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    Categories: 外交

無法国家DPRを無法国家北朝鮮が承認するという皮肉

ロシアによるウクライナ侵略戦争では、ロシア側が局地的な勝利を収めていることは事実ですが、それと同時にいくつかの興味深い話題もあります。北朝鮮がドネツク人民共和国を国家承認したそうです。昔から「貧すれば鈍す」などと言われますが、無法国家同士が承認しあうというのも、なんとも言えない味があります。

ロシアによるウクライナに対する違法な侵略戦争が始まってから、早いものでもうすぐ5ヵ月が経過します。

ロシアは当初の目論見と異なり、「短期間でウクライナを制圧する」、「ゼレンスキー政権を打倒する」といった戦略目標の達成に失敗し、とくに首都・キーウの制圧については早々に諦めました。しかし、その一方で東部ドンバス地方や南部沿岸地方に兵力を振り向けている状況です。

こうしたなか、一部では「ウクライナ軍は西側から供与されたHIMARSなどの新たな武器を使い、ヘルソンなどの奪還を試みている」、といった観測もあるのですが、このあたり、まだ不確実な情報が錯綜している状況でもあるようです。

いずれにせよ、非常に残念なことに、戦況は一進一退を続けています。このため、短期的にロシアが敗北してウクライナから全面撤退するなどの楽観論は禁物でしょう。

ただ、ロシアが着実に「無法国家」となりつつあるという証拠が、いくつか出始めているようです。そのひとつが、ロシアのメディア『タス通信』(日本語版)に昨日掲載されていた、こんな記事ではないでしょうか。

North Korea recognizes Donetsk People’s Republic — DPR leader

―――2022/07/13 22:35付 タス通信英語版より

タス通信によると、「(自称)ドネツク人民共和国(DPR)」に対し、なんとあの北朝鮮が国家承認すると述べたのだそうです。

具体的には、DPRの「指導者」であるデニス・プシーリンが13日、SNS「テレグラム」に「朝鮮民主主義人民共和国が今日、ドネツク人民共和国を承認した」と明らかにしたうえで、「ドネツク人民共和国の国際的地位とその国家としての地位は、ますます強くなっている」、「もう一つの外交的勝利だ」と述べた、というのです。

じつに無邪気です。無法国家として国際社会から経済制裁を食らっている北朝鮮から国家承認されたということが何を意味するかも理解できないというのも興味深いところでしょう。

ただ、タス通信によると、彼は「二国間パートナーシップにより、わが国の企業が貿易を拡大することも可能になる」、などとも述べたのだそうですが、そもそも論として北朝鮮との間で何の「貿易」をするつもりなのでしょうか?北朝鮮の特産品である「米ドル紙幣」でしょうか?

ちなみにタス通信によると、DPRに加え、「(自称)ルガンスク人民共和国(LPR)」をめぐり、国家承認している国が「ロシアに加え、南オセチア、アブハジア、シリア」などと列挙されているのですが、これがまた強烈です。南オセチアもアブハジアも、ロシアの支援を受けてジョージアから独立しようとしている地域だからです。

いずれにせよ、現在のウクライナの戦況について楽観は禁物ですが、無法国家が勝利を収めるということはあってはなりません。

この戦いが無法国家の敗北に終わることを期待したいところです。

新宿会計士:

View Comments (3)

  • >北朝鮮との間で何の「貿易」をするつもりなのでしょうか?北朝鮮の特産品である「米ドル紙幣」でしょうか?

    新宿会計士殿がご指摘の通りだと私も思います。ロシアが米国ドル不足で輸入代金支払いが出来ない状態なので、北朝鮮から特産品「米ドル紙幣」を輸入すれば、国際決済に使用が出来ますから。ロシアは北朝鮮から特産品「米ドル紙幣」を幾らで輸入するつもりなのかに興味があります。

    ロシアの主要銀行がSWIFTから排除されているので、例えば小さくて効果な、即ち、持ち運びが可能な大量の半導体チップを密輸するのでしょう。そして調達取引の場に100ドル紙幣を大量に入れたトランクを持ち歩くのでしょうね。けれどそもそも北朝鮮製の「スーパーK」は、偽札判別装置が飛躍的に向上した今でも使用可能なのでしょうか。こんなロシアに騙されてくれる密輸業者が居るでしょうか。

  • 北朝鮮は,今まで,ロケット技術や核技術について,ロシアからだけじゃなくウクライナからも,いろいろ教えてもらってきたはずだけど,今後はどうなるのでしょう。もっとも「核実験したら金正恩暗殺計画を実行するぞ」という脅しが効いているのが,核実験は断念しているようですね。金正恩氏も,精神的に相当まいっているような気もします。