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韓国国会が日本政府に佐渡金山世界遺産推薦撤回を要求

韓国が日本に対し、さまざまなチャネルで「佐渡金山の世界遺産登録推薦を撤回せよ」と要求しています。こうしたなか、ついに昨日は韓国の国会までが、日本政府に対して「佐渡金山の推薦撤回」を要求してきました。冷静に考えたら、これはすごいことです。本格的に、「国対国の歴史論戦」が始まるかもしれないからです。そして、そのことは、じつはわが国にとっては歓迎すべき話でもあります。

佐渡金山の勘所

やるなら徹底的に:3つの守るべきポイント

日本政府が佐渡金山の世界文化遺産登録を推進している件を巡って、韓国政府が妨害しているとする話題については、『やるなら徹底的に:佐渡金山登録を巡る3つのポイント』などを含め、以前から当ウェブサイトでしばしば取り上げているとおりです。

政府は昨日、佐渡金山の世界遺産登録推薦を閣議了解しました。やるなら徹底的にやるべきです。その際のポイントは、①ファクト(事実関係)をベースに、②全世界に対して説明し、③ウソを徹底的に粉砕する、というものです。そして、外務省などは穏便にことを済ませようとしているのかもしれませんが、残念ながらそれは不可能です。なぜなら相手も歴史プロパガンダで世界を騙そうとする気マンマンだからです。佐渡金山の世界遺産推薦を閣議了解日本政府が佐渡金山の世界遺産登録を推薦する方針を巡っては、週末の『佐渡金山世界遺産登録は...
やるなら徹底的に:佐渡金山登録を巡る3つのポイント - 新宿会計士の政治経済評論

先に当ウェブサイトの見解をンもベて置くと、佐渡金山の世界遺産登録を巡っても、「①ファクトをベースに」、「②国際社会に対して」、「③徹底的に」日本の立場を説明すること――を守っていれば、基本的には勝つ可能性が高いと考えています。

軍艦島の失敗は外務省のチョンボ

このように申し上げると、「それは楽観的すぎる」「、長崎県端島(いわゆる軍艦島)の世界遺産登録の際には、日本は韓国に敗北したではないか」、などと反論をいただくかもしれません。

そして、こうした反論が出てくるのも、ある意味で当然のことです。実際、日本の当時のユネスコ大使は、 “forced to work” “brought against their will” といった、極めて不適切な用語を使い、韓国側が主張する「朝鮮人の違法な強制労働」が、あたかも事実であるかのごとき誤解を全世界に与えたからです。

これについて、2015/07/14付の外務省『「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼,造船,石炭産業」のユネスコ世界遺産一覧表への記載決定(第39回世界遺産委員会における7月5日日本代表団発言について)』のページには、こんな趣旨の記載があります。

  • 「意思に反して連れて来られ(brought against their will)」と「働かされた(forced to work)」との点は,朝鮮半島出身者については当時,朝鮮半島に適用された国民徴用令に基づき徴用が行われ,その政策の性質上,対象者の意思に反し徴用されたこともあったという意味で用いている。
  • 今回の日本代表団の発言は,従来の政府の立場を踏まえたものであり,新しい内容を含むものではない。
  • 今回の日本側の発言は,違法な「強制労働」があったと認めるものではないことは繰り返し述べており,その旨は韓国側にも明確に伝達している。

…。

申し開きにもなっていない与太話です。これらの文章を読んでいると、外務省は我々有権者のことを舐め腐っており、本当に救いようのない役所だと痛感せざるを得ません。

日本政府がわざわざ “brought against their will” や “forced to work” 等の表現を使えば、「これらの施設で韓国が主張する『強制労働』と等しい行為が行われていたことを、日本政府が認めた」、としか受け取られないからです。

日本国民が黙っていない

この点、当ウェブサイトで述べている「ファクトをベースに」とは、ありもしない「違法な強制労働」がなされたかのような誤解を世界に与えることをしないという、ごく当たり前の話です。

また、「世界に対して説明する」とは、「(場合によっては韓国をすっ飛ばし)韓国以外の世界主要国を味方に付ければ良い」という話ですし、「やるからには徹底的に」とは、本件の佐渡金山に限らず、韓国が主張している「歴史問題」自体の多くが事実ではないという点を、世界に説明することを指しています。

というよりも、今までこれをやって来なかったことのツケが一気に押し寄せているのかもしれません。

このあたり、岸田文雄・現首相自身が2015年の世界遺産登録の際、安倍晋三総理の下で外相を務めていた本人である、という点は、非常に大きなリスクといえるかもしれません。

また、米国のジョー・バイデン大統領政権あたりが、「日韓関係を改善せよ」とばかりに、日本政府に対して妙な圧力をかけて来る可能性もありますし、こうしたなかで、岸田首相が「慰安婦合意を破ったのは韓国の側であり、米国にも立会人としての責任がある」と毅然と言い返せるかといえば、そこも微妙ではあります。

しかし、『韓国の保守政権誕生で日本に「対韓譲歩圧力」が働く?』でも指摘したとおり、本件については現時点で過度に懸念すべき問題であるとも限りません。

日韓外相会談、日米韓外相会合では、「サプライズ」はありませんでした。文在寅(ぶん・ざいいん)政権が実現を目指した「朝鮮半島終戦宣言」も「米朝対話再開」もなく、また、北朝鮮のミサイル発射を強く非難する文言まで入ってしまいました。韓国の目論見は完全に外れた格好です。ただし、韓国の次期政権次第では、日本が米国の「外圧」を受け、再び韓国に諸懸案で譲歩を余儀なくされるのではないか、という懸念があることも事実です。これについてはどう考えれば良いでしょうか。2022/02/14 08:20追記本文の誤植等を修正しておりま...
韓国の保守政権誕生で日本に「対韓譲歩圧力」が働く? - 新宿会計士の政治経済評論

当然、岸田政権が韓国に対して妙な譲歩をしようとすれば、自民党内からもかなりの突き上げが発生する可能性が濃厚ですし(その筆頭は安倍総理、あるいは高市早苗・政調会長あたりでしょうか?)、場合によっては日韓関係「改善」も岸田政権がお得意の「先送り」を発動してくれるかもしれません。

なにより、社会がインターネット化したこともあり、我々国民は、政府、自民党などに対し、直接声を伝える術を手に入れました。もしも日本政府が2015年のときのような下手な譲歩をしてしまえば、その怒りは「選挙」という形で、自民党や宏池会に対して向けられるかもしれません。

いずれにせよ、現在の日本にとっては、韓国に対して譲歩すること自体、多大な政治的リソースを要する作業であり、政治力・決断力がない首相がこうした譲歩をすることは難しいと考えてよさそうです。

韓国の行動にどう反応するか

世界遺産推薦撤回を執拗に求める韓国

もっとも、韓国の側では、「佐渡金山は朝鮮人の違法な強制徴用が行われた場だ」、「日本政府は軍艦島などで強制徴用が行われたと説明するという国際的約束を果たしていない」とする主張が一般的であり、現在、韓国は日本政府に対し、佐渡金山の推薦撤回を強く求めてきています。

たとえば、文在寅(ぶん・ざいいん)大統領自身も佐渡金山の世界遺産登録の動きを「遺憾だ」と述べたほどです(『佐渡金山の世界遺産登録推進は「遺憾」=文在寅大統領』等参照)が、それだけではありません。

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新宿会計士の政治経済評論 - 新宿会計士の政治経済評論

現地時間2月12日にハワイ・ホノルルで行われた日韓外相会談では、鄭義溶(てい・ぎよう)韓国外交部長官が林芳正外相に対し、やはり推薦撤回を求めたようです。

これについて外務省の説明によると、林外相は次のように述べたのだそうです。

  • 韓国側の独自の主張は受け入れられず、遺憾である
  • 我が国としては、「佐渡島の金山」の文化遺産としてのすばらしい価値がユネスコにおいて評価されるよう、冷静かつ丁寧な議論を行っていく考え
  • 韓国側とも誠実に議論を行っていく

林氏がいう「韓国側の独自の主張」とは、「佐渡金山は違法な強制労働が行われた場である」とする韓国の主張のことだと思われますが、もしそうだとしたら、是非とも「その主張は韓国独自のものである」から一歩踏み込んで、「事実無根である」と断言してほしいところです。

また、最後の一文は不要ですし、「冷静かつ丁寧な議論」を行うべき相手は韓国ではなく世界です。このあたり、林外相にはくれぐれも勘違いしないでいただきたいところです。

ついに韓国国会が推薦撤回を決議

ただ、林外相の若干煮え切らない発言であっても、韓国側には十分に刺さっているようです。というのも、韓国側が日本に対し、佐渡金山推薦の撤回を執拗に求めて来るというのは、自分たちの側に物証を出すことができないということの困惑の裏返しでもあるからです。

こうしたなか、ついに昨日は、韓国の国会自身が日本政府に対し、佐渡金山の世界遺産候補として推薦したことに関し、撤回を求める決議を採択したのだそうです。

佐渡金山推薦撤回で決議 韓国国会

―――2022年02月14日18時23分付 時事通信より

つまり、韓国政府、韓国大統領のみならず、韓国の国会までが日本政府に対し、撤回を求めてきた、というわけです。この事実は、重く受け止める必要があります。

もちろん、現在の韓国国会では、左派系の与党「ともに民主党」が多数を占めている、という点については注意が必要ですが、それと同時に、「国会」という、ある意味ではよりきめ細かく韓国の民意を反映した機関が佐渡金山推薦撤回を求めたということは、これが韓国の国としての意思である、ということでもあります。

もしも3月の韓国大統領選で「政権交代」が発生したとしても、韓国国会が日本に対し、「違法な朝鮮人強制労働」という虚偽の事実を認めろと要求したという事実は変わりません。

この点、各種世論調査などから判断する限り、日本政府が韓国の要求に応じ、佐渡金山の世界遺産登録を撤回することを、わが国の有権者は認めないでしょう。

そして、日本政府が2015年の轍を踏まず、「ファクト」をベースに佐渡金山の世界遺産登録を強く推進し、韓国がそれを阻止すべく国際社会へのロビー活動を開始するならば、日韓の「全面的な歴史論戦」が、いよいよ本格的に幕を開けるのかもしれません。

正々堂々と論戦したらよい

もっとも、個人的には、韓国がそう主張するならば、ユネスコなり、世界各国なりに対し、佐渡金山で「朝鮮人の違法な強制徴用」とやらが行われていたということを、ちゃんとした「物証」とともに説明すれば良いのではないかと思う次第です。

そして、日本は日本として、韓国が主張するような「朝鮮人の違法な強制労働」なるものがなされていないことを、冷静かつ丁寧に、「韓国以外の国に対して」説明すれば済む話でしょう。

もっとも、今までの韓国側の行動から判断するに、どうせ韓国側には物証など出せっこないでしょうし、出せるものは自称元徴用工の「証言」、あるいは『「強制労働」なのに年金加入?不自然過ぎる徴用工問題』などでも述べた、「年金の加入記録」くらいなものではないでしょうか。

「強制徴用被害者が年金に加入していた」というのは、ストーリーとしても、かなりの無理があります。自称元徴用工側が日本共産党衆議院議員の支援を得て、厚生年金への加入が認められたという記事がありましたが、もしその年金加入が事実だったとすれば、むしろ自称元徴用工側が主張する「強制労働」というストーリーが虚偽であり、実態がたんなる応募工に過ぎない、という証拠ではないでしょうか。自称元徴用工問題の不思議さ自称元徴用工、すなわち「戦時中、日本に強制連行された」と自称する者たちが日本企業を訴え、韓国の最高裁...
「強制労働」なのに年金加入?不自然過ぎる徴用工問題 - 新宿会計士の政治経済評論

(※「強制労働させられていた」はずの人たちが「年金に加入していた」という時点で、「違法な強制労働」とする彼らの主張が破綻していることは明白なのですが…。)

いずれにせよ、やるからには徹底的に、国際社会の場でファクトをベースに議論していただきたいと思います。

また、冷静かつ丁寧な議論の場を設けたところで、そこで韓国が物証すら提示せず、場外から「日本政府は世界遺産推薦を撤回しろ!」などと大騒ぎするかもしれませんが、そのやりとりを全世界に対して見せることだけでも十分に意義があると思う次第です。

歴史問題の根元を絶つ

くどいようですが、過去に『ユネスコ軍艦島遺憾決議、日本は「根元を断つ」努力を』などでも言及してきたとおり、韓国の「歴史プロパガンダ」に日本が敗北してきた理由は、日本の外務省の怠慢と不作為にあります。

不法行為の全コストを、利息付きで韓国にお返ししよう個人的におそれていた事態が実現しました。明治期の産業革命施設の世界遺産登録を巡り、2015年7月に日本の外務省が切った「空手形」が、ブーメランの形で返ってきたからです。複数メディアの報道によれば、ユネスコ世界遺産委員会は22日、「軍艦島の朝鮮人強制連行・強制労働に関する展示方法や展示内容が不十分」とする趣旨で、日本を非難する声明を全会一致で採択したのだそうです。結論からいえば、これについては「放置」せざるを得ず、かわりに「根元を断つ努力」をしなけれ...
ユネスコ軍艦島遺憾決議、日本は「根元を断つ」努力を - 新宿会計士の政治経済評論

本来ならば、日本政府はファクトを正々堂々と冷静かつ毅然と主張すれば良かったはずなのに、「韓国との関係を壊してはならない」、「世界遺産登録を優先しなければならない」といった政治的な打算が働き、結果的に “forced to work” “brought against their will” といった失言につながっていったのです。

「政治的打算に基づき、歴史的なファクトを軽視した」という意味では、自称元慰安婦問題を巡る1993年の河野談話にも、同じような性質があるのかもしれません。

その意味では、今回の佐渡金山の世界遺産登録は、「政治的な打算」を一切抜きにして、シンプルに「ファクト」をもとに冷静に議論する機会とするとともに、歴史問題の「根元を絶つ」きっかけにしてほしいというのが、日本の有権者の1人としての著者自身の願いでもあるのです。

新宿会計士:

View Comments (6)

  • 「国際社会」に韓国の主張する”連行”と日本の主張する”徴用”の違いを明確に示すことで、キッパリと論戦にケリをつけて欲しいですね。
    「韓国側に理解を求めるポーズ」は欠かせないのにしても、必ずしも『韓国側の理解を得る』必要はありません。そんな考えは不毛です。

    >歴史問題の根元を絶つ
    蓋をして隠すんじゃなくて「元から断て!」ってことなんですよね。

    *しかしちょっと待って欲しい。韓国の主張には危険な”臭い”がする・・。(天の声?)

  • 先日、地元の博物館で催されていた企画展に行ってきました。

    地元の郷土史家のコレクションの展示会が行われていたのです。その中に大変興味深い史料(古文書 )があったので、ここにご紹介しておきます。

    古文書作成の日付が文久元年十二月となっていましたから、1861年すなわち明治維新の7年前のことです。尾張地方のとある村に暮らしていた貧しい百姓身分の男が「渡世成り難く候につき、親類ども打ち寄り相談致し候処、実娘きく義当年十三歳に相成り候、右娘義何様之見苦敷奉公にも差遣候、右給金を以て渡世の元手と仕り」云々とありました。

    飯売り(盛り)女とは、宿屋で客の世話をする女性のことですが、時には性的なサービスも行った人々たちでもあります。

    この古文書の表題は「宿并(ならびに)飯売奉公人請状之事」とありましたから、これは要するに実の娘を飯盛り女に売り飛ばす父親の証文であるわけです。

    現代を生きる我々からすると、何という無能にして非道な父親ということになるのでしょうが、これはあくまでも今から160年も前の時代の話だということを忘れてはならないでしょう。

    またこの十三歳の不幸な少女は飯盛り女になることを、一応二年間だけは猶予されています。

    「年季之義は当酉(1861年)十二月廿(二十)日より来る亥(1863年)の極月(十二月)」大晦日迄御養育くだされ、翌子(1864年)の正月より来る酉(1873年)の極月大晦日迄丸拾か年季相極め」とあるように、これが期限付きの奉公であったことなどもはっきりとわかる史料です。

    当時十五歳の少女が飯盛り女となり得る事が、普通のことであったかどうかはこの史料からは判然としません。但し、江戸時代の女性が全般に早婚であったことだけはよく知られています。当時の女性の初婚年齢は地域差もありましょうが、概ね十代半ばぐらいから二十代前半であったことは史料からも裏付けられています(『人口から読む日本の歴史』鬼頭宏 著 講談社学術文庫121頁~123頁)。

    この証文の宛先は、遠州白須賀宿の宿屋松田屋某殿とありましたが、これを読みながら、ふとあのラムザイヤー教授のことを連想した次第です。

  • ウリナラファンタジーを破壊するには兎にも角にも事実の陳列しかない。
    ハシゲと三浦が歴史論戦は得策でないなどと腰抜けなことを宣っていたが、論戦はむしろ激化させて然るべき。
    これから先は一歩も引かない体であたってもらいたいが、岸田が日和る可能性がゼロではないので、まずは岸田と内閣を徹底的に突き上げて、退くことを許さない機運を国内に醸成することが先決。

  •  韓国政府の要求に応じて、日本政府が佐渡金山の世界遺産推薦を撤回すれば、韓国政府は「日本政府は第二次大戦中の強制労働の事実を認めた」「日本政府や戦犯企業は、韓国大法院判決に従い、強制徴用被害者への損害賠償を受け入れるべきだ」などと世界に向けた宣伝戦を一層強化するでしょう。
     アメリカ政府が「北朝鮮の度重なる挑発に対して日米韓の連携を強化すべき時期に、何故、日本政府は日韓関係に亀裂をもたらすような世界遺産推薦を行ったのか」と不満のようですが、そのようなことは一切気にせず、断固として、日本の国益を守ってほしいと思います。

    • 名無しの権兵衛様

      >アメリカ政府が「北朝鮮の度重なる挑発に対して日米韓の連携を強化すべき時期に、何故、日本政府は日韓関係に亀裂をもたらすような世界遺産推薦を行ったのか」と不満のようですが、

      日本には何の非がないのに何故アメリカは韓国の肩を持つのでしょうかね。
      牽制するのなら、日本ではなく韓国でしょう。
      ただでさえ韓国が北朝鮮に露骨に接近しようとしているのに、アメリカは分かっていないのでしょうかね。