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    Categories: 外交

「その遺志を世界に」:安倍総理「国葬」が必要な理由

安倍晋三総理の「国葬」が必要です。その理由は、日本という国自体が安倍総理に礼を尽くすだけでなく、安倍総理自身が提唱した「基本的価値を共有する国々による自由で開かれたインド太平洋」という構想をめぐり、安倍総理のために諸国の首脳が再結集するという意義もあるからです。

全世界から安倍総理への追悼メッセージが殺到中

安倍晋三総理が暗殺されるという先週金曜日の衝撃的な事件から、そろそろ1週間が経ちます。

安倍総理の葬儀はすでに12日に終わりましたが、報道などによると、安倍総理の「盟友」でもある麻生太郎総理は弔辞で、「あなたが私の弔辞を読むことになっていたんじゃないか」、「私がこうして読むのは大変つらい」と述べたそうです(※麻生総理は安倍総理より14歳年上)。

自民党本部を訪れた葬列

(【出所】自民党ウェブサイト

こうしたなか、『安倍総理への追悼文は1700件以上:世界各地で追悼』でも取り上げたとおり、世界各国からも安倍総理を惜しむ声が出ているのですが、これに関連して産経ニュースには昨日、こんな話題が出ていました。

安倍元首相への弔問希望殺到 対応追われる外務省

―――2022/7/13 16:25付 産経ニュースより

産経によると安倍総理の聴聞を希望する各国からの連絡が「殺到し」、外務省が対応に追われている、というのです。政府は「各国要人らが参列できる大規模な葬儀を検討している」ものの、葬儀の形式や招待者の対象範囲をめぐっては「参考になる前例がない」と「頭を悩ませている」のだとか。

顕著な成果を上げた安倍総理

産経はまた、外務省幹部のこんな話を取り上げます。

多くの国から弔問の連絡があり、中には『今から飛行機に乗っていいか』という連絡もあったが、『少し待ってほしい』と伝えている」。

ただ、本件に関しては、「国葬」というかたちで改めて安倍総理を見送るのが筋ではないでしょうか。

やはり、大型国政選挙を6回も連続して制するなど、国民からの支持も厚かった総理ですし、史上最長の政権として「自由で開かれたインド太平洋」、「アベノミクス」など、さまざまな分野で顕著な成果を上げた人物でもありますので、しかるべき礼を尽くすべきです。

安倍総理の遺志を世界の自由・民主主義国へ!

これに加えて、産経ニュースにはこんな記述もあります。

各国要人が集結すれば、日本は〝弔問外交〟の場となる。自民党の河野太郎元外相はツイッターに『日本外交を引っ張って来られた安倍元首相らしく、政府主催のご葬儀の式典とすることで、来年のG7(先進7カ国首脳会議)の前にもう一つ、日本での外交の舞台をつくるべきです』と書き込んだ」。

まったくの正論でしょう。

なにより、安倍総理は、第二次内閣発足以降だけでも81回も外国を訪問(外務省ウェブサイトの『総理大臣の外国訪問一覧』参照)した人物ですので、安倍総理ゆかりの人物に日本を訪問する機会を作ることは、日本政府の責務でもあるでしょう。

これについては産経も、次のように指摘します。

葬儀は国際社会に名を残した安倍氏を弔うとともに、各国の結束を再確認する場にもなりそうだ」。

とくにロシアによるウクライナへの違法な侵略戦争が展開されているなかで、安倍総理が提唱した「自由・民主主義・法の支配・人権」という大きな基本的価値を共有する国々の首脳が、再度、安倍総理のために結集することは、安倍総理の遺志を世界にも残すうえで大変に重要です。

岸田文雄首相のご英断をお願いしたいと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (19)

  • 皆さまおはようございます。
    岸田文雄首相にとっての試金石は、財務官僚と公明党にものを言えるかどうかだと思います。個人的には、国葬の後の人事で、林外相と鈴木財相の更迭、および小野寺紀美の要職抜擢を求めます。
    彼女の選挙講演で、「この部分だけ切り取られるといやなんですが、スパイ防止法に反対している人はスパイなんじゃないか」とのご発言はごもっともです。最初切り取られてもいいじゃないかと思った私ですが、確かにあちら系新聞が、切り取ったうえで「人権を制限する法律に反対する人をスパイ呼ばわり」とか言いそうです。

    • 小野寺五典さんと小野田紀美さんが一体化しているような...お二方とも要職で活躍して欲しいという思いは同じであります。

  • 大規模葬儀、今秋実施へ 安倍氏死去、「国葬」求める声も 政府(時事通信)
    https://approach.yahoo.co.jp/r/QUyHCH?src=https://news.yahoo.co.jp/articles/e7ddf6b4fc0eeea88415683e2334ff3bd6daee58&preview=auto
    >国葬はサンフランシスコ講和条約を結んだ吉田茂氏の1回しかない。「国民葬」も佐藤栄作氏の1例のみ。1980年に死去した大平正芳氏以降は、一部の例外を除いて「内閣・自民党合同葬」が慣例化している

     国葬をお願いしたい
     

  • ツイッターでは早速反アベ派(わざとカタカナにしています)が
    「国葬に反対します」とタグをつけて活動しているそうで……

    反アベ、反自民勢力にとっては今の状況は悪夢でしょうねえ。
    不謹慎にも安倍元首相の死を喜んだ人達は今頃
    「嘘だ!嘘だ!なんでこんな事に!?」と泡を食っているみたいですし。

    国葬が行われるとしたら、安倍元首相の最後の”功績”となる様
    各国との連帯強化に成功して欲しい物です。
    故人を利用するのも政治家なら”アリ”ですから。

  •  「神格化するな」層が少数居るのはほっとくにせよ、個人崇拝や国家をあげての行動といったものへの拒否・忌避感を「ただなんとなく」もつ人は多そうですね。
     「国葬なんて税金の無駄なんじゃない?ただなんとなく。」「個人を持ち上げすぎじゃない?ただなんとなく。」「戦争っていけないよね、ただなんとなく。」「隣国とは必ず仲良くしなきゃ、ただなんとなく。」「原発と放射能って怖い、ただなんとなく。」等々……

     日本においてはこのなぁなぁが結果的に良い方向に働くこともあるのですが、もっと多くの国民が「この場合はこういう理由でふさわしいのではないか」といった思考ができるようになっていってほしい。これは戦争の可否に対してでも、です。左翼は日本人が戦争を議論するだけで戦争をしてしまうなどと言いたげですが、現実を見て戦争を視野に入れ、きちんとした知識で理路整然と議論し、必要ならできる体制を整え、不要な場合をしっかり見極める、のが一番戦争に至る確率を減らせるでしょう。同じように国葬についても、国民がどう受け止めるのか、海外へどういった発信になるのか。賛否はそれぞれでしょうが、イメージで決めようなどとはしないでほしい。

     個人の意見が新聞TVなどによって覆い隠されて「世論」とやらに流されるままだったのが最近改善されてきたのはネットの普及が大きいでしょうが、安倍総理のやりようで示された分もあるかなと思うのですが、「個人崇拝」でしょうかねぇ。

  • 真偽は定かではないが、安倍晋三総理の国葬については、岸田文夫総理は「検討する!」と答えたそうな。インドやブラジルは三日間の服喪をし、国連は半旗を掲げ、台湾はビルのイルミネーションに「ありがとう(安倍晋三総理)」とまで追悼してくれた。戦争中のプーチンや、政治的イデオロギーが全く違う習近平でさえ、弔意を伝えてきた。それを「検討する」だと!せめて「日本を支えた偉大な政治家。国民の声を聞き、前向きに、、」の文言があれば、まだ見直したんだがな!岸田文夫総理の顔をテレビの画面越しに見ると、ため息しかでない。芝居がかかった風にしかみえない。それに引き換え麻生太郎閣下の友人代表の弔辞は、心がこもっていた。

    • ふっと思ったので追記します。
      もしかしたら、国葬になった場合、中国と台湾の扱いが脳裏に過ったのかもしれない。なにせ、台湾の副総統が弔問に来ただけで、クレームを入れてくる、尻の穴の小さいジャイアンがいるからな!

  • ご意見に、賛同します。
    戦前のように、新聞位しか情報源が無かった時代ならともかく、ネットがある現代では、安倍元総理の功績も国葬を行うべき理由も明らかである様に思います。(河野太郎議員の意見にも賛同します)
    暴力や言葉の暴力に依らず、民主的に意思を表明したいと思います。
    是非、政府に国葬のお願いのメールを。

  • 倫理的でなく、論理的に考えます。
    まず、安倍総理の弔問に世界各国から要人が多数、数え切れないくらい来たいと希望があります。
    要人を迎えるのに国葬という格で迎えるのがスジでしょう。
    それに国葬にした方が警備の面でもやりやすいと想像します。
    まさか、弔問希望の要人を断るなどはしないでしょう。
    要人の格や人数が多いのに、その格に合わない小さなお葬式など日本のはじです。

  • 菊花章頸飾といい、葬儀の際の麻生副総裁の弔辞と自民党本部での岸田総裁の見送りといい
    可能な限りを尽くして安倍元総理を悼んでいますよね。
    締めくくりとして吉田茂以来(昭和天皇は別として)の国葬で送ろうというのはわかりやすくて良いと思います。
    弔問外交については、やらなかったら各国の指導者たちの鼎の軽重を問われるだけかと思います。

  • 本日読んだ米CICSのマイケルグリーン氏の投稿は安倍元首相が如何に米国のアジア戦略に影響を与えたか、それを米国が感謝しているか、中国がそれを警戒してネガティブキャンペーンを打っていたかを示しています。
    https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00023/071300342/
    この記事を読んだだけでも、日本国として安倍元首相を国葬していただきたいと願っています。

  • プーチンの弔電(NewsWeek2022年7月)
    「安倍氏は傑出した政治家で、両国の良き隣人関係の発展に多くの功績を残した。安倍氏の死はかけがえのない損失だ。この重く、取り返しのつかない損失に直面しているご家族の強さを祈ります」
    https://www.newsweekjapan.jp/kimura/2022/07/post-165_2.php

    安倍元首相のコメント(英エコノミストのインタビュー2022年6月)
    「プーチンの性格を分析する方法はたくさんあるが、彼は権力を信じると同時に現実主義者でもあると思う。理想を追い求めるタイプでもなければ、思想のために犠牲を払うタイプでもない」
    「侵攻前、ウクライナを包囲していたときなら、(戦争を回避することは)可能だったかもしれない。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に、自国はNATOに加盟しないと約束させるか、東部の2つの飛び地に高度な自治権を認めさせれば、戦争を回避できたかもしれない。これが難しいことは理解している。おそらくアメリカの指導者ならできただろう。しかし、当然ながら(ゼレンスキーは)拒否するだろう。

    しかし、こうなった以上、ウクライナに寄り添い、ロシアの侵略に徹底的に反対するしか道はないだろう。それが、第二次世界大戦後につくられた国際秩序を守る道だと思う」
    https://www.axion.zone/778987654132-0368/

    以上は引用だけど、安倍元首相なら、ウクライナのNATO非加盟あるいは東部2州の自治権という条件で、プーチンと交渉できたかもしれない。『安倍元首相はインドで「インド太平洋とQUADの父」と称賛されるように、優れた対人関係を構築する能力でアジア太平洋における安全保障上の危機を防いだ功績がある』(NewsWeekの記事)。

    そもそも安倍元首相の政治家人生は、安倍晋太郎外務大臣の安倍晋三政務秘書官がスタートだった。この経験があるから、今の外務省の外交官よりも、外交に精通した政治家だった。官僚よりも優れた実力を持つという稀有な政治家は、安倍元首相くらいだと思う。日本にとってだけでなく世界にとっても非常に残念なことだ。

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