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    Categories: 外交

その国は多大な労力費やして関係構築すべき相手なのか

相変わらず、自称元徴用工問題を巡って「韓日問題の専門家」が行ったディスカッションが韓国メディアに掲載されていたのですが、こうした議論を一読して抱くのは、もはや相手国がわが国と「基本的な価値観」レベルで認識の相違が発生しているのではないか、という疑念です。

韓日ビジョンフォーラム最新稿

一種の「壊れたレコード」のようなものなのでしょうか、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に昨日、こんな記事が掲載されていました。

<危機の韓日関係、連続診断27>韓日首脳、「金大中・小渕宣言」実践リーダーシップ見せるべき(1)

―――2022.11.18 08:01付 中央日報日本語版より

<危機の韓日関係、連続診断27>韓日首脳、「金大中・小渕宣言」実践リーダーシップ見せるべき(2)

―――2022.11.18 08:01付 中央日報日本語版より

この「危機の韓日関係・連続診断」と題するシリーズは、「専門家」らが集う「韓日ビジョンフォーラム」なる会合で出てくる「韓日関係改善論」に関するものです(※正直、この数年間読み続けた結果、だいたい読む前から内容がわかってしまうのはここだけの話です)。

今回は自称元徴用工問題を巡って、このフォーラムの参加者から「日本側の呼応が必要だ」などとする発言が出るなど、正直、日本の立場からすれば受け入れられないものが多々あります。

ちなみに「『韓日』ビジョンフォーラム」と名乗ってはいますが、見たところ参加しているのは基本的に韓国人のみであり、日本人が参加している形跡はありません。これなども、同フォーラムで同じような主張ばかりが出てくる理由のひとつに挙げられるのかもしれません。

もしも日本で最も信頼のおける韓国観察者のひとりである鈴置高史氏あたりが参加しているなら、少しはいまと違った結論が出てくるのかもしれませんが…。

価値を共有しない相手と良好な関係を構築するには…?

ただ、この記事を読んで思い至るのは、そもそも外交において、「その相手国が我々と基本的な価値観を共有しているのかどうか」、という視点が大切だ、とする論点です。

この点、本稿では当初、「そもそも外交というものは」、という議論をする予定でした。

しかし、その「外交」に関する議論、展開し始めると意外と長くなってしまったという点に加え、日韓関係だけでなく日中関係、日米関係、日台関係、日英関係その他の関係にも応用が利くという事情もあり、結局は『【総論】価値観異なる相手国との良好な関係構築は困難』として独立させてしまったのです。

人間関係に4つの類型があるように、外交関係にも4つの類型があるのかもしれません。その「類型」とは、「その相手国との関係が必要かどうか」という軸と、「その相手国がわが国と同じ価値観を持っているかどうか」という軸でえり分けたものです。結論的にいえば、基本的価値を共有しない相手国と良好な関係を築くためには莫大なコストが必要ですし、また、得られる利益もそのコストに見合ったものではないのです。人間関係と外交関係の共通点人間関係には4つの種類がある当ウェブサイトではこれまで、「外交というものは、国益を最...
【総論】価値観異なる相手国との良好な関係構築は困難 - 新宿会計士の政治経済評論

(※いずれにせよ、本稿の議論の前提として、上記議論についてもご一読いただけると幸いです。)

そして、同稿で指摘したとおり、その相手国と健全な関係を築き上げるための「コスト」も、結局のところ、その相手国がわが国と「基本的価値を共有する相手国」なのかどうかによってまったく変わってきます。

というよりも、ありもしない問題を巡って、その国を代表するような識者たちが「日本の謝罪や賠償」をいつまでも議論し続けているような状況を眺めると、日本がその相手国と良好な関係を築くためにはとてつもない労力が必要であることは間違いないといえます。

著者自身もこれまで韓国メディアの記事をずいぶんと読み込んできましたが、今回リンクを紹介した『韓日ビジョンフォーラム』の記事でもわかるとおり、残念ながら日韓の認識差は「価値観レベル」に由来するものかもしれない、などと思ってしまうのです。

価値を共有する国との関係を深めるのが効率的

一方で、そんな私たち日本人が必要とするのは、やはり、「自由」「民主主義」「法の支配」「人権」といった基本的で普遍的な価値(ないしは「共通言語」)を共有している相手国ではないでしょうか。相手が最初から理解してくれていれば、これらの概念をひとつひとつ丁寧に説明しなくても、話が通じるからです。

あるいは、「基本的価値」「普遍的価値」という言葉が難しければ、「ウソをつかない・ルールを守るなどの基本的な態度」を取ってくれる相手との関係を深めるべき、という表現の方がわかりやすいかもしれません。

そのような相手国として真っ先に思い浮かぶのは米国であり、近隣では台湾、遠方では英国やカナダ、豪州などの自由・民主主義国家群です。台湾以外はいずれも地理的には離れているのですが、逆に地理的に遠くても価値観が近い方が付き合いやすいことは間違いないと思うのですが、いかがでしょうか。

新宿会計士:

View Comments (12)

  • 独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
    (なにしろ、私は朝日新聞ではないので)
    朝日新聞にとって、価値観が違う国と何な何でも、(外交儀礼ならともかく)関係構築をしなくてもよい、というのは、コペルニクス的な価値観の変換で、それ故に邪教徒の考えではないでしょうか。
    邪教徒が、失礼しました。

  • >「自由」「民主主義」「法の支配」「人権」といった基本的で普遍的な価値(ないしは「共通言語」)を共有している相手国

    この4つの価値。すべて「ウリが上ニダ」と思い込んでる国ですから、議論の前提に「価値観の共有」を持ってきても、水掛け論に終始するだけのような気がします。

    世界三大民主主義革命=「フランス革命」「名誉革命」「ロウソク革命」(笑)。

    こんな認識の国民とどうやって議論するんですか。

    外交交渉を経ての共同文書に、自国にだけ都合の良い、実際の交渉では合意もなかった記述を勝手に付け加えるような国は、以後、相手にしない。

    それだけで良いのでは?

  • 日本は、地理的に反社会組織(いずれも日本と価値観共有しない国)に取り囲まれています。
    ・南朝鮮=米中で蝙蝠しつつ、日本にイチャモンをつけまくる詐欺国@自称先進国
         日本の先端技術、文化遺産、農産物(イチゴ・ブドウ等)泥棒国@自称先進国
         竹島を占領し自衛隊哨戒機にレーダー照射する(ユンもなかったと主張)敵国
    ・北朝鮮=「市民」の人権・生存権を無視してミサイル撃ちまくる黒電話が独裁する敵国
    ・中国=事実上バブル崩壊もキンペイ強権粉飾で問題先送りし台湾(&尖閣)侵攻を狙う敵国
    ・ロシア=ウクライナ侵攻で経済制裁&ウクライナ抵抗により敗色濃厚も核恐喝するプーチン。
         日本も敗戦後、北方領土侵攻うけ占領されたままの敵国

    以上の認識を持てば、、、
    経済的にも領土的にも文化的にも反社会組織に侵攻されないよう、
    日本を総合的に防衛しつつ、日本の経済力&外交力を引き上げることがポイントと考えます。
    「聞く耳」あるけど事実上何もしない&人事しか興味ないと酷評されてしまう
    キッシーにおかれましては、猛省しご自身で考えて、日本のビジョンを打ち出してほしいな〜
    中国没落傾向な今、、、
    眠れる日本が米英台湾と協力してイニシアチブをとる最大のチャンスの筈ですが・・・

  • サムライアベンジャー(「匿名」というHNは、在日コリアンの通名と同じ恥ずべき行為) says:

     TVをつけると朝からKpopタレントが紹介されていたりするから、日本国民や岸田政権が「近隣お友達外交」を大事にしてるんだなと思わされます。

     数多くの韓国により侮日行為をなぜ日本のメディアは報道しないのか。ちゃんと報道すれば平和ボケの国民も「価値観外交」に目覚めると思いますが。

     いやー、それにしても韓流は日本に定着してしまっていますね。こうした面から追い出さないと、価値観外交に目覚めないような気が。

    文化交流と政治は別、相手がそう思ってませんからね。

  • あれっ?

    「韓日ビジョンフォーラム(?)」って
    かつては、韓国と日本の韓流議員と学者と日本の
    ミスター民主党御大将鳩ぽっぽさんも参加しての
    「韓日ヒ゜ジョン法-螺夢」
    (pegeonは どぶ鳩の英語)と呼ばれていた
    悪巧み会議だった気がしますが、
    日本側の参加者は見当たりませんなあ。

    まあ、
    日本側はもし韓流政党立憲民主党さんとかが
    参加してても当然の非難受けて票が減るから
    まあ隠すでしょうがね(笑)

    • >韓日ヒ゜ジョン法-螺夢

      非常に笑えました。ハトのホラードリームですね(笑)。
      当方からで良ければ座布団を1枚進呈します。

  • 岸田首相が韓国に騙されないか心配だ。

    と、思ってましたが イヤ大丈夫かも。
    と 少し考えを変える様になりました。

    “検討と先送り”の岸田が、韓国に譲歩するという決断をするのかどうか。

    確かに慰安婦や軍艦島では騙されました。
    しかし、それを決断したのは安倍総理なのでは?
    今回二人の大臣を辞めさせましたが、それも世論に背を押されたから。
    韓国への譲歩は世論の反対が起きるので、その様な決断はしないのではないか?というのが自分の考えです。

    ただ、これは自分の“韓国への譲歩をして欲しくない”という気持ちの表れなのかもしれません。

  • 「価値観の相違」どころではなく、「物事の捉え方の相違」でさえ無く、「決定的な現状認識能力の相違「ではないでしょうか?

    「物事の捉え方の相違」であるなら、半分水の入ったコップを見て「半分空である」と言う見方も「半分満たされている」と言う見方でも「現状認識能力」ど言う観点ではどちらも正しいし、双方で「コップの中の水の分量は容量の5割である」という認識を共有するどころから話し合いを始められます。

    翻って、隣国では「コップは是が非でも満たされているべきなので、それ以外の場合は有り得ない」と言う「現状認識」から始まるので、有意義な話し合いを始める余地さえありません。

    我々の隣国のような「動かすことの出来ない前提と結論」と「欠落した現状認識能力」を兼ね備えた方々とは建設的で論理的な対話はムリだと考えた方がムダな時間と労力を節約出来ると思います。

  • >そして、同稿で指摘したとおり、その相手国と健全な関係を築き上げるための「コスト」も、結局のところ、その相手国がわが国と「基本的価値を共有する相手国」なのかどうかによってまったく変わってきます。
    >というよりも、ありもしない問題を巡って、その国を代表するような識者たちが「日本の謝罪や賠償」をいつまでも議論し続けているような状況を眺めると、日本がその相手国と良好な関係を築くためにはとてつもない労力が必要であることは間違いないといえます。

    いわゆる『多様性を認め合う社会』は成立し得ない、永続し得ないだろうなぁって考える理由は、日韓歴史問題(というか既に韓国歴史問題)を知れば理解出来るんじゃないかと。

    ちなみに、国連の自由権規約委員会が韓国側の嘘を根拠に日本側に対応を求めるところは、日本を誹謗中傷した事を認めて改める事が出来ない、強直した官僚組織を連想します。

    日本に賠償や加害者処罰促す国連勧告「心から歓迎」 韓国慰安婦支援団体
    2022.11.08 10:55
    https://jp.yna.co.kr/view/AJP20221108001600882

    • 「国連はロシアには何もできなくて、おとなしい国には威猛々に75年以上昔の話をグダグダ蒸し返すヒマがあったら、今現在進行中のウクライナでのロシア軍による民間人の虐殺拷問・婦女暴行を止めろ。更に中国でも今現在進行中のウイグル人の強制収容を止めろ。国連は現在より過去が大事なんかい。」
      と、思います。まあ、ロシア・中国に何も出来ないからこそ、他で点を稼ごうとしているのでしょうが、国連の機能不全の極みです。

  •  「『自由』『民主主義』『法の支配』『人権』などの価値を共有する国との連携を強化する」というのは、FOIPの根底にある考え方だと思います。
     ただ、「自称元徴用工問題」「自称元日本軍性奴隷主権免除違反判決問題」「対馬仏像盗難問題」「日韓慰安婦合意破棄問題」「戦犯旗(旭日旗)問題」「海上自衛隊哨戒機への火器管制レーダー照射問題」など日韓両国間で紛争になっている問題は、『自由』『民主主義』『法の支配』『人権』などの基本的価値観の相違に起因する紛争というよりも、「ウソをつかない・約束やルールを守るなどの基本的人間性」に起因する紛争であるというのが実態だと思います。
     中国・ロシア・北朝鮮との間で生じている諸問題も「ウソをつかない・約束やルールを守るなどの基本的な人間性」に起因すると言い切っても間違いでは無いと思います。
     そして、この「人間性」というものは、歴史や伝統に起因する頑固で根深いもので、簡単に変わることは無く、1000年経っても同じだと思います。

  • 北も南も在日も、朝鮮人は皆んな同じ。話し合いなど通用しない。たとえ一個人としての朝鮮人がまともであったとしても、集団としての朝鮮人に理性を期待するのは無駄。物理的な制裁でしか、現実を理解できない。そこで血が流れてもしかたがない。