「この飲食店は偽名を使い、電話で大量注文、大量予約できてしまう。実際に記者自身も偽名で100人分の料理を注文したところ、注文は通ってしまった。なお、現在はその注文はキャンセルしている」。そんな記事を読むと、驚く人が多いのではないでしょうか。ただ、世の中には「驚かない人」もいることは間違いありません。実際にそのような記事が掲載されたのですから。
毎日新聞と『アエラドット』のこんな報道
東京23区と大阪市の住民を対象に17日に始まった新型コロナウィルスワクチンの高齢者向け大規模集団接種のウェブ予約を巡り、毎日新聞デジタルに17日付で、こんな記事が掲載されていました。
大規模接種ウェブ予約 架空の数字で登録可 券番号も、年齢も
―――2021/5/17 20:35付 毎日新聞デジタル日本語版より
これは、ウェブ予約システム上、「実際の接種券に記載されていない架空の数字を入力しても予約ができることを、毎日新聞記者が複数の数字で確認した」、とする記事です。
「記者が防衛省のウェブサイトから、架空の市区町村コードに加え、架空の接種券番号の10桁の数字を入力すると、手順が進んで接種会場と時間帯の指定ができ、予約が完了した」。
いちおう、記事によれば、記者自身が試した予約は「すでにキャンセルした」ということだそうですが、これを受けて毎日新聞は、「この方法で何枠も予約が取れるとみられ、実際に接種を希望する人が、望んだ日時に受けられない可能性もある」などと指摘しています。
また、朝日新聞系のウェブサイト『AERA.dot(アエラドット)』には、同じく17日付でこんな記事も掲載されています。
【独自】「誰でも何度でも予約可能」ワクチン大規模接種東京センターの予約システムに重大欠陥
―――2021.5.17 17:03付 AERA.dotより
リンク先記事にも、こんな記述があります。
「AERAdot.編集部は裏付けを取るべく実際の予約システムで確認してみた。(中略)AERAdot.編集部で東京の予約サイトで試してみると、6桁の市区町村コードには『654321』、10桁の接種券番号には『9876543210』と適当に番号を入力。生年月日も『1956年1月1日』と適当に入力したところ、そのまま進めて、5月29日8時から予約が取れてしまった」。
…。
これは、じつに深刻な欠陥でしょう。
ちなみに『アエラドット』の方の記事では、市区町村コード「555555」、接種券番号「4444444444」、生年月日「1954年1月1日」で「念のため、もう一度、予約をしてみた」などとする記述がありますが、この架空予約でも「5月30日16時30分からの枠」を抑えることができてしまったそうです。
そのうえで、次のような記述もあります。
「6桁、10桁未満だとエラーが出たが、それを満たせば予約が取れるというセキュリティ上の“欠陥”があるのだ。(編集部で取った予約は現時点でキャンセルしている)」
そして、このような欠陥が存在することは、防衛省自身が認めているようです。先ほど示した毎日新聞の方の記事によると、防衛省は今回の予約システムでは接種券番号の情報とリンクしておらず、デタラメな番号でも予約ができてしまう、ということらしいのです。
新聞社や出版社がそれをして良いのでしょうか?
ただ、毎日新聞の記事には、こんな記述もあります。
「同省人事教育局の担当者は『入力する人の善意に頼ったシンプルな予約システム。いたずらで予約されては本来必要な人の予約が取れず、ワクチン接種ができなくなる。絶対にやめてほしい』と呼び掛けている」。
要するに、「1日100万人接種」という目標を達成すべく、「入力する人の善意に頼ったシステム」を急造した、ということでしょう。
では、防衛省自身はこれについてどう考えているのでしょうか。
この両記事に岸信夫防衛大臣自身が、ツイッターで次のように反応しました。
岸信夫
自衛隊大規模接種センター予約の報道について。
今回、朝日新聞出版AERAドット及び毎日新聞の記者が不正な手段により予約を実施した行為は、本来のワクチン接種を希望する65歳以上の方の接種機会を奪い、貴重なワクチンそのものが無駄になりかねない極めて悪質な行為です。
―――2021年5月18日 8:49付 ツイッターより
つまり、取材活動とはいえ、また、予約を「キャンセルした」とはいえ、実際に両社の記者は不正な手段での予約を実行したわけです(記事にハッキリそう書いてあります)。この行為に対し、岸防衛相は「極めて悪質な行為」と怒りをあらわにした、というわけです。
岸防衛相の説明
これに関する岸防衛相のツイッター上での発言の続きを、リンクではなく文章の形で示しておきましょう。
「両社には防衛省から厳重に抗議いたします。不正な手段でのワクチン接種の予約は、本当に希望する方の機会を喪失し、ワクチンが無駄になりかねないと同時に、この国難ともいうべき状況で懸命に対応にあたる部隊の士気を下げ、現場の混乱を招くことにも繋がります」。
この点は、岸防衛相の指摘どおりでしょう。
未曽有の国難にあって、国民が一丸となってコロナ禍に対処しなければならない中で、両社の取材活動が結果として「本当に摂取を必要としている人」からの予約枠を奪うことにつながりかねないのであれば、それこそ現場の士気を下げ、混乱を招きかねません。
ただ、不正な手段を許すシステムを組んだことについて、防衛省に責任はないのでしょうか。予約入力段階で予約番号と照合するシステムを、なぜ防衛省は最初から組まなかったのでしょうか。
岸防衛相は、次のように続けます。
「本センターの予約システムで、不正な手段による虚偽予約を完全に防止する為には、全市長区町村が管理する接種券番号を含む個人情報を予め防衛省が把握し、予約番号と照合する必要があり、実施まで短期間等の観点から困難かつ、全国民の個人情報を防衛省が把握する事は適切でないと判断いたしました」。
つまり、短期間で一気に接種をしなければならないという政府の方針を達成すべく、時間との兼ね合いでシンプルなシステムとせざるを得なかった、ということです。
当たり前の話ですが、ちゃんとしたシステムを組み立てるためには、それなりの時間とカネが掛かりますし、また、そのためにはシステムを運用するうえで必要となる個人情報を防衛省が把握し、管理しなければならないわけです。
個人的に、これらの説明を聞けば、防衛省が時間やコストなどとの兼ね合いで、「人々の善意に依存したシンプルなシステムを組まざるを得なかった」という点について、非常にすっきりと納得がいきました(読者の皆さまはいかがでしょうか?)。
セキュリティホールをくぐる取材手法、おかしくないですか?
ただ、個人的に注目したいのは、岸防衛相の次のような発言です。
「他方、今回ご指摘の点は真摯に受け止め、市区町村コードが真正な情報である事が確認できるようにする等、対応可能な範囲で改修を検討してまいります」。
間接的に、「毎日新聞や『アエラドット』の報道などのせいで、余計な仕事ができた」、という皮肉にも聞こえますね。
それはさておき、シンプルに考えて、「システムに問題があるということを社会に知らしめる」と言いながら、実際にそれをやってみるというのは、いかがなものでしょうか。
セキュリティホールが出来ているのは確かにシステムを組んだ防衛省側の責任かもしれませんが、そのセキュリティホールを実際に通る方法を試し、開示した行為自体が、正当な取材活動と呼べるのかどうかは極めて疑問です。
「このビルの非常火災警報装置は誰の手にも届くところにあって、子供がイタズラで押してしまうかもしれない」と指摘する記事があっても良いとは思いますが、「記者も実際に押してみたら、簡単に押せてしまった」、などといわれると、それはそれで奇妙です。
あるいは、「利用者の善意に頼ったシステム」という観点からは、こんなたとえ話もあるかもしれません。
「電話で大量注文、大量予約できてしまう飲食店が、無断キャンセルされたとしても、本人確認や前払いを要求しなかった側が悪い」。
この場合も、たしかに悩ましい問題です。ですが、次のように書き換えたらどうでしょうか。
「この飲食店は偽名を使い、電話で大量注文、大量予約できてしまう。実際に記者自身も偽名で100人分の料理を注文したところ、注文は通ってしまった。なお、現在はその注文はキャンセルしている」。
こんな記事を掲載したら、その新聞社や雑誌社に対し、多くの人は眉を顰めるのではないかと思えてならないのですが、いかがでしょうか。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ちなみにインターネット上を眺めていると、2003年、日本の某新聞社の写真部記者(当時)が「記念品」として持ち帰ろうとしたクラスター爆弾の不発弾がヨルダンの空港で爆発し、この記者のせいで尊い1名の命が失われた事件を指摘する声もありました。
「日本のマスメディア業界の職業倫理」がどうなっているのか、いちど本腰を入れて研究してみても面白いかもしれませんね。
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平常時ならともかく、コロナワクチンをリスクの高い高齢者に接種するためという非常事態にこんなふざけたマネをするとは本当、クズですよね。もし、システム構築にたっぷりと時間をかければ遅い遅いと野党を¥と一緒に批判するでしょう。枝野の発言も本当、日本を貶めることしか考えてません。こんな連中は、有害で存在意義はありません。
> 平常時ならともかく
何でそういう発想になるの?
平常時でもダメなものがダメです。
取材によりセキュリティーホールを突くアタック方法を知った記者が、そのアタック方法が有効である事を確認する為に、実際にアタックした、という話なんですよ。
元スリ犯を取材して、スリテクニックを知った記者が、街中で財布をスッて確認した、という話と変わらん。
スッた財布を後刻返したら、免罪されるというものではなかろう。
こんなの許したら、日本の原発がテロに弱い事を確認する為に、ロケット弾を撃ち込んでみたなんてのも報道の為なら正当化されかねない。
毎日の御仕事御疲れ様です。
今回の両新聞社の行いは迷惑行為にとどまらず、手順まで公開した事で反社会的反政府的な騒動にならなければよいのですが。立憲〇主党とかプロ市〇団体とかが改善されたか確認と称して実施しそうに思えます
私は海外からのアクセスが心配ですね。
システムにセキュリティ上の問題があることを掘り起こすことは重要ですが、やり方が国防省のシステムに侵入してみせるハッカーと同程度の倫理観しか持っていません。キャンセルしたからいいだろうというのは、盗みを働いておいて盗品を返したから無罪であると言うのと同じでないですか。
既にネットニュースのコメント欄で指摘されていますが、本件は防衛省側が毎日新聞やアエラ編集部を偽計業務妨害で刑事告発すべき案件ですね。
具体的な手口やその際の注意点まで細かく公表して業務妨害(それも、妨害行為の結果として、妨害がなければ接種を受けられて助かったはずの高齢者の命が妨害によって接種を受けられず失われかねないという人命の懸かった妨害)を助長する行為に対して、「告発したら左翼から『不良の責任を転嫁する言論封殺行為だ』と批判される」リスクを恐れて泣き寝入りしてはなりません。
相手が報道機関であろうと違法行為という悪事をすればきちんと責任を取らせて罪を償わせる、これが法治というものです。
全く お説の通りです。
コレね、実際に偽予約入れるバカが発生した場合、
ギケーギョームボーガイか或いはソノ教唆、または幇助に問えるノデハナイカナ~と夢想苦スキー
偽予約入れたバカが出た場合、被害届提出からのバカ確保からの~…ナイか~
この「事件」が、左巻きオールドメディア没落の決定打となることを願います。
そのためにも、政府は「言論封殺」などという左翼の世迷い事を恐れず、本件を偽計業務妨害として刑事告発して裁判という公開の場で、今回のAERA.dotや毎日新聞の記事の書き手が報道に名を借りて行った行為と詳細な手口の公表が、全く赤の他人の生命を脅かしかけない犯罪行為を助長するものであることを、そして今回の「報道」という名の犯罪行為を擁護するマスコミ人らが如何に社会常識からかけ離れた「業界常識」に染まっているかを、全ての日本国民の眼に曝してもらうことが不可欠です。
高齢者が必死にワクチン予約で苦労している中、これら左翼メディアのやらかした行為によりワクチン予約を取得できなかった人はいると思います。はっきり言って言語道断であり、人の生命に関わる大事件では無いですか?
彼らは真実を追求するとか言っているけど、真実って人の生存権を妨害してでも追求すべきものですか?左翼は人命を軽く考える傾向にある。それは教条主義と机上の空論(正確には空想的か)による国家運営システムを構築しようと思うから人命は2の次になる。
これら左翼系オールドメディアの没落はすでに始まっているとは思いますが、決定打になることを私も期待しています。
※以前通りすがりとして時折投稿していましたが、他にも同じ名前の方がおられるので変えました。
餌があったから飛びついてしまったと胸に手を当てて正直に白状しなさい。
別記事のコメントと被りますが、当該出版社と新聞社は、この種の"ハッキング情報"を掲載する無線生活雑誌と同レベルだったんだなぁと思いました。
生活雑誌、ライフ、radio ... (関係者にしか通じない投稿すみません)
通じましたw
はにわファクトリー様
Sky様
判ってもらえて嬉しいです(^o^)
>「システムに問題があるということを社会に知らしめる」
社会に知らしめる必要があるのでしょうか?
愉快犯にやり方を教えるためでしょうか?
システムに問題があり改善を促すためなら記事にせず防衛庁に連絡すればよいだけです。
たまたま記者が65歳以上で予約中に偶然問題点を見つけたのなら問題ないですが、あら捜しのために何度もトライしたのなら他の予約者の機会を奪ったと非難されても仕方ありません。
善意の皮をかぶってむしろ悪戯が容易なことを拡散して政策を失敗させたいのでしょうね。
システムに重大な欠陥がある、と批判しても悪用はしない、それが普通の人間です。
記者だから何しても良いと思うな。