当ウェブサイトではまだ紹介したことがない書籍があります。クライブ・ハミルトン教授による、『目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画』(※日本語版は2020年5月9日・飛鳥新社刊行、山岡鉄秀監訳、奥山真司訳)です。そして、韓国メディア『朝鮮日報』(日本語版)には昨日、著者・ハミルトン教授に対するインタビュー記事が掲載されていました。当ウェブサイトで以前から紹介してきた論点と、微妙に見解が異なる部分もあるにせよ、一読する価値はありそうです。
目次
人間関係の延長で外交を見る
人間関係の4類型
「日本にとって韓国は必要な国か」。
これについては、普段から当ウェブサイトで何度も繰り返しテーマにしてきた論点のひとつです。
あくまでも一般論でいえば、隣国との関係は悪いよりも良好であった方が良いに決まっていますし、わが国が隣国と、「主権国家としてお互いに尊重し合い、ともに手を取り合い、未来に向かって発展していける」ような関係を築き上げることができれば、それは本当に幸せなことでしょう。
ただ、それと同時に注意したいのは、私たちがそれを望んでいたとしても、相手も同じように望んでいるとは限らない、という点です。
このあたりは、人間関係にたとえてみれば、大変によくわかります。
人間というのは不思議なもので、「頭では良好な関係を作らなければならないと理解していても、心情的には相手のことが好きになれない」、というケースは、往々にしてあります。
当ウェブサイトでよく例に挙げるのが、人間関係に関する4つのパターンです。
具体的には、その人のことを人間的に好きになれるかどうかという「好き・嫌い」軸と、とどうしても付き合わなければならないかどうかという「利害関係」軸を設けたときに、人間関係はざっくり、次の①~④のパターンに分けられる、ということです。
人間関係の4パターン
- ①その人のことが好き、利害関係上付き合う必要がある
- ②その人のことが嫌い、利害関係上付き合う必要がある
- ③その人のことが好き、利害関係上付き合う必要はない
- ④その人のことが嫌い、利害関係上付き合う必要はない
(【出所】著者作成)
②の関係、自分が我慢するしかないのか?
もちろん、これ以外にもパターンはあると思いますが(たとえば「好きでも嫌いでもない」、「利害関係上、付き合う必要があるともないとも言えない」、など)、ここでは単純化して考えてみたいので、人間関係にはこの4つのパターンしかないと仮定しましょう。
①~④のうち、最も困った関係が②であることは論を待たないでしょう。
利害関係上、その人との関係をどうしても構築しなければならないにも関わらず、どうしても人間的に相手のことを好きになれないというのですから。
この人間関係の典型例は、「職場の上司・先輩」であったり、「学校の先生」であったり、「嫌な親戚」であったり、と、さまざまなパターンが考えられます。そして、私見ですが、書店で売られる「人間関係」の書籍は、約99%がこの②のパターンを取り上げているのではないかと思います。
人間には感情がありますから、どうしても②のようなパターンができてしまうのは仕方がない話です。そして、この②のような人間関係を①のような関係に変えることができれば、本当に素晴らしい話です。
一般的に、「人間関係」の書籍を読むと、「自分がその相手に苦手意識を抱いている」理由がどこにあるのかを分析し、そこを克服するように努力しなさい、などと記載されていることが多いと思うのですが、これはこれでひとつの正論でしょう。
②の関係が「自然消滅」することもある!
ただ、人間関係については、②が④の関係に変わることもあります。
たとえば、それなりの規模の組織で働いていたら、「人事異動」というものがありますので、嫌な人物が自分の上司になったとしても、2~3年我慢すれば、上司か自分のどちらかが異動になり、「嫌でもおつき合いしなければならない関係」というものが消滅するかもしれません。
あるいは、嫌な人間が上司になったとしても、自分自身が頑張って成果を上げ、むしろ自分が昇格して上司・部下の関係が逆転する、というパターンもあるかもしれません。
すなわち、戦略論的な考え方からすれば、自分自身が②のような人間関係に巻き込まれた場合、②の関係で我慢するか、それともその関係を①に変えるか、④に変えるかが必要だ、というわけです。
そして、外交関係に関しても、これまた普段から申し上げているとおり、次の4つのパターンが考えられます。
外交関係の4パターン
- その国に対する国民感情が良く、国益上付き合う必要がある
- その国に対する国民感情が悪く、国益上付き合う必要がある
- その国に対する国民感情が良く、国益上付き合う必要はない
- その国に対する国民感情が悪く、国益上付き合う必要はない
(【出所】著者作成)
「国益」とあるのは、一般的には、「平和と繁栄」、もう少し専門的な言葉でいえば「軍事的利益と経済的利益」のことです。つまり、「その国と付き合うことで、軍事的にも経済的にもメリットがある」という相手国とは、ぜひともおつき合いする必要がある、ということです。
日露関係が重要な理由
ただし、国が人間の集合体である以上、国民感情というものもあります。
たとえば、わが国から相手国に対する国民感情が悪いのに、「国益」というだけの観点でその国とのお付き合いを深めようとすれば、国民は政府に対して不満を抱くかもしれません。
その典型例が、日露関係でしょう。
ロシアといえば石油などの資源が豊かな国とされ、シベリアには未開発の資源が多く眠っているとも指摘されますし、また、ロシアと良好な関係を築いておけば、軍事的安全保障の観点からも望ましいことは間違いないでしょう。
もっとも、日本国民のロシアに対する感情は、決して良いとはいえません。
内閣府が毎年実施し、発表する『外交に関する世論調査』によれば、ロシア(1989年以前はソ連)に対して「親しみを感じない」人が、「親しみを感じる」人を大きく上回っている状況が常態化していることがわかります(図表1)。
図表1 ロシアに親しみを感じるかどうか
(【出所】過去の『外交に関する世論調査』を参考に著者作成。「親しみを感じる・感じない」にはそれぞれ「どちらかというと」を合算している。なお、内閣府のオリジナルの調査では、2020年の調査についてはコロナ禍のために「調査方法が異なり、単純比較はできない」と注記されている点に注意)
もちろん、日本国民のロシアに対する感情が悪い理由には、さまざまなことが考えられますが、その最たるものは先の大戦末期、ソ連が対日宣戦布告し、火事場泥棒的に日本の領土、日本人の声明や財産を掠め取っていったことにあるでしょう。
ただ、残念ながら、日本には、ロシアと中国の双方を同時に敵に回すだけの余裕はありません。
現在のように中国の軍事的な存在感が高まっているなかで、ロシアとの関係まで極度に悪化させることは、できれば避けるべきでしょう。
個人的には、「未開発の資源が豊富なロシアと組むべきだ」、「シベリア鉄道で日欧を直結しよう」などの発想に対しては、かなり懐疑的です(※これについては『日本がシベリア鉄道よりもFOIPを重視するのも当然』などでも論じていますので、是非ともご参照ください)。
しかし、ロシアとの関係を「深入り」する必要はないものの、少なくとも「外相・防衛相の2+2会合」が数年に一度行われ、また、『ついに日韓ハイレベル防衛交流「ゼロ回」に=防衛白書』などでも述べた「ハイレベル防衛交流」などが例年開かれるくらいの関係は維持しておいて良いと思う次第です。
日韓関係の現状
やっぱり良好とはいえない日韓関係
さて、日韓関係については、以前から何度となく申し上げてきたとおり、一般には(2)、すなわち「その国に対する国民感情は良好とはいえないものの、国益上付き合う必要がある相手国」と認識されています。
このうち、日本国民の対韓感情が良好ではないことについては、先ほども紹介した『外交に関する世論調査』などからも明らかでしょう(図表2)。
図表2 韓国に親しみを感じるかどうか
(【出所】過去の『外交に関する世論調査』を参考に著者作成。「親しみを感じる・感じない」にはそれぞれ「どちらかというと」を合算している。なお、内閣府のオリジナルの調査では、2020年の調査についてはコロナ禍のために「調査方法が異なり、単純比較はできない」と注記されている点に注意)
しかし、それでも日本が韓国とおつき合いしなければならない理由としては、一般的には次の3つのことが唱えられているようです。
①一衣帯水論
韓国は同じアジアの国として、地理的にも近く、歴史的にも文化的にも深い関係を持っている。日韓両国は一衣帯水の関係にあり、切っても切れない関係にある。また、過去に日本は韓国を「植民地支配」するという加害者としての歴史を忘れてはならない。
②経済関係論
日韓経済は「ヒト、モノ、カネ」の面で密接に結びついており、日本企業の多くが韓国に進出する一方、韓国の産業も日本製の製造装置や部品、素材などに強く依存しており、経済的側面から、日韓両国は相互に重要な関係にある。
③朝鮮半島生命線説
韓国は地理的に見て日本に非常に近く、この地域が日本の敵対勢力に入れば、日本の安全保障に深刻な脅威をもたらす。だからこそ、日本はあらゆるコストを払ってでも、朝鮮半島を日本の友好国に引きとどめておかなければならない。
日本にとって韓国は必要?必要じゃない?
この①~③のうち、①についてはそもおも「国益上、日本が韓国を必要としている」理由にはなりませんので、無視しても良いと思います。
しかし、②、③については残念ながら、部分的には「正解」です。
とくに②に関しては、日韓間のサプライチェーン面での結びつきは(日中間ほどではないにせよ)強力ですし、実際、日本にとっての韓国は、貿易相手国としても、中国、米国に続く3番目の地位を長らく維持しています。
(※もっとも、『6月の輸出高も「台湾>韓国」:基調は定着するのか?』等でも述べたとおり、日本経済にとっての韓国の重要性はジワリと低下していますし、また、『国際金融統計から見える「ジワリ韓国から離れる日本」』でも述べたとおり、直接金融面での日韓のつながりは、隣国同士とは思えないほど希薄ですが…。)
また、③に関しても、少なくとも地理的な距離については事実ですし、また、現状で日本にとって最も重要な同盟相手国である米国が「日米韓3ヵ国連携」の枠組みを好んでおり、軍事面での「日韓断交」は、現状ではあり得ないと考えて良いでしょう。
もちろん、『外交青書:基本的価値の共有相手は韓国ではなく台湾だ』や『ついに日韓ハイレベル防衛交流「ゼロ回」に=防衛白書』などで議論したとおり、外交・軍事面における日韓関係は少しずつ疎遠になり始めているのですが、それでもまだまだ日韓関係は濃厚、というわけです。
韓国から見れば日本と米国には「多大な恩」
ところで、当ウェブサイトでは普段から、日本から見た日韓関係について議論することが多いと思います。
当ウェブサイトが「日本のウェブ評論サイト」である以上、これはある意味で当然のことではあるのですが、ただ、たまには視点を変えることもまた重要です。
じつは、韓国から見ても、日本との関係は欠かせません。
古今東西、あらゆる国家は「国民の生命と安全を守り、豊かに暮らしていける」ようにすることを目的に存在しており、それは韓国とて例外ではありません。
その韓国にとって、最も重視する相手国は、朝鮮戦争で北朝鮮から国土を取り返してくれ、一貫して同盟国として韓国を守ってくれている米国であり、資本、最新の技術などを非常に有利なかたちで韓国に提供し続けてくれた日本です。
韓国にとっては、まさに日本と米国こそが、「足を向けて寝てはならない」ほどお世話になっている国でもありますし、韓国が今後も安全と繁栄を確保し続けるためであれば、日本、米国との関係については絶対に傷つけてはならないはずでしょう。
このように考えていくならば、自称元徴用工問題や自称元慰安婦問題で日本を激怒させ、駐留経費問題や軍事演習縮小問題で米国をいら立たせる韓国の姿勢は、目的合理性の観点からみれば、非常に不思議ですらあります。
いうまでもなく、韓国に対して最大限の軍事的な圧迫を加えている国は北朝鮮であり、その北朝鮮をバックアップし、韓国を米国陣営から引き剥がそうと試みている国は中国です。
韓国が今後も安全と繁栄を確保し続けるためには、日米との友好国の地位を維持することが必須であるにも関わらず、むしろ中朝との関係を大切にし、日米との関係を積極的に悪化させようとしている韓国の外交姿勢は、本当に理解に苦しむものです。
ハミルトン教授のインタビュー
ただ、同じことを考えたのは、どうも当ウェブサイトだけではなかったようです。
韓国メディア『朝鮮日報』(日本語版)に昨日、こんなインタビュー記事が掲載されていました。
「中国におじけづき、惰弱な韓国の政治家たち…困難の末に勝ち取った自由と独立を守れるか」(1/3)
―――2021/08/08 07:02付 朝鮮日報日本語版より
「中国におじけづき、惰弱な韓国の政治家たち…困難の末に勝ち取った自由と独立を守れるか」(2/3)
―――2021/08/08 07:03付 朝鮮日報日本語版より
「中国におじけづき、惰弱な韓国の政治家たち…困難の末に勝ち取った自由と独立を守れるか」(3/3)
―――2021/08/08 07:04付 朝鮮日報日本語版より
全部で4000文字少々のインタビューです。
記事自体が3つに分割され、かつ、1つの記事が2ページに分割されており、全文を読むためには合計6回クリックしなければならないなど、非常に苛立ちが溜まる記事ではありますが、内容自体には一読の価値があると思います。
(※ただし、朝鮮日報の場合、記事公表から数日経過すると、記事自体が閲覧できなくなってようですので、もし内容を確認されるのであれば、早めにお願いします)
この記事は、『目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画』(※日本語版は2020年5月9日・飛鳥新社刊行、山岡鉄秀監訳、奥山真司訳)を執筆したクライブ・ハミルトン教授に対する単独インタビューです。
【参考】『目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画』
(【出所】アマゾンアフィリエイトリンクより)
中国共産党の恐怖
この書籍、当ウェブサイトではまだ取り上げていませんが、「中国共産党が組織的に推進してきた海外での影響力拡張の実態を、豪州の事例を通して赤裸々に暴いた書籍」とされ、「2018年に出版されたのち、米国の対米戦略修正に影響を与えた」などと記載されています。
そして、同著が今年6月、韓国国内でも翻訳出版されたらしく、本記事はそれを受けたハミルトン氏へのインタビュー、というわけです。
朝鮮日報によると、ハミルトン氏は中国共産党が「インフルエンサー」や「諜報工作員」などを動員し、相手国を「侵略している」と指摘しているのですが、それは韓国に関しても同じだ、というのです。
そのハミルトン氏は、開口一番、次のように指摘したのだとか。
「韓国の政治指導層は早々と中国におびえ、中国と米国の間で『戦略的あいまいさ』という惰弱な態度を保っている。韓国政府が、中国と緊密な関係を維持しつつ韓国の独立も守ることができると考えているとしたら、それは『危険な賭け』だ」。
韓国の「戦略的あいまいさ」と、それがもたらす危険性については、当ウェブサイトでもこれまで何度も議論してきたとおりですが、いきなりこれを指摘することができるとは、さすがです。
そのうえで、ハミルトン氏は「オーストラリアの事例をもとに、韓国人にアドバイスをするとしたら」と問われ、次のような趣旨の内容を答えました(※当ウェブサイト側にて内容を変えない範囲で表現を大きく修正しています)。
「韓国人が注目しなければならないのは、むしろ韓国内部で起きていることだ。中国共産党の基本戦略は、韓国の各機関の独立性を損なうことにより、中国に抵抗しようとする韓国の力を弱めることにある」。
このあたり、個人的には異論がないではありません。
べつに中国共産党がそうやらなくても、韓国は自ら中国に「投降」しているようにも見受けられるからです。
もっとも、ハミルトン教授の発言のなかに、「現在、韓国政府において民主主義と人権を擁護しようという意思を見いだすのは困難だ」とする趣旨のものもあるため、「本当の脅威から目を背けて逃げる」という韓国の本質については、ハミルトン氏はよく見抜いているのではないか、という気もします。
米韓同盟消滅は中国の利益
そして、ハミルトン氏の問題意識と韓国への苦言は、おそらく、次の点に集約されるのでしょう。
「中国は今、自らをアジアと太平洋におけるボス、すなわち覇権国と考えている。韓国や日本、台湾、オーストラリアなどは従属すべき部下と考えており、支配しようとしている」。
そうなると、中国の行動は、これらの国々を米国から引き剥がすことに注力されます。
幸いにして豪州や日本、台湾などは、こうした中国の邪悪で危険な試みに気付き、とくに日本は「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を前面に掲げて米豪印などを巻き込み、「クアッド」の協議体を発足させるなど、精力的に動いています。
しかし、韓国は、そうではありません。ハミルトン氏は次のように指摘します。
- 「韓国を含む外国の指導者らはしばしば、自分が何をしているのか分からないまま、北京を喜ばせてやることが本当に韓国や韓国国民の利益になると妄信している。だから北京が望むことを全て聞き入れてやっている」。
- 「韓国人が困難の内に実現した自由と独立が、今や親中政治家、財界エリート、世論形成者らによって売り渡されつつある。これら親中傾向のリーダーは韓国の自由と独立を大切なものと考えておらず、自分たちの富と政治権力、社会的影響力しか考えていない」。
なかなか、容赦ない指摘ですね。
まさに、経済という武器を使って脅し、米国陣営から離脱させるという中国共産党の試みが、(唯一?)成功しているのが韓国、ということではないでしょうか。
(※もっとも、韓国が謳歌している自由と独立は、「韓国人が困難のうちに実現したもの」ではなく、「米国と日本から与えられたもの」に過ぎないのですが、このあたりの認識については若干の甘さを感じます。)
本来、韓国にとって最も重要な国は日本
そのうえで、ハミルトン教授は日韓関係についても、次のように言及します。
「韓国人は、現在の中国のウイグル人権弾圧のような犯罪行為には鈍感で、70年以上も前の過去の戦争犯罪には極めて敏感だ。驚かされる。だが真実は、北東アジアを支配しようとする中国の野望を牽制できる韓国の同盟は日本だという点だ」。
大変に重要な指摘です。
中国共産党による現在進行形の人権弾圧にダンマリを決め込み、そのくせ(おそらくは捏造のたぐいである)「日帝の戦争犯罪」をでっち上げ、それを必死になって喧伝していること自体、韓国が自由主義国陣営の構成国である資格を持っている国なのかについての疑問を抱くには十分でしょう。
もっとも、このあたり、ハミルトン氏はこうした行動が中国共産党によるコントロールだ、と述べるのですが、当ウェブサイトとしてはその見解には同意しません。
どちらかといえば、米国の政治学者で米戦略国際問題研究所(CSIS)のシニアアドバイザーでもあるエドワード・ルトワック氏が『自滅する中国』(芙蓉書房出版、2013年7月24日第1刷発行、翻訳者は奥山真司氏)の234ページ目で述べた、こんな記述の方が合っている気がします。
「2011年12月14日には『従軍慰安婦』を表現する上品ぶった韓国人少女の像が日本大使館の向かい側で除幕された。<中略>これは韓国に全く脅威をもたらさない国を最も苛立たせるような行為であった。<中略>戦略面で現実逃避に走るのは<中略>、国際政治に携わる実務家たちの力や、同盟国としての影響力を損なうものだ。さらにいえば、これによって実際に脅威をもたらしている国に威嚇されやすくなってしまうのだ」(同P234)。
ただし、ハミルトン氏の書籍も、ルトワック氏の書籍も、いずれも奥山真司氏が翻訳に関わっていらっしゃるため、訳者である奥山氏の知見が今後、ハミルトン氏にもフィードバックされる可能性は、十分にあると思う次第です。
日韓関係再考は止むを得ない
もっとも、日韓関係に関係のない第三者である豪州人が、いくらこのように指摘し、韓国に対し「合理的に振る舞った方が良い」といくらアドバイスしたところで、当の韓国人が動かなければ、意味がありません。
実際、ありもしない歴史問題をでっち上げられるような相手国と「同盟」を結ぶのは非常に危険でもあります。
普段からさまざまな歴史問題を捏造し続けている国とのあいだで、もしも軍事同盟が締結されたとしても、肝心な場で裏切られるのは目に見えていますし、表向きは日米の同盟国でありながら、裏側で軍事機密等を中国や北朝鮮に流されているのではないかとの疑心暗鬼に駆られるのも、火を見るより明らかです。
こうしたなか、先ほどの「外交関係の4類型」では、日本にとっての韓国が「国益上は付き合わざるを得ないが、どうも国民感情的に好きになれない相手国だ」、という話を持ち出しました。
やはり、この状態が長続きするのは、よくありません。
日本国民の多くが「親しみを感じない」と考えている相手国との軍事・経済面での「同盟」は、ゆくゆくは日本国民の日本政府への信頼を失墜させるおそれもあります。
したがって、やはり今後の日本政府がやらなければならないことは、次の2つのいずれかです。
- (A)日本国民の多数が韓国に対し、親しみを持つように仕向ける
- (B)国益上、韓国と付き合わなくても問題がないような仕組みを設ける
(A)が先ほどの4類型でいう(1)、つまり「相手国への嫌悪感もなく、相手国との関係が軍事的にも経済的にも必要」という状態を作ることであり、(B)は逆に(4)、「相手国との付き合いが国益上も必要ではない」という状況を作ることです。
どちらが正しいか、当ウェブサイトとしては申し上げません。
ただ、一般に「無能な味方は有能な敵を上回る脅威だ」といわれている、という点については、指摘しておく価値くらいはあるでしょう。
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『目に見えぬ侵略支配計画』インタビュー記事冒頭の、
>「中国は韓国の学界や政界、、、、、、、諜報(ちょうほう)工作員も動員しています」
の文章中の[中国][中国の共産党][北京]を[韓国]に、[韓国]を[日本]に置き換えても同じことが言えそうですね。
「無能な味方は有能な敵を上回る脅威だ」は、肝に命じましょう♪
K国は反社会的組織なので「丁寧な無視」の徹底と「約束守れ」の一言で♪
ちなみに日本も、見事に「サイレントインベーション」されてますよね。
「マスゴミ」=A新聞、M新聞、T新聞、T○S、テレA、イラネッチK等多数
煽る国賊ワイドショー、PCR検査狂T川、オリンピック絶対反対S上等多数
2Fとかの政治家多数
>ちなみに日本も、見事に「サイレントインベーション」されてますよね。
問題は「誰が」サイレントインベーションしているかです。表面上は韓国ですが陰謀論的に考えると、韓国人気質を上手く利用した影の黒幕は中国かもしれません。中国が表面に立つと日本人の警戒を招くため、中国は韓国を通して日本をサイレントインベーションしている可能性があります。何といっても韓国の反日を利用する方が労力もコストも安くつきます。
以前騒動となったLINEのサーバーが韓国にあり中国人技術者がアクセスできるようになっていた件はその一端でしょう。いまだに是正されていないようですが。
匿名29号さま
親玉Cで、パシリKと考えてマス♪
ググると、C留学生逮捕、北海道等の土地買占め、怪しげな資金提供、
四国の廃校舎に怪しげな研修所ができたり、妙にBTS上げ&K国上げのマスゴミ、
(米国で排除中の)孔子学院による布教等々。
怖いのは、当人にそれと意識させず、知らないうちに協力させてるとか・・・
他国への影響力工作は、どの国もやっていることですが、、、
日本は、あまりにも無防備過ぎだと考えます。
p.s.
誤:サイレントインベーション
正:サイレントインベージョン
>もっとも、このあたり、ハミルトン氏はこうした行動が中国共産党によるコントロールだ、と述べるのですが、当ウェブサイトとしてはその見解には同意しません。
同意しないどころか有害だとして反対する必要があるのではないかと思います。
韓国は米中の覇権争いが米国の勝利に終わった時、「自分達韓国は、中国共産党によるコントロールを知らず知らずのうちに受けていただけで、何も悪くない。自分達は中国共産党による被害者である。」と主張する可能性が高いのではないかと。
クロワッサン様
同感です。
ハミルトン氏の韓国に対する考察は単純すぎますし、また日本やアメリカに危険をもたらすものだと思います。
韓国人自身の主体的責任を問わず、何でもかんでも中国共産党の責任にもっていくのは誤りでしょう。
当然ながら、中国の圧力や工作による影響はあるでしょうが、同時に米国に圧力や工作による影響もあるはすです。
数ある選択肢の中で、韓国人自身が主体的に選択した結果が今の状況なのです。
ハミルトン氏は、韓国人がお人好しで他国のコントロールをたやすく受ける、あたかも気の毒な善人であるかのように評価していますが、韓国人はそんな単純な人たちではありません。
韓国人の特性をしっかり見極めなければ、韓国人の国際法無視、日本への侮辱&事実無根の嘘の宣伝、等に対して免罪符を与え、東アジア安全保障戦略に悪影響を与えることになります。
ちなみに、このハミルトン氏の主張、ランバート国務次官補等の日米韓連携派の主張と同じ匂いがしますね、ヤレヤレタンジュンナハクジントイウモノハ。。
PONPON さん
ありがとうございます。
そうなんですよね、「気の毒な善人」あるいは「美しい被害者」ですね。
韓国はスルスル〜っと被害者ポジションに回り込もうとするので、そうさせない為にしっかり枷を嵌めないと。
PONPON様
>韓国人はそんな単純な人たちではありません。
そう。日本の敗戦を奇貨として手に入れたタナボタ式の独立を、上海あたりでとぐろを巻いてた少人数の「臨時政府」なる連中の独立運動の成果と言い換え、クニの起源としちゃう、便利この上ない脳内変換能力をもつカノ国のことですから、日米中が束になっても、彼らの「独立」を脅かすことなんて起きっこないんでしょう。
その意味では「希有な人たち」というべきなんでしょうね。
>ヤレヤレタンジュンナハクジントイウモノハ
上の論旨からして、この評価はちょっと酷かも。
白人ならずとも、こんな民族性があり得るなんて、誰も考えませんよ(笑)。
伊江太様
>白人ならずとも、こんな民族性があり得るなんて、誰も考えませんよ(笑)。
そうですね、しかし政府や専門家クラスの人達にはいずれ理解して欲しいです、現実的には日本が韓国の事実を訴え続けるしかないのでしょうが。
まさかまさかと笑って否定する欧米民主主義国家の要人に対して。。
見解については韓国内向けのインタビューって部分もあるんじゃない?
あまり図星を書くと受け入れられないし、下手すると掲載しないかもよ。
名無しのPCパーツ さん
うーん、その結果が「韓国の施政者層の問題であり、施政者を選出した韓国民の問題ではない」的な内容になるのもなぁという。
図星過ぎる箇所は、記者が記事にしない手もあるでしょうし。
届きますが、「右から左に素通り」でしょう。
或いは「馬耳東風」かな?
「朝鮮脳」に認識出来るのは「朝鮮半島型思考回路」の前提と結論を脅かさないモノのみです。
野 様
右から左なら、一瞬でも頭の中を通るんで、何らかの痕跡が残ることもあります。
風呂に入ってる時に「トイレの電気を消し忘れてる」のを思い出したりするアレです。
彼の国の場合、右から右、ではないかと・・・
> 右から左なら、一瞬でも頭の中を通るんで、何らかの痕跡が残ることもあります。
ニュートリノ的なナニカでしょうか?
いや、ニュートリノなら素通りして痕跡が残りませんね。
宗主国様からの指令なら届くけれども、オージーごときが何を言おうとも届かないとなると、中を通過するのではなく、ATフィールドにおいて崩壊してしまう粒子なのかもしれません。
例を挙げると、ある年齢以上の方々には15KHzの高音が聞こえないように、或いは、強度の近視の方々には視力表の上部さえ読めないように、『物理的に音波や光波の情報が届いても、一部の方々ではそれを脳が認識出来ない』と言う事があります。
朝鮮半島の住民の方々の場合、それは「朝鮮半島の民族は世界一優秀であり、絶対善であり、正義である」と言う信条に反する情報は見えないし聞こえないし理解認識不能であると言う事です。
これは地政学や民俗学・歴史学で扱うよりも精神病理学で扱うべき事項かも知れません。
野 さま
『日本に対して、国益上付き合う必要がある。』という説に対して
韓国人は、「なに、それ?? 反日より楽しいの?」という感じでは?
結局、「反日は、韓国人の生きがいニダー。やめられない、止まらない。」
で、終わりだと思います。
この本、そもそも朝鮮語に翻訳されてるの?
sqsqさま
朝鮮日報の記事に以下の記載があります。
「6月に韓国国内でも翻訳出版された『目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画』(原題:Silent Invasion)」
原文をあたると、少数の工作員コメント&肯定的コメントもついてますよ♪
朝鮮日報の記事内に『6月に韓国国内でも翻訳出版された』とあります。
こういうのを翻訳出版する会社があるのですね!
何のためにしてるんでしょう?
記事更新ありがとうございます。当該記事の中国の動きは先日の王毅外相の発言(東アジアの経済統合、そのためのロードマップをASEAN、日本、韓国、豪州"が"出さなくてはならない)とも符合しますね。
インタビュー記事を読むと、朝鮮日報の記者の質問が極めてレベルが低い(読み手にそういう風に分かりやすく見せているだけならいいが)というのにガッカリさせられます。まさしく現在の韓国人思考の持ち主です。
ハミルトン教授は「韓国政府において民主主義と人権を擁護しようという意思を見いだすのは困難」。まずはこの一言でまとめられますね。次いで、
「豪州としては自由と民主主義の米国と、中国との関係は本質的に違う」
「韓国人の親中リーダーは自国民の自由と独立を大切なものと考えておらず、自分の富と政治権力、社会的影響力しか考えていない」
「韓国人は、中国のウイグル人権弾圧のような犯罪行為には鈍感で、70年以上も前の対日戦争犯罪には極めて敏感だ。驚かされる」。
ハイ、仰る通りです。76年前迄は敵国だった豪、米、英、仏らとは友邦国になりましたし、FOIPも対中牽制を見込んで作りました。
朝鮮半島だけが未開国並みの約束破りの嘘つきで、経済的結びつきも低下傾向、「外交関係の4パターン」で言う④に入るでしょう。友邦国には成り得ません。
日本は米国にも注意が必要です。
1972年のニクソン訪中以前は調度今のような空気で米中が対立、そして日本は米国にハシゴを外されたようにニクソン訪中で和解。日本はニクソンの訪中を知らなかったそうですね。
米国は日韓の対立の裏で仲裁という漁夫の利を得てきました。対立させて武器を売ったり仲裁で利益を得る事は米国の得意とする政治戦略でもあります。
日本はニクソン・毛沢東会談を教訓に、いつ米国にハシゴを外されても良いように警戒しておく必要があります。
米国にとって中国は必要か?という視点の論考も聞いてみたい所です。
まったくその通りだと思います。
私も昨日当該の朝鮮日報の記事を読み、クライブ・ハミルトン博士とはどのような人物なのかを調べたところです。すると興味深い部分に辿り着きました。ハミルトン博士が博士号を取得した際の論文のテーマは「韓国の発展の一般均衡モデル」だったようです。1984年英国のサセックス大学開発研究所にて取得したとか。
いかなる経緯でこのテーマを選択したのかまでは判りませんが、なにかしら韓国とはゆかりのある人物なのかもしれません。
近頃地政学なるモノに興味が湧いてきて関連図書をあれこれ物色しているところだったので、奥山真司氏のことも実は視野に入っておりました。地政学関連の著書や翻訳も数多く上梓されておられるようですし、全てと行かずとも何冊かは読んでみようかと思っています。
ただ、オーストラリアの知識人層の中には未だに親中国的な勢力もいるらしく、ハミルトン博士が『目に見えぬ侵略-中国のオーストラリア支配計画-』を執筆した事を公然と批判しているとのこと。そういった人たちからは「ハミルトンは突然右翼になったようだ。彼に何が起きたんだ」という声も上がっているようですし、人種差別主義者あるいは中国恐怖症などという的外れな非難も起きているそうです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%83%9F%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%B3
ひょっとすると中国におじけづき惰弱になっているのは、韓国人だけではないのかもしれません。
オーストラリア教授の声は、聞こえなくはないんだろうけど、影響されたりはしないのかと。
彼らの思考に選択の余地はなく、水が高いところから低いところに流れる 自然の摂理のように「より強くより得な」方向へとオートマチックに流されてるのに過ぎないからです。
どっちつかずのまま、のらりくらりと 狡猾に反射利益を得ることしか考えてないんですものね。
私もその考えに同感です。
彼等にとって自分の考えというのは自分だけの利益と同義語だと思っています。