ツイッターのトレンド操作に関連するのでしょうか、東京新聞に2日前、なにやら気になる社説が掲載されていました。社説のタイトルは『ツイッター買収 公共性を保てるのか』であり、社説のなかでツイッター社を買収したイーロン・マスク氏の行動が、結果として「ツイッターの公共性や中立性を損なっている」のではないかと疑義を呈しているのです。
マスク氏のツイッター買収で露呈したトレンド操作
実業家のイーロン・マスク氏がツイッターの経営権を握ったところ、同社のキュレーションチームを中心に解雇が行われ、朝日新聞、ハフポスト、報道ステーションなどの記事が結果的にタイムライン(TL)などから一掃されてしまったとする話題は、少し前から当ウェブサイトでも取り上げているとおりです。
じっさい、著者自身のアカウントを例にとり、ツイッター上で現時点で確認してみると、たとえば『いまどうしている?』欄では11月4日付の朝日新聞デジタルの記事が表示されたままになっています。これなど、キュレーションチームによるトレンド操作の動かぬ証拠のひとつです。
これについてはくどいようですが、当ウェブサイトとしては、基本的にツイッター社が「トレンド操作」に加担していたとしても、それはそれで別に問題はなかったと認識しています。ツイッター社もしょせんは民間企業ですので、本来ならばどんなアルゴリズムを実装しようが、どんな運営をしようが、同社の自由だからです。
また、ユーザーサイドとしても、アルゴリズムを含めたツイッターのプラットフォームが気に入らないのであれば、ツイッターを使わなければ済む話です。
つまり、ツイッター社が「当社はトレンド操作をしていますよ」とわかりやすくアナウンスをしていたのであれば、それはツイッター社のポリシーの問題であり、私たちユーザー側としては、「ツイッター上に表示される情報は世の中で流行しているものとは限らない」と認識することが可能です。
ただ、今回発覚した「トレンド操作」の問題点を挙げるとすれば、ツイッター・アルゴリズムに基づいて自動的にピックアップされたツイートと、ツイッター社のキュレーションチームが手動でピックアップしたツイートが混在し、私たちユーザーから見て、どちらがどちらなのかわかり辛くなっていた、という点にあります。
少し極端かつ過激な言い方をすれば、ツイッター社は私たちユーザーを「騙していた」という意味でもあるのです。
その意味では、イーロン・マスク氏のツイッター買収に伴う一連の解雇劇は、「タイムラインやトレンドの健全化」という視点だけで見れば、結果的にはさそくに効果を発揮したといえます(マスク氏がそれを狙っていたのかどうかは別問題ですが)。
東京新聞「ツイッターの公共性を保てるのか」
ただ、ツイッターを批判する社説が出てきました。
東京新聞に9日付で掲載された、こんな記事です。
<社説>ツイッター買収 公共性を保てるのか
―――2022年11月9日 07時45分付 東京新聞より
本来、当ウェブサイトのポリシーとして、朝日新聞、毎日新聞、東京新聞の3紙(当ウェブサイトの用語でいう「ATM」)の記事のリンクについては極力引用しないようにしているのですが、今回の社説の場合は引用しないわけにはいきません。
東京新聞の社説では、マスク氏が「収益改善を理由に人権担当を含む職員の半数を解雇した」ことや、「米中間選挙で共和党候補へ投票するよう投稿で呼びかけたこと」などを巡って、「1日2億人超が利用する巨大SNSの公共性や中立性を損なう行為だ」と批判。
そのうえで、「マスク氏のツイッター買収後、差別や暴力、誹謗中傷を助長する投稿や偽情報が野放しになるのでは、との懸念」は「現実味を帯びている」、と主張しているのです。
このあたり、個人的には大変な違和感を覚えるポイントがいくつかあるとしたら、そのひとつは「ツイッターの公共性」ないしは「ツイッターの中立性」という表現でしょう。
くどいようですが、ツイッター社もしょせんは民間企業であり、「公共放送」を騙っているNHKなどとは、本質的にまったく異なる存在です(※現在のNHKが「公共放送」を名乗る資格があるのかどうかについての論点は、とりあえず脇に置くことにしたいと思います)。
また、私たち一般人にとっては、べつにツイッターが「公共性と中立性があるSNSである」という必要性はありません。また、私たちユーザーのサイドとしても、ツイッターが気に入らなければ、見なければ済む話です。
もちろん、マスク氏が特定のメディア(たとえばタス通信など)のツイートを強制的にタイムラインに表示させるようなプログラムをこっそりと仕込んだ場合などには、これまでのツイッターと同じような問題点が生じることは予想されるところでしょう。
しかし、少なくともNHKと異なり、「インターネットにつながる環境があればツイッター社にカネを払わなければならない」という法律は、現時点では存在しませんので、ツイッターが「公共性と中立性のあるSNS」を目指さなければならないとする東京新聞の社説の主張は、やはりどこかズレているように思えてなりません。
そもそも利用者がツイッターに不信を募らせているという事実はあるのか?
ちなみに東京新聞によると、「米大学などの調査」では、「買収直後、差別用語を使った不適切投稿が急増している」、などと述べているのですが、ある投稿が「不適切」かどうかは、いったい誰がどうやって決めるというのでしょうか?
まさかとは思いますが、新聞社やテレビ局がそれを決める、とでもいうのでしょうか?
そのうえで東京新聞は、次のようにマスク氏の経営方針を批判しています。
「買収を一時撤回したようにマスク氏の唐突な方針転換や説明不足は利用者の不信を募らせている」。
はて?
「唐突な方針変換や説明不足」で「不信を募らせている」のは、いったい誰でしょうか?
著者自身も2016年7月以来のツイッター・ユーザーですが、少なくとも著者は「マスク氏の唐突な方針転換や説明不足」に対して「不信を募らせている」という事実はありません。それどころかキュレーションと称したトレンド操作が消滅したことを、ひそかに歓迎している人間のひとりではないかと思います。
というよりも、そもそもこれを主張している東京新聞を含めた新聞業界が「公正中立」なのか、あるいは一般の人々が新聞業界を「公正中立」だと信頼しているのかどうかについて、社説を書く前に振り返ることはしなかったのでしょうか?
むしろ社説を読んで、モヤモヤは深まるばかりです。
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私は諸君に聞きたい!
「イソコのどこに公共性があるというのだ?」
マスク氏にはしっかり稼いで貰って自分の好きなようにお金を使って貰いたい。
それが自由なのだから。
東京新聞はツイッター社が(結果的にせよ)「パヨクパージ」をした事に逆火病しているに過ぎません。
自分の事を棚に上げて「公平性ガー!」と喚くのも奴ららしいですね(冷笑)。
散々Twitterを工作利用してきた側が
公共性・公平性・中立性という言葉を使い出すのを見ると
鼻で笑いたくなります。
公共性も公平性も中立性も欠片も持ち合わせていない、偏向報道しまくりの東京新聞にそれを言う資格があるのかな?wもはや「報道」という体裁が保たれているかどうかすら危ういのに。
そう思うならTwitterで毒を吐きまくってる望月イソ子はTwitterのアカウントなぞ消せばいい。
イソ子が自ら消さずとも新しい運営によってBANされるかも知れないけどねw
通りすがり様
そんなにイーロン・マスク氏の手法に不満なのでしたら、中日新聞社の社員でTwitterのアカウントを持っている人達は、アカウントを消してマストドンにでも移ればいいと思います。
「ぱふぱふする」は怪しい隠語ですが「パヨパヨする」という言葉も同じくらい意味深です。
NHK ロサンゼルス支局記者が「お金持ちに負けたくない悔しさ」が何故か行間に漂う批判的記事を書いていますし、日本経済新聞社はキュレーションプロセスを解説するという形で、お金持ちや ビッグテックを警戒する要旨の記事を出しています。パヨパヨしているのでしょうか。それとも森で出会った大きな鏡なのでしょうか。記者諸君の健闘を祈る(立ち上る煙)
連投すみません。明日の虚構新聞朝刊1面見出しを妄想してしまいました。
『お金持ちに負けたのではない 新聞記者たちの止まない歯ぎしり』
テクノロジーを最新ファッションの一部として身に着け、不可能を可能にする白魔術を繰り出して来たテック産業に、今報道界が呑み込まれようとしている。
>ツイッターが有する公共性の維持と投稿管理をどう両立し、経営を立て直すのか。
他人任せにしないで、東京新聞がツィッターに代わって公共性のあるSNSを立ち上げたら良いんじゃないかな?
ツイッターのトレンド欄は
イーロン・マスクさんが
ツイターJPに巣食ってた人ハタキだしてから
左偏向ゴリ押しツイートが一気に減り
多くの人が改善されたと実感する一方で
世論工作できなくなった東京新聞さんのような方面は
いたくご不満のようですが、
社説で並べる言葉はどぶサヨさんたちの
口から出てるのは滑稽だと感じます。
東京新聞さんにとって社説で主張なされてる
「公共性や中立性を損なう行為」??とは
「公共性」とは
”共”産党さんが大きな顔して正義を騙れること、
「中立性」とは
”中"国や"立"憲民主党さんに偏った意見。?
という意味ならばさもありなんとは思えます。
日本の 爺爺通信社 や 挙動不審社 も
イーロンマスクさんに買収してもらって、
これだけ世間で話題の
活動家兼沖縄タイムズ記者阿部岳や応援の
人呼んで山賊議長こと山城博治が
ヒロユキ氏に完敗した一連の論戦とかが
報道されるようになってほしいものです。
爺爺通信社 や 挙動不審社 にNHKも加えて欲しいww
そりゃ、東京新聞みたいなマスコミからすれば
「マスクが買収して以来”偏った”表示がなくなって快適になった♪」
なんて主張、絶対に認められませんからねえ。
自分達が”偏っていた”なんて絶対に認められない、むしろ自分達こそが公正中立で
自分達を批判する方が偏っている!と叫びたくて仕方がないんでしょう。
一年もすれば、大抵の左っぽいマスコミはツイッターを5ちゃんねる同様に
「名前を出したくない特定のネット空間」扱いしていると予想します。
この論考では、「基本的にツイッター社が「トレンド操作」に加担していたとしても、それはそれで別に問題はなかった」という立場で論を立てているようですが、自分は、ニューストレンドの配信を人力で操作していたことは問題だと思っています。
その理由は、簡単に要約すれば、「トレンドを操作したらトレンドじゃなくなるから」です。
トレンドという言葉は、検索すると、「時代の趨勢」とか「世の中の流行り」といった意味だと出てきます。今の時代や今の世の中の様子を全体的に反映させたものであるという前提が、この言葉には含まれていると思います。トレンドの看板を掲げてニューストレンド等の情報を提供するのであれば、その情報が今の時代や世の中のトレンドを反映したものであるということを、客観的、科学的かつ論理的に、ある程度(少なくとも客観性検証に堪える程度に)は説明できる必要があろうかと思います。
キュレーションチームの人たちの裁量によって採用された配信情報が、今の時代や今の世の中のトレンドを反映したものであるかどうかについて、客観的な検証に堪えられるとはとても思えません。メディアが自社記事のモーメントを作成してツイッター社のキュレーションチームに持ち込み、キュレーションチームの裁量で載せたりしていたという話も出てきていましたが、ここまでくると、もはやトレンドでもなんでもなく、プラットフォーム事業者が加担したメディア版ステルスマーケティングです。
百歩譲ってこれが、「トレンド」ではなく、「ツイッター社によるレコメンド」と明示して提供される情報であれば、まだ問題はなかったとは思います。しかし、トレンドであると説明できない情報を、トレンドであると銘打って提供することは、極端でも過激でもなく、ツイッター社がユーザーを「騙していた」ということそのものだと思います。
メディアが嘘情報を拡散することは本当に問題ですが、これは記事で語られる内容が事実情報に基づくものであるか、考察の論の建て方に矛盾や破綻がないかなどを検証することによって、ある程度は記事の真偽を判定することが可能です。しかし、トレンドであると銘打って提供されるニューストレンドの配信情報について、これが本当にトレンドを反映したものであるかどうかを検証することは、メディアの記事自体の内容を検証するより遥かに困難だと思います。その理由は、ニューストレンドの配信情報を作成するための基礎情報や作成手法などが、我々に開示されることはまずなく、基本的にプラットフォーム事業者サイドでブラックボックス化しているからです。
こういう状況下では、プラットフォーム事業者がユーザーを騙すことにとどまらず、トレンド情報操作によって世論をあらぬ方向に偏向させることも、あるいは可能になるのではないかという危惧が、自分には強くあります。極端な言い方をすれば、「情報による人と社会の支配」がプラットフォーム事業者によって実行される可能性に対する危機意識です。
大げさなことを言いましたが、こういう懸念を避けるためには、プラットフォーム事業者が「トレンド操作」を行うことを容認してはならないと自分は考えておりますし、場合によっては、こういう情報操作に対するルール作りも必要になるのかもしれないとも考えています。
>こういう情報操作に対するルール作りも必要になる
賛成です。プラットフォーム事業者も勿論ですが、その前に日本の新聞・テレビ他のマスコミについての情報操作に対するルール作りも必要と考えます。マスコミは報道の自由の侵害だと大騒ぎするでしょうが、ネットに流れるフェイクニュースについてはマスコミも問題視するくせに、自分らの業界の誤報と言う名のフェイクニュースや偏向報道については見ないふりをしています。媒体が紙か電波かデジタルかの違いだけなのに。
文中で指摘してる通り、Twitterは民間企業ですからね
「公共性を保てるのか」という提起自体ナンセンスだと個人的には思います
更に言わせて貰うならば、スポンサーから広告費を得て活動しながら中立を謳う貴社らが言えた事かと
自分は性格が悪いので、この件に関しては「Twitterを根拠にした都合の良い世論を論拠として使い辛くなる」という、大いにTwitterを利用していた組織や個人の喚きとしか受け取れない