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東京都の新規陽性者「6人」、1週間合計値も120人

東京都で昨日、新規陽性者数が1年半ぶりに少ない「6人」という水準に低下しました。ただ、それ以上に驚くのは、1週間で見たときの東京都内における新規陽性者数についてもやはり同様に、1年半ぶりの最低値にまで下がっているという点です。その理由についてどう考えれば良いのか、現時点では確たることを申し上げることは難しいのですが、今後の研究の進展が待たれます。

BBC「接種率75%超の日本」

英メディア・BBCに昨日、東京発のこんな記事が掲載されていました。

接種率75%超の日本、ワクチン忌避から一転して成功に

―――2021年11月22日付 BBC NEWS JAPAN より

東京五輪開幕の7週間前の時点でワクチン接種が3.5%だった日本が、「初期の混乱を乗り越えただけでなく、地球上のほとんどの国より高い接種率を達成した」、「現在は日本人の約76%が接種を完了している」、「80歳以上の接種率は95%」、などとする記事です。

BBCは日本で急速にワクチン接種が進んだことのカギのひとつが7月の五輪だったとしつつ、「歴史的にワクチン忌避の傾向が長らく続いてきた」日本においてここまで接種が進んだのは、「むしろ初期の混乱が実際に役に立った」、などと述べるものです。

記事のなかには初歩的な事実誤認と思しき箇所もありますし(たとえば「95%以上の接種率を達成した高齢者」の定義は「80歳以上」ではなく「65歳以上」です)、正直、「日本で歴史的にワクチン忌避の傾向が長らく続いてきた」というこの論者の主張には、正直、首をかしげてしまいます。

ただ、『韓国の50分の1:突出して少ない日本の新規陽性者数』などでも述べたとおり、コロナの人口100万人あたりの新規陽性者、死亡者などの状況は、ほかのG7諸国などと比べて突出して少なく、こうした状況に関心を持つ外国人特派員がいても不思議ではないでしょう。

武漢肺炎についてデータを調べていくと、新規陽性者数、死亡者数で見て、日本は世界でも突出して低いことがわかります。ワクチン接種完了率はたしかにG7でトップなのですが、それにしてもワクチン接種率が日本より高い韓国の新規陽性者数が人口100万人あたりで50倍近くに達しているというのは、注視しておく価値があるのかもしれません。日本のワクチン接種完了率はG7でトップ当ウェブサイトでは新型コロナウィルス感染症(武漢肺炎)についてのデータを追いかけ続けているのですが、『東京都新規陽性者16人:金曜としては1年半ぶ...
韓国の50分の1:突出して少ない日本の新規陽性者数 - 新宿会計士の政治経済評論

東京都6人

こうしたなか、昨日は、久しぶりに驚きました。

当ウェブサイトで以前から何度となく申し上げている、「東京都の新規陽性者数数」が、昨日はついに6人と、2020年5月25日(8人)以来、548日ぶり、あるいは約1年半ぶりの最低値を更新したのです。

都内のコロナ動向<11/22(月)時点>
  • 新規陽性…6人(前日比▲14人、前週比▲1人)
  • 7日平均…14人(前日比±0人、前週比▲5人)
  • 重症者数…8人(前日比▲1人、前週比▲2人)
  • 新規死亡…1人(前日比+1人、前週比+1人)

(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』、『新型コロナウイルス感染症重症患者数』より著者作成)

この点、もともと東京都のデータの場合、月曜日は新規陽性者数が少なく出るという傾向があります。

実際、11月15日(月)も新規陽性者は7人とヒトケタでしたので、

増減を繰り返しつつも…

以前から、東京都の新規陽性者数については下げ止まり、リバウンドの兆候が出ているのではないかと気をもんでいるのですが、現在のところは新規陽性者数は「前週比」などで見て、増えたり減ったりを繰り返している、という状況にあります。

東京都の新規陽性者数(日月火水木金土|週合計)
  • 10/17…40 29 36 41 36 26 32  | 240
  • 10/24…19 17 29 36 21 24 23  | 169
  • 10/31…22 *9 18 25 14 25 29  | 142
  • 11/07…21 18 30 25 31 22 24  | 171
  • 11/14…22 *7 15 27 20 16 16  | 123
  • 11/21…20 *6 ** ** ** ** **  | *26

(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』より著者作成)

また、重症者数、新規死亡者数についても、増えたり減ったりを繰り返しつつも、徐々に沈静化している状況がわかります。

東京都の重症者数(日月火水木金土)
  • 10/17…35 31 26 27 24 21 22
  • 10/24…22 20 17 16 15 14 14
  • 10/31…14 14 14 14 12 12 12
  • 11/07…12 10 10 10 *9 *8 10
  • 11/14…10 10 10 10 10 *9 *9
  • 11/21…*9 *8 ** ** ** ** **

(【出所】東京都『新型コロナウイルス感染症重症患者数』より著者作成)

東京都の新規死亡者数(日月火水木金土|州合計)
  • 10/17…*6 *6 13 *5 *2 *1 *1 | 34
  • 10/24…*0 *3 *5 *2 *3 12 *5 | 30
  • 10/31…*0 *1 *1 *3 *2 *1 *0 | *8
  • 11/07…*0 *1 *1 *0 *1 *0 *0 | *3
  • 11/14…*0 *0 *0 *2 *1 *0 *0 | *3
  • 11/21…*0 *1 ** ** ** ** ** | *1

(【出所】東京都『新型コロナウイルス感染症重症患者数』より著者作成)

1週間で見ると120人にまで減ってきた

この点、「1週間で見た新規陽性者数」については、興味深いことに、引き続き減少を続けています。

1週間単位で毎週の新規陽性者数の合計値を取ってみると、11月16日(火)から11月22日(月)までの1週間の新規陽性者数は120人で、これは2020年6月2日(火)から6月8日(月)までの新規陽性者数(147人)以来、最も低い水準です。

各週の新規陽性者数の合計値
  • 09/07(火)~09/13(月)…9360
  • 09/14(火)~09/20(月)…5420
  • 09/21(火)~09/27(月)…2407
  • 09/28(火)~10/04(月)…1383
  • 10/05(火)~10/11(月)…*765
  • 10/12(火)~10/18(月)…*403
  • 10/19(火)~10/25(月)…*207
  • 10/26(火)~11/01(月)…*164
  • 11/02(火)~11/08(月)…*150
  • 11/09(火)~11/15(月)…*161
  • 11/16(火)~11/22(月)…*120

(【出所】東京都『新型コロナウイルス感染症重症患者数』より著者作成)

こうした状況を見ていると、少なくとも東京都内において新規陽性者数が極端に低下していることは間違いなく喜ばしい話であることに間違いはないでしょう。

もちろん、リバウンドには十分な警戒が必要ではありますし、依然として油断は大敵ですが、それでも日本のコロナ新規陽性者数がほかのG7諸国などと比べ、かなり減っていることは統計的事実です。

著者自身、コロナ禍以降に海外に出掛けたことはなく、この目で諸外国の状況を見たわけではありません。ただ、それと同時に著者自身の観察によれば、少なくとも東京都心で道行く人々は95%程度がマスクを着用しています(マスクを外しているのは歩きタバコをしている者くらいでしょうか)。

このあたり、「手洗いを励行しているか」、「集近閉(しゅう・きん・ぺい)を回避しているか」、「入店時のアルコール消毒に努めているか」、といった生活・衛生習慣などで日本と諸外国を体系的に比較することができれば、もう少し「日本の謎」に迫ることができるかもしれません。

いずれにせよ、武漢肺炎禍は、世界的に多くの人々を苦しめているという規模もさることながら、国によって感染をどのようにコントロールしているかという状況も大きく異なります。

近年のうちにコロナ禍が終息したあかつきには、「ワクチン接種率」といった目に見える統計だけでなく、なかなか観察が難しい「手洗い習慣」などについても研究が進むことを期待したいと個人的には考えている次第です。

新宿会計士:

View Comments (18)

  • 独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
    (というより、流石に自分でも、独断や偏見と思いたいので)
    日本マスゴミ村にとって、新型コロナ患者が増えたのは、数字がとれる良いニュースだが、減ったのは、数字がとれない悪いニュース。ただし、撮影現場に悪影響を及ぼした場合は除く。
    駄文にて失礼しました。

    • 引きこもり中年さま

      う~ん・・・
      何をおっしゃりたいのか・・・・
      う~ん??

      • 川向うの火事は、大きい程、面白い
        海外の戦争は、大きい程、面白い
        テレビマンにとって、画面越しに見る新型コロナ流行は、大きい程、数字がとれる

  • 地方(北海道除く)に関しては、ほぼ収束と言って差し支えない状況になっています。自分の勤め先もついにコロナ病棟が無人になりました。この日が長く続くことを願っています。
    研究結果では免疫の強さはワクチン≧感染のようですので、今落ち着いているインドとかの発展途上国でも再流行は恐らく起こるでしょう。ワクチン接種が進んだ国でも流行が止まらない以上、日本でもワクチンの予防効果が減衰する時期が来れば再流行は起こると考えていいのではないかと思います。幸いなことにドイツや韓国と言ったわりかし対策がしっかりしている国でも酷い事になってて、国民も政府も危機感を持てているように見えるので怠らずやっていきたいものです。

  • 保健所、暇になったかな。

    コロナの女王、新しい本出したけど、誰も買わないんじゃないかな。

  • オーストラリアが勇気ある決断。
    接種証明のある日本人と韓国人は 隔離免除で入国できるようになるのですって。
    韓国人と誤認されて 日本人たたきが起こらないことを危惧しています。

  • 日本入国者に行われる空港検疫で毎日数人の陽性者が発見されています。
    清浄化されつつある日本に 隔離期間緩和に伴って 移入陽性者が新たにコロナをばらまく危険も大きいと思います。
    日本の収束がデルタ株自壊説ならば 海外の元気なデルタ株がもちこまれれば 再び感染爆発となるのでしょう。
    水ワクチンでも接種証明を発行する国もあります。
    国民の気のゆるみより 政府の気のゆるみを心配しています。

    • デルタ株自壊説では陽性率が現状のように0.3%まで下がることは説明できないのでは?
      壊れたデルタ株であってもそれに感染すれば全くの無症状であろうと陽性と判定されるでしょう.

      だとすれば,デルタ株自壊説が正しい場合には現状の日本の陽性率は寧ろ高止まりしているはずです.

      そもそもデルタ株自壊説が正しいならば,一部の機関で行われているウィルスの遺伝子解析によって,そういう壊れかけた(そして極めて毒性の低い)変異株が日本で新たに誕生したことが検出されている筈ですし,そういう感染力は高いが毒性が極めて低い変異株が日本で誕生しそれで日本の感染は急激に収束したとなれば,その日本変異株を元に生ワクチンや不活化ワクチンを作れば世界中の感染を収束させられるという話が出ていても不思議ではありません.

      ですが,そんな都合の良い(つまり感染力は非常に強いが毒性はほぼ皆無の)新しい変異株が日本の陽性者からサンプリングした遺伝子解析で見つかったという話はありません.

      ですから自壊説は全くの荒唐無稽な話だと考える次第です.

  • 個人的には、観光シーズンの京都が「0人」になったことが驚きです。
    年末年始は帰省も解禁されるのでしょうか。
    まだ下げ止まらないことに歯ぎしりしている人達もいるのかな?
    (ワクチンの「せい」で、と言っていた某番組とか)

    >歴史的にワクチン忌避の傾向が長らく続いてきた

    A新聞の世論誘導の成果ですか?
    子宮頸がんワクチンの勧奨も再開されることになりよかったです。

    https://news.1242.com/article/326742

  • BBCの東京発のこの記事の
    論建ての粗雑さには
    私も呆れてましたので、
    新宿会計士さまのご指摘に同感です。

    たしかに、記事にあるように
    反ワクチンでのビジネス左翼で
    オマンマのような人たちの
    おかしな成果からの、ワクチン忌避の
    傾向の影響はあるにはあったとは思います。
    ただそれ以上に、
    米国などのように医療制度が整ってない分
    ドラッグストア店頭でお手軽接種
    できないことが初期の低い接種率
    だったと思います。
    その分、プロの医療関係者と行政が
    周到な準備で本気で開始した日本が
    接種率であっという間に凌駕した
    というのが真相だと感じます。

    BBC東京特派員のこのピンぼけ記事は
    その周りに群がる人たちが
    新宿会計士さまもご指摘の
    総理の1日百万回接種発言を
    でまかせ呼ばわりして反省しない
    週刊ヒュンダイ記者のような輩が
    多いと思われることかなあとは
    推測します。

    • コロナ抑え込みで称賛される
      今の日本の局面の中で
      ひとまず安堵する多くの国民の一方で
      敗軍の将枝野さんをはじめとする
      立憲共産党さん界隈の憂かないお顔が
      浮き彫りになってます。

      半島とウッシッシをして
      あっという間に政権から叩き出された後
      選挙で敗戦に敗戦を重ねる中で
      モリカケでっち上げでの総力戦にも
      前回選挙で敗れた後は、
      そのモリカケも籠池氏の告白で
      辻元主導の画策だったことが
      とじわり国民に浸透しもともと
      絶体絶命だったと感じます。
      そこに現れたのがコロナ禍です。
      人類の敵はコロナなのに、それを
      政権攻撃の願ってもない援軍友軍!
      と勢いづいて言葉を盛っての直近の選挙でしたが
      もとより多数派国民良識層を乗せることには
      無理があったのにと憐れみをすら感じます。

      やるせようのない枝野さんたちの
      あまりに憂かないお顔は、おそらくは
      「援軍コロナが頑張ってもっと
       奮戦してくれれば(????)」などの
      本音を口にはできないお辛さからなのでは?
      と私は推測して同情しています。

    • ドラッグストアで気軽に接種できるようにしたら
      ワクチンが大量に破棄されそうな気がする

  • 日本のコロナ新規感染者激減の理由

    とは言ってもあくまで素人の思いつきで科学的なエビデンスがあるわけではありません。
    我が国がこれだけ感染の抑え込みに成功している理由はひとつではなくいくつもの要因があってこその結果だと思います。
    1、感染症を蔓延させてしまうかどうかは、基本的に個人個人がどれだけ感染しないための行動が取れるかが大切だと思います。その点我が国は例えばマスク着用も諸外国と比べて遥かに徹底しています。昨年コロナ禍が始まってマスクが品薄になって大きな問題になりましたが、そんなときでもネットに簡単なマスクの作り方が同時多発でアップされて多くの人が手作りマスクを着用していました。この頃も我が国の感染者の少なさが不思議がられていました。そしてワクチン接種が進んだ現在も我が国ではマスク着用が当たり前です。強制されているわけではないのに。スーパーに買い物に行っても、レジの前の行列は相変わらず距離を保って並んでいます。一方ネットのニュースを見ていると欧米の先進国でもマスクを着用しないと罰が課されるほど強制してもワクチンを接種したらマスクをしないでよいとし てしまって結果感染が再拡大したところもあったようです。うがいや手洗いも同様で、我が国では外から帰ったらうがい手洗いは当たり前、食事の前やトイレ後の手洗いもごく当たり前の生活習慣として根付いています。そしてコロナが流行って行政からうがい手洗いの重要さが発信されると、私なんかも手の洗い方を今までより丁寧にするようにはなりましたが、特に努力を必要とはしませんでした。マスク、手洗い、うがいなどを新たに習慣付けなければならないところとは大きな違いがあったのではないでしょうか?これが結局はコロナウィルスを体内に取り込む量をすごく減らすことになり、感染や発症を少なくすることに繋がったのではないでしょうか。

    2、菅前総理の政策の効果
    我が国のワクチン接種は立ち上がりが遅くてお隣の国から馬鹿にされるほどでした。でも我が国ではワクチンの保管や輸送体制をしっかり準備してさらには1日100万回接種なんて荒唐無稽だと酷評されながら自衛隊まで動員して大規模接種会場を設けて1日100万回どころか150万回という脅威的な接種回数を見せました。こうして驚異的なスピードで短期間で国民に免疫を行き渡らせました。もし接種に時間がかかっていたら、コロナウィルスがワクチン未接種者の間で保存され続け感染者は増えたであろうし、場合によっては変異株が出現してさらに酷いことになったかも知れません。こうして短期間で免疫を国民に行き渡らせたことでコロナウィルスが感染しにくくなって免疫がピークに達した時期から感染が減ったのではないでしょうか。

    3、我が国のコロナ対策は、強制力もなく政府や自治体からの自粛要請という他国から見たらとても緩い方法でした。私はそれが良かったと思うのです。例えばマスクにしたって強制されて着用していたら短期間はしたがっても、強制されているという不満がたまれば違反したくなります。幸い我が国は教育も隅々まで行き渡っているので、政府等から要請があると国民はその意味を理解して従うことができます。つまり私がマスクを着用しているのは、自分自身が「マスクした方が安全だよね。」と考えてしているわけで、 全く強制されいるという不快感もストレスもありません。先に書いたようにマスク着用は生活習慣として定着しているので、新たに習慣として身に付けるというストレスもありません。だからお隣の国のメディアが、日本人はコロナが収まっているのに顔を見られたくないからマスクをし続けているなんて揶揄するような記事を書いていましたけど、アホかってなものです。

    このようにウィルスの侵入を完璧に防げるという方法はないけれど、様々な行政の努力と個人個人の細やかな努力が噛み合って現在の状況ができたと思います。ただ何しろ今までにない経験ですからこの状態が続くかどうかわからないし、また別の変異株が入ってきて再燃する可能性もあるので油断しないでマスク、手洗い、うがい、集・近・閉を避けるという生活は続けようと思います。

    • そういえば、ファクターXとして、一つ、日本にしか普及していないものがあります。

      ウォッシュレット

      コロナウィルスはかなり便から出されるようですし、おしりを手を触れずにきれいにできるという意味で実はかなり大きい?