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韓国の左派の大統領候補が「日本は友邦なのか」と疑念

昨日の『韓国の「保守派」は日韓友好の立場から信頼に値するか』などでも議論したとおり、正直、韓国の「保守派」と呼ばれる政治家は、日韓友好を推進する立場から見て、信頼に値するかどうかは非常に疑問です。ただ、日韓友好という観点からは、左派政治家であっても望ましくないという事例が出て来ました。韓国の次期大統領の有力候補者のひとりが、日本を「友邦と呼べるのか」と疑問を呈したのだそうです。

一方的に助ける相手は友人なのか?

自分が困っているときには自分のことを助けてくれないが、相手が困ったときだけ自分に助けを求めてくる」――。

あなたの周りにも、こんな人はいませんか?

もちろん、人間ですから、さまざまな関係があることは間違いありません。親子であったり兄弟であったり、あるいはかつての職場の上司・部下であったり、いずれにせよ、「対等ではない関係」というものは、成立する可能性は十分にあります。

ただ、著者自身の主観で恐縮ですが、基本的に他人同士の関係だと、やはり対等であった方が、気持ちよく付き合える気がします。

とくに、ビジネスの世界に生きている身としては、「人間関係」といえば、どうしても「ギブ・アンド・テイク」の関係を意識してしまいます。

「契約を結び、一定の報酬を得ることと引き換えに何らかのサービスを提供する」というのも「ギブ・アンド・テイク」ですし、「こないだは無理を聞いてくれたから、今度はあなたを助けてあげましょう」、というのは、ビジネスの世界ではよくある話です。

逆に、いつも無理ばっかり押し付けてくる相手との関係は、早晩行き詰まるものです。

こうした話は、誰にでもある程度の経験はあるのではないでしょうか。

日台関係など、ギブ・アンド・テイクは外交にも成り立つ

さて、当ウェブサイトではときどき、外交を人間関係にたとえます。

国もしょせんは人間の集合体ですから、外交関係を人間関係の延長で理解するのも、べつにおかしな発想ではないはずだからです。

こうした点で、台湾との関係は、大変に興味深いものです。

中国との関係もあり、日本政府は台湾のことを正式な「国」とは認めていませんが、それでも外務省が刊行する外交青書などの記述を読むと、台湾については次のとおり、「基本的価値を共有」、「極めて重要なパートナー」、「友人」などの表現が盛り込まれています。

台湾は、日本にとって、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人である」(同P55)。

冷静に考えてみたら、これも当たり前の話でしょう。

台湾は2011年3月、日本が東日本大震災で深く傷ついたときに、真っ先に心温まる支援を申し出てくれた「国」ですし、また、台湾は普段から、じつによく約束を守ってくれる「国」でもあります。

台湾がワクチン不足に陥ったときに、日本が累計で400万回分を超えるワクチンを台湾に提供したのも、こうした「友好関係の土台のうえに成り立つギブ・アンド・テイク」という理論で説明がつきます。

もちろん、台湾は尖閣諸島の領有権を主張していたり、日本産の農産物の輸入規制をしていたりするなど、日台間のトラブルは皆無ではありませんが、それでも日台間にはベースに友好関係がありますので、友好的・平和的にさまざまな問題を解決していくことが期待できる相手国でもあります。

日韓関係はギブ・アンド・ギブ

その一方で、話し合いでトラブルを解決することが、まったく期待できない相手国、というものもあります。

それが、韓国です。

韓国は日本との間でさまざまなトラブルを起こしていますが、自称元徴用工問題しかり、自称元慰安婦問題しかり、火器管制レーダー照射事件しかり、それらの多くは韓国の日本に対する一方的な不法行為です。

そして、日本が話し合いで何とか約束にこぎつけ、問題を解決したと思っていても、韓国では政権が変わればあっという間に約束が反故にされてしまいます。2015年12月に日韓慰安婦合意が形成されたにも関わらず、2017年5月に発足した文在寅(ぶん・ざいいん)政権がその約束を破ったことは、典型例でしょう。

ただ、「あれは、韓国の文在寅政権が悪かったのだ」、「文在寅政権が退いて、保守派が政権を握れば、話は変わるはずだ」、などと幻想を抱く人が日本にも一定数いるのは理解に苦しみます。邪推ですが、そのような主張をされる方は、おそらく、「ギブ・アンド・テイク」を経験なさってこなかったのではないでしょうか。

ことに、『日経「日韓ともに残された時間は少ない」論への違和感』などでも議論しましたが、李明博(り・めいはく)、朴槿恵(ぼく・きんけい)の両元大統領を筆頭に、日韓間の信頼を踏みにじってきたのはむしろ、韓国では「保守派」と呼ばれる人たちだったことを忘れてはなりません。

韓国で、現在の与党である「左派政党」、最大野党である「保守政党」の、それぞれの大統領候補者が確定しました。以前から有力候補と見られていた李在明(り・ざいめい)前京畿道知事、尹錫悦(いん・しゃくえつ)前検事総長の両名です。ただ、ここで「保守」(?)候補者が次期大統領に就任したところで、日韓関係が「改善」されると見るのが正しいとも思えません。日経新聞に8日掲載された記事を読んでいると、そんな違和感を払拭することができないのです。韓国大統領選の有力候補が確定当ウェブサイトでは最近、わりと「スルー」...
日経「日韓ともに残された時間は少ない」論への違和感 - 新宿会計士の政治経済評論

あるいは、『韓国の「保守派」は日韓友好の立場から信頼に値するか』でも取り上げましたが、「保守政党」とされる政党の代表者が日本のメディアに語った認識も、かなりお粗末と言わざるを得ません。

当ウェブサイトでは常々、日韓関係を巡っては、むしろ韓国の「保守派」と呼ばれる勢力にこそ注意が必要だ、などと申し上げています。その理由は、日本の側で「ちょっとくらい韓国に譲歩してでも日韓関係を好転させるべき」などと主張する勢力と、韓国の「保守派」が結託しやすいからです。こうしたなか、韓国の「保守派」とやらが信頼に値するのかどうかを巡り、興味深い事例がありました。日韓はお互いに友好国?それとも…ちょっとでも外交・時事関連の話題に関心がある人に、日韓関係の先行きについて尋ねてみれば、「現在の日韓が友...
韓国の「保守派」は日韓友好の立場から信頼に値するか - 新宿会計士の政治経済評論

その意味で、日本にとっての韓国は「ギブ・アンド・テイク」が成り立たない国(日本からすると「ギブ・アンド・ギブ」の相手国)ではないかと思う次第です。

李在明氏が日本を「友邦なのか」と警戒

ただ、そのようなことを申し上げると、「では韓国の次の大統領も左派になって良いのか」、「左派政権が続けば日韓関係は破綻するかもしれないが、それでも良いのか」、などと反論を受けることがあります。

この点、「文在寅氏に続き、左派が次期韓国大統領に就任したら、日韓関係はいよいよ破綻の危機に瀕する」というのは、そのとおりでしょう。それを改めて認識させる記事がありました。

韓国与党候補が日本を警戒「友邦国家なのか」

―――2021/11/10 18:56付 産経ニュースより【共同通信配信】

掲載したメディアは産経ですが、記事を配信したのは共同通信です。

共同通信によると、韓国の与党「ともに民主党」の大統領候補で前京畿道知事でもある李在明(り・ざいめい)氏は10日、韓国メディア団体が主催する討論会の場で、「日米韓3ヵ国軍事同盟の結成については当然反対する」などと明言。

さらには島根県竹島の領有権問題なども挙げながら、「日本はどんなときでも信用できる完全な友邦なのか」などと警戒心を示したのだそうです。

正直、日韓友好という立場からすれば、とんでもない認識でしょう。

しかし、少し見方を変え、「韓国との対等な関係に基づく友好関係は成り立たない」という認識のもとで、この発言を眺めてみれば、日本にとっては却って対処方針が立てやすくなる、という側面もあるのです。

外交で必要なのは「発想の転換」

この点、誤解してはなりませんが、現在の日本にとっての韓国は、いますぐ関係が断絶しても問題がないような相手国ではありません。産業面でも経済面でも、日韓は相互に結びついており、また、安全保障面でも日米韓3ヵ国連携を前提に、さまざまな戦略が組み立てられているからです。

しかし、国同士に「永遠の友好関係」も「永遠の敵対関係」もありません。そこにあるのは「国益」です。

日本はあくまでも日本の国益の最大化を目指すべきですし、韓国と仲良くすることが日本の国益に資すると思うならば仲良くすれば良く、そうでないならば違う方法を考えれば良いだけの話でしょう。

もしも李在明氏が次期大統領に就任し、現在のような認識を変えずに5年間の任期を全うしようとするならば、日韓関係はさらに先細りせざるを得ません。逆にいえば、「李在明大統領」のもとで、韓国が日本に敵対する方針をさらに推進するのであれば、日本としてもその前提で動かざるを得ないからです。

このように考えるならば、「日韓関係が破綻するかもしれないが、それでも良いのか」、という問いかけは、設問自体が間違っています。

ただしくは、「日韓関係が破綻せざるを得なくなったとしても、その影響をどうやって最小化すべきか」と尋ねるべきなのです。

その意味では、日韓関係にしろ何にしろ、発想の転換が必要であることだけは間違いないと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (47)

  • >韓国の左派の大統領候補が「日本は友邦なのか」と疑念

    もはや韓国は「日本の友邦国ではない」と先進諸国に示さんがためのG7招聘だったんですよね。

    同じ流れで、米韓の血盟もいずれは欠盟に・・。

    • カズ様

      今現在、過去は永久に絶対忘れない(事実じゃなくても嘘でもね) から日本は永久に原罪抱えろ!

      と明言している相手と友邦になれるわけがありませんし、今現在で無理・未来にも忘れない(というか新規に覚える)と宣言してる国と共に生きる未来があるはずが無いですよね。

      そんなん日本負担で修復しなきゃいけないくらいなら、同じコストと時間をアフリカ辺りの疎遠だった国と構築したほうが有意義です。

      中国だって今の独裁統治組織が消滅したらつきあえるかも知れないし、その時は忙しいから…

      • がみ 様
        いつだって利害が一致しない二者の共生は、大きな第三者(米国)からの強制によるものだと思っています。

        *涙のリクエストをされたって、朋友(for you)とは応えられないですね・・。
        m(_ _)m

          • がみ様

            Bigen/Men's Bigenですね。
            Bigenの由来は「美人」の「美」とホーユーが以前発売していた白髪染め「元禄」の「元」を併せて、カタカナにした名前だそうです。
            中国でBigenは販売するに当たり、「美元」のままで販売すると、その意味がアメリカドルに捉えられてしまう事から「美源」として販売しているそうです。
            その経緯から現在では「美しい源→美源→ビゲン」という意味に置き換えられているそうです。
            因みに会社名のホーユーは、前身の「朋友商会」からきており、親会社で純粋持株会社は「朋友ホールディングス」と名乗っています。
            朋友とは「「(信頼し合っている)友達」の意の漢語的表現。」ですが、今の日韓関係を見ていると朋友とは言えませんね。

          • nsnashi様

            北京で仕事してた時に不思議だったのですが、日本では高麗人参とか言われている半島南北の植物を中国では

            「美国人参」

            として北米先住民の絵の入った赤青ストライプに白星散りばめたパッケージで販売してました。

            仲悪いんだな心底。

  • >日韓関係はギブ・アンド・ギブ
    朝鮮人の外交は、ギブ・アンド・ギブ
    物を貰えるから、仲良くする。
    貰えるとそれが当たり前になり、より多く貰おうとして、貰えないと関係が悪化したと言うのが、朝鮮外交です。

    もう一方の保守派の大統領候補は、
    時事通信から
    就任後すぐ対日関係改善 98年共同宣言を評価 韓国最大野党候補
    https://news.yahoo.co.jp/articles/3e8dd6f42cabbed99a14d6a4ca029a8152ade353
    日韓共同宣言は、日本が韓国に最大限譲歩した宣言ですが、韓国国会で非難決議が出ています。
    現時点での韓国の日韓関係改善は、国際法違反状態を解消しないまま、日韓共同宣言、河野談話の状態に戻せという事です(ホワイト国に戻す事も含む)。

    本日林外相が就任しました。
    日米同盟を基軸とし、FOIPの実現を目指すとの会見でした。
    FOIP構想に韓国は、存在しません。
    韓国は、アメリカの同盟国として、対北朝鮮問題に日米韓で対処するという位置付けに過ぎないという事です。

      • だんな様

        ご紹介いただいた記事の先には、こんなのもあったのです♪

        日本は日韓関係の改善に動き出すべき局面だ -韓国国民の意識の変化をどう受け止めるか
        https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20211008/pol/00m/010/010000c?inb=ys

        記事そのものじゃなくて、コメントへの突っ込みなのです♪
        >ここまで問題がこじれても、放置し続けるのか、
        >民間企業同士の関係では考えられない。

        民間企業同士で話がこじれるのって、互いの利害が絡むときだけだと思うのです♪
        一方的にいちゃもんをつけられたなら、無視するか、あまりにも五月蝿いなら法的手段に訴えるんだと思うのです♪

        • 七味さま
          秘密保持も破ろうとしてるし、基本契約も守られないし、民間企業同士だったら、もう取引は無くなっていると思います。

    • >日韓関係はギブ・アンド・ギブ

      日本が、完璧に関節技を決めて、韓国が、必死で「ギブ!ギブ!」とタップしている構図ですな。

    • > 日韓関係はギブ・アンド・ギブ

       ギブ・アンド・スチール Give and Stealでは?
       農産物も技術も盗んでばかりですから。

  • 素朴な疑問ですけど、もし日本の有力政治家が「韓国は日本の友邦なのか」、またはアメリカの有力政治家が「(THARRD配備を妨害している)韓国はアメリカの友邦なのか」と言ったら、韓国の左派大統領候補は、狂ったように非難するのではないでしょうか。

    • 引きこもり中年
      でしょうね。
      本当の事を言われるのが一番嫌いで、逆ギレする民族ですから。

  • 韓国の大統領選挙に関して、こんな社説を載せるとこもあるのです♪

    韓国大統領選 対日関係改善の論戦を
    https://www.hokkaido-np.co.jp/sp/article/609844?rct=c_editorial

    よその国の選挙にいったい何を期待してるのやら、トホホな感じなのです♪

    その上、締めの一文が意味不明過ぎるのです♪
    >ただ被害者は高齢化している。一日も早く苦痛を癒やすため、日本も寄り添う姿勢が欠かせまい。

    • >七味 様
       北海道新聞、おそらく左派ですね。H2Oの北海道ですから、左派は普通なのかも。

      「ただ被害者は高齢化している。一日も早く苦痛を癒やすため、日本も寄り添う姿勢が欠かせまい。」・・・ぜひ寄り添ってください、ただし韓国政府がやることですね。「日本は敗戦国」とのたまう、日韓併合時代を否定している国の人間になぜ寄り添わなければいけないのでしょうね。

       「未来志向」なんて韓国がずっと使い続けているウソ、ウソをウソと気が付かずにいるその神経が分かりません。

      • サムライアベンジャー様

        北海道新聞社は、中日新聞社(愛知)、西日本新聞社(福岡)と共に「ブロック紙三社連合」を構成しているので、間違いなく左派系新聞社だと思います。
        旭川医科大学へ若手の女性記者を不法侵入させて、記者が逮捕される不祥事を有耶無耶にしたくらいですから。
        旭川と言えば女子中学生いじめ凍死事件といういたたまれない事件が起きました。
        日教組の強いH2O(北海道、広島県、大分県)の一角である北海道の土地柄らしい隠蔽工作に走りましたが、世間は決して許しませんでした。
        そのお陰で日教組と繋がりが強い立憲民主党への反発となり、旭川市長選挙では、与党系候補が当選し、衆議院議員選挙では市長の座を捨ててまで立候補をした立憲民主党の候補が自民党の候補の前に大敗をしました。

  • 日本は敵の国だと、ずっと前から一貫して、韓国の国民の大部分が認識しているものだと思っていたけど

  • 李在明氏には、ぜひ次の韓国大統領になって頂きたいと思います。
    韓国国民もと投票先を間違えないようにしていただきたいと思います。

    •  韓国はこういった枠組みに誘われないし、興味もなんか持たないですよね。世界情勢は刻一刻と変わっているというのに。

  •  李在明氏は、「日本はどんな時でも信用することができる完全な友邦国家なのか」と警戒心を隠さなかった。
    ⇒それでは、李在明氏にお尋ねします。現在の韓国にとって「どんな時でも信用することができる完全な友邦国家」とは、どこの国ですか? また、韓国を「どんな時でも信用することができる完全な友邦国家」と考えている国は、どこの国ですか?
     北朝鮮?、中国?、ロシア?、アメリカ?、イラン?、ベトナム?それとも、ニュージーランド?
     私が思うに、いずれの場合も、そんな国は一つも無いと思いますが。

    • ナロナムブルの面目躍如だしょう。。

      それで北朝鮮と中国については、中国は宗主国様だから友邦国家などとは恐れ多いし、北朝鮮は、文大統領が与正姫さまの僕みたいだから、姫のご実家を友邦国家と呼ぶのは恐れ多いことと思います。

  •  韓国紙はなんだか、コロナや尿素水の話題で持ちきりのようですね。何気に動きが気になる為替もありますが。

     保守も左派も信用できない。それがザッツ韓国。

     李在明は「日本は敵性国家」などと吐き捨てていました。本来は、日韓基本条約(=事実上の友好条約)を結んでいるのだから、政治屋は大統領候補時であってもそのような発言を韓国メディアこそ非難しなければなりませんし、日本政府も、遺憾砲の一つや二つ出さなければいけません。「友好条約」という約束事をしている関係なのですから。

     法律で行動制限している日本は、どのような理由があっても「断交」や「経済制裁」などの手段が取れません。約束事を守れない国家との付き合い方を日本政府もはっきりと絵に描いておく必要があります。

     会計士様の提案しているように、クアッドやインド太平洋構想(昔は、「平和の弧」とか「ダイヤモンド構想」とか呼んでましたね)っといった利害関係で結びつく外交の色を強くしていくほかないでしょうね。

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