菅義偉総理の長男が総務省の接待に関与していたなどの話題が巷間をにぎわせているようですが、出てきた最新の内閣支持率は、むしろ小幅で上昇しています。いずれにせよ、我々国民の側も、印象だけで政権の良し悪しを判断するのではなく、その政権の功罪や野党の政権担当能力などをきちんと見極める癖をつけるべきでしょう。(そういえば『菅義偉総理に浮上した疑惑、立憲民主党は今こそ追及を』でも述べた「増量疑惑」はどうなったのでしょうか?)
支持率調査に全幅の信頼を置いて良いのか
個人的な持論ですが、メディアが実施する内閣支持率に対しては、全幅の信頼を置くべきものというよりは、単なる「方向性」を見るためのツールと位置付けるべきだと考えています。
その理由はいくつかあるのですが、そのひとつが「タイミング」の問題でしょう。
たとえば各メディアの内閣支持率調査を見ていると、各メディアは毎月1回世論調査を公表し、また、時事通信の場合は月初、朝日新聞の場合は月末などに実施する、などの傾向が見られるのですが、各メディアとも、このパターンに当てはまらないこともあります。
たとえば、先月に関しては朝日新聞は2月13日~14日に世論調査を実施しましたし、読売新聞は昨年12月、4日~6日と26日~27日の2回、世論調査を実施して公表しています。そもそも調査のタイミングや回数を、恣意的に決めているのではないでしょうか。
(※ちなみに昨年12月といえば、安倍総理の秘書が政治資金規正法違反で略式起訴されたタイミングですが、そのことで「内閣支持率の急落」を演じるためだったのだとしたら、なんだかやることが姑息だという気がしてなりません。)
また、わりと有名な話かもしれませんが、世論調査については、設問次第で結果が影響を受ける可能性があります。たとえば最初の質問で、内閣や与党関係者の不祥事などに関する情報を与えたうえで、「あなたはそれでも内閣を支持しますか」といった聞き方をすれば、支持率が低くなる可能性はあるでしょう。
さらには、つい最近まで多くのメディアの世論調査は固定電話のみに対して実施されることが多かったようであり、必然的に、固定電話を持たない世帯の意見が反映されないのではないかとの疑念もありました(最近でこそ、携帯電話に対する世論調査も実施されているようですが)。
だからこそ、内閣支持率をはじめとしたメディアによる世論調査については、その実施基準の客観性、質問の中立性が確保されているのかどうか、疑問を持ちながら読むのが正解ではないかと考えている次第です。
接待疑惑に関わらず、日経・テレ東の支持率は小幅上昇
こうしたなか、最近だと菅義偉総理大臣の長男が勤務する東北新社が総務省の官僚を相手に高額の接待をしていた、などとする話題が巷間をにぎわせています。
冷静に考えたら、これもなんだか不自然な話です。ご長男の立場からすれば、もしも本気で不正を働くなら、そんなまどろっこしいことをせず、父親に「うちの会社に便宜を図ってよ」と言えば済む話でしょう。
逆にいえば、菅総理の長男という立場にありながら、総務省の役人を接待しなければならないというのは、「菅総理は総務省に対して口利きができない」という状況証拠に思えてなりません。
いや、もう少し踏み込むならば、NHKや民放各局などの放送業界・マスメディア業界が総務省と癒着していて、役人に対して接待、天下りなどの便宜を図ることが常態化していたのではないか、といった疑問を感じるところでもあります。
それなのに、マスメディア各社は「菅総理のイメージ」の問題にしようと躍起になっているフシもありますが、こうしたなかで興味深いのは、最新の世論調査です(図表)。
図表 内閣支持率(2021年2月)
メディアと調査日 | 支持率(前回比) | 不支持率(前回比) |
---|---|---|
時事通信(2/4~7) | 34.8%(+0.6) | 42.8%(+3.1) |
読売新聞(2/5~7) | 39.0%(±0) | 44.0%(▲5.0) |
朝日新聞(2/13~14) | 34.0%(+1.0) | 43.0%(▲2.0) |
産経・FNN(2/20~21) | 51.5%(▲0.8) | 43.2%(▲1.8) |
日経・テレ東(2/26~28) | 44.0%(+1.0) | 48.0%(▲2.0) |
(【出所】各社報道より著者作成)
これらのうちの最新の調査は、2月26日~28日に実施された日経・テレ東によるもので、むしろ内閣支持率は小幅上昇する一方、不支持率も小幅低下していることが確認できます。
また、産経・FNNの2月20日~21日の調査を除く4つの調査では、いずれも不支持率が支持率を上回っていることが確認できますが、その差が最も大きい朝日新聞の調査でも9ポイントの差に留まっている、という状況です。
「接待疑惑で菅おろし」には無理がある
自然に考えて、「菅総理の長男による接待疑惑」は、政治に関心がない人たちにとって内閣のイメージを傷つけることはできるかもしれませんが、「ガースー(※菅総理の愛称)が何だか怪しいことをしている」、にまで持っていくのは無理があります。
ちなみに、現時点における個人的な感想を申し上げるなら、菅政権は総理本人の人柄・見た目が地味であるという点などで、かなり損をしているという側面があるとは思いますが、新型コロナ感染症拡大で批判を受けるなど「泥をかぶる」役回りをしながらも、淡々と実務をこなしていると考える次第です。
もっと言えば、増税原理主義の財務省と対決しようとしないことや、二階俊博自民党幹事長の親中的な姿勢を放置していることなどには強い不満をもありますが、「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)構想などを淡々と進めていることなどについては、個人的に高く評価したいと思います。
もちろん、安倍前政権の功罪をそのまま引き継いだ内閣でもあるため、菅政権としての独自色を出し辛いという側面はあるのかもしれませんが、良い面は良い、我々国民の側も悪い面は悪いと客観的に評価する癖をつける、ちょうどよい機会です。
というよりも、自民党にも問題が皆無とは申し上げませんが、『村田蓮舫さんこそ「日本を救いたもうた人物」だった?』などを含めてこれまでに何度となく繰り返してきたとおり、最大野党・立憲民主党などの野党の側が、国民から支持されるような行動を取っているとも言い難いというのが実情でしょう。
菅総理の疑惑といえば、『菅義偉総理に浮上した疑惑、立憲民主党は今こそ追及を』でも触れた「増量疑惑」でも追及していれば良いのではないかと思うのはここだけの話ですが、いずれにせよ、「印象」だけで政権の良しあしを決めて来た時代から、我々国民もそろそろ脱却すべきでしょう。
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マスコミを含めた野党の菅おろし運動には辟易しますが、本論の世論調査分析結果を見て、思わず笑ってしまいました。
一方で、当該の省庁職員のモラルの低さには愕然とします。今どき、特定の企業から繰り返し接待を受けるなんて全くお話にならないと思います。勿論供応側の会社も酷いもので、社長の辞任も当然だと思います。ただ少々のスタンドプレーの匂いは感じますが。。
当サイトのような冷静な分析は大変ありがたいです。
長男が接待疑惑、なんて見出し、いかにも菅総理の息子が悪いことをしているような印象ですが接待を受ける側だけの問題で接待する側は税金を使うわけでもなし、民間企業の営業活動としては当たり前の行為です、問題があるとすれば会社の金をごまかして飲み食いしたとかですが、それとて会社内部の問題です。
いずれにしても国会で何食べたとか七万円程度の小さな話しかしない野党にはあきれます。
尖閣問題やもっと大きな話題があるでしょに。
菅総理の息子さんの話は、官僚への接待が問題であって、それ以上でも以下でも無いのを、無理矢理菅総理が悪いと責め立てるゲスな野党とマスゴミには辟易します。接待の結果、便宜をはかっているなら、その証拠を出せば良いのに、それをしないで相変わらず印象操作だけ。そんな輩に政権運営は国民が任せるわけも無い。
「まずます疑惑は深まった」とだけ言っておけば、いかにも仕事をしているように装えるし、マスメディアは喝采してくれるし、正義の味方ぶりっこをしていられるのですから、こんなに楽なことはありません。しかも驚くべきことに、たったこれだけのことで税金から歳費が貰えるし、おまけにサボり放題です。
嗚呼、是非とも私も野党代議士になってみたいものです。世の中にこれほど楽ちんな商売があるでしょうか。なるほど、議員と乞食は三日やったら止められないでしょうねえ。
野党こそ利権とも言えますね。但し、それを選んでいるのは国民ですから、それぞれが目を鍛えないといけませんね。
私は誰が週刊文春に接待の日時と場所を教えたのかが気になっています。
旧郵政省と旧自治省の派閥争いのようにも感じます。
この問題を菅総理の責任にするのは無理がありすぎます。
野党もこの戦略では手詰まりでしょうね。
一時公務員はコーヒー代も割り勘という時期もありましたが。
菅さんの息子さんではなく接待を受ける側の問題だと思います。
私の周囲の人は、政治そのものや経済に全く関心がなく、支持政党などなく、報道のままに安倍、菅両氏の評判は相当悪いです。モリカケの経緯のおかしさや、菅総理の息子が総務省を接待などといった内容の矛盾など気にせず、聞いたままに両氏の悪口を言います。ここまでは野党マスコミの思惑通り。
かといって疑惑・批判に躍起な野党議員の評判はそれより遥かに悪く、かつ投票先は結局現与党です。あれれ。
もはや、「難しい話などわからない・興味が無い」層ほど、この傾向は多いのでは?
もう二度と与党になどなりたくない、というのが立件あたりの本音であれば、これも狙い通りとなりますが。
〉NHKや民放各局などの放送業界・マスメディア業界が総務省と癒着していて、役人に対して接待、天下りなどの便宜を図ることが常態化
規制を利権として役人、政治家、民間企業がグルになっていて、昭和の時代ほど派手ではないものの
今だに接待など普通にあるでしょう
かつて夜の街では毎日のように飲み食い買いが
ありましたよ、誰がどこの店の○○子ちゃんに
注射済み(業界隠語、薬物ではない)とか、、、
規制は特に新しく参入したり、今までにない
新しい事を始める場合には役所の壁はかなり高く
場合によっては同業者により邪魔される
今回も新しい事か規制改革に繋がる何かをしよう
として、その先兵として東北新社が菅総理の意を
汲んで動いていたのを既得権を持つ者たちが
潰しに行ったと考えますがどうでしょうか
所詮、陰謀論にすぎませんが、、、
私の感じた印象としては「菅総理の意向」は全くないが「菅総理の息子」と言われれば「親の後光」は声かけられた側には十二分に影響力はあると思います。
つまりT社としては親の七光りとT社社長の個人的な繋がりで入った超絶コネ入社社員。そんな人だから他の有能社員をごぼう抜きに異例のご出世。だが叩き上げでは無いので実務的な仕事は任せられない。部長待遇を与えられて求められたのは総務省とのパイプ役。
相手もホイホイと応ずるから社も本人も勘違い。
風体がまんま遊び人。とんねるず石橋とか半グレとかと遊んでそう。そんなイメージです。
よく仕事が出来る人ならこんな遊び人風にはならんでしょう。
T社にすれば、政策秘書時代に官僚との接点もあるし、総務大臣の息子だから居るというだけで業界工作に使える。多少優遇したって元は取れます。
と言って、T社の方から「ぜひご子息を当社に・・・」とお願いに行ったとも思えない。やはりガースーから「うちの息子が遊んでるんだけど・・・」と声を書けただろうと思います(邪推です)。
この時点で、自分の守備範囲に重なってる会社ですから、将来こんなことになることもある、と思うのが危機管理の要諦と言うものです。そう思えば全く畑違いの業界に頼むのが次善で、本人がやりたいと言うならその道(ミュージシャン?)を行かせるのがベストの選択です。
でもそこは親ですから、しんどい道は歩かせたくない、自分の目が届くところに置いておきたい、と思ったのでしょうかねえ。
人の子の親として、その心情は分からんでもないです。
息子も自分の職くらい自分で探せば良いのに、親のお膳立てでのうのうと暮らそうなんて、不肖の・・・と言われても仕方がない。見た目がドーコーは別にしても。
ここへ出世欲に目が眩んだ官僚が寄って来るのも、ガースーほどの頭であれば当然予見できますよね。
なので、法的には問題なく、官僚は勝手に忖度しただけで、道義的に責められるほどの事も無く、無能な野党を凌いだとしても、ガースーに全く非が無いとは言えないと思います。
所謂、親ばかです。
一国民が思う、今国会での議論の方向。
コロナ禍に喘いでいる中、
田村 厚労大臣 河野 行革大臣が、
回答に汗する、言葉詰まるくらいの質問を、
野党の案を参考にさせていただく、
と言わせるくらいの質問を、野党はすべきでした。
菅総理の息子の問題を中心に据えたのは、
野党の敵失です。
野党の女性質問者の方々の舌鋒は、
人間の持つ、醜さ汚さを、表に曝け出すだけで、
それを、象徴的に体現していた方々を、
目にしたくはないモノとして
国民は、無意識に感じたと思われます。
衆議院選挙にて、議席を確保していく
つもりがあるのか、疑問に感じました。
もりかけ・桜問題が成功体験だとか思っているんでしょうかw
国民は呆れていると思いますが。