日本学術会議側が昨日、記者会見を実施したようです。産経ニュースに「主な一問一答」が掲載されているのですが、「今回の任命拒否による学問の自由への影響は、政府が任命拒否の理由を明らかにしてくれないとわからない」など、読んでみるとかなりの噴飯物です。
任命拒否「問題」、キジも鳴かずば撃たれまい
日本学術会議の「任命拒否」問題を巡って、世間ではあいかわらず、ずいぶんと騒がれているようです。
いや、「騒がれている」というよりも、一部のメディア、野党議員などが「勝手に騒いでいる」、といったところでしょうか。
ただし、この問題を巡っては、当ウェブサイトでは約1ヵ月前の『「キジも鳴かずば撃たれまい」日本学術会議の自業自得』で「彼らが騒げば騒ぐほど、却って日本学術会議側の問題点が露呈して来るのではないか」と予想したのですが、その予想は驚くほど的中し始めています。
一部の世論調査では、菅義偉政権に対する支持率はたしかに低下しているようなのですが、かつての「もりかけ問題」などと異なり、今回の「日本学術会議任命拒否問題」が菅政権の屋台骨を揺るがすという心配はないと考えて良いでしょう。
それどころか、この問題を巡って政権批判している側(日本学術会議本体、立憲民主党、日本共産党、あるいは一部のメディアなど)がむしろ炎上し始めているというのは興味深いところでしょう。
噴飯物の一問一答
こうしたなか、昨日の夜には産経ニュースにこんな記事が配信されていました。
日本学術会議会見 主な一問一答
―――2020.10.29 20:41付 産経ニュースより
これは、29日に開かれた日本学術会議の記者会見における「主な一問一答」だそうですが、その内容が非常に興味深いのです。というよりも、「噴飯物」と述べた方が正確でしょうか。
たとえば、菅義偉総理が先日のテレビ出演で、日本学術会議の会員には「出身地や出身大学に偏りがある」と発言したことに関する質問に対しては、次のように答えたそうです。
「出身地や出身大学について、事実としてどうなっているのか整理できていない。何かしらの大きい問題があるなら将来的には考える必要があるかもしれない」
菅総理の発言から数日が経過しているにもかかわらず、「事実関係が整理できていない」という時点で、お粗末というほかありません。
通常、企業の記者会見などの場合、批判されるであろうと思われる部分については、記者会見までにちゃんと整理して、整合するような見解を準備しておくものですが、日本学術会議側が自分たちの主張について、驚くほど何も準備していないという証拠ではないでしょうか。
挙証責任を果たしていない日本学術会議
ほかにも、「学問の自由」との関係では、つぎのような発言があったようです。
「任命を見送った理由を明らかにしてほしい。そうでないと、どういう意味で学問の自由に影響しているかがつまびらかにならない。(学問の自由と)無関係だとは思わない」
やや乱暴に要約していえば、間接的に、「任命拒否による学問の自由への影響については、政府が明らかにせよ」、と述べているというのとほぼ同じです。
しかし、これもアプローチが真逆でしょう。
「任命拒否が学問の自由に影響している」と主張するのであれば、そう主張する側が、「こういう意味で学問の自由に影響している」と証明しなければなりません(一般に、「証明する責任」のことを、「挙証責任」と呼びます)。つまり、日本学術会議は自分たちの主張に関する挙証責任を果たしていないのです。
「どういう意味で学問の自由に影響しているかをつまびらかにするためには、政府が任命拒否の理由を明らかにせよ」というロジックには、かなりの無理があると言わざるを得ないでしょう。
日本学術会議の知識、偏っていませんか?
さらには、6人が欠けたことで出てくる問題点については、つぎのように述べています。
「例えば、生命科学の問題を新規議論するのは生命科学者だけではなく、非常に幅広い専門知識を必要とする。新型コロナウイルスの感染拡大の対応、ゲノム編集技術の応用などはいずれも社会に広く関わる問題。生命倫理、個人情報の問題など、非常に幅広い人文社会科学の知識が重要だと認識している。」
はて、そうですかね?
現実に任命されていた「人文社会科学」系の学者は、どうも法学出身者に偏っています。実際、日本学術会議の現在の名簿を見ると、「法学」が11人、「政治学」が5人含まれていますし、今回任命拒否された6人についても法学が3人、政治哲学が1人、キリスト教学が1人、歴史学者が1人です。
どう見ても「幅広い知識」を集めているようには見えませんし、しかも、日本学術会議側は、菅総理が指摘する「出身大学の偏り」などの問題について、ほとんど納得がいく説明をしていません。
いずれにせよ、日本学術会議側はあくまでも任命拒否の理由の開示と6人の任命に拘るつもりのようです。
「(任命見送りの)理由を知りたい。そして6人については任命していただきたい。いろんな形で学術会議の組織について議論が進んでいるが、われわれとしては、より良いものにするという改革を今後もやっていきたいと考えている」
あくまでも日本学術会議側がそこに拘るのならば、日本学術会議という組織そのものの存在意義・必要性も含め、そもそも論について、いっそのこと、徹底的に議論してはいかがかと思う次第です。
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パヨチンは人を攻撃するのは得意だが、人から攻撃されることには弱いという典型例ですね。
「俺たちが正義だ、ゲバルト棒を甘受しろ、殴り返すなんて卑怯だぞ」という記録が残りました。
梶田先生もお気の毒に、という感想しか湧きません。
とっとと会長なんぞ辞任して、ご自身の仕事に専念された方が、よほど「学問の自由」に貢献できるだろうにと思います。
ところで、学術会議のトップが議長ではなくて会長なのはなぜなんでしょうね。理事長というのであれば、まだわからなくもないのですが。
>梶田先生もお気の毒に、という感想しか湧きません。
同感ですね w
梶田会長、突き上げられていると思います。
元会長の大西氏は、多めの推薦名簿を内々に官邸に提示した穏健的な運営をしていた人ですが、プライムニュースの発言では、多めのリストを出したとは絶対に言わず、「正式な決定手続きを経て出したものは定数以上ではない」などと、よくわからない変化球説明をします。
自分だけが官邸とうまくやっていた、と受け取られることを避けたがっているように見えます。
事程左様に、学術会議村での村八分は大変なことのようです。
今回の騒ぎは、活動家学者と立憲等野党がつるんだたちの悪い言いがかりによるものだと思います。
学術会議の会長に祭り上げられてしまった梶田さん、お気の毒です。
すみません、私の理解力が足りないのでしょうか。
学「任命拒否だと!?学問の自由の侵害だ!!」
学「理由を開示しろ!さもないと学問の自由の侵害かどうかがわからない!!」
ということですよね…?
農民様
そうだと思うのです♪
あたしには良くわかんないけど、偉い人なら上と下を繋げるロジックを捻り出せるんじゃ無いでしょうか?
あと、少しだけ学術会議の擁護をすると学術会議のクレジットがついた要望書は、単に、理由を教えて欲しい、任命されてない人を任命して欲しいとだけ言ってて、学問の自由には触れてないのです♪
学問の自由云々は、拒否された人個人とかマスコミとか日弁連とかが言ってて、現会長にすれば、
「そんなことは言い出した人に聞いてくれ (*´-Д-)ハァ=3」
って気持なのかもしれないと、思ったのです♪
お、返信がしやすくなってますね。
七味 様
なるほど、学術会議内でもイロイロありそうですね…代表職なり学術会議総意としての返答である以上はしっかりしろとは思いますが。私も自分で突っついておきながら擁護すれば、該当部は「つまびらかに」が主眼のようなので、明かせばなぜ学問の自由の侵害になるかを明示できるのだ、と言いたげかな、とは推測します。ちと無理がある上に、新宿会計士様仰るように挙証責任の在り処がおかしいですが。
他にも、何が困るのか→色々困る だの、なぜどうしても6人を任命してほしいのかが不明瞭だの、ツッコみきれませんので、国民の理解を得たいのであればしっかりして頂きたいですね。
「どういう意味で学問の自由に影響しているかがつまびらかにならない」
≒「(自分には)学問の自由を侵害しているかどうか分からない」
と取れますね。
物理の先生は正直だな~
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
(なにしろ、素人考えなので)
そもそも学者というのは、自分の仮説を互いに批判しあうことで、(一流ならば昨日の自分の仮説を自分で批判することで)自分の仮説の精度(?)を高めていくものです。そのため、記者会見をする際には、(批判されることを覚悟して)批判に反論する理論建てを用意しておくのが学者というものです。どうやら日本学術会議の会員は学者ではなく、会員に過ぎないのではないでしょう。だから、自分の発言に自分が酔っているのです。
駄文にて失礼しました。
すみません。追加です。
今回の日本学術会議の記者会見も、朝日新聞の記事でみれば、「日本学術会議は毅然と菅義偉総理を批判した」ということになるのでしょうか。
駄文にて失礼しました。
学者がするのは批判じゃなくて提案ですよ。こっちのほうがよくね?っていう。批判は野党がするものです。批判は可能性を閉じようとすることだし、可能性を閉じるなんてつまんないじゃないですか。
分野が影響するかもですが、学者なら学会発表で突っ込まれるのが普通なので、
想定質問を用意してないってどうなのとは思います。
専門外だから解らんって感じなのかもですが、ブレインストーミングで提起してもらう位は出来ると思うんですよね。
「俺たちの了解も得ずに学術会議の改革で菅総理と合意しやがって、ざけんな!全部撤回して菅総理に抗議の記者会見を開け!」みたいなことが、日本共産党の意を受けた学術会議内の活動家連中からあって、徹底的に吊し上げられたんでしょうね。
改革で合意されたら、今の学術会議のメンバーや活動に政府機関として相応しくない問題があることを認めたことになり、その元凶の一部がこの6人でその背後に日本共産党がいることを証明してしまう。
任命されなかった6名をネタに菅総理を叩く作戦の梯子が完全に外れるので、梶田会長を囲んで理由の開示と6名の任命に戻させた、そんなとこでは。
正直に調査しようとすると内ゲバが始まる、調査結果が公開されたら
外部からの総攻撃が開始されそうでワクワクしたのだが。
それができないから、こんな会見しかできない。
真綿で首を締め上げられるだけになりそう。
日本学術会議てそんな暇なのですか?
普通の研究に勤しむ人は何か新しい事を発見しようと頭捻ってるんじゃないの?
特定の会員を選任しなかっただけで学問の自由が奪われるんでしょうか?
研究を禁止する方が自由を奪っていると思う。
例の立命館のセンセーは、任命拒否したから内閣が倒れるとか言ったのですが、メディアや文化人の方々も、ヒットラーのやり口だとかマッカーシズムだの果てはカンボジア大虐殺とか、いろいろ見立てがあるものだなあと感心しています。
https://sirabee.com/2020/10/22/20162434185/?fbclid=IwAR2MxUmy6gTzUAkyWHxqGEb6eC3ho8ggLjkT0wTfvT1MtCGKdPgOJyrhfIs
ホントにホントにそんなに風に思っているのか、あるいは業界、サークル内で発言するとしたらそういう方向しか行けないのか、そっちの疑問もあります。これは朝日などの新聞記者と記事にも感じる疑問です。
前者であればキチ○イですし、後者であれば言論統制かパワハラです。恐らくその両方かとおもわれます。
感染すると、人格に致命的問題が起きる可能性があります。
梶田会長は本当に東大教授、ノーベル賞受賞者なんですかね。そんな経歴の人物がこんなレベルの答弁しかできないとは聞いて呆れます。
生命科学の議論に共産党の工作員が必要ですかね。偏狭な思想と狭い視野しか持たず、人の話を聞かずに自分の主張ばかりするアカ学者など、邪魔にしかならないでしょう。
そもそもコロナの時に学術会議は何か役に立ちましたかね?ボランティアでやってた有識者会議はそれなりに機能しました。税金をむさぼり食ってた学術会議はこの国難で一体何をしていたのか。この一点だけでも即座に潰す理由に足ります。
教授達が頭数揃えても大学生のゼミと同レベルの答弁しかできないようでは話になりませんね。
> 生命科学の議論に共産党の工作員が必要ですかね
ルイセンコ学説再びを目論んでいるのかも。