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リスクオフ:株安・原油高の一方で韓国ウォンが下落中

マーケットは大荒れです。原油価格が急騰する一方、株安・債券高であり、さらに韓国ウォンについては1ドル=1227ウォンと約1年9ヵ月ぶりの安値水準を目指している状況です。ウクライナ戦争の収束の見通しが立たないことから、マーケットのこうした不安定な状況はしばらく続くと見ておく必要があるかもしれません。

本日もマーケットは大荒れの様子です。

リスクオフの動きから、前場引けで日経平均株価は先週金曜日と比べて800円以上下落する一方で、国債利回りは総じて下落するなど、「リスク資産売り・安全資産買い」の動きが見られます。

また、外為市場ではユーロ、ポンド、スイスフランなどが米ドルに対して下落しています(※ただし、円についてはドルに対し、上下動を繰り返しつつも、結果としてあまり動いていません)。

ただ、こうしたなかで、とりわけ大きく上昇しているのは、原油価格です。

Oil price surges to highest since 2008 on delays in Iranian talks

―――2022/03/07 9:06 GMT+9付 ロイターより

ロイターによると、石油価格の代表的な指標であるブレントは139.13ドル/バレル、WTIは130.50ドル/バレルで、これらはいずれも2008年7月(それぞれ147.50ドル/バレル、147.27ドル/バレル)以来の最高値なのだとか。

これについてロイターは、「イランの核合意復帰時期が遅れる」、「米欧各国がロシア産原油の輸入を禁止する」などの見通しが影響していると指摘しています。

その一方で、新興市場諸国の通貨については、マーケットが開き次第、順次下落していく可能性があるのですが、日本時間の正午直前の時点において、韓国ウォンが1ドル=1227ウォン前後を付けています。これは、2020年5月下旬以来、約1年9ヵ月ぶりの安値水準です。

このあたり、韓国の通貨当局は普段からドル・ウォン相場(USDKRW)を1ドル=1200ウォン以下になるように為替介入をしているフシがあるのですが、こうした普段のドルウォン相場から比べれば、なんとも異例に見えます。

もっとも、『「1ドル=1200ウォン」大台を超過した韓国ウォン』でも取り上げたとおり、3月に入って以来、1ドル=1200ウォンの大台を超過する展開が続いており、さらには先週金曜日あたりから1ドル=1210ウォン台に突入しています。

米国財務省も「日常的に為替介入をしている」と認めているのが韓国ですが、その韓国ウォンがウクライナ危機前後から1ドル=1200ウォンの大台を超過することが増えています。これに加えて韓国大統領選も、もしかすると為替市場を不安定にしている要因かもしれません。はて、日韓通貨スワップも米韓為替スワップもないなかで、韓国ウォンは1200ウォンの大台を割り込むのでしょうか、それとも…?韓国の為替介入①「輸出企業を助けるため」?以前からしばしば取り上げてきた論点のひとつが、私たち日本の隣国・韓国の為替相場に関する話題...
「1ドル=1200ウォン」大台を超過した韓国ウォン - 新宿会計士の政治経済評論

こうしたなか、韓国が為替介入を行えば一時的に同国の通貨は1ドル=1200ウォンの大台を割り込むかもしれませんが、その分、外貨準備が減少するでしょう。

いずれにせよ、ウクライナ戦争については短期的な収束を見通すことができないことから、市場ではリスクオフによる不安定な動きがしばらくは続くと見ておいた方が良いかもしれません。

新宿会計士:

View Comments (11)

  • 新宿会計士さんの言いたい事は、イーシャさんが代わりに言ってくれたようです。
    前回1225を超えた時は、コロナショックの最中。
    あっという間に1280まで、上げました。
    という訳で、一言「昇竜拳!!」。

    • だんな様、昇竜拳、懐かしっす。
      1280を超えたときは、確か2020年3月だったと思うので、ドルインデックスを調べてみると、当時102.9程度だったようです。
      現在ドルインデックスも、99前後まで上昇してますので、このまま金利引き締め、テーパリング次第では、昇竜拳再びwって感じですかね(笑)
      当時は、ドルジャブジャブの金利引き下げと、為替スワップで助かりましたが、今回はそうはいかなそうです。
      そこで、一言「助けさせてやるニダ!!」チラッ

      • 全般的にドル高の展開なのですが、はたして韓銀は力を溜めているのか、それとも実はすでに体力を使い切っているのか、そうでなくとも利払いや配当などでドル需要が高まる時期であるはずなので、いよいよ韓銀の力が試されることになるか、と。

        ちょっとした感慨:
        遂に1ルーブルが1円を割り込みました。20:30現在で、1ルーブル=0.821円です。なんというか、隔世の感がありますねえ。

        • 龍様、K国人が「ご利用は計画的に」みたいな、力を溜めるなどと言う、高尚な計画性を持っているとも思えないので、後先考えず、常に全力投球しているのではないか、と思ってます(笑)
          ホント支払どうするんでしょうねw シランケド

          仰る通り、ロシアの方が気がかりです。
          ルーブルは、私にはあまり馴染みはないですが、このままロシアが破綻でもするようなことがあれば、何かありそうで怖いです。

  • 現政権の寿命も残すところ2ヶ月。

    後継となるべき大統領候補者と言えば、国家ビジョンなどそっちのけで、
    只管相手候補のアラ探し。ネガティブキャンペーンにオールイン。
    国の債務が膨れ上がり続ける中、票欲しさ故のバラマキ公約乱発で、
    当選の暁にはいったいどうするん?

    この有様じゃ、通貨当局も、中銀も、いますぐに果敢な手立てなど打てんでしょう。
    虎の子の外貨準備をじっと抱えて、遅い春を待ち、今は冬ごもり(笑)、

    • 伊江太様

      髪の薄い人には朗報かもしれません。
      世界から南国に〇〇の人が押し寄せるかもしれないです。
      ナント、髪の薄い人・〇〇な人は南国の健康保険で治療が受けられるのです。
      次期大統領が公約したのです!!
      でも、治療法ってあるのでしょうか?
      知っている対処法はミノキシル入りの薬品か、髪に他人の髪を結ぶ
      粉を振りかける(MRI等の時は止めて下さいネ、機械が止まります)
      南国の治療法は、もしかしてミシン針で直接植毛? DNAから変えるのか?
      物凄~く興味があります。 日本じゃ無理だろうな。

  • 債券の利払いとか、株の配当金支払いでドルが買われている可能性はありませんか。

  • 確か、4月は「株主配当金の海外送金」が待ち構えていませんでしたか?
    どこまでウォン髙誘導を進められるか、必死の攻防が見ものです。

  • いつもなら有事の円で円高になるのに今回は円安ですね。
    プーチンはルーブル安を阻止するために金を買っているようですね。

    それにしてもなウォン安。ウクライナ、ロシア戦争で一番にデファルとしたら笑ってしまうかもしれない(不謹慎です、反省)

  • ウクライナ戦争のとばっちりで暴落している通貨はたくさんある
    韓国ウォンの下落はニュースにする意味無いような気がする

  • 2008〜2009年に韓国の通貨危機がありましたが、当時のUSD/KRWの為替チャートから見えることと、そこからの推論です。
    ①2008年9月30日に初めて1USDが1200ウォン超えた。
    ②同年10月6日 1250ウォンを超えた、始値1227、高値1289、終値1269ウォン ・1250から一気にウォン安が進む。
    ③同年10月28日に 始値1465、高値1501、終値1462ウォン=天井
    ④同年10月30日に 始値1366、高値1372、終値1245ウォン=底値  ・1245まで戻したが、ここでウォン安に反転する。
    ⑥同年11月24日に 始値1475、高値1519、終値1512ウォン=天井
    ⑦同年12月30日に 始値1248、高値1264、終値1260ウォン=底値 ・1248まで戻したが、ここでウォン安に反転する。
    ⑧2009年3月6日に 始値1597、高値1599、終値1546ウォン=天井

    つまり、この例では、いくつかの山谷がありますが、1200ウォンを超え1250を超えたら大変動しつつ天井に向かっていく、そうなると、ウォン安に為替介入しても1250ウォン⇔1500ウォンの間で為替が暴れて、山谷を繰り返すということです。
    この一例だけでは結論は出せませんが、私は、当時の経験によって韓国銀行は、1USD1250ウォン超えを怖がっているはずだ、と思っています。
    韓銀の為替の防衛ラインが1200ウォンにあることは、韓銀の抵抗によってよく知られていますが、そこが破られた場合の第ニ防衛ラインは1250ウォンにあると想像しています。だから、1250に近づいている現在のチャートを一分足でみると、韓銀が必死に介入していることが見え見えのように感じますが、どうでしょうか?ここも多量のUSDを使わない限り、やがて破られる公算が強いと思います。

    そしてもう一つ重要なこと、当時通貨危機は米国、日本との通貨スワップで2008年末に一旦収束に向かったのですが、その後2009年の2〜3月に向かってまたまたウォン安になりました。それは、韓国がGDPマイナス成長を発表したことが原因でした。
    そしてそれ以来、韓国は二度とそうならないようにGDPを粉飾してよく見せるようになった、と思っています。
    さらにそれは、韓国国家、韓国国民のプライドを満足させることになったので、韓国はますます統計上の粉飾と、部分的な数字を取り出してきては日本に勝ったという報道がやめられなくなったのです