読売に始まり、朝日、そして毎日…。検察当局は捜査情報を小出しに各メディアにリークしているのでしょうか。毎日新聞は昨日、東京地検特捜部が年内にも安倍総理本人に対する不起訴処分を最終判断する「方向で」検討に入った、と報じました。この「~の方向で検討」という表現が出て来るという事は、おそらくは検察がわざと毎日新聞だけにリークした、ということではないでしょうか。
前夜祭疑惑の振り返り
安倍晋三総理大臣が現職時代の2015年から19年にかけて主催した「桜を見る会」に関連する疑惑を当ウェブサイトなりにまとめておくと、次のとおりです。
- 2015年から19年にかけて、安倍事務所が都内のホテルで主催した「前夜祭」で、参加者1人あたり5千円という会費を集めたものの、思っていたよりも参加者が少なく(あるいは思っていたよりも費用がかさみ)、安倍事務所がその費用を補填していた
- 「前夜祭」の費用は5年間で合計2300万円ほどだったが、参加者から集めた会費は1400万円に過ぎず、差額の900万円を事務所が補填していた
- ただし、この金額は有権者1人あたりに換算し、せいぜい2~3千円にすぎず、また、会に参加した有権者らは「食事も物足りず、寄付を受けた認識はない」と証言するなどしており、公選法が禁止する「有権者らへの寄付の禁止」違反が成立する余地は乏しい
- このため、検察側は安倍総理自身の認識を任意聴取したうえで、「安倍総理に虚偽の報告をしていた公設第1秘書ら」を政治資金規正法違反(政治資金収支報告書への不実記載)で立件・略式起訴する方針で検討している
今度は毎日新聞がリーク記事?
これに関連し、新たな報道があったようです。今度は毎日新聞です。
安倍前首相を不起訴処分へ 本人聴取踏まえ、年内にも最終判断 東京地検特捜部
―――2020年12月19日 02時00分付 毎日新聞デジタル日本語版より
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ただし、無料で読める105字の部分によれば、東京地検特捜部は安倍総理本人を年内にも不起訴処分とする「方向で」上級庁と最終調整に入った、などとしています。
個人的な見解ですが、おそらくこれも「検察リーク情報」でしょう。「~の方向で検討している」というのは役所用語ではよく見られるものですが、メディアがこの手の表現を使うときにはたいていの場合、内部リークに基づく情報です。
「疑惑」の全容については冒頭にまとめたとおり、大雑把にいえば、検察当局としては安倍事務所が「前夜祭」で費用を負担していたという事実関係を特定したものの、それだけでは公選法上の「買収」での立件はできないと判断しているようだ、というものです。
これまでの報道を振り返ると、検察が立件しようとしているのは、2016年以降の4回分の「前夜祭」に関する支出であり、しかも立件する容疑は「安倍総理本人に対する公選法上の買収」ではなく、「公設第1秘書に対する政治資金規正法違反(不実記載)での罰金刑」です。
安倍総理自身は当時、内閣総理大臣としての地位にあり、政敵も多かったわけですから、そのおひざ元の個人事務所の経理処理としてはかなりお粗末と言わざるを得ませんが、ただ、この問題が国政を揺るがすようなものでもないことは間違いありません。
結局、事務所が支出した金額も5年間で1000万円に満たず、しかも「前夜祭」の参加者は飲食も貧相な会場にぎゅうぎゅう詰めにされた挙句に1人あたり5千円を負担させられたわけですから、いったい誰が得をしたのかすら、よくわかりません。
むしろ国益という観点からは、「財務官僚に籠絡されて、国民生活に甚大な影響を与える消費税の増税という誤った意思決定を行っている国会議員たち」などの方が、はるかに罪深いのではないか、などと思わざるを得ません。
読売→朝日→毎日…、メディアに順繰りにリーク?
ただ、当ウェブサイトとしてそれ以上に注目したいのは、これらの一連の報道の「出所」です。
『検察が捜査情報をリークするとしたら、その目的は何か』でも報告したとおり、大手ウェブ評論サイト『アゴラ』の新田哲史氏が先月26日付で寄稿した記事では、検察が官邸の黙認のもと、捜査情報をリークしていたという説が掲載されています。
実際、当初の報道合戦は11月23日の連休明けのタイミングで読売新聞とNHKが主導し、他メディア(たとえば産経新聞や共同通信など)はこれに追随するかたちで後追い報道となり、「反安倍メディア」は沈黙しました。
しかし、『朝日新聞「秘書らを略式起訴」が事実なら順当だが…』でも報告したとおり、今度は朝日新聞が12月4日付で「安倍総理の公設第1秘書(安倍晋三後援会代表)と事務担当者の2人を、政治資金規正法違反(不記載)罪で略式起訴する『方向で』検討に入った」、と報じています。
さらに昨日の毎日新聞の報道をあわせるならば、検察当局はまずは読売、次に朝日、最後に毎日と順繰りに捜査情報を漏らした、という可能性が非常に高いのです。
検察がこれらの情報を小出しにしてくる理由が何なのか(安倍総理側に打撃を与えるためなのか、各メディアに恩を売る目的があるのか、それともほかに何らかの狙いがあるのか、等)については、正直よくわかりません。
しかし、そもそも捜査情報という機微なものを、検察が独断でこっそりメディアに教えるというのは、常識的に考えて国家公務員としての守秘義務(秘密を守る義務)に違反していますし、「公務員が勝手に情報を漏らす」といった行為が常態化すれば、国民の政府に対する信頼は失われます。
その意味ではこの問題の本質は安倍総理事務所の「金額的にもショボい」法令違反事件というよりも、どちらかといえば検察という組織が捜査情報を通じてマスメディアと国民世論を支配しようとしていることにある、と指摘した方が妥当なのかもしれませんね。
View Comments (10)
新宿会計士様、更新有り難う御座います。毎日お疲れ様です。
「前夜祭」に、何故検察が捜査をするのでしょうか。検察内で安倍元首相に特に個人的な恨みがある輩が行っているのでしょうか。その目的が私はどうしても分かりません。
検察の権威等、村木厚子厚生労働省局長を冤罪逮捕ト証拠物件のフロッピーディスク改竄事件でとっくに地に落ちています。それを回復させるべく、嘗て打倒金権政治を掲げて田中元首相を攻撃した際の夢をもう一度と安部元首相を攻撃しているのであれば、勘違いもはなはだしいです。
更に新宿会計士様が指摘するように、
> そもそも捜査情報という機微なものを、検察が独断でこっそりメディアに教え
> るというのは、常識的に考えて国家公務員としての守秘義務(秘密を守る義務)
> に違反していますし、「公務員が勝手に情報を漏らす」といった行為が常態化
> すれば、国民の政府に対する信頼は失われます。
なのは明らかです。全くその通りです。
検察内で時代遅れの考え方を持つ、正常な思考が出来ない屑どもと、情報操作と偏向報道が今や明らかになった新聞とTV等の滅亡しつつあるOld Medxiaに巣食う輩とが結託しての悪あがきなのでしょうか。
投稿なさる皆様のご意見を頂けましたら幸いに存じます。
更新ありがとうございます。
産経が無いな、産経が(笑)。読売、朝日、毎日と出どころが変わってますが、どうやらリークしたのは検察側でしょうね。「記者クラブ」のマスコミはついて来る(嘲笑)。
読売は別として、朝日、毎日という反日新聞を利用し、しかし東京新聞は首都圏の極左ミニコミ紙だし、産経新聞は安部総理推しだし、パスしたのでしょう。次、何か出すとしたらNHKか時事通信か?(笑)
「安倍総理の公設第1秘書(安倍晋三後援会代表)と事務担当者の2人を、政治資金規正法違反罪で略式起訴する『方向で』検討に入った」、、、。
小出しに出して、大きく取り上げて貰う。「この方向で事案は進んでる。安部総理には届かないゾ」と、言外に言ってるようなもんです。
検察よ、たかだか一人2〜3,000円ぐらいの支払いを晒して何になる?立憲民主党や日本共産党の幹部なら、幾らでも叩いたら埃が出る。それをやんなさい!
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
(なにしろ、毎日新聞と違って自分が間違う存在であると自覚しているので)
毎日新聞や、その読者としては、安倍前総理が起訴されてスカッとしたいので、可能ならば、世論を騒がして、何でもよいから起訴せざるを得ない状況にしたいのではないでしょうか。それが不可能ならば、読者に対して、「感情が許さないので起訴しろ」を騒いだ時のためのアリバイ作りをしているのではないでしょうか。
蛇足ですが、かつてのロス疑惑のように、世間が騒いだので起訴したが、結局、公判を維持できなかったという過去もありました。
駄文にて失礼しました。
普通は出来事が起こる(起訴)からニュースになるのですがですが、起こらなかった(起訴されなかった)ことがニュースになるということは
起訴されることが当たり前だとマスコミは考えているのでしょうか?
マスコミも検察も役割を逸脱して自分たちで社会的制裁を加えようとしたり、政治を動かそうとしていますが民主主義から逸脱する行動で、このままエスカレートすると恐ろしい社会になります。
警察や公安はデリケートな問題ですね。行政府に属するけど自分のボスも逮捕できる。
独立性が高すぎてシビリアンコントロールが効かないのも困るけど、
隣の国みたいに骨抜きにされるのも困る。
>その意味ではこの問題の本質は・・・検察という組織が捜査情報を通じてマスメディアと国民世論を支配しようとしていることにある、と指摘した方が妥当なのかもしれませんね。
仰る通りですが、そこでこの類の問題での最も重要な点は、
>検察が独断でこっそりメディアに教えるというのは、常識的に考えて国家公務員としての守秘義務(秘密を守る義務)に違反していますし、・・・
という犯罪(違法行為)を(建前としての単なる形式でなく情報漏洩の犯人を実際に逮捕して処罰できるだけの)実効性を持って有効に捜査し処罰できる仕組みが日本には存在していないという点です.
つまり、検察・警察という捜査機関が己の政治的な思惑や世論誘導を目的として捜査情報をマスコミ等にリークするという形式上は公務員の守秘義務違反という処罰の軽い犯罪によって国家を思いのままに操ろうとする犯罪、即ち実質的には民主制国家の根幹である正しい情報に基づく民意の形成を阻害し否定する犯罪という意味で内容的には国家反逆罪並みの大罪として裁くべき犯罪を、実効性を持って適切に捜査し裁く法的手段が日本には欠けている点が我が国の犯罪捜査制度における最大の課題です.
勿論、形式的には情報漏洩など検察・警察の全ての不祥事は検察や警察自身によって捜査し通常の裁判所で裁けることになっていますが、検察・警察が「日本の政治(に限らず例えば刑事事件での容疑者の有罪・無罪に関する大衆向けの印象操作など)を自分達の思惑通りに動かそう」という組織的な意図に基づいて行う情報漏洩行為の場合、その捜査を検察や警察自身に行わせるのは、詐欺事件の捜査を詐欺集団に行わせるに等しいナンセンスです.
この検察や警察(場合によっては裁判官も含めて)つまり司法行政(および司法)関係者による犯罪を形式的にでなく実効性を持って有効に捜査し適切に裁く仕組みを我が国は用意せねばなりません.
その機能は最終的には国家に忠誠を誓う国軍の手に委ねる以外にないと考える次第なのです.検察・警察・裁判所を複数ライン独立に(即ち、第一検察と第二検察…警察や裁判所も同様…という互いに全く独立な司法行政・司法ラインを複数ライン運営し、第一ラインの犯罪は第二ラインが捜査し裁くし逆も同様で、従って司法試験などの関連資格試験や採用・人事も完全に分離独立して)行うのは全く現実味がないどころか混乱を招く以外の何物でもない以上、検察・警察・裁判所という既存の司法行政&司法ラインと独立性の高いラインを作り得るのは様々な意味で極めて高い自己完結性を旨とする軍しか存在しません.
実際、日本の自衛隊のような国軍モドキでなくちゃんとした正式の国軍で関連制度が整備されている先進国の近代的な国軍の場合、軍事法典とそれに基づく軍事法廷の仕組みを持っています.
自衛隊は憲法で正式の国軍として位置付けられていないだけでなく、まともな交戦規約も恐らくは定められておらず(だからこそ当時の統合幕僚会議議長の栗栖氏は「有事となれば自衛隊は超法規的に活動せざるを得ない」と発言して辞職させられる羽目になった)、軍事法典の第一歩たるべき脱走兵の処罰に関する根拠法すら用意されていません.
ですが日本を取り巻く国際状況を見れば自衛隊を日本国の正式の国軍にして装備や人員を充実させるだけでなく、交戦規約や軍事法典・軍事法廷など日本国軍として活動し軍組織を健全に維持・運営する必要な仕組みを整備することは今や不可欠です.
その際に、検察・警察・裁判所が行った政治的(つまり政権転覆や政権の人事への介入だけでなく世論形成一般に影響を与えることを意図してか否かは問わず結果として影響を与えた或いは与え得ると判断される)組織的な犯罪(犯罪の隠蔽行為も含め)を捜査し裁く機能も、国軍としての自衛隊に持たせるように軍事法典の内容を整備することが我が国の健全な未来にとっては不可欠です.
詐欺事件の捜査権を詐欺集団に持たせている今の体制のままでは、検察や警察や裁判所の思うがままの国へと大衆は否応なく誘導されてしまいます.
「実際には政治に興味は無いがとりあえずエラい人の文句を言えば自分が賢くなったように感じられる」という層には効くんじゃないでしょうか。第三次安倍政権を阻止しておきたい、という意思があるとすれば、安倍前総理は一生攻撃され続けるかもしれませんね……再起させぬよう延々と悪評だけを振りまかれる。上記のような層は、本件の事実も意味もどうでも良いのに選挙権はあるし、オールドメディアを信奉し続けているのですから。
ある意味どうでもよい事を大げさに、そして特定の新聞社(順繰りですが)に情報を流すというのは、官邸やマスコミ等になにか信号を送っているのかと勘ぐってしまいます。検察は時の政権やマスコミなどの圧力によって動かされたり、方針転換せざるをえなくなることをひどく嫌うときいたことがあります。なにか我々の知らないウラでそういう動きがあって、「オレらは本質的に唯我独尊なんだからそういうことされても、今後はオレらうごかねーからな」というようなメッセージだったりするのかと思ったりしました。なんだか今回の検察の動きはそう思わせるくらい本質のところで不可解なので。
安部政権時代に検察人事に介入できるよう法改正を試みたことへの仕返しじゃないですか。 同時に菅政権に対しても、俺達は総理でも誰でも追い詰めることができるのだぞという牽制でしょう。
というのは妄想ですが、でも、もしそうだとすると段々と韓国に似てきました。
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
(なにしろ、素人考えなので)
日本の野党や日本マスゴミ村は、安倍前総理に(検察が実証できない罪について)なかったことを証明しろと、要求するのでしょうか。
駄文にて失礼しました。