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なぜ?韓国ソウル「梨泰院」で深夜に大量圧死事故発生

またしても韓国で凄惨な事故が発生したようです。ソウルの繁華街「梨泰院(りたいいん)」で、100名を超す方が圧死したというのです。にわかには信じがたいものであり、また、犠牲となられた方々のご冥福をお祈りするほかありません。そして、わが国にとってもハロウィンの群衆の安全確保に問題がないかを改めて見直す契機としなければならないことは間違いないのですが、それ以上に抱く疑問は、なぜ韓国で10年周期で悲惨な事件・事故が発生するのか、という点でもあります。

ハロウィンと渋谷の群衆

明日はいわゆる「ハロウィン」の日として知られています。

ハロウィン(Halloween)は、もともとは古代ケルト人の祝祭であると伝えられており、実際、アイルランドでは1970年代以降、毎年10月の最終月曜日が「バンク・ホリディ」のひとつに指定されているそうですが、 “OfficeHolidays” というウェブサイトによれば、これもいわゆるハロウィンと関連しているそうです。

October Bank Holiday in Ireland in 2022

そして、これが現代の米国で行事として定着したことから、そこからここ十数年で、さらに日本など世界中に広まったものだといわれています。たしかに全国の繁華街などでは、著者自身もハロウィンのコスプレを目にするようになりましたし、そのような方も多いでしょう。

東京近郊にお住いの方であれば、渋谷がとくに有名ですが、あまりにも多くの人手で賑わい、なかには路上での飲酒・喫煙に及んだり、ゴミを放置したりするなどのマナーが悪い者も後を絶たないことから、社会問題にもなっているようです。

そして、『FASHIONSNAP.COM』というウェブサイトが配信した次の記事によると、すでに31日を前に渋谷は若者でにぎわっているそうです。

コロナ禍3度目のハロウィン 31日を前に渋谷は若者で賑わい警察が出動

―――2022/10/29 23:11付 Yahoo!ニュースより【FASHIONSNAP.COM】

渋谷区では一昨年、昨年に続いて自主警備を行いつつ、仮設トイレや着替えスペースの設置の取り止め、近隣店舗に期間中の酒類販売の自粛を要請するなどの対策を行っているのに加え、2019年から制定された路上飲みを禁止する条例を今年も10月28日から施行。

スクランブル交差点やセンター街には多くの警察官や民間の警備会社のスタッフが配置され、交通整理や、立ち止まっての写真撮影や路上での飲酒・喫煙を注意する場面も見られたようです。

また、2018年10月のハロウィンの際には、ダンスミュージックを流しながらセンター街バスケットボールストリートに進入した軽トラックが群衆によって横転する事件が発生し。警視庁が執念で捜査を行い、犯人を15人特定した、という出来事もありました(警視庁『渋谷ハロウィンで暴徒化した犯人たちを追跡せよ。』参照)。

やはり、大量の群衆が集まるというのは、街の安全を守るうえで大きな課題のひとつでもあるのです。

韓国で凄惨な事故が発生

こうしたなか、韓国では昨晩、ハロウィンのために集まっていた群衆で多くの方が圧死するという凄惨な事故が発生したようです。

【韓国梨泰院圧死事故】死亡者151人…外国人死亡者19人…暫定集計

―――2022.10.30 10:52付 中央日報日本語版より

【韓国梨泰院圧死事故】「ドミノのように人の下敷きに」…倒れた友達の手をつかんで嗚咽した

―――2022.10.30 09:46付 中央日報日本語版より

韓国メディア『中央日報』(日本語版)の報道によると、事故は29日午後10時過ぎ、ソウルの繁華街・梨泰院(りたいいん)付近で大勢の人が心肺停止状態に陥ったそうです。また、30日午前10時15分時点において、圧死者は151人(うち外国人19人)、負傷者も82人だったのだとか。

とくに犠牲者の多くが10~20代の青年層であるとの情報もあり、本当にいたましくてなりません。改めて、犠牲となられた方々のご冥福と、重軽傷を負った方々の1日も早い回復を祈りたいと思います。

韓国では10年周期で凄惨な事件・事故が発生

いずれにせよ、こうした事例を見ると、日本で例年、警察が人々の流れを規制していることは、人々の命と安全を守るという意味があることに改めて気づかされますし、こうした悲惨な事故が発生しないように、現在の警備に穴がないかについて常に見直すなど、日本も「他山の石」にしなければならないことは言うまでもありません。

ただ、それ以上に気になる点があるとしたら、1995年6月のソウル三豊デパートの崩壊事故、2003年2月の大邱(だいきゅう)地下鉄火災事故、2014年4月のセウォル号沈没事故のように、韓国では悲惨な事故が約10年周期で発生しているという事実です。

図表 韓国で発生した事件・事故
時点 出来事 人的被害
1995年6月29日 三豊百貨店崩壊 死者501名・負傷者937名・行方不明者6名
2003年2月18日 大邱地下鉄放火事件 死者192名・負傷者148名
2014年4月16日 セウォル号沈没事故 死者299名・行方不明者5名
2022年10月29日 梨泰院圧死事故 死者151名?

(【出所】著者作成)

このうち過去の3つの事件・事故については、詳細について調べていくと、事件・事故の直接の原因もさることながら、被害を拡大させるような要因がいくつもあったことが判明しています(たとえばセウォル号の場合は船体の不適切な改造や過積載、船長の離席と三等航海士の操舵ミスなど)。

なぜ被害が拡大したのか

今回の梨泰院事故についても、原因調査はこれからのことだとは思います。

ただ、この点、先ほど引用した中央日報の記事によると、「すぐに通報を受けた警察と消防が到着した」にもかかわらず、救援活動が遅れたのだそうです。というのも、「多くの人波に大音量の音楽が入り乱れ」、救助隊の現場侵入が難しかったからなのだとか。

消防署員が道をあけるよう叫び続けたが狭い路地の入口にあふれた人たちは叫びが聞こえないのか道をあけることができず右往左往した」。

なんとも驚く話です。

中央日報によると、午後11時ごろに一帯の通行規制が適用され、消防隊員や現場を見守っていた市民らが死傷者を運び出し、心臓マッサージを行うなどしたものの、力が及ばなかったようです。

このあたり、現在進行形の事件・事故について、限られた報道をもとに断定的なことを述べるのは適切ではありませんが、どうも被害が拡大するような「特殊な条件」が整っていた可能性は否定できません。

いずれにせよ、いったいなぜここまで被害が拡大したのかについてもしっかりと究明していくことが必要でしょう。

新宿会計士:

View Comments (72)

  • 素朴な感想ですけど、韓国国内では、この事故の責任を(朴槿恵(元)大統領のように)尹大統領にするのでしょうか。それとも、日本の責任にするのでしょうか。結局、人は(正義の名のもとに)誰か他人の責任にしたい、と思う生き物なのでしょう。

    • 大統領府を龍山に移動したため、警察の人員不足
      5M幅で27度傾斜50Mの道路のうえ
      道路の端に椅子などが置かれ更に狭くなっていたなどがいわれています。

      • 27度傾斜といえばスキー場では急斜面に属する。
        ソウルにそんなとこあったんだ。

        • いや、ソウルは結構街中でアップダウンがありますよ。
          冬場凍結すると危なそうなところはいくらでもあります。

          でも、舗装がガタガタなので大丈夫というオチが......ww

  • 群衆密集に端を発した集団圧死事件に関して言えば、日本においても、2001年7月21日に発生した明石花火大会歩道橋事故で、圧死等による死亡者11人、負傷者183人(一説には247人)という事故が発生しており、日本も決して他人事の話ではないと思います。

    大切なのは、このような失敗を教訓として、事故発生の根本的な原因の究明を行い、同様の事案をは再発させないための仕組みを構築するとともに、類似の事案を発生させないための予防措置を、横展開して他の場所でも実施することです。(その意味で、渋谷のハロウィン対策の実施は急務です。)

    日本では、このような取り組みは比較的しっかり行われているのではないかと思います。(メディアによる嘘情報の拡散など、原因究明を踏まえた再発防止や予防措置が全く機能していない分野もありますが。)

    一方で、韓国において、原因究明を踏まえた再発防止及び予防措置の取り組みがどの程度行われているのか、当方はあまりよく存じません。しかし、それ以前の問題として、韓国においては、安全規制を遵守するなどのイロハのイのレベルでの安全確保の取り組みがおろそかになっているのではないかという気がします。(建築法規の不遵守等に起因する百貨店の崩壊、船舶安全基準の不遵守等に起因する旅客船の転覆沈没など。)

    また、放火されて列車内に煙が充満しているのに乗客がなかなか避難行動を起こさなかったり、旅客船がまさに沈没しようとしているのに乗客が客室内に留まり続けるといった、正常性バイアスの傾向が、韓国には顕著にあるのかもしれません。

    韓国における多数の死傷者を伴う重大事故の発生には、相当根深い問題が複合的に関与している可能性があるのではないかと、当方は推察しております。かなり根源的なところまで原因を掘り起こして、実効性のある再発防止及び予防措置を講じない限りは、韓国における重大事故は、これからも起こり続けるのではないかと思います。

  • 兵庫県で2001年に明石花火大会歩道橋事故があり、11人死亡180人以上の負傷と言う事件でした。
    韓国では何かの見物に地下の穴の上にグレーチングかけた所に大勢乗って転落と言う事件がありました。

  • 多くの人が亡くなって痛ましい限りですが・・・
    どうせこの事故も政治問題化してエンタメ化して、何が何だかわからないまままた10年後に同じようなことが起こる、ってことになるんでしょうね。
    それ自体は日本も似た現象が起きますけど、政治と行政が踏ん張って批判を受けながらもなんとか意味ある形に仕上げる点が違っていると思います。

  • たくさんの方が亡くなられ ご冥福を祈るのみです。
    「誰が悪いのか?」と 問われると、警察、警備の責任に いきつくとおもいます。人々の集中が予期されているにもかかわらず、 誘導、混雑回避を怠ったことが事故発生につながってるとおもいます。

    梨泰院って韓国の著名繁華街ということになってますが あのような貧弱な狭路にあれだけの人が群がったことに驚きです。
    まあ 渋谷や六本木でも 大通りばかりではなく 狭い裏路地はあるわけで 比べるものではありませんけど。

    昨日ハロウィーンの渋谷スクランブルの人出は6300人だそうです。梨泰院は10万人とも いわれています。
    この記事どうおもったらいいのでしょうか。
    「渋谷の混雑はマスコミの演出。大した人気じゃない」ということでしょうか。ボジョレーヌーボと 同じお決まりの季節ネタ?

    こんなことで 梨泰院は10万人の人出。
    他に行くところ、娯楽がないのですかね。

  • 昭和30年、新潟の弥彦神社。
    お正月の餅まき行事を目当てに参拝客が大勢が詰めかけ、石段崩壊・将棋倒しの事故、124名が圧死された事故を知る人が少ないのは残念。
    明石の事故よりも、もっと悲惨な事故が戦後の日本にはあったのです。
    私の身内が当時その現場に居合わせまして、命は助かったものの、トラウマなのか生涯にわたり人ごみを極端に恐れていました。
    私自身も人ごみは大嫌いです。息が詰まるようで。

    • 確かに弥彦神社の事故は一部の人にしか知られていませんね。私も明石の事故があった時にこの事故のことを知りました。弥彦神社ではこの事故以来、餅まきは行われていないのだとか。

    • 縮刷版で当時の新聞を読んだことがあります。識者のコメントは「初詣は迷信だから行く方がおかしい(大意)」と。起きてしまった痛ましい事故からどのように教訓をくみとり、いかにして再発防止を図るか.....安易な議論や犯人探しに飛びついてはいけないですね。

  • 犠牲となった本人は勿論、大切な家族を失った遺族の方の気持ちを思うと、余りにも痛ましく、言葉がありません。反日国であり、韓国人には快い感情はありませんが、それとこれとは別。心より哀悼の意を捧げます。
    この事故を政争の具にせず、超党派で原因追及と対策を立てる事ができれば、犠牲者や遺族も浮かばれる事でしょうが、どうでしょう。進歩して欲しい。

  • 幅4mの狭い坂道に多数の群衆が押し寄せ、何かの弾みで起きた転倒に、人が後から後から折り重なって、というのが昨日ソウルで起きた多数の人命が失われた事故の経緯のようですが、これ、雑踏+傾斜というのは、こうした事故が起きる必要条件ではあっても、十分条件ではないんですね。

    何年か前に台湾に旅行した際、日本人観光客にも人気の九份に行ったのですが、あの「湯婆婆の屋敷」がある狭い急坂、灯燈し頃になってからの混雑具合といったら、群衆に交じって登っていくのがちょっとためらわれるほどのものでした。あれが毎日のこと。それでも、将棋倒しなど起きとことはないようです。上り下りに別れた人の流れに乗って歩いてさえいれば、いずれ目的の場所にたどり着く。「人をかき分けて前に進んだところで、どれだけ早く着けるというものでもない」と、その場にいる皆の気持ちが揃っているからなんでしょう。

    今回の圧死事故で、すぐに頭に浮かぶのが「明石花火大会歩道橋事件」ですが、あれは逆方向に向かう多くの人の流れを、狭い歩道橋に収斂させてしまったという、どう言い訳しようが、大会主催者および警備担当部署の過誤と、断罪せねばならない事象だと思います。しかし、ソウルのケースは、なぜそこまで狭い地域に人が集まるのを許してしまったのかという点は、あるいは咎められることはあっても、聞く限り、警備上の(そもそもそんな意識があったのかどうか、定かでありませんが)明確なミスは無いように思えます。

    わが国でソウルの事故に似た例を探すなら、1955年(昭和30年)12月31日の深夜に新潟県の彌彦神社の二年参りの際に参殿前石段で起きた、将棋倒しによって死者124名、怪我人77人が出たケースでしょう。このとき参殿前広場では福餅撒きが行われており、首尾良く餅を受け取って石段を下りようとする人の流れと、一刻も早く石段を登って参殿前へと気がせく人の群れがぶつかり合って、この事故が起きたようです。普段の弥彦神社と言ったら。さほど急とも言えない石段は、数人が並んで上り下りするのに十分な幅があり、こんなところでそれほどの事故が?と意外に思われるのですが、それが群集心理の怖さというものなのでしょう。

    たいていは急坂や石段を上がったところにある神社仏閣に、ご開帳など特定の日に大勢が押し寄せるというのは、昔から日本では普段から頻繁にあったことです。同種の事故は多分何度も起きていたことでしょう。その教訓からか、整然と列を作り、静かに順番が来るのを待つのが日本人の特質、みたいな外国人評があるようですが、たとえば人気コンサートのチケットを手に入れるために、ネットの発売開始時刻になるや、販売サイトのURLを瞬時も休まずにクリックし続けるなんてはなしを聞けば、われわれの心のうちにも、スイッチが入ればただただ人に先んじたいという思いで一杯になることは、多分あるに違いありません。

    群集心理の怖さと言ったら、日本人であれ韓国人であれ、選ぶところはないと思います。ただ、そのスイッチが入る閾値には、若干(相当?)の違いはあるのかも知れませんが。

  • 事故に巻き込まれた方に心からご冥福をお祈りいたします。
    こんな時にもかの国を茶化す行為は、見ていて気持ち良いものではありませんね。

  • 惨事が繰り返されるのは、備えのためのコストを捨て金だと思ってるからなのでは?

    ご冥福をお祈りいたします。

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