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NHK「受信料逃れへの割増金」構想は「だまし討ち」

とんでもない話が出て来ているようです。「NHK受信料の支払いを不当に免れている人」への割増金、という構想です。いくつかの報道によれば、NHK受信料制度の見直しに向けた総務省の原案では、「テレビを設置しながら受信契約を結ばず、不当に支払いを逃れる人には割増金を課す」のだそうです。以前の『NHK「テレビ設置届け出義務化要望」は本末転倒』で触れた「設置届け出義務化」はまやかしだったのでしょうか。

テレビ設置届出義務以前に…

以前の『NHK「テレビ設置届け出義務化要望」は本末転倒』でも触れたとおり、10月16日に開かれた総務省の「有識者会議」では、NHKは「テレビを設置した場合の届け出の義務化」、「未契約者の氏名を照会できる制度の導入」などを含めた制度改正を要望しました。

その際のNHKの言い分は、「制度改正が実現すれば受信契約の対象者を把握しやすくなり、公平な負担を実現できる」というものです。しかし、そもそも論として、「公共放送」を騙りながら国営組織でもないNHKに対し、なぜ個人情報を提供しなければならないというのでしょうか。

NHKによると現在、未契約世帯への訪問活動や居住確認のための点検作業と称して、数百億円というコストをかけているのだそうですが(※ちなみにNHKの2020年3月期財務諸表によれば、「契約収納費」は628億円です)、「届け出義務化」でこのコストが浮く、などと述べているのです。

本末転倒と言わざるを得ません。もしどうしても契約して欲しければ、「契約しなければ視聴できない」という仕組み(いわゆるスクランブル放送など)を導入すれば済む話だからです。

ただ、考えてみれば、次のとおり、NHKには不可解な点がいくつもあります。

  • ①現代の日本社会に公共放送というものは必要なのか
  • ②公共放送を担う組織として、NHKは適切なのか
  • ③そもそも受信料制度自体が妥当なのか
  • ④NHKの現在の受信料水準は妥当なのか
  • ⑤1兆円超の金融資産などはNHKの経営に必要なのか

NHKとテレビ業界全体の在り方見直しが必要

そもそも放送開始初期の頃と異なり、現在は全国津々浦々にテレビ受信設備が普及しており、また、テレビだけでなく、情報を得るためのさまざまな手段が普及しています。

「災害時にも強い地上波テレビ放送があった方が良い」、「だから公共放送が必要だ」、という主張があることはたしかですが、そのような主張をする人は、むしろNHKを含めた報道各社が災害現場に駆けつけて取材活動を行い、現地の救援活動を率先して妨害している事実に目を向けるべきでしょう。

それに、百歩譲って公共放送が必要だという結論になったとして、もっと重要なのは、現在のNHKがその役割を担う組織として適しているのか、あるいは現在のNHKが公共放送としての役割を果たしているのか、という論点です。

さらに、「受信料」という制度自体、受益者負担という視点では非常に疑問が多いものです。テレビを設置した場合、NHKの番組を見る、見ないにかかわらず、カネを払わなければならないからです。現在の技術では、「NHKを見た場合にのみカネを払う」のは技術的に可能でしょう。

そして、NHKの受信料水準は、不当に高いと断言して良いでしょう。その証拠は、NHKが金融商品だけで1.1兆円を超える資産を抱えていること(※ただし連結ベース、年金資産を含む)、1人あたり人件費が少なく見積もって1550万円を超えていることです。

また、渋谷にある莫大な放送センターの用地を含め、各所に保有している不動産なども、時価評価すれば数千億円から、下手したら数兆円というレベルに達している可能性もあります。NHKを解体し、不要となった資産を売却すれば、減税の原資ができるかもしれません。

いずれにせよ、NHKが必要なのは「設置した人への届け出の義務化」、ではありません。

「公共放送」という仕組が必要なのか、現在のNHKの組織の在り方が適切なのかに関する徹底した議論です。

また、NHKの問題ではありませんが、この際、電波オークションの実施についても研究が必要でしょうし、民放各局を含め、不適切な番組を製作し、垂れ流した場合のペナルティについても、放送法に規定が設けられていないのは大きな問題であると言わざるを得ないのです。

テレビ設置届け出義務化は「だまし討ち」だった?

こうしたなか、まったく、とんでもない提案が出て来たようです。

共同通信や読売新聞オンラインなど、複数のメディアの報道によれば、総務省が取りまとめているNHKの受信料制度の見直しの原案が19日に明らかになり、そのなかで「テレビを設置しながら受信契約を結ばず、不当に支払を逃れている人への割増金」が盛り込まれるようです。

NHK受信料支払い逃れに割増金 テレビ設置の届け出義務は見送り

―――2020.11.20 1:35付 共同通信より

NHK受信料未納者に割増金、テレビ設置届け出は見送り…総務省原案

―――2020/11/20 06:47付 読売新聞オンラインより

もちろん、これについては現時点で「案」に過ぎず、意見公募などを経て、来年の通常国会で放送法改正を成立させる必要があります。

これについて読売新聞の記事では、「テレビ設置時の届け出制度の導入は見送る」などとしていますが、まるで「わざと極端な案を出して国民の反応を見て、それよりも一歩後退した案を出して国民をだまし討ちにする」ようなものですね。

ちなみにこれらのメディアが報じている、「不当に支払を逃れている人への割増金」について、「不当に」をどうやって判断するのか、というのもよくわかりません。

いずれにせよ、私たち国民の意思と無関係に肥大化するNHK、そしてそのNHKを暴走させている総務省という組織の問題点については、どうやら緊密に監視する必要がありそうです。

新宿会計士:

View Comments (28)

  •  殿様商売もいいところですね。契約収納費の削減って企業努力じゃないですよね。更に楽して儲けるつもりですか。

    • 貧乏暇だけ様
      NHK何様?
      っていう感じですね。
      893まがいの戸別訪問ではイメージダウンな上に、反社的組織に個人情報流失させてますし。
      実感ドドド!という反日的偏向報道番組は作るし、たまに見るニュースではキャスター?の発言に耳を疑うようなことばかり。
      どこが公共放送?
      ニッポン反日協会、ですよね。

  • 有識者とはなんの知識を有しているのか、とても疑問です。
    NHKから国民を守る、と称する政党は国民からNHKを守るつもりでしょうか?
    何故、問題提起されてから、よりおかしな方に暴走するのか

    • 匿名様

      >NHKから国民を守る、と称する政党は国民からNHKを守るつもりでしょうか?

       どこからのデマ情報でしょうか? 「NHKから国民を守る党」を攻撃したいがための
      デマなのでしょうか?

       どちらにしても、NHKは自分たちの権益を守るために必死ですね。

      1950年に作られた、今や時代遅れとなった「放送法」を自分たちの権益のために
      悪用し、NHKの異常に高い社員の平均年収や恵まれすぎの福利厚生(年金含む)や
      定年後の高給天下りのための複数の関連子会社を守るために、なんとしてでも
      善良な国民からお金をむしり取ろうとする魂胆がミエミエです。

       ネット放送の普及により、テレビ放送自体が、時代遅れとなりつつあるのに
      なんやかんやと時代遅れの法律「放送法」を悪用して、自分たちの売上を確保
      しようとするNHKは、とても醜いですね。

       まずは、NHKが悪用している「放送法」の全面的な改定もしくは廃止、そして
      NHKの全面的な組織の分離・縮小・改革が必要です。

  • 放送法第64条第1項で、協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない、という規定を改正するんでしょうか。
    受信契約を結んでいなければ支払いなど発生しようがないから、まずはテレビ持ってて未締結の人を特定する必要がありますが、その特定が非常に困難ですよね。
    だからNHKも訴訟できず、徴収できずってことになってる訳で。

    まずは罰則を設けないことには埒があかんでしょうけど、スクランブルにしたらNHKは潰れますので、税金化すると同時に国の機関にして職員給与も下げ、必要以上の余剰金も厳しく規制すりゃいいんですよ。

  • 放送法を改正するんじゃなくて、約款の中で
    1 普通の人 2万円/年
    2 不当に支払を逃れている人 10万円/年
    みたいにするんだとは思うのですが、この「不当に支払を逃れている人」をどう定義つけるのかがよくわかんないのです♪

    素朴に思いつくのは、
    「受信器の購入後1年以上を経て契約申込みをする人」みたいな定義にして、契約申込みのときに日付入りの購入証明書を提出させることだけど、個人間の売買だとそんなものは用意できないだろうし、そもそも偽造も簡単なのです♪

    それとも契約は適当に個人が作った売買書でやっておいて、後で有印私文書偽造でたい〜ほとかを目指すのかな?

    総務省も何考えてるのか、よくわからないのです♪

  • 本日9時のNHKニュース番組。
    トランプさんに習主席ですと。
    次がどうあれ現職のアメリカ合衆国大統領ですよ、NHKさん。

    それに加えアナウンサーの顔!
    トランプ大統領の政策に諸国が振り回される、と見解を述べるまでは良いでしょう。
    が、アナウンサー二人してあたかも理不尽に憤るような顔芸とは。みっともない。

    アメリカに倣ってるといえばそれまでですが次期大統領選後の報道は偏りが過ぎます。
    不偏不党の矜持も保てないならどうぞ一民放として右へ倣えの偏向報道をお楽しみください、というのが私の意見です。少なくとも受信料の支払に値するとは到底思えません。

  • 以前、京都国立博物館で開催された展覧会 皇室の名宝 の前期をオンラインチケットを購入して見に行きました。数日後に、その展覧会の後期の案内のメールが京都国立博物館からではなく、共同主催のNHKから送られてきました。なにかウラがありそうで怪しいですね。

  • 総務省もNHKの「受信料値下げ」を ずっと言い継げていますが、最近「本気か?」と猜疑心を持っています。(論点ずらし) 携帯電話に論点をずらしています。

    この放送局の影響力は絶大ですので、たぶん、集る御用議員がいるのでしょうか?

    中立とか言いながら 左側の中道ですよね。 NHKの「日曜討論」など 政治が絡む際は特に気持ち悪いですよ。 私は人選を見て視聴しないことも多々ありました。しかし、実はそれが彼らの目的で、まともな視聴者不在の中 これ幸いと詭弁を日曜の朝から国民に垂れ流すのが目的かもしれません。

    日曜朝9時のNHKの番組です。 現在、私は掃除開始時間です(笑) 

    現政府はガツンと対抗して欲しいですね。 NHKは最近、韓国同様 妙な奇策を連発してますね(笑) 受信料をまず現在の1/4くらいに下げてから物を言え!

  • NHK「テレビありますよね?」

    自分「あ?なんで赤の他人のアンタに自分の家の家電を申告しなくちゃならんのだ?」

    これで、OK

  • こんなの認められたら怪しげな訪問員が目を吊り上げて各戸攻撃に勤しむこと請け合い。想像するだにおぞましい情景です。

    よくスクランブルとか言う契約しないと観れない方式にすれば良いのに!という意見をお見かけしますが、それって契約したら全部の番組が観られるってことになると思うんですけど、
    個人的には「イヤ、全部は要らんから観たい番組だけを選択できるpayーbyーviewにしてくれや!」と願っております。お金払ってるのに観たい番組が少ない事に腹が立ちます。観たくもない番組にまで自分のお金が使われていると思うと腹が立ちます。
    公共放送なんですよね?
    水道だって電気だって基本料金は存在するものの使った分だけの料金を支払いますよ!従量制です。
    受信料も『公共料金』なのであれば従量制にすべきではありませんか?

    • すいません!書き忘れました。

      料金体系を従量制とした上で水道局、電力会社と同様に「節視聴」を呼び掛けていただけると尚嬉し!です。

    • れんげ草 様
      payーbyーview は良いと思います。
      防災や教育など、必要な範囲は国営化(協会でも良い)して税金で賄う。紅白や大河、K-popなど娯楽はpayーbyーview化して分割すれば良いのです。 

      • 門外漢さま
        ご賛同いただきありがとうございます。
        「適正価格」で観たい番組だけ観られるようななれば良いのにと思っております。
        ◯HKにしても優れた番組を配信すれば収益は今以上に上がるのではないかとも思うのです。
        ニュースと国会中継は国の負担(結局は税金ですが直接徴収は無しで!)と基本料金で賄えばよいのです。
        payーbyーview化への技術的な問題など知れたものだと思います。

    • 撲滅ポスターを思わず検索してしまいました。一部オリジナル創作です。
      「一度やったら出られない」
      「あなたが壊れるNHK乱用」
      「傷つくのはあなただけじゃない」
      「その夢は幻だ」
      「NO DRUG」
      「清潔日本にNHKはいらない」
      「NHK断り技10選」

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