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むしろ韓国がなくても大丈夫な状態に備えることが大事

「韓日の相互信頼」をぶち壊したのは韓国の側では?

「米韓2+2会合」については今朝の『【資料】米韓2+2共同声明文の内容をざっと確認する』で簡単にレビューしたとおりですが、これに関連するのでしょうか、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に本日、東京特派員の方が執筆した「現状を管理することも韓日関係改善といえる」とする主張が掲載されています。「長い目で見て、韓日関係には必ず良い方向に進むという信頼がある」。その信頼をぶち壊して来たのは、韓国の側ではなかったのでしょうか。

「米韓2+2」は同床異夢の実態を示した

アントニー・ブリンケン米国務長官とロイド・オースティン国防長官の両名は16日から18日にかけて、日韓両国を訪問し、それぞれの国で相次いでカウンターパートとの会談や「2+2」会談を実施しました。

とくに「2+2会談」の内容については、先日の『「日米2+2」で中国を名指しも「日韓」には言及なし』と今朝の『【資料】米韓2+2共同声明文の内容をざっと確認する』でざっと報告したとおりですが、端的にいえば、日本と韓国の間に大きな違いが生じていると言わざるを得ない状況です。

一見すると、「米韓2+2」共同声明は、米韓両国が価値と利益を共有するしっかりとした同盟であることを示したかにも見えますが、そのような見方は一面的であると言わざるを得ません。というのも、同じタイミングで行われた「日米2+2」と読み比べることで、その違いは一層くっきりと明らかになるからです。

たとえば、「日米2+2」の共同声明では中国を名指しして批判したほか、「北朝鮮の非核化」、「日本人拉致事件の解決」、「台湾海峡」、「香港・ウイグルの人権問題」、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」、「ASEANアウトルック(AOIP)」などに言及がなされました。

しかし、これらの項目については、「米韓2+2」の共同声明には盛り込まれておらず、中国を名指しした批判も控えられました。一見すると良好を装った米韓関係も、結局のところは「同床異夢」の実態を確認して終わっただけなのかもしれません。

中央日報に東京特派員のなかなか強烈な記事

こうしたなか、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に、なかなか強烈な記事が出ていました。

【グローバルアイ】韓日関係「管理」も「改善」だ

―――2021.03.19 09:59付 中央日報日本語版より

これは、中央日報の東京特派員が執筆したものだそうですが、言葉の端々に、私たち日本人の神経を逆撫でするような表現が含まれているように思えてなりません。たとえば、次のようなぐあいです。

  • 米高官の歴訪日程を控えて、日本がこれに耐えられず韓国の対話提案に応じるのではないかという期待もあったが、これも水の泡になった。これは米国の圧迫にもかかわらず、日本が態度を変えないでいることを意味する」。
  • 低姿勢に映る行動が続き、高くなるのは日本の鼻っ柱だ。『具体的な解決策』を云々し、本来解決策を議論しに会おうという提案には理由もなくただ拒否するだけだ」。

なんだか、日本がなにか悪いことをしていて、開き直っているかの言い草ですね。

それになんですか、「日本の鼻っ柱」って…。どうしてここまで「上から目線」になれるのか、少々謎でもあります。

こうした無駄に挑発的で好戦的な表現、日本語版のウェブサイトに掲載されて多くの日本人の目に留まるであろうことを想定すれば、韓国に対する嫌悪感情を呼び起こすことには寄与するかもしれませんが、日本国内に「韓国が好き」という人を増やす効果が得られるとも思えません。

現状把握は部分的に正しいのかもしれないが…

ただ、こうした表現を除外したとしても、部分的には現状を正しく把握していると思しき記載もありますが、リンク先記事には日韓関係を巡る根本的な誤解が見られるのです。

たとえば、今回の両長官の日韓歴訪で、「韓日関係は主要議題として取り扱われなかった」ことで、むしろ「韓国と日本がそれぞれ米国との同盟で期待するものが明確に異なるという点を確認する契機になった」と述べているのですが、これはそのとおりでしょう。

また、「ジョー・バイデン米大統領は2015年の韓日慰安婦合意当時の副大統領だった」、「合意の締結過程を誰よりもよく知っている」、という状況を踏まえると、今回の歴訪も「米国は(中略)日本の立場を十分に理解しているというメッセージだった」、という点も正しいと思います。

さらに、姜昌一(きょう・しょういち)「次期駐日韓国大使」が「着任からそろそろ2ヵ月が経とうとしている」にも関わらず、菅義偉総理大臣、茂木敏充外相のいずれとも会えないでいる状況に、韓国政府が焦りを感じている、といった話も出て来ます。

この特派員の方は、韓国政府内では「『あらゆる事を受け入れる準備ができた。テーブルに座るだけ』というメッセージを日本側に伝えたようだという話まで出ている」、と明らかにしているのです(ちなみにこれが先ほど申し上げた「日本の鼻っ柱が高くなる」云々の記述につながります)。

しかし、せっかくそこまでの状況を認識しておきながら、原因分析や結論の部分がめちゃくちゃです。

韓日関係を長く見守っている東京のある消息筋は『どちらか片方が関係改善をやり遂げるという考えは通じないだろう』と指摘した」。

韓国メディアが「東京の消息筋」や「東京の外交消息筋」などと伝えるときには、その情報源は在日韓国大使館関係者などである、というケースも多いようですが、この「どちらか片方が」云々の主張など、韓国側の詭弁の典型例です。

くどいようですが、現在の日韓関係を破壊しようとしてきたのは一方的に韓国の側であり、「日韓双方が譲歩すべきだ」とする議論は、不当です。そもそも韓国が国際的な約束を守ることは「譲歩」でも何でもなく、「当たり前の話」だからです。

やっぱりいつもの韓国メディアだなぁ…

こうしたなか、次の部分などは、「やっぱりいつもの韓国メディアだなぁ」、と思わざるを得ない記述です。

韓日関係を長い観点で見て戦略を立てなければならない時だ。東京のある外交消息筋は『性急に成果を出そうとせずに、今の状況をよく管理するのも韓日関係の改善』と話した」。

現在の状況に関する日本政府のスタンスについては、「管理している」というよりも、どちらかといえば「放置している」の方が実態に近いような気がします。要するに、文在寅(ぶん・ざいいん)政権を相手にせず、「時」が来るまで日韓関係を放置している、というわけです。

(もちろん、日韓関係がこれ以上悪化しないよう、日本政府が韓国に対し「約束を守れ」「国際法を守れ」などと牽制していることは事実ですので、その意味では「管理している」と言えなくもありませんが…。)

そのうえで、この特派員は次の言葉で文章を締めます。

『韓日関係にはいつも波はあるが、長く見れば必ず良い方向に進むという信頼がある』というあるベテラン外交官の言葉を改めて心に刻んでほしい」。

その信頼を破壊しているのが貴国でしょうに…。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

さて、この特派員の方の記事には、次のような主張が含まれています。

目先の成果に汲々とせずに、相手を必要とするようになるその時に備え、絶え間なく努力しなければならない」。

この「お互いがお互いを必要とする」という記述については、韓国メディアだけでなく、一部の日韓友好論者、あるいは日本の左派メディアなどからも、よく出てくる主張です。一見もっともらしい記述ですが、そもそもの前提条件を大きく見誤っています。

そもそも、日本にとって韓国は必要な国なのでしょうか。

地理的に近いことは事実ですが、「平気でウソをつく」、「約束を破る」、「日本の産業を盗む」、「国際社会で日本を貶める」、「天皇陛下を公然と侮辱する」という国が、我慢してでもお付き合いしなければならない相手なのかといえば、そこは大いに疑問です。

もちろん、現在の日本にとっての韓国は、米軍を開始、安全保障上は密接な関係にありますし、経済的に見ても韓国が日本の産業のサプライチェーンにおいて重要な役割を担っています。このため、今すぐ日韓断交できるほど生易しいものではありません。

ただし、それと同時に、基本的価値を共有しない相手国との付き合いは、日本にとって多大な負担をもたらしていることもまた事実です。日本にとって、少なくとも経済面、軍事面における韓国への依存度をこれ以上高めるべきではありませんし、可能ならばその重要性を低める方向に舵を切っていくべきでしょう。

むしろ日本が今すぐにやらなければならないのは、「日韓関係が破綻しても大丈夫ないように準備を進めること」でしょう(実際、安倍政権の成果である経済的なTPPイレブン、外交的なFOIPクアッドなどは、いずれも結果的に日韓断交がもたらすショックを大きく和らげる効果が期待できます)。

じつは、これこそが「将来への備え」ではないかと思う次第です。

新宿会計士:

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  •  独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
    (そう自分に言い聞かせないと、韓国と同じく、自分は間違えない存在と自惚れそうなので)
     「日韓関係が破綻しても大丈夫なように、準備を進める」と、言うのは簡単ですが、人というのは、「これまでと環境が異なる」ということを認めることに抵抗感を示すものではないでしょうか。(少なくても私は、8月31日になって追い詰められないと、夏休みの宿題が始まりません)
     もしかしたら、多くの人は、この先のことを指示してもらいたいのかも、しれません。
     駄文にて失礼しました。

  • 韓国人は「日本は韓国を必要としている」と思い込んでいる事が、よく分かる記事だと思います。
    日本だけで無く、大体の国は韓国が大好きで必要としてると思い込んでいるようです。
    過剰な自己評価で、リスカブスと言われる所以です。

  • >低姿勢に映る行動が続き
    へぇ~、中央日報のユン東京特派員記者氏には、そう見えるんだ♪
    (º ロ º๑)!!ビックリ

    韓国の約束破りに対して、
    日「約束を守ってね」
    韓「それは無理(ヾノ・ω・`)ムリムリ
    だから、どうしたらいいのか一緒に(お前が)考えるテーブルに着くべきだ」
    なんてやり取りをしてるんだから、韓国政府の態度って、低姿勢どころか、とっても高圧的だと思ってたのです♪

  • 更新ありがとうございます。

    中央日報の記者、典型的な韓国人の思考ですネ。「高くなるのは日本の鼻っ柱だ。本来解決策を議論しに会おうという提案には理由もなくただ拒否するだけだ」。こんな発言する方が、日本にお住まいとは、、、さぞかし早く帰ってくれ、じゃないストレスの溜まる毎日でしょう。

    しかし、周回遅れの記事ですなぁ。日本は、韓国が無いと困るのは一瞬です。スグ代替が出来る。別に頭下げて仲良しを演ずる気はない。

    (会計士さん)「日本にとって韓国は必要な国なのでしょうか。→イイエ!
    日本に対してウソをつき、約束を破る、産業を盗む、国際社会で日本を貶める、天皇陛下を侮辱するという国が、何がかなしゅうて、お付き合いしないといけないのか?向こうが「このままでいい」というなら、ご勝手に。歩み寄りは無いです!

  •  逆撫で以前に、全く意味がわかりません…

     よし書いて整理しよう。えっと、意味がわからない前提から出発して、彼らの中の謎の想定に裏切られて、日本がなぜかそれを汲み取って増長して、彼らは具体策を出しているつもりで、日本がお断りするのには理由が無い、と。

     なるほど、全く意味がわかりません。

    • > 彼らは具体策を出しているつもりで

      彼らが行っているのは「話し合いの機会を提供して あ・げ・る(はあと)」だけです。
      具体策を出しているつもりはありません。
      韓国人に問題解決能力はありません。問題解決は日本人の仕事です。
      韓国人は要求し、日本人がそれに応える、これを韓国では「お互いに」と言います。

      •  いつものことながら、彼らの中では記事内容は辻褄が合っているのですよね。
         上位者が下位者に努力や実務を押し付ける文化や、下コメでも阿野煮鱒様が仰っている「韓国式論立て」など、やっとこ理解はしているが全く共感できない、という意味では"わかっている"のですが。
         更に下コメで龍様も触れている「関係に対等は無く上下のみ」にも関係しますが、「常に韓国が最上」「常に日本が最下」「他者は常に韓国の味方」であるという、対等が無いのはまだしも、無根拠に朝鮮人が最上という、彼らにとっては東から日が昇る如き常識から出発するので、現実を見聞きしてから彼らの記事を読むと、脳が混乱を起こすのですよ。
         逆に彼らは現実を見ても、まず混乱した後に「きっと日本が汚い手を使ったのだ」で辻褄を合わせるようですが。

         思えば、「努力し実績をあげたものが上位者になっていく文化」と「まず上下があってそれから下位者に努力と労役が与えられる朝鮮文化」、「事実から結論を導き出す文化」と「まず結論があってそれにあわせて事実を捏ね上げる朝鮮文化」、という異文化ですね。後者は文化の問題なのか怪しいですが。
         交流には相当に難があり、私には乗り越えられそうもありません。シンプルに敵対するゼントラーディやらサイヤ人の方が仲良くできそう。

        • >まず結論があってそれにあわせて事実を捏ね上げる

           まあ文化ですよ。儒教的には「(徳のある)人物の言うことは正しい」、「徳のない人物が上にいるからよくない事が起きる(易姓革命)」と人が中心で事実は後から付いてくるものです。

           事実を重視する実証主義は近代から発展した考え方なので、それ以前で止まってるんでしょう。

  • 今回の記事も、いつもながら鋭い切り口です。しかし「その通り、仰る通り」だけでは(私が)面白くないので、枝葉末節な部分に茶々入れします。

    > どうしてここまで「上から目線」になれるのか、少々謎でもあります。

    新宿会計士様は、分かっていて敢えて「謎」とお書きになっていると思いますが、韓国人の序列的世界観に基づけば、日本を下に見るのが普通のことで、謎は何もありません。

    > せっかくそこまでの状況を認識しておきながら、原因分析や結論の部分がめちゃくちゃです。

    韓国人の論立ては、
    ・真っ先に「あるべき姿/状態」を結論としておく
    ・結論に必要な材料を集める
    ・材料を組み立てて所期の結論に至る
    というスタイルです。「状況の認識」が結論を導くことはありません。全ては結論のためのダシです。

    > 現在の日韓関係を破壊しようとしてきたのは一方的に韓国の側であり

    韓国政府には「日韓関係を破壊」する意図はありません。韓国にとっての「良好な韓日関係」とは、日本が韓国に跪き、永遠の謝罪と賠償を続けることです。文在寅政権は、過去の政権に比較して、より「良好な韓日関係」の構築に積極的なだけです。

    > 『韓日関係にはいつも波はあるが、長く見れば必ず良い方向に進むという信頼がある』

    つまり、多少ギクシャクすることがあっても、結局は日本が折れて謝罪と賠償に応じるはずだから気長に待とう、という意味です。慰安婦合意までの「韓日関係」は、実際にその通りでした。あの合意を境に全てが変わった(と願いたい)のですが、韓国人は長年の成功体験と序列的世界観とによって、今後も日本に永遠の謝罪と賠償を求め続けるでしょう。

  • 国家間の関係において、相手方を100%信頼するということは本来あり得ません。
    例えば、現時点で日米同盟は日本の外交戦略の根幹であり、日本としてはアメリカを信頼するという前提で戦略を考えていかねばなりませんが、それでもアメリカを100%信頼するということはあり得ず、万が一に備えて「プランB」は当然考えておかねばなりません(できてるかな?)。
    さらに、多国間での外交ということになれば、相手国への信頼度に応じた扱いをしていくことになりますが、この信頼度の尺度は、必ずしも「価値観共有」と一致するとは限りません。極端に言えば、たとえ価値観を全く共有していなかったとしても、相手方が「敵」としての一貫性を持っていたり、利害が競合することなく、摩擦を起こす懼れが無いのであれば、一定の信頼を置くことも可能だったりします。逆に、価値観を共有していたとしても、近代ヨーロッパの状況を見れば明らかなように、国家としての利害が衝突すれば、相互の信頼度は低下し、二度にわたる世界大戦のような状況にもなりかねません。

    このように考えた場合、一番始末に負えないのが、あたかも価値観を共有しているようなそぶりを見せていながら、実は全く価値観の異なる相手です。制度的には西欧型近代民主主義を採用しているように見えながら、実は社会統合の原理が全く異なる相手と言い換えることもできますが、そのような相手を信頼するのは危険どころか、むしろ有害ですらあります。日本としては、不幸なことに、まさに隣国がそのような存在なのです。
    現代の世界は(建前上)対等な主権国家の集まりですが、「対等」という概念が存在せず、「上下関係」でしか理解できない国家は、どのような制度を採用していようが、「異質の国」としてしか捉えることができません。そのような国と「対等な関係」を結ぼうとしても、いつでも「上下関係」に鑑みてひっくり返されるため、しばしば無益な努力をさせられる羽目になります。シジフォスの神話そのものですね。
    これまで日本は朝鮮半島の国々と「対等な関係」を結ぶべく様々な努力を行ってきましたが、結局のところそれは上記のような点を無視した、あるいはそれが可能と思いこむ根本的な錯誤に基づいたものだったため、何らの成果も生むことはなかったのだと言わざるを得ません。地理的に近いので、完全に関係を断つのは必ずしもプラスとは限りませんが、戦争にならない程度の最低限の関係として管理することが重要であり、戦略的には「ないもの」あるいは「いつでもなくなり得るもの」として扱うことが日本の国益にも添うと考えます。

    また、日韓関係は日米あるいは米韓関係の従属変数たらざるを得ませんが、アメリカは、時に投票箱民主主義と揶揄されるくらい、実に単純で、制度的に西欧型近代民主主義のようなものを採用していれば、それで良しとするきらいがあります。未だに韓国の「異質性」をどこまで理解しているのか、かなり疑問ではあります。日本としては、アメリカ人にも理解できる形で韓国の異質性を訴えていくよりありませんが、その前途には大いなる困難が予想されます。「朝鮮式朱子学ガー」と言ったところで、アメリカ人にはまず理解できません。結局、「約束を守らない相手を信頼することはできない」と繰り返すよりないと思われます。

    • 龍様と私は「米国の東アジアに対するインテリジェンスは貧弱、誤謬の連続」と見る点で意見が一致しています。私は今までその理由を考えたり調べたりしたことがありませんでした。お考えがあればお聞かせください。

      これまで漠然と想像して来たのことは以下の通りです。

      歴史の短い人造国家であるアメリカ合衆国では、歴史が民族・国民に及ぼす影響の深さを想像できない。よって中華という異質な文明を理解する素地に乏しい。中華思想、「天下」の概念、易姓革命といった中華の基本パターンはほぼ理解されていないであろう。従って中華文明の一員を自認する朝鮮の世界観も理解できない。何となく、中国、朝鮮、日本は、似たような文化を持った国だと漠然と捉えている節がある。

      > 朝鮮式朱子学ガー

      華夷秩序だけでも理解してくれれば、今でも韓国が中国を恐れ敬い、日本を下に見る理由が分かるんですけどねぇ。

      • アメリカのアジア理解がダメダメである理由について、私も現時点では確たる考えがあるわけではないのですが、やはりアメリカ合衆国の形成過程から考えるべきでしょう。
        ヨーロッパからアメリカに渡って来た、いわゆるPilglim Fathersはプロテスタント過激派とでも呼ぶべき連中で、キリスト教世界の中ですら過激すぎて身の置き所が無かったような連中です。アメリカ合衆国の基本的理念や価値観はそういったプロテスタント過激派的な理念で形成されました。その後、カトリック系を含む様々な民族が流入しましたが、アメリカ合衆国の基本的理念は受け継がれ続けました。実際、1960年代くらいまでは、アメリカの中枢をなし、リードしてきたのはWASPです。つまりは、少なくともその頃までは、アメリカ合衆国で主流であったのはプロテスタント過激派的理念であり、世界観であったと考えられます。
        プロテスタントに限らず、宗教的過激派の世界観はしばしば非常に偏狭で、異なる価値観や世界観に対する理解も、全く理解できないか、そもそも理解するつもりがないか、あるいは非常に底の浅い理解にしかならない場合が多いだろうと思います。それは過激派の過激派たる所以でもありますが、アメリカ合衆国の基本的世界観が、今なおプロテスタント過激派の影響を受け続けていると考えると、異文化理解の底の浅さが見えてくるような気もします。
        ただし、アジアに対する無理解は、何もプロテスタント過激派の専売特許ではなく、啓蒙主義以降のヨーロッパ一般の話でもあります。例えば、ヘーゲルは彼の史的弁証法において、アジアの政治体制が説明できず、「アジア的」とかいうわかったようなわからないような概念を導入せざるを得ませんでした。そのような背景の上で、さらに過激派的偏狭さを加えれば、アメリカのアジアに対する無理解は、ある意味驚くべきことではないとも言えます。

        > 何となく、中国、朝鮮、日本は、似たような文化を持った国だと漠然と捉えている節がある。

        現時点では、「アメリカ的世界観とは異なる」というところまでは理解しているようですが、どう違うのか、なぜ違うのかまでは理解が及んでおらず、まして各々がどう違っているのかまで理解しているようには見えません。かつて大戦争を戦った日本についてはある程度分析を試みたようですが、「菊と刀」に相当するような中国・朝鮮に関する著作は寡聞にして知りません。「菊と刀」を読んだのは随分と昔なので、かなり記憶が遠くなってますが、「こうである」という分析結果は示されていたものの、「なぜ」にまでは踏み込んでいなかったと記憶しています。対日ですらこの程度なので、対中、対朝鮮については推して知るべしです。

        > 華夷秩序だけでも理解してくれれば

        朝鮮においては、朱子学が単なる一学説ではなく、世界観や価値観そのものを形成していることが理解できない限り、難しいでしょう。もちろん、朱子学は中国や日本に対しても影響を及ぼしていますが、中国や日本では、唯一絶対の教説とは見做されていません。プロテスタント過激派的世界観では、おそらくその差を理解できないのだろうと思っています。

        • 龍様

          >プロテスタントに限らず、宗教的過激派の世界観はしばしば非常に偏狭で、異なる価値観や世界観に対する理解も、全く理解できないか、そもそも理解するつもりがないか、あるいは非常に底の浅い理解にしかならない場合が多いだろうと思います。

          なるほど、韓国主張の「慰安婦強制連行性奴隷説」をかたくなに信じるのも、プロテスタント国が多いように思います。
          カトリック国は仮に信じていたとしても、罪を許せと寛容な気がします。

          日本国内の歴史問題で韓国の肩を持って日本を追及する連中も、これまたプロテスタントの牧師系が多いような気がします。
          実際ローマ法王は韓国訪問の際「罪を許しなさい」とさとし、「韓国人は霊的に生まれ変わる必要がある」とまで言っています。
          国内で慰安婦問題で過激な主張、行為をした司祭に際して、法王庁が破門をしたという事件も記憶にあります。

        • ご返答ありがとうございます。

          ピューリタンが合衆国建国精神の中核となったのは疑いありません。そしてWASP=エスタブリッシュメントと言えたのはいつ頃までか、というのは議論の余地があるところです。アイルランド系(つまりカトリックの)J.F.ケネディーが大統領になり、キッシンジャー等ユダヤ系がホワイトハウスを牛耳っていたし、黒人の公民権運動も激化するし、戦後のアメリカは多様性のうねりに苦しんできたように思います。それでも、ユダヤ教、イスラム教を含めた一神教の範囲の多様性かも知れません。

          まあ、ぼちぼち考えていきます。

          >> 華夷秩序だけでも理解してくれれば
          >朝鮮においては、朱子学が単なる一学説ではなく、世界観や価値観そのものを形成

          朱子学だけが華夷秩序を唱えているわけではありません。
          中華と東夷、西戎、北狄、南蛮という概念は古代に存在しました。
          宋学においてそれが強化され、中でも朱熹が中華の正統性を強調した、という流れです。
          エスノセントリズムは中華に固有というわけではありませんので、古代ギリシャとの比較などを通じて、儒教的な世界観として、ふわっと理解できないものか、と。

          • > WASP=エスタブリッシュメントと言えたのはいつ頃までか

            ええ、ですから先のコメントでは1960年代まではという書き方をしました。それ以降、少なくともアメリカ国内においては、それまで自明のものとして疑問すら持たなかった理念が揺らぎ、「WASPの価値観=アメリカ合衆国の価値観」という単純な図式ではなくなったものの、それに替わり得る指標を見失ったままという捉え方も可能でしょう。
            ただし、WASPの価値観や世界観が死滅したというわけではなく、特に外部への視点という意味では、依然として影響を及ぼし続けていると見ています。一例を上げれば、湾岸戦争への取り組み方などはその典型だと思います。アメリカは依然としてイスラム文化圏への理解に欠けていることを、如実に表しましたから。

            > エスノセントリズムは中華に固有というわけではありませんので

            アメリカ合衆国は民族国家ではありませんし、Pilgrim Fathersもその結束は民族単位というわけではありませんでした。その意味では、アメリカ合衆国はエスノセントリズムという概念自体、ピンとこない概念であるのかもしれません。そもそも「民族」という概念自体が近代になって発明されたものですので、民族ごとに異なる価値観や世界観を持ち得るという発想自体、プロテスタント過激派には産まれません。
            また、「華夷秩序」が朱子学の発明ではないというのはその通りですが、華夷秩序という概念の根底にある「天」という観念の理解無くしては華夷秩序の正当性や妥当性を説明できません。「天」は超越的な存在ではあるものの、一神教の「神」とは全く異なる概念なので、なまじ一神教を奉じるものにとっては、かえって理解が困難とも考えられます。朱熹は理気論などの形而上学的な体系で「天」の合理化を図ったとも言えますが、それも(中国や日本では)唯一絶対の解にはなりませんでした。

            > 儒教的な世界観として、ふわっと理解できないものか

            そもそも、プロテスタント過激派的な偏狭な世界観の持ち主にとっては、異なる世界観が存在しうるということを理解することが、まずもってかなりハードルの高い課題だと思います。それは、韓国人が朝鮮式朱子学的世界観以外の世界観の存在を容易に認めることができないのと同様です。

          • 西洋的な物の考えを知るにはギリシャ神話や新旧聖書を読むのが一番だと思います。それと同様に東洋的な物の考えを知るには史記や春秋左氏伝あたりだけでも中国の古典を読めば、華夷秩序や易姓革命の考え方は、理解可能かとは思います。
            アメリカにおける中国問題の専門家がそんな事もしていない訳はないでしょう。
            とはいえ、バイデン大統領や他のアメリカの政府上層部がそれをしてるかどうかは疑問です。

        • アメリカはその生い立ちからしてキリスト教原理主義の人たちがその理想郷を作る事を目的として建国したのですから本質的に他国に対する関心は薄いという事なのかと思います。
          アメリカ共和党はキリスト教原理主義の影響を今も強く受けていると思います。

          ただ現バイデン政権は民主党ですからキリスト教原理主義の価値観とは異なる奴隷解放依頼の「人権」という錦の御旗を対外政策にも適用せざるを得ません。

          「人権」はアメリカ民主党にとって譲れない価値観ですのでトランプ前大統領と違って中国とディールする余地は無いものと思います。

          バイデン政権が誕生した今米中関係は大変重要な状況に立ち至っていると思います。
          習近平の対応が注目されます。

    • 龍様

      >万が一に備えて「プランB」は当然考えておかねばなりません(できてるかな?)。

      安倍元首相の「地球儀を俯瞰する外交」がまさにそれを意図したものだったように思います。
      日米同盟を基軸としつつも、「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTTP、いわゆるTPP11)、欧州歴訪中に締結した各種通商協定&準軍事協定、アメリカの意向に反した対イラン外交、FOIP、さらにはアメリカの反対を押しての習近平主席の国賓訪日等。

      従来の枠組みに囚われないトランプ元大統領との稀有な信頼関係が成せた技でしょうが、今後このような多極化外交を目指しうる首相は出てこないような気がします。

  • 『韓日関係にはいつも波はあるが、長く見れば必ず良い方向に進むという信頼がある』は、「そのうちアメリカが日本に圧力をかけて譲歩させてくれる」という意味です。
    「韓米関係がうまく行かないのは歴史認識を改めない日本が悪いニダ」という韓国の言い分をまたアメリカは受け入れて日本に譲歩を要求するのでしょうか?

    日本政府の韓国に対するこれ以上の譲歩は日米関係にとってもダメージを与えると思います。
    日米関係を支えてきた日本の静かな保守層にアメリカに対する大きな疑念を抱かせる事になるのでは無いでしょうか?

    また、アメリカの要求で簡単に譲歩する日本の姿はFOIPの将来にも悪い影響を与えると思います。
    今までのように、アメリカの顔色を伺いその場しのぎの対応を繰り返せば、安倍政権の遺産とも言えるFOIPの行方も怪しくなると思います。

    • 従来は、「反日は中国・北朝鮮による日韓離間・日米離間工作である。中国・北朝鮮を喜ばせないために日韓は仲良くすべき」だったのですが、仰るように日本は「米国の圧力により韓国に妥協を重ねれば日本人の反米感情を惹起する」というフェーズに移行しつつある時期かも知れません。

      仮に日本の保守層に反米感情が高まった場合、困るのは日本だけかも知れません。戦後の日米関係を振り返れば、占領による有無を言わさぬ支配から、保護者へ、競合者へ、同盟へと移ろって来ました。その間、日米間に貿易摩擦などの軋轢があれば、米国は容赦なく日本を叩きのめしてきました。その際に米国が日本の対米感情に配慮したという記憶はありません。

      日米離間を中朝韓が喜ぶことは言うまでもありません。

      そうならないように、先手を打っていただきたいですね。管総理の訪米で、対中包囲網に韓国が必須という認識を変えられるかどうか。韓国を外すには、日本が相応の負担を負う覚悟を示さなければなりません。

      • >その際に米国が日本の対米感情に配慮したという記憶はありません。

        幸い?と言うべきかアメリカはいま国の将来をかけて中国と対峙せざるを得ない状態に追い込まれています。
        そしてバイデン政権は日本を中国と対峙するための重要なパートナーと位置付けているように思います。

        常識的に考えればバイデン政権が韓国を宥めるために日本に譲歩を迫るとは考えにくい状況なのですが。
        ただ、アメリカにはまだ朝鮮戦争で約5万人の犠牲を払った韓国の損切りを躊躇う勢力があるようですので要注意です。

      • はるちゃん さん
        阿野煮鱒 さん

        今の日米は条約や国際機関によって構築された戦後の国際秩序を破壊しようと挑戦している中国への対処をしている段階で、

        日本及び日本と米国との条約、約束を破ろうとする韓国を米国が容認したら、

        中国に対しても示しがつかなくなると考えます。

        米国は日本の対米感情を考慮しない様に韓国の対米感情も考慮しない訳で、

        韓国が約束を遵守する事を求める日本のスタンスは米国にとって明快で馴染みのあるスタンスでしょうから、

        日本と一緒に韓国へ約束の遵守や履行を求めると考えるのですけどね…。

        • 韓国も国際秩序を破壊しようと挑戦しているんですけど。
          戦後だけで無く、半万年分程。

  • 韓国はとっくに損切りで確定です
    どうと言うことはありませんよ
    中共と北しか見てないんですし、
    そもそも奴等が変わる事はありません
    日本が変わるしかないのです

    日本の国益にとってはバイデン政権と
    どう付き合うかと国内の工作対策、安全保障で
    自衛がどこまでできるかと考えます

    それにしても、嘘つき売春婦婆さんはどこで
    何をやってたのでしょう
    賭けにもならんとは、、、つまらん。

  • やっと韓国とは整理がつきそうです。何故今まで韓国に振り回されて来たのでしょう?
    鳩山由紀夫みたいな自虐贖罪論ですか? 韓国防波堤論ですか? 米国による防共論ですか? あざとい経済界の市場論ですか?  隣国は仲良く論ですか?
    河野洋平も、宮沢喜一も、中曽根も、小渕も、森だって、小泉だって、対韓戦略は何をやって来たのでしょうか? 米国の圧力(冷戦)である事は、どんなド素人でもそんな事は解っています。保守重鎮の桜井女史っだって「韓国は日本にとって大事論」でしたから。しかし、世界は日々変化しています。韓国はこの先、生きる為に大陸国家の一員に活路を見出したのでしょう。対して、日本は自分自身が生き残る為に海洋国家でなければならないと自覚したのでしょう。この様になる事は、地政学からして当然の帰結だと思います。日本は毅然として海洋国家の矜持を子供達に教育すべきだし、海を守る事、海岸を守る事、強いては家族を守る事。近い戦乱に備えて、我々日本人は今一度、蒙古来襲(1274、1281の元弘の役、弘安の役)で朝鮮軍と戦って木っ端微塵に撃退した史実を省みる必要があります。教科書に多くを記述すべき。資料も多くの証拠もふんだんに残っている訳ですから。

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