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国際的な法と常識を尊重することは韓国の利益になる

「国益のために、そろそろ時代錯誤的な反日フレームは捨てよう。韓国外交の正当性は国際社会の法と常識を無視し、確保されない」。いったい誰の主張だと思いますか?じつはこれ、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に掲載された、ソウル市立大学のイ・チャンウィ法学専門大学院教授の主張です。韓国側からこんなマトモな主張が出て来るとは、珍しいこともあったものです。

韓国は国益のため、国際法と常識を尊重せよ

珍しいこともあるものです。

日韓関係の悪化が叫ばれて久しい今日この頃、あるメディアに、「日本が菅義偉政権時代を迎えるなか、韓国外交の正当性を確保するためには、韓国は国益のために、国際社会の法と常識を尊重し、時代錯誤的な反日フレームは捨てるべきだ」、とする主張が掲載されました。

1500文字少々という長さの記事ですが、当ウェブサイトの文責において要約すると、だいたい次のような主張です。

  • 菅義偉総理が就任してからちょうど1ヵ月を迎えたが、日韓関係にさしあたって大きな変化はなさそうだ。日本は韓国の政治家にとって何であるかを理解せずに日韓外交の脈絡を理解することは難しいが、最悪の日韓関係を放置し続ければ、結局韓国が外交的失敗を自ら招くことにもなりかねない
  • そもそも外交は相手があるがゆえに完全な勝利は不可能な領域であるが、政権が変わるたびに日本に謝罪を要求するのは国際社会の常識ではないし、国家間紛争は国際法によって実現可能な合意を引き出すべき筋合いのものだ
  • 徴用工問題も結局は日韓請求権協定の解釈がカギだが、このような紛争は国際司法裁判所(ICJ)や国際仲裁に回付すればすっきりと解決することができるし、「個人の請求権は日韓請求権協定と別個で消滅していない」とする韓国大法院判決は国際的な判断を受ける必要がある
  • 慰安婦問題にしても、2015年12月の日韓慰安婦合意は、少なくとも国際法的には安倍総理の謝罪の結果、国家責任を認め、被害者に対する実質的な賠償も含んでいるものであり、これを実質破棄したことに法的正当性はない
  • 三権分立のために政府が司法府の決定に関与できないとする論理も国際的には通じないし、国内法を理由に国際法上の義務違反を正当化することができないのは、現代国際法の確固たる原則だ。日本がその文脈で韓国の国際法違反を非難すると、韓国の弁明は苦しくなる
  • 北核危機は解決しておらず、自由で開かれたインド太平洋構想に賛同する日米豪印戦略対話(クアッド)は韓国を除外した安保同盟に発展しつつある

…。

論旨明快、説得力も高い論考

いかがでしょうか。

「日本の通商報復に拡大した徴用問題」などのように、細かい部分で事実誤認や不適切な表現などもありますが、この文章を読むと、思わず自分自身が書いたのかと思ってしまいました。

正体を明かします。

この文章、韓国メディア『中央日報』(日本語版)にソウル市立大学法学専門大学院のイ・チャンウィ教授が寄稿したものです(※漢字表記がわからないので原文どおりに表記しています)。

【時論】「菅時代」の韓日葛藤を国際法と常識で解決を

―――2020.10.15 10:24付 中央日報日本語版

さきほどの要約文では、ネタバレを防ぐために、原文に含まれていた「韓日」をわざと「日韓」に修正するなどの手直しを行っているのですが、正直、わが国のメディアでもここまで論旨明快なものは多くないのではないかと思います。

こう言っては失礼ですが、韓国人の大学教授などが執筆する文章のなかには、読んでいても客観的な事実関係と主観的な意見を混同していたり、事実を誤認していたりするものも多く、正直、いつもウンザリしてしまいます。

この点、先ほども申しあげたとおり、今回紹介した文章では、原文では対韓輸出管理適正化措置を「通商報復」と呼んでいるくだりもあるのですが、明らかな事実誤認はこの部分だけであり、それを除けば、普段目にする中央日報の記事と比べて、非常に客観性の高い文章だと思います。

正直、リンク先記事にあまり付け加えるべきものはありません。

「韓国の国益」という視点

さて、当ウェブサイトで日韓関係を議論する際には、どうしても、普段は「日本の国益」という視点に立つことが多いのは事実でしょう。ウェブサイト執筆者も読者も日本人である以上、これは当然の話でもあります。しかし、今回の中央日報の記事を読んで、ひとつ気付く点があるとしたら、たまには「韓国の国益」について議論してみるのも有益だ、ということです。

実際、リンク先の記事では、くどいほど「韓国の利益」が強調されていますし、「いまや経済規模で世界10位前後に食い込むまでに発展した韓国は、ほかの先進国と同様に、国際社会の法と常識を尊重しなければ、国際社会からは理解されない」の部分は、まったくそのとおりと言わざるを得ません。

つまり、当ウェブサイトなりの表現をするならば、「韓国が国際社会の法と常識を尊重すること」はそのまま「日本と対等で未来志向の関係を結びなおすこと」、「未来に向けて共に発展していくこと」を意味しますし、そうすること自体が、長い目で見たときに韓国の国益に合致するはずです。

中国や北朝鮮のように危険で野蛮な独裁国家の蛮行は批判せず、世界に冠たる自由民主主義国である日本に対し、異常なほど執着し、嫌がらせを仕掛けている現在のような姿勢だと、韓国は国際社会において名誉ある地位を占められるものでもないでしょう。

例のベルリン慰安婦像問題にしても、「慰安婦像の撤去を阻止した」というのは、ゲリラ戦における局所的な勝利のようなものですが、長い目で見れば日本との無用な対決を深めるとともに、韓国に対する国際社会の信頼を、少しずつ、しかし着実に損ねる行為でもあります。

結局のところ、自由、民主主義などの普遍的価値を大事にする諸国との善隣友好外交に舵を切ることが、韓国自身にとっての長期的な国益に資するものですし、もし韓国が平和かつ友好的で国際法を守る国に変化してくれるのならば、日本にとっても非常に心強いことです。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

ただ、韓国側でまともな考え方を持っている教授もいるのかと安心するのは尚早です。

リンク先記事には、こんな注意書きがあります。

外部者執筆のコラムは中央日報の編集方針と異なる場合があります。

この注意書きは、この記事に限らず、中央日報の『時論』というコラムシリーズにはたいていの場合見られるものですが、改めてこのように書かれてしまうと、「そうか、やはりこの記事は韓国国内では少数派の意見なのか」と落胆してしまいます。

いや、冒頭に申し上げたとおり、この手の正論が韓国メディアに掲載されること自体、「極めて珍しいこと」なのだと思う次第です。残念な話ですが。

現実の韓国は、自由・民主主義国家である日本をいたずらに挑発し、さまざまな不法行為を重ねる一方、中国や北朝鮮の明らかな不法行為には沈黙しています。だからこそ、日本もそんな韓国を相手にせず、粛々と日米豪印などとの連携を深めているのでしょう。

つまり、韓国の現在の苦境は韓国自身が招いたものであり、ある意味では自業自得、といったところでしょうか。

新宿会計士:

View Comments (58)

  • イ・チャンウィ教授は、韓国では少数派、というよりも希少種といってよい人ではないでしょうか。過去にも、学術的に真摯に歴史研究を行おうとする韓国の学者は何人もいましたが、韓国社会に受け入れられず、変節か沈黙を余儀なくされてきました。李教授も、いつまでこのような主張を続けられるか分かりません。

    愚民に反日を植え付け、ローソク革命で愚民に権力を委ね、青瓦台が北朝鮮と愚民に阿ながら執権するという権力構造では、反日の暴走は制御できません。冷静で論理的意見は愚民に通じませんので、韓国社会は何も変わらないでしょう。

  • 只今「反日種族主義との闘争」を読んでいる所です。この本にもなんとも違和感のある個所もあるのですが、面白い記述もありました。

  • 更新ありがとうございます。

    会計士さんのイ教授の3番目の要約が、日本人の私には考え方がズレてるように思います。内容は、

    【徴用工問題も結局は日韓請求権協定の解釈がカギだが、国際司法裁判所や国際仲裁に回付すればすっきりと解決する。個人の請求権は日韓請求権協定と別個で消滅していないとする韓国大法院判決は国際的な判断を受ける必要がある】

    請求権が残っているなら、対応するのは韓国政府だ。日本じゃない。今頃、すべて65年に有償無償問わず巨額の、当時の日本にしたら爪の火を点すほど苦労した外貨米ドルをくれてやったんだ。

    ソウル市立大学法学専門大学院のイ・チャンウィ教授、ロースクールですか?なら一人でも司法試験合格するように、対策を打った方が良いよ。

    日韓関係に韓国人らしくない考えを寄稿すると、槍玉になる。もっともイ教授のお考えは、私に言わせると「まだ浅はか」と思う。でもこれ以上、無駄な努力は必要ない。アンタらには無理、限界が見えてる(笑)。

    • その通りだと思います。
      只、私の場合、最後の(笑)が(怒)になります。

  • 中央日報はサムスン系だと聞き及びますので、
    ぼちぼちサムスンさんもガチヤバの目が色濃く大焦りなのではないでしょうか…と

    まあ用日も反日も日本に益有るものでもありませんで、連中は仲良く当方とは疎遠に、と致したいものであります

  • おクスリは朝と晩に加えて、お昼も飲むようにして、早く元の韓国人に戻った方がいい。 ヤバいよ。

  • 中央日報は「外部の執筆者に正論を代弁して貰った」というところでしょうか?
    客観的事実だけを粛々とならべ、ツッコミどころ(難癖のつけどころ)の少ない記事だと思いました。

    *どのみち国民感情によって反日姿勢の維持を余儀なくされた政権には、国際判断(最後まで抵抗したにも関わらずの裁定)によってでしか振り上げた拳の降ろしどころを見つけられないのでしょうしね。

  • 同じことを2年前に言ってれば、評価しても良かったかもしれませんね。
    反日フレームは、日韓関係だけでなく、政権により韓国国内のウリナム差別に利用されています。
    また反日は、宗教、娯楽、国是として、韓国に根付いているので、エキサイトすることはあれど、沈静化することは無し。

  • 以前から、朝中東には極々稀に、本当に稀に正気な論考が掲載されることがあります。大方外部からの寄稿で、記者が書いたものはほとんどありませんが、この論考もそんな外部寄稿者からの正気な論考ですね。
    しかし、そんな正気な論考が掲載されたからといって何かが変わったことはありません。賛否を問わず、この論考が大反響を呼んだというのであればまだしも、おそらくこの論考の読者の多くは「ふ~ん」と読み飛ばしたか、そもそも理解できないかのいずれかでしょう。

    なので、執筆者の李教授には「お気の毒です」と申し上げるよりありません。不幸中の幸いとして、読者どもが理解できないおかげで、「親日派」として糾弾されることもないということくらいでしょうか。

  • 正論を言ってももう遅いという気がします。昭和16年に米国の生産力を正確に分析し、日本の国益面から反戦を唱えても、「非国民!」と呼ばれて無為に終わるのと同じような状況です。そういえば好戦的雰囲気を煽る某新聞社も居ましたね。戦後は掌を返した様ですが。

    客観的に自国の状況を見ることができる理性的な韓国人は、非常に気の毒です。中国を切り捨てられ、祖国が破滅へひた走るのを切歯扼腕して見ているしかないというのは、生き地獄と言ってもいいでしょう。ひたすら愚かでいられる方が、韓国人として幸せなのかもしれません。

    トロイアの王女カサンドラは予言能力と呪いを同時に授かったと言います。呪いは「誰もその(正確な)予言を信じない」というもの。カサンドラはトロイヤの滅亡を予言し、誰もそれまともに取り合わず、そしてトロイヤは滅亡し、カサンドラは悲惨な死に方を迎えます。

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