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韓国の保守政権誕生で日本に「対韓譲歩圧力」が働く?

日韓外相会談、日米韓外相会合では、「サプライズ」はありませんでした。文在寅(ぶん・ざいいん)政権が実現を目指した「朝鮮半島終戦宣言」も「米朝対話再開」もなく、また、北朝鮮のミサイル発射を強く非難する文言まで入ってしまいました。韓国の目論見は完全に外れた格好です。ただし、韓国の次期政権次第では、日本が米国の「外圧」を受け、再び韓国に諸懸案で譲歩を余儀なくされるのではないか、という懸念があることも事実です。これについてはどう考えれば良いでしょうか。

2022/02/14 08:20追記

本文の誤植等を修正しております。

外交の4類型

人間関係の4類型

外交という言葉を聞くと、多くの方は「なんだか難しい、国と国との複雑なやり取りのことではないか」と感じるケースも多いと思いますが、決してそんなことはありません。普段から当ウェブサイトでは、「外交関係は人間関係の延長だ」、と申し上げているつもりです。結局、国も人間の集合体だからです。

人間関係については、「親戚付き合い」などのケースを除けば、基本的には次の2つの軸で評価・判断せざるを得ません。

  • 感情面:その相手に対し、人間としての親しみを感じることができるかどうか
  • 利害関係面:利害関係上、その相手と付き合わなければならないかどうか

まず、その相手に対し親しみを感じることができれば、その相手との関係が良好なものになる、という期待ができるのですが、親しみを感じることができなければ、どうしてもギスギスした関係となってしまったり、あるいはあなたがその人と付き合う際にストレスを感じてしまったりします。

しかし、そうした個人的感情とは無関係に、世の中ではどうしても付き合わなければならない相手というものがいます。職場の上司・部下・同僚という関係であったり、学校の教師・生徒という関係であったり、あるいは営業マンと取引先の関係であったり、その関係はさまざまです。

すなわち、人間関係には、ざっくり次の4つの類型があるはずです。

人間関係の4類型
  • ①その相手に親近感があり、利害関係上、付き合う必要がある
  • ②その相手に親近感はなく、利害関係上、付き合う必要がある
  • ③その相手に親近感があり、利害関係上、付き合う必要がない
  • ④その相手に親近感はなく、利害関係上、付き合う必要はない

(【出所】著者作成)

外交も基本はまったく同じ

このように記述すると、多くの方に納得していただけるのではないかと自負しています。

ちなみに、この①~④の関係について、世の中のありとあらゆる人間関係の悩みの約99%は、②の関係にあるのではないでしょうか。

「ウマの合わない上司との関係に悩んでいる」、「嫌な顧客との関係に悩んでいる」、など、悩みはさまざまだと思いますが、共通しているのは、「利害関係上、どうしても付き合う必要があるのに、その相手のことを人間的に好きになれない」、というケースでしょう。

この点、①の関係が多い人はそもそもかなりハッピーな人生を送ることができるでしょうし、利害関係が消滅しても、③のように、温かい交流関係が続いていくというケースもあります。また、④のケースだと、多くの場合、人間関係はそもそも成立しませんので、議論する必要はありません。

外交も、じつはこれとまったく同じでしょう。

人間関係でいう「親近感」「利害関係」を、外交関係では「基本的価値を共有する」「戦略的利益を共有する」、などと述べたりします。

外交関係の4類型
  • ①基本的価値を共有する、かつ、戦略的利益を共有する相手国
  • ②基本的価値を共有しない、かつ、戦略的利益を共有する相手国
  • ③基本的価値を共有する、かつ、戦略的利益を共有しない相手国
  • ④基本的価値を共有しない、かつ、戦略的利益を共有しない相手国

(【出所】著者作成)

外交の本質とは「世界に仲間を増やすゲーム」

そして、外交とは、「①③の相手国をどれだけ増やすか」、「②の相手国といかにうまく争いを回避しながらお付き合いしていくか」というゲームのようなものでしょう。

一方で、④のような相手国であれば、国と国との関係が「切れてしまう」というのもやむを得ないのかもしれません。たとえば、日本は現在、北朝鮮とは国交もなく、貿易高もほとんどゼロという状況が続いている(図表)、という事例があります。

図表 日本と北朝鮮の貿易高

(【出所】普通貿易統計より著者作成)

いずれにせよ、外交に使用できるリソースは限られています。

日本政府のありとあらゆる行動は、日本の国益(国の安全と繁栄)を最大化することにありますので、外交もその例に漏れず、日本の国益を最大化するように動いてもらいたいと考えている次第です。

林外相の出張と日韓関係

米国、豪州、インド、韓国の4ヵ国との外相会談

こうしたなか、普段から当ウェブサイトで説明している「持論」に照らして、大変に興味深い事例が出て来ました。

週末は11日にオーストラリアのメルボルンで日米豪印4ヵ国の外相会合が行われたに加え、12日にはハワイで日米韓3ヵ国の外相会合が行われました(※日付はいずれも現地時間)。また、これに合わせて林芳正外相は豪州、インド、米国、韓国の4ヵ国の外相と会談をこなしました。

(※ただし、外務省のウェブサイトにアップロードされている会談等の概要については、いずれも記事日付と現実のアップロード日にズレがあるようですが、この点については本稿ではとりあえず無視します。)

外相会談
外相会合

(※このほかにも、林外相を含めた日米印外相がスコット・モリソン豪首相を表敬訪問した記録や、豪州の「影の外相」と懇談した記録、あるいはオンライン形式の記者会見に応じた際の記録などのリンクもあるのですが、本稿ではとりあえずこれらの話題については割愛したいと思います。)

日韓会談・日米韓会合にサプライズはなし

このうち、日韓外相会談、日米韓外相会合に関しては、内容そのものについて当ウェブサイトで真面目に取り上げる価値があると思える項目はほとんどありません。

敢えて取り上げるとしたら、文在寅(ぶん・ざいいん)政権が全力で実現を目指した「朝鮮戦争終戦宣言」だ、「北朝鮮との交渉再開」だといった文言はいっさい含まれておらず、それどころか「北のミサイル発射を非難する」という文言が盛り込まれてしまう始末です。

その意味では、文在寅政権末期の外相会合で、文在寅政権の政策目標が完全に無視された格好だ、ともいえるでしょう。

ただ、それよりも重要なのは、こうやって一覧に示すことで、日本にとってどの国が重要で、どの国が重要ではないのか、という点が、大変によくわかる、という点でしょう。

この点、米国、豪州、インドの各国については、若干の「温度差」はあるにせよ、いずれも双方の外相がお互いに「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」というビジョンを共有していることを確認し合い、さらには友好関係を着実に深めていくことで合意しています。

いわば、米国、豪州、インドの各国は、日本にとっては先ほどの「外交の4類型」でいうところの①の国、すなわち日本とは基本的価値、戦略的利益をともに共有している、日本にとって最も重視すべき相手国、というわけです。

これに対し、日韓外相会談に関しては、自称元徴用工・慰安婦問題を含めた両国の諸懸案を巡って厳しいやり取りが行われたほか、佐渡の金山のユネスコ推薦などに関しても、林外相は「韓国側の独自の主張は受け入れられず、遺憾である」と抗議を行うなど、非常に刺々しい雰囲気が文面から伝わってきます。

この点、日本政府が韓国について、少なくとも現時点において「基本的価値を共有する」という文言を使用していないこととを思い出します。

実際、日本が大切にしているのは「自由、民主主義、法の支配、人権」などの価値観ですが、こうした考え方のさらにベースにあるのは、「ウソをつかない」、「約束を誠実に守る」といった、国としての基本的な態度でもあるのです。

日本政府の姿勢に変化はない

ただし、日本政府が韓国のことを、「外交の4類型」でいうところの②の相手国とみなしているのか、あるいは④の相手国とみなしているのかについては、微妙です。

昨日の『日米外相会談要旨から垣間見える「韓国の地位」の低下』でも指摘したとおり、日本の外交にとっての韓国の地位はかつてと比べて低下の一途をたどっていますが、それと同時に、北朝鮮問題を巡っては、日本政府は一貫して、「日韓・日米韓協力が必要だ」とする認識を示してきたからです。

外務省ウェブサイトに掲載された日米外相会談の概要では、「韓国」の語が出てきたのは、北朝鮮に関する1箇所のみでした。これに対し、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を推進すべき「同志国」としては、「豪州、インド、ASEAN、欧州等」が列挙されたものの、やはりそこに韓国の名はありませんでした。林外相の豪州・ハワイ出張昨日の『クアッドの存在は米国からの対韓譲歩圧力を緩和する?』でも取り上げたとおり、林芳正外相は現在、「日米豪印」と「日米韓」の2種類の外相会合に参加するために、豪州、次いでハワ...
日米外相会談要旨から垣間見える「韓国の地位」の低下 - 新宿会計士の政治経済評論

というよりも、日本政府が韓国との関係を、「北朝鮮核問題での協力」に限定しようとしている、という点については、指摘しておいて良いでしょう。今回の日韓外相会談、日米韓3ヵ国外相会合の概要を読む限り、こうした姿勢に変化は見られません。

その意味でも、今回の会合・会談での「サプライズ」はない、というのが暫定的な結論です。

考えてみれば、それも当然でしょう。文在寅政権はあと3ヵ月弱で任期を終えて退陣しますし、そんな相手と何か実効性のある協議ができるというものでもないからです。

「日韓間では諸懸案を抱えていますね」、「でも北朝鮮問題では協力しましょうね」、といった、以前からの見解を繰り返しておしまい、というのは、会談・会合をやる前からだいたい想像がついていた話でもあります。

「でも、日本が韓国に譲歩するのでは?」

こうしたなか、昨日は「その辺」様というコメント主の方から、「韓国で保守政権が誕生すれば、日本がまたしても韓国に対し、譲歩を迫られるのではないか」、といった趣旨の書き込みがありました。

こうした懸念については、まったくそのとおりでしょう。

普段から当ウェブサイトで報告しているとおり、米国は日韓関係を自国の国際戦略にとって都合よく利用しようとしているフシがあり、また、日韓が諸懸案で対立した際には、日韓双方に対し「お互いに譲歩せよ」と要求してきたという経緯があります。2015年12月の日韓慰安婦合意など、その典型例でしょう。

そして、これも普段から当ウェブサイトで指摘しているとおり、韓国は「ゼロ対100理論」という考え方を好みます。これは、自分たちの側に100%の過失がある場合であっても、さまざまなインチキ論法などを使い、過失割合を「50対50」、あわよくば「ゼロ対100」に持って行こうとする屁理屈のことです。

※ゼロ対100理論とは?

自分たちの側に100%の過失がある場合でも、インチキ外交の数々を駆使し、過失割合を「50対50」、あるいは「ゼロ対100」だと言い募るなど、まるで相手側にも落ち度があるかのように持っていく屁理屈のこと。

(【出所】著者作成)

慰安婦合意は「ゼロ対100理論」の典型例

この点、「日本が韓国に対し、理不尽な譲歩を余儀なくされた」事例として、日韓慰安婦合意も、この「ゼロ対100理論」に照らしてうまく説明することができます。

そもそも自称元慰安婦問題自体、韓国が主張する内容を次の①~④に分解していくと、それらのいずれにも客観的物証が存在せず、基本的にはこの問題が事実であると裏付ける証拠は、自称元慰安婦の証言と、日本政府の「政治的な謝罪」くらいしか存在しません。

自称元慰安婦問題の構成要素
  • ①戦時中(1941年12月9日~1945年8月15日の期間)
  • ②日本軍が組織としての正式な意思決定に基づき
  • ③朝鮮半島で少女のみ20万人を強制的に拉致し
  • ④本人の意に反して戦場に連行して性的奴隷として使役した

(【出所】著者作成)

当然、厳密な歴史学の現場では、「証言」や「政治的謝罪」は事実であることの証拠としては機能しません。

そうであるにも関わらず、この与太話が全世界であたかも事実であるかのごとく信じ込まれている理由は、ひとえに日本政府(とくに外務省)の無為無策にあるのだ、というのが著者自身の考え方でもあります(厳密には、「犯人」はほかにも数名存在しますが、それについては本稿では割愛します)。

すなわち、自称元慰安婦問題という、日本にとっては過失がゼロの問題を巡って、2015年の日韓慰安婦合意ではあたかも日本側にも過失があったかのごとく「譲歩」したのですから、これは日本にとっては明らかな損害であったと言わざるを得ません。

また、韓国としては、もともと存在しない問題を巡って、安倍晋三総理のお詫びの言葉と日本政府予算からの10億円の拠出を引き出したわけですから、これは極めて大きな勝利と言わざるを得ないのです。

懸念と期待

「尹錫悦リスク」×「岸田文雄リスク」

「その辺」様のコメントも、結局は、こうした日韓慰安婦合意のごとき、米国から見れば日韓双方が少しずつ譲歩したかに見える、しかし実態は「日本が一方的に譲歩をしただけ」の合意を押し付けて来ることへの懸念が示されているのではないかと思います。

そして、現時点でこうした懸念を払拭することは難しいことも間違いないでしょう。

なにせ、韓国に対する「基本的価値」「戦略的利益」の外交修辞を取り払った安倍晋三総理、その後継者である菅義偉総理はいずれも辞任し、安倍総理の下で外相を務めていた2015年に2度にわたって韓国に騙された岸田文雄氏こそが、現在の首相を務めているからです。

ここで、先日の『鈴置論考に見る文在寅政権の5年と「日韓関係の未来」』でも紹介したとおり、わが国を代表する優れた韓国観察者である鈴置高史氏は『韓国は猿芝居外交のあげく四面楚歌に… 「文在寅」退任でも日韓関係は修復せず』という記事のなかで、次のように指摘しています。

一方、日本の保守の間には『岸田文雄政権は中国と韓国に弱腰』との警戒感が強まっていますから、妥協を引き出すのは安倍晋三政権や菅義偉政権の時より却って難しいかもしれません」。

その場しのぎの外交に終始した文在寅(ムン・ジェイン)政権の5年間。…
韓国は猿芝居外交のあげく四面楚歌に… 「文在寅」退任でも日韓関係は修復せず | ... - デイリー新潮

この点は、まったくそのとおりでしょう。

岸田首相ら政権幹部が、前任者である安倍晋三、菅義偉両総理らの行動に背くような言動を取れば、その瞬間、自民党側からの「突き上げ」を喰らうことは間違いありませんので、逆に岸田文雄首相くらいの政治力では、現在の日本政府が韓国に下手な譲歩をすることはできません。

しかし、3月の大統領選で「保守派(?)」の尹錫悦(いん・しゃくえつ)氏が当選した場合は、岸田首相が米国の「仲介」と称した「外圧」を受け入れ、尹錫悦氏と日韓首脳会談を行い、日韓諸懸案で韓国に対し妙な譲歩をするのではないか、といった点については、重要な懸念事項でもあります。

安倍総理の大いなる遺産

ただし、ここで希望的観測を申し上げておくならば、やはり安倍、菅両総理の「遺産」が生きてくる可能性もあります。そのひとつがFOIP、もうひとつが日韓慰安婦合意です。

まず、FOIPの考え方や、それにコミットしている日米豪印4ヵ国(クアッド)の協力の枠組みは、米国から見て、「日米韓3ヵ国連携」の重要性を薄めました。言いかえれば、日本に無理やり譲歩させるなどしてまで、日米韓連携を維持する必要性は、以前と比べて低下している、ということです。

もちろん、現段階ではまだ「日米豪印」が「日米韓」にそのまま代替するだけの仕組みには成長していませんが、たとえば「日米豪印」の代わりに「日米豪3ヵ国」の協力を先行させる、というのは、ひとつの考え方としてはアリでしょう。

次に、2015年の日韓慰安婦合意です。

これについては当ウェブサイトで何度も取り上げたとおり、日本にとっては大変に不本意な合意でもあったのですが、それと同時に、日本にとっては(結果論かもしれませんが)大きく次の3つの効果があったことも事実でしょう。

日本にとっての、慰安婦合意の3つの効果
  1. 米国に対し、日韓関係に口出ししないように要求することができるようになった
  2. 慰安婦問題が韓国の国内問題に変化した
  3. 韓国との約束はあっけなく破られるという前例を国際社会や日本国民に見せつけた

(【出所】著者作成)

このうち、米国との関係でとくに大きいのは、最初の点、すなわち「米国に対し、日米関係に口出しするなと突っぱねることができるようになった」、という点です。なぜなら、この合意自体、ジョー・バイデン現米大統領が副大統領時代に仲介したものだからです。

もちろん、安倍総理の当時の判断としては、「韓国が約束を守るならよし」、といった考えもあったのかもしれません。しかし、結果的に韓国があっけなく約束を破ったことで、日本政府としては、「まずは米国さん、韓国に慰安婦合意を守らせてくださいよ」、と要求することができるようになったのです。

岸田首相が在任している間に、米国が日本に対し、「日韓関係『改善』」を要求してきた場合、岸田首相がやらなければならないのは、これをキッチリ、米国に対して主張することだけです。

あるいは、岸田首相が「問題先送り」で逃げ回っている間に自民党総裁としての任期が終了し、脇が固い総理が誕生すれば、それはそれでなおよし、といったところかもしれません(高市早苗「総理」が誕生するのか、安倍総理が再々登板するのかはわかりませんが…)。

朴槿恵政権の米中二股外交

さらには、上記の2つの「遺産」――FOIPと慰安婦合意――以外にも、もうひとつ、日本が韓国に対して妙な譲歩を余儀なくされるリスクを軽減する要因があります。

じつはこれこそが韓国の「オウンゴール」、すなわち米中二股外交です。

世間ではよく誤解する人が多いのですが、現在、ギクシャクしているのは日韓関係だけではありません。米韓関係もまったく同じ話です。

そして、その原因は、現在の文在寅大統領だけにあるわけではありません。

むしろ「保守派」として知られた朴槿恵(ぼく・きんけい)前大統領自身が、この「米中二股外交」を本格的に始めたのだ、という事実については、もう少し多くの人に知られるべき論点のひとつではないでしょうか。

3つだけ、事例を挙げておきます。

1番目。朴槿恵氏は大統領就任後、最初に米国を訪問したものの、それまでの韓国大統領としての外交慣例を破り、2番目の訪問としては日本ではなく中国を選びました。そして、朴槿恵氏は大統領在任中、ただの1度も日本を訪れなかったのです。

2番目。朴槿恵氏は、習近平(しゅう・きんぺい)中国国家主席が提唱し、鳴り物入りで設立された「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)に、米国の同盟国という地位にありながら、いの一番に参加することを決めてしまいました。ちなみにAIIBには、現在も日米両国は参加していません。

3番目。朴槿恵氏は2015年9月、中国・天安門で開かれた「抗日戦勝利70周年記念軍事パレード」に、黄色い服を着て、西側諸国の首脳としては唯一参加しました。朴槿恵氏が独裁者らと並んでいる姿は、じつに印象的でもあります。

実際、朴槿恵氏が2015年10月に訪米した際、バラク・オバマ米大統領(当時)は朴槿恵氏との「晩餐会」を開催せず、それどころか午餐会すらジョー・バイデン副大統領(当時)に任せるなど、朴槿恵氏を徹底的に冷遇しています。これなど、オバマ氏の怒りの証拠でしょう。

文在寅政権の5年間

そして、文在寅政権の5年間で、韓国の「離米」は、さらに進んだのではないでしょうか。

これについては、『鈴置論考に見る文在寅政権の5年と「日韓関係の未来」』でも紹介した、鈴置高史氏の『韓国は猿芝居外交のあげく四面楚歌に… 「文在寅」退任でも日韓関係は修復せず』という記事が最も手っ取り早いでしょう。

その場しのぎの外交に終始した文在寅(ムン・ジェイン)政権の5年間。…
韓国は猿芝居外交のあげく四面楚歌に… 「文在寅」退任でも日韓関係は修復せず | ... - デイリー新潮

鈴置氏は、2018年6月にシンガポールで、2019年2月にハノイで、それぞれ開かれた米朝首脳会談を巡り、「韓国が仲介したことにしてもらった」のは、米朝それぞれに思惑があってのことだと指摘していますが、裏を返せば、韓国は仲介役として「花を持たせてもらった」あとは、米国からは、完全に無視されていたのです。

いずれにせよ、韓国の次期大統領に選ばれるのが、「保守派(?)」の尹錫悦氏なのか、「左派」の李在明(り・ざいめい)氏なのか、はたまたそれ以外の候補者なのかについては、現時点においてもまだ読めないところではあります。

しかし、「岸田リスク」はあるにせよ、日本が再び、米国の圧力により、韓国に対して理不尽な譲歩を余儀なくされるという可能性については、現時点ではそこまで差し迫っていると考える必要もないのかもしれない、などと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (18)

  • 保守派の前大統領が対日先勝記念日に北京詣でをしていたからね

  • >「岸田リスク」
    おはようございます。
    「岸田リスク」って、アレですか?
    「新時代リアリズム外交」
    岸田さんが発案したとかいう…w

    • この言葉、センス、なんか習近平一派に通じる気がするのは私だけでしょうか?
      ”中国の特色ある・・” ”人民**” ”社会主義xx”

      ”新時代”とか”リアリズム”とかキャッチフレーズとして非常に陳腐。
      ”何が新時代か定義できていない” ”リアリズムを突き詰めるとどうなる?”

      実態も通常こんなバカなこと(当たり前、且つ、恥ずかしい事)は言わない。

      • > ”リアリズムを突き詰めるとどうなる?”

        憲法改正と核武装になります。

        • それならば、岸田さんを見直します。

          実態は、国益と言う名の派閥利益外交でしょう。

  • いつも知的好奇心を刺激する記事の配信ありがとうございます。
    管理人様>日本が再び、米国の圧力により、韓国に対して理不尽な譲歩を余儀なくされるという可能性については、現時点ではそこまで差し迫っていると考える必要もないのかもしれない

    どうでしょうか?

    アメリカ及び中国への外交スタンスは大きく言うと2つあると思いますが。
    1つはお隣が多用する両者天秤にかける物乞い外交。
    2つ目は中国の拡張(領土だけでなく経済的活動を通じた利権含みます)を抑制するFOIPの改善、戦略のアップデート。
    今の日本はどっちがメインでしょう?
    安倍、菅はどっちがメインだったでしょう?
    アメリカの目で見ると中国陣営に日本が移るリスクがあるならば日本を弱体化させる事は一定の説得力があるのですよ。

    以上です。駄文失礼しました。

  • 斬新で偉大なる岸田外交なんて夢想にふけるなよと背中を刺された可能性はあると予測します。信頼されるかどうか、信頼に値する人物と見なしてもらえるかにかかっている。首相の語る言葉のひとつひとつがじっくり吟味されることになるでしょう。

  • 韓国へ:約束(請求権協定・慰安婦合意)を違えるな!
    米国へ:顔を立てたのだから、韓国に約束を守らせろ!

    ↑岸田首相には毅然と対峙して欲しいですね。

    *おかわりを 食うに喰えない 毒まんじゅう

  • 日本側の掲げることのできる大義名分としては、「声明よりも行動を判断基準とする」が挙げられるでしょう。
    綺麗事を声明として出してから利権だけ食い逃げする韓国に対し、未だに声明や裏メッセージだけを根拠に日本政府に"友好という名の譲歩"を迫る与野党議員や日本メディアが絶えない時勢ですから。
    日韓外交では国際法の遵守を要求として欠かさず盛り込んでいるにも関わらずまだまだ虚勢として受け止められることも多いのは残念な話です。
    きっちりと線引きしてアピールしてほしいところです。

  • 前にもコメントしましたが、日韓関係ということであれば、存在するのは「岸田リスク」ではなく、「バイデンリスク」です。アメリカが本気で日本に圧力を掛けてきたら、岸田総理であろうがあるまいが、それを撥ね退けることはできません。もし安倍総理や菅総理だったら撥ね退けられるかもなどというのは幻想に過ぎません。

    まあ、日中関係ということであれば、「岸田リスク」が全く存在しないとは言い切れないという点については同意できます。彼自身の資質や能力の問題もさることながら、対中友好一辺倒の公明党や目先の利益のことしか頭にない経済界を、岸田総理がきちんと抑え込めるか、懸念を捨てきれない所ではあります。ただし、そういった「外野」の問題については、安倍総理や菅総理であっても、完全に封殺できるかどうかは断言しかねます。政権運営上、どちらに対しても一定の配慮をせざるを得ないという点については変わらないからです。

    ところで、本題の日米韓外相会合ですが、予想の範囲内の発表しかありませんでした。日韓外相会談についても同様です。タイミング的にも、このような発表にしかならないというのは、事前に十分予測できた範囲です。しかし、あくまでも推測でしかありませんが、公表されなかった部分に今回の会合の一番重要な部分、そして真の目的があったのではないかと思います。そのような思惑もなしに、ウクライナ情勢の緊迫度が増しているこのタイミングで、ブリンケン国務長官がわざわざ2日間も時間を割くとはちょっと考えにくいでしょう。

  • 前のシェイシェイ茂木の時のツーショットは、バックに国旗が隠れていたらしいけど、今回の写真は国旗はなさそうな感じ。
    ・日韓外相会談(2月12日)
    https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/na/kr/page4_005508.html
    知らない人が見たら、ただのおっさんのツーショットやんw

    1点、
    > 5 両外相は、今後とも、日韓関係を健全な関係に戻すべく、外交当局間の協議や意思疎通を加速していくことで一致しました。
    こちらの意思が通じることは恐らく永遠に無いと思うけど、こういうことを書くから、「日本はまだ騙せる」って勘違いさせることになるから、もう、こういう文言を入れるのをやめて欲しい。

  • 岸田首相に対する不安は、FOIPの意義とアメリカの対中国政策における日本の存在価値を理解していないのでは無いかと思わせる所にあります。
    宏池会の方々には対米追従事勿れ主義の印象が拭えません。

  • >「尹錫悦リスク」×「岸田文雄リスク」

    それに加えて「バイデンリスク」も乗ずるべきですね.

    今日のFOIPエントリでもバイデン政権はFOIPを,基本的価値の共有による結び付きというFOIPの基本理念を理解していないのか,それともアメリカの既得権益(としての韓国を捨てたくないから日韓の協調を示すことで日本に対する新たな譲歩の予告)や新たな利権確保(戦闘機F-15EXの新たな顧客としてのインドネシア等)のために意図的にやっているのかは知りませんが,アメリカがオバマ政権時に自ら音頭を取って立ち上げ,トランプ政権時に捨て,オバマ政権の継承者とも言うべきバイデン政権になっても再加盟しようとしないTPPに代わってバイデン政権がインド・太平洋エリアでTPPよりも更にアメリカにとって都合の良い内容に改めて新たにでっち上げようとしている経済連携協定の枠組みへと変質させようとしているように私には見えます.

    ウクライナ問題の対ロ交渉にしても,対中にしても,対北朝鮮核問題にしても,外交辞令つまり口先以上の中身が殆どなく外交がダメダメなバイデン政権が現代の西側諸国のリーダーになってしまっているリスクは,我が国にとって自らが戴いている岸田政権のリスクに勝るとも劣らない危険極まりないものだと思います.

    バイデン政権の外交のヘタレぶりを見ていると,冗談抜きにバイデン氏は既に十分過ぎるほど耄碌してしまっているのではないでしょうか(認知症とは言わぬまでも)?と恐怖を感じています.(そんな彼は現在の日韓関係をオバマ政権での副大統領時代の認識のままで解決を強要して来る危険性が極めて高い.

    日本が韓国問題に関してバイデン政権からどんな圧力を受ける(あるいは受けない)かは,現在の日韓関係とその原因を正しく把握しているウェンディ・シャーマン氏ら国務省プロパーの外交のプロたちがどこまでバイデン氏らの認識の誤りを修正できるかに懸かっていると推測しています.

    それにしても言うに事欠いて「新時代リアリズム外交」とは,相変わらず中身のないキャッチフレーズだけの岸田さんですなあ.

    そもそもそれってお隣の文大統領や前任者の朴槿恵氏らの米中二股外交と同じように響くのです.そして韓国と同じように,アメリカからは信頼を失い共産チャイナからは軽蔑され舐められるだけの結果にしかなりそうにないのが恐ろしい.

    要するに中華コロナ対策(ワクチン接種)で菅路線否定で独自路線(つまり菅政権で作った接種体制解体)をやって接種遅れで国民から大不興を買ったものだから,目先を逸らすためにロクに中身も影響も考えずにキーワードだけでっち上げただけなのでしょうが,いかにも姑息で(己の権力欲を満たすこと以外の)物事を真剣に考えようとしない岸田さんらしいやり口と感じます.

    わざわざ外交に「リアリズム」などという形容句を付けてそれが清時代の外交だとアピールするとは,岸田さんはロマンチシズムなど外交には百害あって一利なしで外交とは本来リアリズムで行うものという基本中の基本を御存知ないらしい.

    それとも岸田さんの「リアリズム」の基準は,安倍・菅両総理にとっての外交のリアリズムの基準であった国家の安寧(つまり安全保障)ではなくて,単なる銭金(つまり貿易などの経済だけ)という意味なのだろうか?

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