先日の『鈴置論考、「日韓の」ではなく「韓国の」特殊性に言及』では、「日韓がうまく行かないのは日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊だからだ」とする考え方に触れたのですが、それを裏付けるような論考が、なんとロシア人から出て来ました。具体的には、米外交専門誌『ナショナル・インタレスト』に、韓国の大学で教鞭をとるロシア人が、ある論考を寄稿したのだそうです。
古森義久氏が在韓ロシア人の論考を紹介
古森義久氏といえば、産経新聞の「ワシントン駐在客員特派員」という肩書を持ち、米国からさまざまな情報を発信している人物のひとりです。
最近だと韓国に関する情報発信が多いようで、個人的印象に基づけば、やや韓国に対して「辛口」な視点が気になるものの、それでも米国のさまざまな専門誌などに目を通し、米国の話題をいち早く紹介してくれるという意味では、大変参考にさせていただいている次第です。
その古森氏が執筆した論考が本日、ウェブ評論サイト『JBプレス』に掲載されていました。
「韓国は偏狭で無責任な国家」在韓ロシア人学者が辛辣批判の理由/国際的活動は見せかけに過ぎず、外国人労働者に排他的
―――2021.8.11付 JBプレスより
リンク先記事は全部で約2000文字、ウェブページ換算で3ページ分であり、分量もさほど多くないのですんなりと読めると思います。
今回の論考で取り上げられているのは、米外交専門誌『ナショナル・インタレスト』(The National Interest)の7月末に刊行された最新号に掲載された、在韓ロシア人学者であるアンドレイ・ランコフ教授の『韓国・中級国家へ発展中?』と題された論文です。
古森氏によれば、ランコフ氏はこの論考で、韓国について、こう評価したのだそうです。
- 韓国はたしかにGDPでロシアに近く、軍事的にも国際的に高い地位にあり、中級国家と呼べる
- しかし、韓国の国際的な活動は断片的で「見せかけ」が多く、偏狭で国際的な責任感に欠ける国だ
- 韓国は自国から遠く離れた地域の出来事に関心を持たず、自国の周辺であっても直接的な利害関係がない問題には席にを見せようとしない
- 韓国は他の中級国家と異なり、周辺の国家との友好関係がない
…。
ずいぶんと、辛辣ですね。
原文を探してみた
古森氏は記事冒頭で、もし日本から「韓国は偏狭で国際的な責任感に欠ける国だ」という批判が表明されたら、「韓国側は猛反発し一切を否定するだろう」と指摘していますが、これを長年、韓国に居住するロシア人学者が発表したという点には大きな意義があるとも述べます。
細かい内容については、JBプレスの原文をご参照ください。
これについて気になり、原文を探してみたところ、次のようなリンクを発見しました。
South Korea: A Middle Power in the Making?
―――2021/07/31付 The National Interestより
著者欄には “Andrei Lankov” とありますので、おそらくこれが、古森氏の指摘したランコフ氏の論考なのでしょう。ただ、このランコフ氏の論考は非常に短く、単語数にして1000語弱に過ぎません(もしかすると、ウェブ媒体に掲載されているのは紙媒体の要約版なのかもしれませんが…)。
古森氏の指摘どおり、ランコフ氏は次のように主張しているようです。
“South Korea might have money and tools which are necessary for a middle power, but its society still lacks global vision and the sense of the global responsibilities.”
意訳すれば、「韓国はミドルパワー(中級国)にふさわしい経済力や軍事力などを身に着けているが、グローバルな視野と責任感を欠いている」、といったところでしょうか。
(※余談ですが、米国政府、欧米メディアなどが韓国を呼称する際、 “South Korea” という表現が一般的ですが、韓国からこの呼称に苦情を申し立てたという話題はあまり耳にしません。いずれにせよ、当ウェブサイトではこれを「南朝鮮」「南韓」などと訳すのではなく、できるだけ「韓国」と意訳するようにしています。)
「日韓の」、ではなく、「韓国の」特殊性
さて、ラブロフ氏が論考で主張した内容は、いったいどういうものでしょうか。
結論的にいえば、先ほどの古森氏が紹介したとおりです(リンク先記事の英文は比較的平易でもあるため、もしよろしければ原文を読んでみてください)。
具体的には、韓国人が「いまや自分たちをミドルパワーとみなし、それに応じて行動しようとしている」としつつも、スウェーデン、豪州、ポーランドなどと比較したところ、次のような特徴があると述べているのです。
“Unlike most (not all) middle powers it is not surrounded by sympathetic neighbors and allies—and partially it has itself to blame.”
「周囲の国が韓国と友好的ではない」、「そしてそのことは部分的に韓国自身にも責任がある」、という言い方ですね。
そのうえで、韓国にとっては本来ならば「良好な関係」であるべき「日本と台湾という2つの民主主義国」について、「関係は良好ではない」「韓国の正式な同盟国ですらない」と指摘したうえで、日本については次のように喝破します。
“The relations with Japan are marred with endless quarrels about the colonial past—far more intensive and emotional than most outsiders realize.”
「日本との関係については、植民地時代の過去に関するエンドレスな争いで傷つけられ、それは韓国国外の人が認識しているよりもはるかに集中的で感情的だ」、という指摘です。
また、台湾との関係については、「著しく遠い」としたうえで、その原因を「輸出主導で経済成長をしてきた韓国にとっての最大の貿易相手国である中国との関係の複雑化を恐れ」たためだと述べているのです。
では、その中国は韓国の「友人」なのでしょうか。あるいはロシアはどうでしょうか。
ランコフ氏は中露ともに韓国の「友人ではない」とし、とくに中国に対しては「台頭する巨大な隣国の陰で韓国の不快感は高まっている」、ロシアに対しては「韓国は敵意も行為も抱かず、冷淡な姿勢に徹している」などと述べています。
なかなか、辛辣ですね。
このあたり、当ウェブサイトでは昨年12月の『すべての国を友人にするシンガポールと敵に回す韓国』でも紹介したとおり、韓国が「全方位を敵に回している」とする仮説とも整合しているように思えてなりません。
いずれにせよ、こうした論考を読んでいると、「そもそも『日韓関係が』特殊なのではなく、『韓国が』特殊なのだ」、という、日本を代表する優れた韓国観察者である鈴置高史氏の指摘が脳裏によみがえってきます(『鈴置論考、「日韓の」ではなく「韓国の」特殊性に言及』等参照)。
「平気で約束を破り、堂々と他人を裏切る韓国と首脳会談を開こうとする国はまず出てこない。何を取りきめようが、すぐに反故にされるからです。日本と韓国がうまくいかない原因は『日韓関係の特殊性』ではなく『韓国の特殊性』にあるのです」。
このあたり、「日本は韓日関係の特殊性を理解し、韓国に配慮しなければならない」という主張が出て来たときには、そうした主張の妥当性を判断するひとつの材料として、認識しておく価値があるのではないかと思う次第です。
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台湾は韓国をひどく嫌っている。理由は韓国と中国が国交を開くときの、韓国の台湾に対する手のひらをかえすようなひどい仕打ちらしい。
日本の嫌韓の比ではないらしい。
数年前、勤務先の台北支店勤務の台湾人女性が研修で東京に来た際、彼女から「台湾人は韓国のことは大嫌い。」と言われて少々驚いた記憶があります。理由は?と聞くと「台湾を見下していて偉そうだし、約束は守らないし、嘘もつくから」「聞いている話だけど日本も同じ感情持っているんでしょ」とのことでした。彼女は色々と知っていて日本で携帯電話でSamsungの名前出すとまずいからGalaxyだけにして宣伝しているとまで行っていました。確かに事実ですが(笑)
米国では富士山や相撲取りのCMまでやっていると教えてあげれば良かったのにw
>直接的な利害関係がない問題には席にを見せようとしない
席に→責任だと思います。
この教授の論文は、基本的に正しいと思います。
一点気になるのは、中露との関係の部分くらい。
>「グローバルな視野と責任感に欠ける」
韓国の特徴を良く表している表現だと思います。
韓国は、韓国の井の中の視点でしか見ることが出来ません。そして国内外に「朝鮮脳デフォルト」について同調圧力をかけそれが受け入れられなければ相手を攻撃します。
責任感については、香港や台湾に対する姿勢を見れば分かると思います。
目先の利益を優先しますので、自分が巻き込まれなければ、米中だろうが日中だろうが潰しあって、韓国が反射利益を得られれば、良いのです。
更新ありがとうございます。
在韓ロシア人学者アンドレイ・ランコフ教授様、今頃気付かれましたか。いや、気付かないよりよっぽど良いです。但し『韓国・中級国家へ発展中?』のタイトルは少し的外れかと(笑)。『韓国をまともに相手する国など無い』です。
韓国にいらっしゃるならご存知でしょうが、「韓国は偏狭で無責任な国家」「国際的活動は見せかけに過ぎず、外国人労働者に排他的」その通り。同じ本貫のものにしかホンネを言いません。いや、自分さえ良ければ、国や一族などどうでもいいのです。
日本人には極端な反日性向で、侮日を行います。いや〜ロシア人にも理解者が出来て良かった(笑)。もうこれで北東アジアで友邦国など、まっったくナシです。
ヲチャーには有名なワジム・トカチェンコ氏の証言
https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20060402
https://www.dailymotion.com/video/x5jwzxd
本当なら著作権上、NHKアーカイブの公式動画を紹介したかったのですが、なんと配信していません。使えない会社だよなあ…。
>彼らは主体思想を教え込まれ、目的達成のためには、どんな手段を用いてもかまわないと考えているのです。
>自分の国のためなら、何をしても許されるのです。
>私は時折思います。
>このような人々と全く関わらない方がいいと。不用意に関わるとこちらが病気になり、傷つく事になります。
ここの”主体思想”を、なにか適当な主義に変えても、韓国にピッタリです。
>韓国の国際的な活動は断片的で「見せかけ」が多く、偏狭で国際的な責任感に欠ける国だ
*世界中で共有して欲しい認識ですね。権利だけ主張して責任を果たさない国。貰うもの貰うのまでが約束の国・・。
>『韓国・中級国家へ発展中?』
*韓国は、中進国化(アカくなってる)してるのかと・・。
本旨から外れますが、氏の"高齢化・人口減には外国移民の拒否は現実的ではない"=高齢化・人口減には移民をいれて解決するのがスタンダード、という認識が見て取れます。移民国のアメリカや、地続きで王家でも盛んに婚姻していたヨーロッパの方からすると、こうなるのでしょうか。
日本は言うまでもなく、朝鮮半島も土着の民族による国家だと思いますし、まして言語も独特。既存の社会が良くない方向も含めて変容するという意識は無いのかな。
仕方が無いのです。
韓国の世界には、遥か古代から隣りの中共との関係しかありません。
しかも儒教問題があり、どれだけ中共のマネができるかだけを頼りにしてきました。
中共と朝鮮はズッ友の関係であり、誰も引き剝がせないのです。
1900年頃から日本という悪党により、その関係を引き剥がされようとしましたが
日本の力が足りず、朝鮮と中共との関係を断ち切る事ができなかったのです。
儒教問題から中共以外との国は、未開の国となりますので、自然に下に見る事に
なります。
注)儒教問題=中共が親・朝鮮が子、他は未開の国
河野大臣が「ファイザー社、および 同社担当者とは良好な関係が保たれてる。日本の事情にも配慮していただいてる。」と いっていました。
嘘をつかない、約束を守る、お互いのことを配慮し最良の一致を目指す。河野大臣の成果の裏側には 日本、日本人の真摯なおこないの 積み重ねの結果と思います。
いっぽう かの国では 秘密の暴露、嘘をつく、契約は自分都合の解釈、恫喝当たり前 そして金払い悪い ですから。
企業としても最低限のおつきあい ということになるのでしょう。
日本はともかく 世界は許してくれませんよ。
モデルナは韓国に瓶詰と包装の下請けやらせるそうだが、それをやらせるにはワクチンの原液を韓国に渡さなければならない。だいじょうぶかな? すこしちょろまかして自分の国で使うとか。
こういう契約はあらかじめ一定の歩留を許容するから実際は1%の歩減りなのに2%でしたと報告して差額をもらう。
ロシアも本当に怖いのですが。
武力が無いところには常に上から目線だし、約束は守らないし、言う事は変わるし。
明確なのは自分の事には忠実、自己利益を常に求める事。
飜ってアメリカがWW2で日本を叩き、日米経済戦争で日本を叩き、国力を下げたおかげで
東アジアの安保への日本の役割が不完全になってしまった。
未だに自衛隊だし、日本学術会議(共産党主体の)が軍事研究反対で軍事力は低下中。
こんなに約束を守る文化を持った国は無いのになあ。
中国がこれより強くなったらアメリカは引き上げるかもしれないと思うこの頃です。
最近のアフガン撤退ニュースとか見てるとアメリカは旨味なくなったらしれっと引き上げそう。ベトナムもぐだぐだでやめちゃったし。一番いやなのは面倒を日本に押し付けてハシゴはずすパターン。日本は約束を守ったがゆえにハメられるやつ。
言えますね。こんな記事を見て、ロシアはモラルと責任感がある国だと気安く勘違いするバカな日本人が出ないことを祈ります。
>飜ってアメリカがWW2で日本を叩き、日米経済戦争で日本を叩き、国力を下げたおかげで東アジアの安保への日本の役割が不完全になってしまった。
おっしゃりたいことはすごくわかります。この世で味方につけて頼りになる国は、アメリカ、イギリス(英連邦)、日本くらいだと思います。アメリカはもっと日本を大切にすべき。そして日本ももっと主権国家として力をつけること。そして、もっとアピールして核兵器くらい持たせてもらうように努力しないと。このままでは周辺国に舐められっぱなしですよね。(神は自ら助くる者を助く・・です。反戦平和のみ唱えて国防の努力をしない国民を神は助けません。)