X

「旧正月休暇」前のUSDKRWが1200ウォン超え

本日15時時点で、USDKRWは1200ウォンを超えた1ドル=1210ウォン前後で取引されています。もっとも、旧正月のためか、株式・債券市場に動きはなく、市場動向という意味では、今週木曜日以降に注目すべきかもしれない、と思う次第です。

本日の「小ネタ」です。

先日の『日韓両国で「トリプル安」発生も、日韓には根本的違い』などでも取り上げましたが、どうも最近、隣国の為替相場(USDKRW)や株価、債券利回りなどの動きが怪しく見えます。

韓国ではなぜか今年に入り何度も「トリプル安」が発生昨日は日本や韓国で、「株安・債券安・通貨安」という、いわゆる「トリプル安」が発生しました。この点、同じトリプル安でも日韓では事情がまったく異なります。日本の場合は日銀のイールドカーブ・コントロール政策に加え、債券市場の資金量が盤石であるため、トリプル安はあくまでも一時要因ではないかと思いますが、韓国の場合はそもそもFRBなどの金融緩和が資産バブルの原因となっていた可能性が濃厚であり、資本フローの脆弱さはまだ当分続くかもしれません。昨日は日本で...
日韓両国で「トリプル安」発生も、日韓には根本的違い - 新宿会計士の政治経済評論

一般に「トリプル安」とは、株式、債券、通貨の3つの市場で同時に売られるという現象のことで、「それほど頻繁に発生するものではない現象」ともされていますが、どうもこれが年初来、韓国で難解も発生しているようなのです。

その原因としてはいくつかの流れが考えられるのですが、まっさきに思いつくのは、日本時間1月27日未明に公表されたFOMCの議事録でしょう。

Federal Reserve issues FOMC statement

―――2022/01/26 14:00 EST付 FRBウェブサイトより

これによると、FRBの金融緩和に基づく資産買取プログラムは3月上旬にも終了する可能性が示唆され、さらには早期の利上げの可能性にも言及されたものですが、これにより、日本円などを含めた各国通貨が米ドルに対して下落しています。

ただ、一国のなかで、「安全資産」である債券と「リスク資産」である株式の双方が同時に売られ、その国の通貨自体が下落するという現象に対しては、やはり「それ以上の何か」を感じてしまうのです。

これについては、もうひとつ考えらえるのは、地政学的要因でしょう。

たとえば、最近、「ロシアがウクライナ東部に侵攻するのではないか」といった懸念が高まっていますが、それだけではありません。北朝鮮がミサイルと見られる飛翔体の発射を繰り返していること、核実験再開などを示唆していることで、朝鮮半島リスクに改めて焦点が当たっているという可能性があります。

また、韓国ウォンに限定していえば、外貨準備不足に備えるための通貨スワップ、為替スワップ協定に関し、米ドル建てのものが存在していないという事情が嫌気されている、というシナリオもあり得ます。

とくに、韓国の通貨当局が韓国ウォンの為替相場を安定させるために、為替介入を常態化させている、という点については、米財務省も認めている事実です(『米国財務省が「韓国は為替介入を行っている」と認める』等参照)。

米財務省が先日公表した為替監視レポートを読んでいると、韓国が2020年下期にかなり多額の為替介入を行ったと読める記述があります。これは、当ウェブサイトでかなり以前から提唱してきた「韓国の資産バブルFRB主犯説」ともかなり整合している話題であり、また、韓国が公然と為替介入を行っている証拠でもあります(※もっとも、米国は韓国について「不透明」という表現は使っていませんが…)。韓国の資産バブル韓国の資産バブルFRB主犯説当ウェブサイトではかねてより、新型コロナウィルス感染症拡大に伴う米FRBなどの金融緩...
米国財務省が「韓国は為替介入を行っている」と認める - 新宿会計士の政治経済評論

このように考えていくと、国際的な投機筋から見れば、同国の通貨は通貨当局が念頭に置いているとみられる「一定のレンジ」を見切ることができれば、「リスクなしで儲かる」という特徴がある、と見透かされている可能性もあるでしょう。

こうしたなか、韓国は明日から旧正月の休暇に入るそうですが、本日時点のUSDKRWは1ドル≒約1210ウォン前後で取引されています。1ドル=1200ウォン超えという状況は定着するのかどうか、気になるところです。

ただし、休日のためか、債券市場と株式市場には動きはありません。

今週木曜日以降、同国のマーケットがどう動くかについては、ひそかに気になる論点のひとつだと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (9)

  • 通貨スワップに関しては、韓国さんはトルコと結んだとホルっていたので、大丈夫でしょう(棒)。

  • ワタシはウォンが1210以上のW安になると、ココロがウキウキします

    蛇足です。
    以前1170がマジノ線(意訳です)と、ネットの記事で読んだ記憶が有ります。
    (1190、1200,1210の各々でもマジノ線と記憶が有ります。)
    で、その調子でいくと、1300もマジノ線ですが、
    ワタシはホントのマジノ線が知りたいです。

    • タナカ珈琲 様

      般若湯が欲しくなる情報を追加しておきましょう。
      "韓国「個人投資家」の悲鳴急増!株価急落で反対売買「1日に206億ウォン」" (money1 2022.01.31) より。

      『金融投資協会』によると、2022年01月(03~27日)の反対売買の金額は1日平均「205.5億ウォン」に達しました。
      2021年12月の反対売買の金額は「1日平均:148.1億ウォン」でしたので、なんと「38.8%」も増加しています。

      とっくに悪魔に売り渡した穢れた魂まで掻き集めて借金し、レバレッジを効かせて信用取引なんてしているアリンコは、大変そうですね。

    • マジノ線は役立たずだったのだっけ?

  • >>国際的な投機筋から見れば、同国の通貨は通貨当局が念頭に置いているとみられる「一定のレンジ」を見切ることができれば、「リスクなしで儲かる」という特徴がある、と見透かされている可能性もあるでしょう。

    日本がこれをやられたときは、かの有名な日銀砲で撃退したんですよね。
    韓国政府がどのようなかじ取りをするか、あんまり興味は無いが、韓国がまたまたデフォルトすれば日本にも多少影響があると思うので、それが心配。
    静かに消えてくれるといいんですが・・・

  • 大統領選を控えて、綱渡りみたいな為替介入の必要が、いつにも増して切実になってるのかという気がします。

    次第に庶民の懐を脅かし始めているインフレを、輸入物価の高騰でこれ以上昂進させるのはなんとしても避けたいところでしょう。だけど、虎の子の外貨準備を削って、その見返りに市中に出回っているウォンを回収すれば、景気を冷やし、失業、金融貸出の減少、貸し剥がしを招く。さらに、予想通り米国の為替スワップが3月に終了したとして、その時点で外貨準備の減少幅があまりに大きければ、大規模なキャピタルフライトを招く心配もありそうですしね。

    ウ~ン、解のない連立方程式を解いてるみたい。でも、必殺技、なきにしもあらずかも。

    今後「放射能汚染水ガ~」「佐渡鉱山の強制労働ガ~」などしつこく言い立てず、予想外におとなしくなったとしたら、

    「お互いの」経済安定のために、「通貨スワップ結ぶニダ」と、猛アタック掛けてくる前兆かもですね(笑)。

    • 伊江太さま
      それらもまた0:100理論に過ぎないので、日本が少しでも妥協したらマイナスですから、ゾンビの日韓連が何を言おうと無視を決め込まないといけないですよねぇ。

    • 昔、キャピタルフライトはラピュタのことだと思っていた