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文在寅氏のメッセージは対米働きかけのため=中央日報

そもそも「今月12日に、菅義偉総理大臣が朴智元(ぼく・ちげん)韓国国家情報院長と会い、文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領からの『口頭親書』を受け取った」とする韓国メディアの報道が性格なのかどうかという点もさることながら、韓国側が現在の日韓関係に関する具体的問題点やその解決方法になにも言及していない時点で、何か意味があるようにも思えないのです。

「口頭親書」?「本当にあったのか?」ツッコミどころだらけの報道

先日の『「文在寅氏の関係改善提案に菅総理が前向き」=韓国紙』では、こんな話題を紹介しました。

14日付の韓国メディア『ハンギョレ新聞』(日本語版)によれば、菅義偉総理大臣は12日、訪日中の朴智元(ぼく・ちげん)韓国国家情報院長と会い、文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領からの口頭親書を受け取った」。

ちなみにハンギョレ新聞によると、その「口頭親書」(?)とやらには「両国の協力と関係改善を希望する」という内容が含まれていたそうであり、これに菅総理側も「うまくやっていこう」と前向きな反応を示した、などと付記しています。

インターネット上の一般読者の反応などを眺めていると、この「口頭親書」ないし「口頭書簡」という表現に対する違和感もさることながら、「ガースー(※)が本当にそんなことを言ったのか」、といった疑念も出ているようです(※「ガースー」とは、菅義偉総理大臣のネット上の愛称のこと)。

というよりも、そもそも論として、「菅総理と朴智元氏が12日に首相官邸で会った」などとする情報は朝日新聞も伝えていますが、ただ、情報源の多くは韓国メディアであり、日本側の報道だと、そのような事実は確認できません(たとえば時事通信の5月12日付『首相動静』など)。

もちろん、当ウェブサイトとしては、「菅総理・朴智元氏の会談が行われた」という事実そのものが「ウソだ」と断定するつもりはありません。

しかし、「菅総理が本当に朴智元氏の『口頭親書』を受け取ったのか」という点もさることながら、「菅総理が韓国側高官と面会したかどうかを日本政府が公式発表しない」という事実にこそ、日本側の強いメッセージが含まれているように思えてなりません。

先日申し上げた、韓国メディアの報道に対する「怪しさ満点」という感想は、こうした違和感に由来している、というわけです。

懲りない韓国メディア:「口頭メッセージは日米に向けたメッセージ」

それなのに、韓国メディア『中央日報』(日本語版)には昨日、こんな記事も掲載されていました。

文大統領の「口頭メッセージ」、日米「一石二鳥」効果を得られるのか

―――2021.05.15 10:37付 中央日報日本語版より

先日のハンギョレ新聞の「口頭書簡」という表現は、中央日報の記事では「口頭メッセージ」とされていますが、「朴智元氏が12日、菅総理に伝えた」という部分に関しては、当然の事実として取り扱われているフシがあります。

その時点で怪しい限りですが、内容もなかなかぶっ飛んでいます。

この文在寅氏の「口頭メッセージ」には、「韓日関係がこのままではいけない」という内容とともに、「首脳間の対話を通じて局面を転換を図ろうという提案」が「あったという」、としたうえで、このメッセージ自体が「」日本と米国を同時に念頭に置いたものと分析される」と総括しています。

中央日報によると、「特に両国間の対立局面を緩和し、文大統領が先に対話の提案をすることは、それ自体だけでも韓日対立局面の解消に韓国が過去に比べて積極的に取り組んでいるという対米ジェスチャーとなる」んだそうですよ。

もし文在寅氏の「口頭親書」(?)とやらが、本当に菅総理に伝達されていたとしましょう。どうしてこれが「韓日関係対立局面の改善に韓国が積極的に取り組んでいるとする対米ジェスチャーとなる」のか、いや、どうして中央日報の記者がそう思っているのか、本気で理解できません。

具体的に現在の日韓関係のなにがどう問題で、それを具体的にどう解決していくつもりなのか、その点に言及せず、たんに「首脳会談をやろう」だと具体的提案とは言えないからです。

(※どうでも良いことかもしれませんが、韓国メディアに「分析される」といった表現が出るときは、本当の意味で「分析」をしているのではなく、「その記事を執筆した人の思い込みではないか」と思ってしまうのは、ここだけの話です。)

日韓関係は「悪化」といえるのか?

いずれにせよ、日韓両国政府間で円滑な意思疎通が行われていないことは間違いないにせよ、これは単純に、韓国側の「無茶」を日本側が取り合わなくなっただけのことなのかもしれない、と思う次第です。

人間関係においても、そもそも「おかしなことを述べる人を相手にしなくなる」という状態を「関係悪化」と形容することはありません。その意味で、現在の日韓関係が「悪化している」といえるのかについては、やや疑問でもある、というわけです。

なお、韓国メディアの週末の報道に関して、ほかにも申し上げたい「違和感」はいくつかあるのですが、そのあたりについてはまた日を改めて、じっくり紹介したいと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (28)

  • 韓国は、米韓首脳会談を前に「いい子の韓国」を演出しているに過ぎません。
    日韓関係改善、THAADミサイル配備など、アメリカに怒られそうな事を改善しているポーズを見せて、怒られることを減らす、怒られた時の口実を作って、首脳会談で得るものを多くしようとしているのです。
    まあ、何を韓国政府が何するかよりも、サムソンが工場をアメリカに作る方が、バイデン大統領にとっては、価値があると思います。

  • 次期某の入国、「呼びかけ」、「和解の」メッセージ、「口頭親書」配達

    共通するものがあると感じられます。
    ・瀬戸際「外交」あるいは
    ・断殺魔の悲鳴
    まだまだ先がありそうですね。

  •  独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
    (というより、素人の素朴な疑問なので)
     韓国が、アメリカに「日韓関係改善に取り組んでいる」と見せようとしても、韓国側の発表だけ、(つまり、ここでは日本側の発表がなければ)アメリカ政府も、そのような事実かあったのか疑うのではないでしょうか。
     蛇足ですが、なぜ、朝日新聞は(韓国メディアからの引用だけでなく)総理官邸に、そのような事実があったのか、質問しないのでしょうか。
     駄文にて失礼しました。

  • 「やってますアピールが有効だ!」なんて、臆面もなく言えちゃうんですね。
    教育的指導なんかでは済ませて欲しくないですね・・。

  • 半島政府にとって、「口頭親書」は都合がいいでしょうね。
    自国民に対しては、「そんなことは言っていない。日本政府の捏造だ。」と言い繕えますものね。

    そもそも、「口頭親書」なんて言い方があるのかどうか。

  • >・・・韓国が過去に比べて積極的に取り組んでいるという対米ジェスチャーとなる」

    ここで真意をバラしたらダメじゃないですかね。
    中央日報は文政権の邪魔をしようとしてるんですよ。(ウソです。そんな深謀遠慮はありません)

    「口頭親書」も親書を受け取ってもらえない関係であると言ってるだけです。

    何をしたいのか、言いたいのかわからないのはいつものことです。
    平和な日常です。

  • 『口頭親書』
    『口頭』なのに『親書』って、早く『人間』になりたいと願っている『妖怪人間』よりも奇怪な表現に感じるのは私だけ?
    いずれにしても、物的証拠の残らない『口頭』をずる賢く使う能力に長けた韓国政府にはくれぐれも細心の注意と常なる準備を怠らないことを日本政府には願いたい。
    韓国の現国情院長は北のエージェントとまで囁かれる人間だけに特に要注意。

  • >日韓関係は「悪化」
    なんとなくですが「サスペンデッド」という感じだと思います。
    一時停止中、宙ぶらりん状態、というか。
    それは、たぶん、日本があえてそういう状態にしている、と思います。
    韓国のやっている、やったことは、国交断絶級の噴飯ものなことばかりですが、あえて取り合わず、生あたたかく眺めているだけ。
    それでも日本は特に困らないし、対中国や台湾関係などなど、他に重要な問題が山積ですし。
    対韓国の、優先度がかなり低くなった、ということでしょうか。

  • これだけ言っていることとやっていることが全く逆((例えばいくら関係改善のメッセージを伝えたとしても、福島第一原発の処理水の海洋放出について、火のないところに煙を立てて中南米諸国を巻き込んでケンカを売っています。)で、この状況を舌先三寸で取り繕って米国も日本もそれで騙されると思っているのでしょうか?米国も日本も「飴玉あげるからいい子にしててね。」というママの言葉に騙される3歳児ではありません。いや、3歳児だって約束を守ったのにママが飴玉をくれなかったら怒り狂いますよ。

  • やはり朴智元(ぼく・ちげん)韓国国家情報院長などという訳の分からぬ御仁に
    面会する事自体が、日本の国益に反する結果となり得るリスクを十分認識していたに
    もかかわらず面会してしまった(?)事に危うさを感じるし、又、脇の甘さを感じます。

    • キタロー様

      相手は嘘と約束破りの常習犯。
      会ったにしろ、会わなかったにしろ、日本政府がノーコメントなんですからね。ハッキリしないことに、気持ちを動かさないことは、この手の相手と対峙するときの心構えだと思いますよ。
      これまでの日韓の経緯を考えれば、日本政府がコメント出さないということは、賢いと思います。
      「会った」「会ってない」と言えば、日本のコメントに関係無く、彼らは論理破綻してようが関係なく思いたいまま想像の赴くままに我田引水するのですから。
      ノーコメントは韓国が勝手に1人で踊るだけの状態にし、殊更に彼らの雑な挙動を浮かび上がらせます。
      今舞台に複数人で踊ると、そう感じられ辛いですから。

      今の韓国の様は、ご覧のとおり見せ物です。

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