好のチャンスとして活用されたとのことです。これは完全には程遠い現行投票制度に関する皮肉=あてこすりと考えられなくもありありません。どうでしょうか。

  • 右左を問わず、常識があり聡明な人は「みっともない」発言や行動はとりません。
    そういった方は右に多く見られる様に感じられるのは私だけでしょうか。笑
    またフォロー数は人気とは関係ありません、私もH弁護士や中指姫をフォローしています。笑

    • >右左を問わず、常識があり聡明な人は「みっともない」発言や行動はとりません。
      同一の集団の中で先鋭化し極論に走るようなラディカルな人たちに対して、抑制を促すような知性的なフィードバックが上手く働けば良いのですが、
      現在の左翼的(リベラル)な集団ではオピニオンリーダーたるべき所謂知識人やメディアといった立場の人々が寧ろラディカルになりアベガー暴走してる様に感じます。海外でもBLM活動家やLGBT+・環境テロリスト等々枚挙にいとまがない
      本来であれば先鋭化して暴徒と化したラディカリストは内部からこそ告発して切り離してこそ、健全なコミュニティとして一般の共感を得られるとは思うのですが、
      攻撃的な先鋭集団は敵の攻撃には有効なので(自分の心理的満足感もあり)粛清できないあまりに引きずられて集団自身が先鋭化し、一般から離脱していくという風に感じています(個人の主観です)

      同様のケースは右派(保守)でも、ネット上の度を越した一部の嫌韓サイトや(敵攻撃の耳触りの良い)人物・政治家などでも感じることができるので、自分の思想自体が引きずられて行かないようには気を付けてますが・・
      極論とか善悪二元論とか気持ち良いんですよねw 
      全体を俯瞰してバランスの取れた大局観が持てればよいなと心がけてはいますが難しい

      • 私もなるべく客観的事実を知り、理性的で聡明な判断を心掛けています。
        酔っぱらった時のTwitterは、厳禁です。(笑)

  • 素朴な感想ですが、朝日新聞としては、愚民の(朝日新聞批判の)ツイートが、いくら高評価でも(社内では)無視することが出来ますが、大学客員教授の朝日新聞に批判的なツイートが高評価だった場合、社内での扱いに困るのではないでしょうか。

  • おはようございます。ここに集う人は、飯山さん等、虎ノ門ニュース出演者をフォローしている方も多いのではないかと勝手に推測しています。そんな中、個人的に一押しの政治家のSNSをご紹介いたします。個人的に将来防衛大臣になって欲しい人です。
    ASEAN国防相会議での仕事ぶりです。
    https://pbs.twimg.com/media/FiUxq55akAAp3-i?format=jpg&name=large
    https://pbs.twimg.com/media/FiucJ3taUAEjivJ?format=jpg&name=large

  • 朝日新聞(記者)の炎上

    https://m.facebook.com/grapeejp/posts/1511238442449872

    https://www.sankei.com/article/20170730-UAAKXK7EMNOP3CK5USABAO3TDA/

    朝日新聞記者「新型コロナウイルスは痛快な存在」と不適切ツイートで炎上→アカウント削除(追記あり)(篠原修司)
    https://approach.yahoo.co.jp/r/QUyHCH?src=https://news.yahoo.co.jp/byline/shinoharashuji/20200314-00167722/&preview=auto

     コロナ初期には台湾「隔離日記」等
    非常識的なものが多い印象

    • 不適切ツイート氏が記者だったかどうかは当方には確認が取れませんでした。
      足跡を消して回る前に目に触れた投稿から判断して、関西地方の某歴史市で剣道の地域に関わっていたと記憶しています。思い出し間違いかも知れません。

  • 大学時代の旧友らとラインを結んでます。そのひとりが「面黒いもの発見」と知らせて来ました。1年下の知り合いがなんと、毎日新聞に投稿!今時、文書らしきモノで投稿する人、居るのでしょうか(爆笑)?

    大変珍しい苗字なのでスグ分かりました。年齢も的中!「アイツや」「遊園地で乗り物で年齢制限に引っかかった、何故だ?」的な発言。しょうもない話で、皆、散々バカにしました。ま、毎日新聞なんか購読している時点でオカシイです。

    ところで「いいね」は飯山陽氏が3356件、朝日新聞は26件ですか(笑)。ツイートへの反応も朝日新聞1.5件、産経新聞15件。要は情報過疎地に居る人は、古い意識のまま絶えて行くのでしょう。私も気をつけねば。今年は二人の孫(女児)が出来たので、遊園地行って文句を言わないようにと誓いました(笑)。

  • Twitterが自称リベラルマスコミの楽園から天敵に変わったのに、
    朝日などがまだTwitterから”撤退”していないのがちょっと不思議ですね。

    ”敗走”とみなされる行動は取れないと言う事でしょうか?

    • 拡声器として Twitter の代わりは見当たらないので。
      なんだかんだと、見ている人は多いのです。

      • ツイッター引退を宣言したのにこそこそ戻ってきた人も居るかも?

        マスク氏は今の所、愉快痛快な事をしてくれますね。

  • >「その発信者が誰であるか」ではなく、「その発信した情報そのもの」によって信頼されるかどうかが決まる――。 これこそが、ネット時代の本当の意味なのです。

    ネットの普及によって、このような価値基準が当たり前のものになれば、本当に素晴らしいと思います。

    自分も昔から、「誰が言ったかより、何を言ったかが重要だ」と、ずっと思ってました。ただ、こういう価値基準が、例えば職場や社会の中で通用する場面って意外と少ないな、ともずっと思ってました。

    なので、冒頭に引用したセンテンスを読んだときは、「そうだよそうだよ、まさにそうなんだよ」と思わず膝を打ってました。ネットの普及によって、健全な価値基準が定着する流れとなることを、切に願っております。