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    Categories: 金融

立憲民主党の目玉公約「減税」潰しを自民党に期待する

世の中では、明日投開票を迎える自民党総裁選への関心が高まっていますが、もうひとつ忘れてはならないのは、最大野党・立憲民主党が、最近、「政権公約」(…なのかなぁ…)をバシバシと発表しているという事実でしょう。その立憲民主党は昨日、やっと経済政策もどきを出してきましたが、その「目玉」のひとつが「年収1000万円以下の所得税ゼロ」です。さぁ、自民党さん、出番ですよ!

日本には国債の増発余力がある

普段から当ウェブサイトで述べているとおり、日本の通貨・円は国際的に非常に通用度の高い「ハード・カレンシー」であり、また、資金循環構造上、日本国内には資金が有り余っています。

2000兆円に達する日本の家計資産:国債増発が急務』でも触れた、日本全体の資金循環バランスについて、確認しておきましょう。

図表1 日本全体の資金循環バランス(2021年6月末時点・ストック、速報値)【※クリックで拡大】

(【出所】日銀『データの一括ダウンロード』のページより『資金循環統計』データを入手して加工)

図表2 日本全体の資金循環バランス(2021年6月末時点・ストック、速報値)【※PDFファイル】

(【出所】日銀『データの一括ダウンロード』のページより『資金循環統計』データを入手して加工)

日本国内で資金が有り余ってしまっている:国債はむしろ足りない

閉鎖経済の前提に立てば、一国の経済主体(家計、企業、政府)の資金貸借の収支尻は、必ずゼロになります。すなわち、誰かの資産はほかの誰かにとっての負債に形を変えているのです。

たとえば、家計の金融資産は2000兆円近くに達していますが、それらの金融資産のうち1000兆円を超える額が現金・預金の形を取っており、預金取扱機関(銀行、信金、農協など)から見れば金融負債を構成しています。

そして、預金取扱機関などの機関投資家は、預かった資金を何らかの金融資産で運用しなければならず、運用対象として適切な資産の筆頭格が貸出金と債券、というわけですが、日本国内では貸出が伸びず、国債発行額が抑制されているため、投資すべき債券も世の中に圧倒的に不足しています。

だからこそ、日銀預け金などが700兆円以上も唸りを上げているわけです。

また、日本は閉鎖経済ではなく開放経済です。

日本国内で使い切れなかった資産は必然的に、海外部門の400兆円近い赤字(=日本から見た400兆円近い黒字)として出てきます。仮に日本国内で国債が大幅増発されたならば、理屈の上では機関投資家が外債などを売却して資金を日本国内に還流させます。

当ウェブサイトなりの試算に基づけば、少なくとも政府が国際を3~400兆円ほど増発したところで、日本円の信頼性はビクともしませんし、最悪の場合対外純資産がゼロになるだけの話です。また、700兆円ほど増発すれば、投資対象がなくて困っている預金取扱機関は涙を流して喜ぶでしょう。

現実的には、日本の債券市場環境の実情に照らし、国債を1000兆円ほど増発しても、まったく問題ありません。

コロコロ言い分を変えてきた財務省

しかし、こうした状況であるにもかかわらず、国債増発をかたくなに拒む役所が、財務省です。

財務省は「財政健全化」という、まったく実態に合致していない目標を騙り、国家財政の入口(国税庁)と出口(主計局)を同時に握り、一回の国会議員を遥かに上回る強大な政治権力を(不当に)手にしており、その不当な権力を使って日本経済を痛めつけているのです。

基本的に、日本はこれまで税金を取り過ぎていた国ですので、それを国家が国民に還元してあげるだけでも、かなりの活力を経済にもたらします。たとえば、国債を新規に300兆円ほど発行し、時限的に3年間、消費税、法人税、所得税の3税の徴収をやめるだけでも、日本経済は一気に活性化するでしょう。

それに、そもそも論ですが、1989年に消費税が導入されたときの言い分は「直間比率の是正」でしたが、次第に「財政健全化」に変わったり、「社会保障財源の確保」に変わったり、と、その言い分はコロコロ、コロコロと変わります。

さすがに最近だとインターネットの発達のためでしょうか、あるいは某著名ブロガーの方の影響力もあってでしょうか、「国の借金」というウソについては完全に露呈し始めているのですが、それでも新聞、テレビの報道を信じている人たちには、こうした主張は刺さらないようです。

#政権取ってこれをやるVol.6

さて、昨日は『菅総理続投というシナリオが狂って大慌ての立憲民主党』で、「#政権取ってこれをやる」シリーズ、すなわち立憲民主党の5つの「政権公約」(…なのかなぁ…?)を取り上げましたが、これに続きがありました。

やっと、経済政策っぽいものが出てきました。

もっとも、これを眺めても、残念ながら恒久減税には言及がありません。言及されているのは「時限的な減税と給付金」であり、「年収1000万円以下の所得税実質免除と低所得者への給付金支給」、「時限的な5%の消費税減税」です。

もちろん、立憲民主党はしょせん、政権与党になるつもりがない政党でしょうから、「言ってみた」という無責任さは払拭できません。ただ、これまでの立憲民主党の「政権公約」っぽいものと比べれば、わりと踏み込んだものだと考えて良いでしょう。

(※もっとも、経済合理性に反した最低賃金引き上げなどを含め、「2」以降の項目が非常に問題だらけなので、トータルとして見ればダメな公約だとは思いますが…)。

自民党には「立憲民主党潰し」をお願いしたい

いずれにせよ、この立憲民主党の「目玉」となる政策が出てきたことで、自民党も少しは気を引き締めなければならなくなったのではないでしょうか。

もちろん、当ウェブサイトの立場としては、立憲民主党関係者がこれまでになしてきたこと(国会で徹底的に政府・与党の足を引っ張る、審議を空転させる、「もりかけ・さくら」などのスキャンダルにうつつを抜かす、など)を踏まえるなら、立憲民主党は少なくとも「最大野党」の地位すら喪失すべきだと考えています。

しかし、「下手な鉄砲も何とやら」ではありませんが、どうしようもない公約のなかに、ひとつやふたつ、自民党を牽制するような公約が混じっていれば、そのことは結果的に良い結果をもたらすのかもしれません。

そして、野党がちょっと国民の支持を得そうな公約を掲げれば、その真似をして、野党に対する支持を潰すというのは、自民党の得意技だったはず。明日選ばれるであろう自民党新総裁には、是非とも、この「立憲民主党の目玉政策」潰しをお願いしたいと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (9)

  •  更新ありがとうございます。
     この公約のおかげで、次年度予算審議において自民党政権が国債増発しても立憲民主党は
    「国の借金ガー」、「プライマリーバランスガー」
    とは言えなくなる…訳無いかorz
     一人ボケツッコミしてしまいました。

  • これ。
    >>「言ってみた」という無責任さは払拭できません。
    vol6でようやく出てくるあたりからしても
    何かと理由つけてやらんだろ。
    それに最低賃金引き上げって企業の負担考えてない。

    • 文在寅が韓国で最低時給を急激に上げ過ぎて雇用がガタガタになった実例がつい最近あるんですがね・・・
      あれをみて「うちも同じことやろう」ってさすがに運営能力に問題がある表れでしかない。
      (あとどうせガソリン値下げみたいに実行されないだろうという気もする)

      もちろん賃金の上昇は必要だが、さすがに限度はあるでしょう。数%アップが限界ですかね

  • 公約?の「時限的に消費税を5%に減税。年収1000万円以下の所得税は実質免除に、」
    を実行したら国民の相当数が無税になるのでしょうね。財源は国債ですか。
    一庶民としてはやって欲しいものですが、でも、今は所得税より住民税や健康保険料の方がめちゃ高いので、あまり生活は楽にならないように思います。

  • 年収1000万位だと、大体1/4位控除されて、そのうち所得税は60万位。
    控除の1/4が、減る感じだと思います。

    それが1000万超えて、いきなり減税なしなら、940万の方が手取りが多くなる事になりますね。

    まあ、立民は言うだけだから、そこまでは考えていないでしょうね。

    • >940万の方が手取りが多くなる事になりますね。

      他にも、子だくさんの共働き年収1000万と独身900万は同じ扱いなのか?など、当然国民が気になる部分の理論や理屈を話さない「政策もどき」を乱発というのは「とりあえず政権交代」と言ってた過去とやっていることが同じ。

      「元・民主党」こと立憲民主党は、徹底して国民を馬鹿にしています。

    • 可能性としては
      年収1000万円の人は年収900万円に減らした方が子供増えるかもしれんけどね
      労働時間を減らして家事育児に時間を割くってことになるだろうから
      親が子供の勉強を見てあげる時間が取れたら塾に行く金も減らせるだろうから、1000万円を900万円にしたら金が無くて子供作れないってのも以外と少ないかも

  •  独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
    (そう自分に言い聞かせないと、素人が舞い上がってしまうので)
     民主党政権時代、子供手当を打ち出しましたが、結局、財源が確保できずに期待外れに終わりました。ならば立憲の減税案も、財源はどうするのでしょうか。子供手当での成功が忘れられないのでしょうか。(もちろん、立憲案が実現できれば、それに、こしたことはありません)
     もちろん、富裕税を言い出すかもしれませんが、問題は富裕者1人あたりの負担ではなく、その富裕税での税収の総額です。(富裕者の定義をどうするのかは分かりませんが、増税の対象になる人数よりも、(立憲案では)減税の対象になる人数の方が多いはずです。)
     駄文にて失礼しました。