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NHKとの契約不要「ドンキテレビ」好調につき再販へ

NHKと受信契約の締結義務が生じないとされる「チューナーレステレビ」の売れ行きが好調なようです。ディスカウントストアのドン・キホーテが2月中旬から、チューナーレステレビの再販を始めるとの報道に加え、一部のメーカーは同様のチューナーレステレビの発売に踏み切っているのだとか。これなど、NHKの強欲が、結果的にはテレビ業界自体を道連れにしているようなものでしょう。

ドンキのチューナーレステレビ

社会はチューナーレスTVによりNHK排除に動くのか』を含め、以前からしばしば当ウェブサイトで紹介してきた話題のひとつが、「チューナーレステレビ」、すなわち「NHKが映らないテレビ」に関するものです。

NHKが受信料利権を死守しようとしている間に、現実社会はNHK排除に動く――。ディスカウントストアのドン・キホーテが発売したPBのチューナーレステレビを巡って、「続報」がありました。当たり前ですが、チューナーレステレビだと放送法にいう「NHKの放送を受信できる設備」に該当しない(つまり受信契約を結ぶ義務は発生しない)のだそうです。これが「アリの一穴」となるのでしょうか。明らかに理不尽な放送法の規定多くの人が、「この法律は明らかにおかしい」と感じているものがあるとしたら、そのひとつは、放送法第64...
社会はチューナーレスTVによりNHK排除に動くのか - 新宿会計士の政治経済評論

具体的には、ディスカウントストア大手のドン・キホーテが「ネット視聴」に特化したチューナーレステレビを販売したところ、話題性もあってか、この売れ行きが大変に堅調である、というものです。

放送法第64条第1項本文によれば、「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」と規定されていますが、ドンキのテレビはチューナーが最初から内蔵されていないため、この「協会の放送を受信することができる設備」にはあたりません。

したがって、ドンキのテレビを買って自宅に設置しても、基本的にはNHKと受信契約を結ぶ必要はない、というわけです(※ただし、将来、法や政令などが変更され、チューナーレステレビであっても受信料を払わなければならなくなる、という可能性も、ないわけではありませんが…)。

NHKは利権集団

当ウェブサイトではかねてより指摘してきたとおり、NHKという組織には、何かと問題があります。

その筆頭は、事実上の利権団体と化していることでしょう。

NHKは「公共放送」を隠れ蓑にして、なかば強引に受信料をかき集めているわけであり、結果として視聴者はたった1秒たりともNHKの番組を視聴していなくても、受信料を負担しなければなりません。しかも、、その決して安くはない受信料の使途にも大きな問題があります。

具体的には、職員に対しては1人あたり1600万円近い破格の人件費を計上し、関連会社を多数設立して利益を連結集団内に溜め込んでおり(『NHK「1人あたり人件費1573万円」の衝撃的事実』等参照)、「NHK職員はかなり豪華な社宅に格安の家賃で住むことができる」との報道もあります。

1兆円を超す金融資産、不透明な連結決算に加えて「隠れ人件費」疑惑もNHKが2021年3月期(=2020年度)の財務諸表と連結財務諸表を公表しました。当ウェブサイトとしては、NHKが「公共放送」として相応しくないほど非常識に超高額な人件費を負担している点や、国民からかき集めた巨額のカネを1兆円以上、さまざまな形で保有している点を指摘して来ましたが、ここで最新状況について改めてまとめておくとともに、あらためて、NHKの「あり方」について考えてみたいと思います。NHK問題の要諦NHK問題をまとめると…?当ウ...
NHK「1人あたり人件費1573万円」の衝撃的事実 - 新宿会計士の政治経済評論

当然、少なくない数の人が、「NHKに受信料を支払うことは納得できない」と感じていても、まったく不思議ではありません。

しかも、昨今だと、Netflixだ、アマゾンプライムだ、YouTubeだといった動画配信サービスを利用する人も増えているようです。したがって、自宅のテレビ受像機も、これらの動画配信サービスが映ればよく、そもそもNHKを含めた地上波のテレビ放送自体を視聴しない、という人もいるはずです。

ドンキテレビ、2月中旬から再販へ

こうしたなか、「ドンキテレビ」の話題に、続報がありました。

ドンキの“NHK受信料を支払わなくていいテレビ”、売り切れ店舗続出 2月中旬から再販へ

―――2022年02月10日 19時47分付 ITmediaビジネスONLINEより

『ITメディア』によると、ドンキを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは10日、2021年12月に発売した「ネット動画専用スマートTV」を2月中旬に再販すると明らかにしたのだそうです。

このテレビは初回生産分6000台(24インチ型、42インチ型それぞれ3000台ずつ)を各店舗で販売したところ、売り切れ店舗が続出し、6000台の追加生産に踏み切っていたそうですが、ITメディアは同社の「この売れ行きは想定以上だ」とするコメントも取り上げています。

ちなみにお値段は、24インチ型が2万1780円、42インチ型が3万2780円だそうですが、NHKに対する年間受信料が13,650円(地上波のみの契約で、口座振替やクレジットカードでの1年一括払いの場合)であることを考えると、本体価格だけで見れば、NHKを解約すれば2~3年で回収できる計算です。

チューナーレステレビの発売、ドンキに続くのか?

一方、これに関連し、『サキシル』というウェブサイトに金曜日、こんな記事も掲載されていました。

NHK受信料不要の“ドンキテレビ”が再販、加速する地上波離れに打開策はあるか

―――2022年02月11日 17:00付 SAKISIRUより

『サキシル』によると、「NHKの受信料を支払わなくてよい『テレビ』は、これから普及拡大していくのではと見られている」としたうえで、STAYERホールディングスが4日、「4K対応 43V型チューナーレス スマートテレビ」を今年5月に発売することを明らかにした、などとしています。

たしかに、この視点は重要です。

「NHKに対して受信料を支払うことには納得していない」、かつ、「民放も含めた地上波テレビ自体、べつに見たいと思わない」けれども「動画配信サービスに契約している」という人であれば、NHKを含めた地上波自体が映らない「テレビ」は、大変に魅力的です。

そして、このご時世でドン・キホーテのテレビが大ヒットしているのを見れば、合理的な発想からすれば、メーカーだって「チューナーレステレビ」を発売しようと思うはずです。

このあたり、大手既存メーカーはテレビ業界との関係上、その手のテレビを堂々と発売するのは難しい、という事情もあるのかもしれませんが、いつまでもこうした姿勢を続けることもできないでしょう。

家電メーカーの多くも上場会社である以上、株主からは、「作れば売れるとわかっているチューナーレステレビを、なぜ作らないのか?」という突き上げを喰らうかもしれないからです。

NHK利権が業界を滅ぼす

いずれにせよ、当ウェブサイトでは以前から、「NHKの受信料利権という強欲が、民放テレビ局を含めたテレビ業界全体を道連れにしていくのではないか」、といった仮説を立ててきました(『NHKは、民放を道連れに放送業界を破壊しているのか』等参照)。

NHKがテレビ設置届け出義務や氏名照会制度の創設を希望していたとする話題は『NHK「テレビ設置届け出義務化要望」は本末転倒』でも触れたとおりですが、これに民放連の会長が噛み付いていたようです。NHKの強引な受信料制度改革で視聴者離れが進むと、民放を道連れにテレビ業界を破壊しかねない、という指摘ですね。NHKを巡る5つの疑問以前からしばしば言及しているとおり、当ウェブサイトとしては、NHKを巡っては次のような論点を含め、さまざまな問題があると考えています。 ①現代の日本社会に公共放送というものは...
NHKは、民放を道連れに放送業界を破壊しているのか - 新宿会計士の政治経済評論

そして、NHKは例の「イラネッチケー訴訟」には勝訴しましたが、このことは、NHK及び放送業界にとっては、却って自滅の道を開いたと思います。なぜなら、視聴者にとっては、「イラネッチケーを装着しても受信料支払い義務を避けることはできない」という判例を作ってしまったからです。

もっといえば、「NHKと受信契約をしたくなければ、チューナー付きテレビ自体を買ってはならない」という前例を作ってしまった、という言い方もできるでしょう(『NHKはイラネッチケー「逆転勝訴」で自滅の道を行く』)。

「イラネッチケー訴訟」を巡り、最高裁の堺徹判事が愚かな判決を下したことで、NHKがテレビ業界を道連れに、自滅の道を歩み始めました。せっかく「テレビを設置してもNHKと契約しなくて済む」という合法的な道ができるチャンスを、この堺徹判事がぶっ壊してくれたため、テレビ業界の衰退がこれから加速すると考えられるからです。「NHK利権を守るための判決」が「NHKを含めたテレビ業界をぶっ壊す」のだとしたら、皮肉としては最高に強烈です。利権の3つの特徴当ウェブサイトの定義で恐縮ですが、「利権」とは、「不当な...
NHKはイラネッチケー「逆転勝訴」で自滅の道を行く - 新宿会計士の政治経済評論

いずれにせよ、著者自身は、利権というものはいったん確立すると、壊すことは難しいという特徴があるとは思っていますが、それと同時に、利権を持つ者がその利権に拘り過ぎると、その強欲や怠惰により、利権というものはあっけなく崩れ去ってしまうとも考えています。

いちどNHK利権が崩れれば、あとはあっという間かもしれません。

あと5年もすれば、チューナーレステレビが普及してNHKと契約を結ぶ世帯が減少し、ただでさえ視聴する人が減っている民放を含めた地上波テレビ全体が社会的影響力を喪失し、NHK利権を一生懸命守り続けている総務省に対しても、ネットの監視の目が行き届き、やがては総務省自体が解体される――。

テレビ業界やその関連業界に待っているのは、案外、そんな将来なのかもしれませんね。

新宿会計士:

View Comments (13)

  • NHK放送技術研究所は、特殊な技術と特殊な機能をしこんだ「ニッポン仕様TV受像機」を市井に普及させるべく電機メーカーに強制することでNHKにしか得ることのできない岩盤権益を確保してきました。ドンキテレビの人気はNHK放送技研の存在否定でもあります。テクノロジーの追求と権益伸長をないまぜにしている不都合な真実にニッポン国民の不信が高まっているということでしょう。

  • NHK来年度から番組のネット同時配信に関する社会実験らしきモノを始めるそうですヨ
    総務省の天下り先確保の為にもネット回線に課金開始する段取りらしいと界隈では…

  • >ドンキのテレビはチューナーが最初から内蔵されていない

    。。。。つまりこれはテレビではなく、ネットにつながるモニターと考えるべきか?

  • マーケティングのセオリーでは、数%のイノベーター、続いてアーリーアダプタが追従し、普及率が十数%に達すると、急速に普及率が上昇する、という傾向が観察されることがあります。
    要は、ちょっとした数人の集まりの雑談で、ネタに挙がりやすくなるのがその位の普及率なのでしょう。
    本件は、まだまだイノベーターのそのまた極一部、という段階に思えますが、アーリーアダプタに手が届くところまできたら、マスコミの報道しない自由とか、面白いことが起こりそうな気がします。

  • >テレビ業界やその関連業界に待っているのは、
    電波に縛られてるNHKはともかく、民法は単に放送から配信に媒体を変更するだけかな?って思ったけど・・・・

    広告費を数少ない民法で山分けするってモデルが崩れちゃうと、個々にはさして価値のない情報を広く一般に届けるっていうマスコミの機能も無くなっちゃうのかな?

    テレビはあんましというかほとんど見ないけど、ニュース番組がなくなっちゃうと、ちょっと困ったことになるのかな?とも思っちゃったのです♪
    細分化されすぎて、有料サービスをいくつも契約しないと、ニュースの触りも見れないみたいなことになっちゃわないのかな?

  • 現実的にBSの放送で有料チャンネルはスクランブルかけられるんだし、ネット配信でも同様なのだから放送法の方を現在のテクノロジーにあわせて改正していただかないと、国民やら受信機製造販売企業に損失を発生させる。

    もはやこれまで!

    NHKも激震覚悟で民放になるか完全国営化するかの二択でじたばたしないことだ。
    放送研究所あたりから国営化した方がいいのでは?
    NHK出版あたりは潰れるかも知れないが、それが出版業界の現実なのだから仕方がない。
    保護されるほどの事をしてこなかったでしょ?

    ラジオの語学講座で諸外国の言語を学んだ者としては寂しいけどテレビ版の語学講座は昔から余計な演出や出演者が邪魔で役にたたなかったですよ!

  • チューナーレステレビのテレビCMを見てみたいと思いました・・。
    民放はティーバーに付いてる広告料でもOK!のような気がします。

  • この状況で、NHK以外の放送局が何も言わないのなら、あーやっぱり今までも裏で繋がってたんだなー、だしこのままジリ貧になるのは自業自得だよな、って感想ですね。

  • 数十年も前に、サブスク型のカツアゲというNHKのビジネスモデルを構築した御方は間違いなく天才です。その御方の遺産で今も食べていける後輩さんたちの防衛戦を、しばらく観察していこうと思います。

  • テレビが減少するのは良い傾向といえますが
    NHKはネットが使える環境からも一律徴収する事を画策している様なので
    断固阻止する様監視と国民の意思表示が必要と思います。

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