敢えて批判を覚悟で申し上げるなら、著者自身が「日本からなくなれば良い」と思っている文化のひとつがあるとしたら、それは結婚式です。結婚式は主催者側だけでなく、招かれた側もかなりの時間的・金銭的・精神的負担を余儀なくされることが多いからです。こうしたなか、ある調査によれば、20~30代の半数近くが、結婚式の招待状を受け取りながらも参加を辞退したことがあるのだとか。
目次
バイトの受験生が自腹で7万円!しかも司会をやらされる!
「結婚式」と聞くと、多くの人が「一生に一度の思い出作り」だの、「結婚披露宴」だの、「ご祝儀」だのといった連想をするのではないでしょうか。
ただ、著者自身もこれまで何組もの結婚式に出席してきましたが、残念ながら、あまり良い思い出はありません。そのなかでもトップ級に「アレ」だった結婚式を、いくつか挙げておきましょう。
人生で初めて招かれた結婚式は、今になっても思い出す、大変に辛いものでした。というのも、大学卒業直後に地元でバイトしながら公認会計士試験の受験勉強をしていたころ、大学時代の同級生から突然結婚式に招待され、しかも司会まで依頼されたからです。
正直、アルバイトの受験生という立場で相場どおりのご祝儀(3万円)を準備したほか、新幹線代と宿泊費(合計4万円ほど)を自腹で支払ったのは、経済的には本当に大変でした。また、「人生で初めて招待された結婚披露宴」かつ「人生初の司会」という重責を担わされ、正直、精神的にも辛かったことを思い出します。
当時は著者自身も若く、「遠方の友人を結婚式に招くときは、交通費や宿泊費の一部を負担する」、「結婚式の司会を友人に依頼するなら、2~3万円の謝礼を支払う」といった常識を持ち合わせていなかったのですが、四半世紀も経ってから思い返してみたら、やはりこれもずいぶんと変な話でしょう。
貴重な休日潰す職場の結婚式!しかも前日に余興の依頼まで!!
また、職場で招待される結婚式というのも、なんだかあまり嬉しいものではありません。
貴重な休日が潰れるだけでなく、祝儀という名目でおカネも飛んでいくわけですし、しかも職場の人にわざわざ会わなければならないというのもしんどい話です。
著者自身がさいしょに就職した職場では2回ほど結婚披露宴に呼ばれたのですが、どちらも余興を依頼され(しかもそのうちの1回は、なんと「結婚式の前日に」、です!)、正直、余興の前は緊張のあまり、食事の味もよくわかりませんでした。
その後も大学時代の友人、職場の先輩・後輩、親戚などを中心に、いくつかの結婚式や結婚披露宴に参加したのですが、「ご祝儀」、「余興」といった結婚式カルチャーには、いまでも違和感しかありません。
期初の結婚式!しかも費用を徹底的にケチる!!
ただ、こうした数ある結婚式のなかでも、最も困惑したものが、4月1日・金曜日に行われた、遠方に住む従妹の結婚式と結婚披露宴でした。
「結婚式はめでたい場なので、招かれれば万難を排してでも参加すべき」、などと、当時は素直に考えていたのですが、この従妹、普段は滅多に交流もなく、たまに会うとしても親戚の葬式くらいしかないというほどに疎遠な相手でしたし、また、結婚式が平日で4月1日に行われるという点にも強い違和感がありました。
そもそも4月1日とは、一般には「エイプリルフール」でも知られていますが、多くの企業にとっては「年度初め」でもありますし、著者自身が勤務していた会社でも人事異動その他の事情があり、極力休みたくない日のひとつでもあります。
ただ、著者自身はまだ民間企業に勤めていたからまだ良かったものの、式に招かれた親戚のなかには夫婦で公務員(教員)を務めている、という事例もあり、「平日の4月1日に休む」という点で頭を抱え込んでいたのを思い出します。
ではなぜ、この従妹は「期初」かつ「平日」という非常識な日付を結婚式に選んだのでしょうか。また、なぜ普段疎遠なのに結婚式に招かれたのでしょうか。
新婦の弟(つまり従弟)がこっそり打ち明けてくれた事情によれば、まず、新郎側が親戚や友人を大量に招くので、それに合わせてこちらもたくさんの親戚を招かなければならないという事情があったようなのです。
また、4月1日を選んだ理由について、この従弟は「その結婚式場でいちばん安い日がその日だったらしい」と教えてくれました。その式場で4月1日に式を挙げる人はほとんどいないため、費用も一番安く上がる、という事情があったのだそうです(たしかにその式場で当日式を挙げたのはその従妹だけでした)。
「未熟な私たち」、たしかに君たちは未熟すぎるね!
もっといえば、結婚式場と披露宴会場が物理的に離れており、タクシーだと5分、徒歩だと20分少々という距離にあったのですが、主催者側が結婚式場から披露宴会場(貸し切りのレストラン)までの交通手段(マイクロバスやタクシーなど)を手配していなかったというのも、なかなかに強烈な思い出です。
仕方がないので、結婚式参加者は自腹でタクシーに乗るか、頑張って披露宴会場まで歩くかを選ばざるを得なかったのですが、結婚式から披露宴まで2時間以上、時間が空いたため、幼い子供を抱えている夫婦は子供がぐずるのをあやすのに大変そうでした。
ちなみに後から調べてみると、その結婚式場にはちゃんと披露宴会場もあったので、その気になれば結婚式場から披露宴会場を同じ建物内で完結させるということもできたはずです。それをやらなかった理由は、おそらく費用をケチったからなのでしょう。
また、この結婚式では従妹ということもあり、祝儀として5万円包んだほか、交通費も自腹で出したのですが、当然のごとく、いわゆる「お車代」は受け取っていません。つくづく思うのですが、結婚式を挙げる前に、親や職場の上司など、新郎新婦の身近な人たちは、誰も諭さなかったのでしょうか?
結婚式のあいさつで新郎新婦は「未熟な私たちですが」と述べているのを聞いて、「あぁ、君たちは未熟すぎるね」、などと心の中でつぶやいたことはここだけの話です。
若者の45.6%は結婚式出席を辞退したことがある
なぜこんな「アレ」な話を思い出したのかといえば、ITメディアビジネスオンラインに昨日、こんな話題を発見したからです。
20~30代に聞く 「結婚式の出席を辞退」45.6%、理由は?
―――2022年11月15日 08時00分付 ITmediaビジネスONLINEより
ITメディアによると、「トレンダーズ」(東京都渋谷区)がインターネットを使い20~30代の男女を対象に行った調査で、結婚式の招待状が届いたものの、出席を辞退したことがあると答えた割合が45.6%であることがわかったのだそうです。
ちなみに辞退した理由は「スケジュールが合わなかった」が60.4%でトップを占め、「金銭的な余裕がなかったから」が29.2%でこれに続きます。また、金銭的な事情で出席を辞退したことがある人のうち80.4%は「お祝いしたい気持ちはあった」と答えているのだそうです。
ただ、個人的に勝手な印象で恐縮ですが、コロナ禍のため、結婚式や結婚披露宴という文化は、かなり変質したのではないでしょうか。
もともとコロナ前にも、結婚式はハワイやグアムで挙げるという人もいましたし、また、「披露宴は呼ぶ人を絞るけれども、友人や職場の人などは会費制のカジュアルな二次会で大々的に招く」、といったスタイルもありましたのが、もしかすると結婚式も少しずつ変容しつつあるのかもしれません。
実際、知り合いのとある業界紙の社長は、コロナ禍の最中にご息女が結婚されたそうですが、そのときには結婚披露宴ではなく「親族のみの豪華な食事会」を開催し、大変に贅を尽くした食事が提供された、などと述べていました。
なお、個人的には「一生に一度の結婚式」を派手に挙行するという心理には、あまり理解できないというのが正直なところでもあるのです。
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私は二度してしまいました。
やりたがるのは新婦のほうだろう。一生一度の晴れ舞台。
最近はジミ婚と葬式ナシが増えている。
確かに冠婚葬祭に時間とカネ使うの億劫だよね。
結婚式やお葬式には、何かといろいろと笑えないエピソードがあるものですね。
私自身の結婚式といえば、今から40年も前のことですが、生涯で一度だけやったことがあります。繰り返しますがたった一度だけです。
式を挙げたのは東京勤務から郷里にある営業所に転勤直後のことでしたので、東京にいた時の上司や先輩並びに同僚らも招いたものでしたが、一応交通費やら宿泊代なども含めた熨斗袋を用意したと記憶しています。但し用意したのが私ではなく、私の親であったというのは今思い返しても慚愧の念に堪えないものですが。
そのとき東京から招待した賓客の中に、当時の社長もいたのですが、そのとき社長の祝儀が一万五千円だということが式の当日に判明し、上司や先輩同僚らがパニックに陥りました。まさか社長以上の金額の祝儀を出すわけにはいかない、という上司の判断で全員が一律一万円と変更されることとなってしまいました。彼らは大騒ぎで式場の近所にあった文房具店に走ったそうです。
私自身は当日そのことを知らされず、呑気に友人らと写真に収まったり、親戚連中と馬鹿話をしたりして過ごしていましたが、後日親しい先輩に事の詳細を聞かされ、唖然とした思い出があります。
四十年前とはいえ、その頃でも結婚式の祝儀に一万五千円というのは些か非常識な金額だったと思います。というのは、その頃でも結婚式の費用を頭割りにするとやはり一万五千円ぐらいはかかるものだったからです。
というわけで、私自身の結婚式は対社内的には完全の赤字で終わったという、些かほろ苦いものでした。交通費やら宿泊費等は全くの持ち出しでしたからね。
追記 後日本社の総務から、一万五千円の祝儀が会社名義の現金書留にて親宛に送られてきたそうです。あれは一体何だったのだろうかと、半世紀近くたった今でも時々思い返すことがあります。
結婚式は、「これから始まり」ではなく、結婚後の夫婦の姿そのものですね。
非常識な結婚式をやった夫婦は、結婚後も非常識なまま。
奥さん側の好みが強く反映した結婚式ならば、結婚後も妻が圧倒的に優位な家庭。
その他、親族、友人などの姿も、そのまま結婚後の交友関係を暗示しています。
個人的には、結婚式など時間とカネの無駄遣いの極みと思ってます。
二度と会わない親戚や配偶者側の友人に、顔見せをする必要を感じません。
部下から相談されても、「結婚式は不要。やるなら身内だけでやれ。新婦のドレスのお披露目もできるだろう。浮いたカネを新生活に回せ」とアドバイスしています。
おはようございます。
コロナ禍の最中に父親が亡くなり、家族葬で送りました。
家族葬は、費用が安い、父親を送る一連の儀式全てに立会うことができる、来賓への挨拶がない、香典返し等を考えなくて良い、何より、肉体的・精神的な疲れがほとんど無い、といいこと尽くめだったと思ってます。
当方は人望が無く、結婚式の出席も2回でしたが、スピーチを依頼されて大変でした。(依頼された友人からは謝礼と御車代は頂戴しました。)
結婚式も身内で小規模に、が主流になっていくのではないでしょうか。
自己レス。読み返してみて改めて感じる非常識さ。
●それにしても無職の友人に交通費と宿泊費を負担させた上で司会を押し付けるなんて。
●余興をやれって前日に言ってくるなんて。
●費用を浮かすためか知らないけど期初に結婚式をやるなんて。当然お車代もなしで。
もし今になってそれらに参加してほしいと言われたら、コロナなどを理由に断るかなぁ…。
べつにしたい人はすればよいし、したくなければしないで済ませればよいだけのことと思います。
なにも無くなれと言うほどのものでも無いような。
私の場合、費用は祝儀と出費でおよそとんとんでした。地方だからでしょうか。
結婚式、披露宴、新婚旅行、諸々決めるのが2人の最初の大きな共同作業です。
良い経験だと思いますけれども。
>結婚式はめでたい場なので、招かれれば万難を排してでも参加すべき
「慶事は不義理があっても良いけど弔事はちゃんとする」
あたしの周りにはこんな人が多いけど、実は少数派なのかな?
>結婚式はめでたい場なので、招かれれば万難を排してでも参加すべき
当時はそう思ってたの、当時は。
新宿会計士様も若かったのですね♪
でも、弔事よりも慶事の方が出席して楽しいですものね♪
・・・・・・新宿会計士様のご経験も、今となっては笑い話になってると良いですね♪
「結婚式」はあって良いのではないでしょうか。来賓なしでもできますし。
もちろん挙げたくない方は挙げなくてよいお話。
「披露宴」はともかく。
自分が出席した結婚式は友人同僚とも皆楽しい雰囲気でご祝儀も交通費も出したかいがありました。意外と少ないのかなぁ。
ただ私の場合は結婚式と披露宴(に相当する宴会)は両家の両親と兄弟姉妹だけで行ったのであまりデカいことはいえませんが、
・頻繁に会うでもない親戚、仲いいとは限らない上司同僚、何年ぶりかに会う友人が一堂に会せるような日程調整
・上司友人へのスピーチ、余興の依頼もちろん無茶振りは禁止
・年齢層や好みやアレルギーを把握した食事や引出物の選定
・当日の交通手段や帰りの時間や宿泊先まで配慮した式場の選択
・花やテーブルクロスはいろんな種類から選べるけど自分で選ばなくちゃいけないしセンスも見られる
・式後は間髪おかずに新婚旅行
などなど....かつては「結婚して一人前」と言われていたようですが、確かにこの「大仕事」をやり遂げたのであれば一人前というのも納得、多少のトラブルが有ったとしても十分評価されるべき、と感じます。
しかし新宿会計士様が遭遇した結婚式は「多少のトラブル」ではなく、笑い話で済まない無作法無礼にあたると思います....