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ベルリン慰安婦像:韓国教授「日本は戦線拡大するな」

先日の『ベルリン「歴史問題を持ち込むな」、慰安婦像撤去命令』の続報です。ベルリンの慰安婦像が撤去を命じられたことを巡り、韓国側で「日本のロビー活動のせいだ」、「日本は戦線を拡大するな」といった「逆ギレ」に加え、韓国系市民団体が行政訴訟で撤去命令に対抗しているようです。彼らの盛大な自爆を生温かく見守るのも興味深い話でしょう。

慰安婦像撤去命令は「当然の判断」

ドイツの首都・ベルリン中心部の「ミッテ区」の路上に1年間限定で設置された慰安婦像と日本を侮辱する碑文などを巡り、ベルリン・ミッテ区長が「二国間対立を持ち込むな」として撤去を命じた話題は、先日の『ベルリン「歴史問題を持ち込むな」、慰安婦像撤去命令』でも取り上げました。

もともと、この慰安婦像は在独韓国系市民団体「コリア協会(Korea Verband)」が設置したもので、報道等によれば、同協会はミッテ区に対し、これを「戦時中における女性に対する性的暴力に対する声明としての平和の像」などと虚偽の申請をして設置したようです。

しかし、ミッテ区のステファン・フォン・ダッセル区長は10月8日付の報道発表文で、「現実には第二次世界大戦中の日本の行動のみを取り扱ったものであり、日本国内やベルリン市内における摩擦を引き起こしている」などとして、設置許可を取り消すと述べました。原文は次のとおりです。

Die „Friedensstatue“ war im Vorfeld der Genehmigung in der Kommission Kunst im Stadtraum / Kunst am Bau (KIST) diskutiert und als Statement gegen sexualisierte Gewalt gegen Frauen in kriegerischen Konflikten gewertet worden.

Eine entsprechende Gestaltung unterblieb jedoch, sodass die „Friedensstatue“ ausschließlich das Verhalten der japanischen Armee im Zweiten Weltkrieg thematisiert. Dies hat in Japan auf nationaler wie lokaler Ebene und auch in Berlin zu Irritationen geführt.

早い話が、「二国間対立を、まったく関係のないドイツの、しかも多くの国々出身の人々が暮らすベルリンという街に設置するのは不適切だ」というものであり、(ドイツにしては珍しく)非常にまっとうな主張だと言えるでしょう。

当たり前の話です。

外国の例で考えればよくわかる

たとえば、日本から遠く離れたカリオストロ公国とエステリア共和国が過去に戦争をしたとして、いきなりエステリア共和国の市民団体が、カリオストロ公国がいかに残虐非道な国かという碑文をいきなり東京都新宿区の路上に設置したりすれば、これは新宿区にとっても困った話です。

私たち日本人の多くは、カリオストロ公国とエステリア共和国について、両国がどんな過去を持っているか知りませんし、だいいち、多くの人はこの両国がどこにあるのかを詳しく知らないのではないでしょうか(※注意:というよりも、どちらも架空の国名です)。

それなのに、新宿区が開催する路上フェスティバルなどで、エステリア共和国の市民団体が「戦時中の人権問題を取り上げた芸術作品を設置させてくれ」と申請して来て、申請を許可したところ、現実にはカリオストロ公国のことを一方的に批判するだけの代物だった、というような事例がわかりやすいでしょう。

ましてや、新宿区は多くの国出身の人々が暮らす街でもありますし、ある国がほかの国を一方的に罵るだけの碑文が設置されれば、それだけで住民間に不要な摩擦が生じるかもしれません。

事前の申請内容に虚偽があり、かつ、カリオストロ公国の外務省から外交ルートでわが国に「撤去要請」がなされれば、設置許可主体である新宿区としても、設置許可を取り消すと判断するのは当然過ぎる話でしょう。

韓国の学者「日本は戦線拡大するな」

ところが、この「当然」が理解できないのが、やはりあの国なのでしょう。

韓国メディアを読むと、この問題で日本をさらに舌鋒鋭く批判する記事が、いくつか掲載されているようです。

たとえば、『中央日報』(日本語版)は、これについて、「日本が水面下で外国に対してロビー活動を行っていた」と伝えています。

ベルリン「少女像撤去」…その背後には日本のステルスロビーがあった

ドイツの首都ベルリンに設置された「平和の少女像」をめぐり、市当局が撤去を命じて海外の少女像建設問題が再びイシューに浮上している。<<…続きを読む>>
―――中央日報/中央日報日本語版2020.10.12 06:50

記事自体、思わず呆れてしまうのですが、さらに驚くのは、記事の中で引用されている、国民大学日本学科の李元徳(り・げんとく)教授の次のような発言です。

正義連の会計不正事態が韓日歴史外交にまで影響を及ぼし、逆攻勢を受けている。強制徴用問題に加えて少女像建設・撤去問題まで戦線を拡大する必要があるのか、韓国だけでなく日本政府も冷静に考えてみる必要がある

勘違いぶりもここまで凄まじいと、逆に笑ってしまいます。「戦線を拡大してきた」のは韓国の側でしょう。

実際、左派メディアとして知られる『ハンギョレ新聞』(日本語版)の今朝の記事によれば、韓国側は順調に戦線を拡大しているようです。

裁判所に行った“ベルリンの少女像の運命”

ドイツのベルリン市に設置された平和の少女像の撤去の議論は、結局、訴訟により遮られることになった。<<…続きを読む>>
―――2020-10-12 07:04付 ハンギョレ新聞日本語版より

ハンギョレ新聞によると、例のコリア協議会はミッテ区側の撤去命令に対し、行政裁判所に効力執行停止を申し立てたことを、11日、ハンギョレ新聞に対して明らかにしたのだそうです。

勝手に戦線を拡大するというのも、なかなか興味深い話ですね。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

ただ、韓国側の発狂せんばかりの反応を見ていると、例の「日本学術会議の任命拒否問題」を思い出します。

日本学術会議の件では、左派メディアなどが「任命拒否は不当だ」などと大騒ぎをし始めたところ、逆に日本学術会議が中国科学技術協会と覚書を結んでいたり、国民に悪評の高いレジ袋有料化を提言したと言い出したりするなど、自爆ネタが次々の出て来ている始末です。

じつは、慰安婦問題に関する韓国国内の動きを見ていても、非常に似たものを感じます。慰安婦支援団体の元代表の尹美香(いん・びこう)国会議員に寄付金流用疑惑が出てきたのは、その典型例でしょう。

いずれにせよ、2015年12月の日韓慰安婦合意を最後に、日本側から慰安婦問題に対し、いわゆる「エサ」が出て来なくなったからこそ、韓国が盛大な自爆を始めたのでしょうか。このあたり、もう少し生温かい目で見守ってみても良いのかもしれません。

新宿会計士:

View Comments (36)

  • 韓国の都合が悪いと勝手に盛り上がるルーチン発動ですね。日本学術会議の件もメディアの政権攻撃が酷いですね。

  •  今後のために
    政府は詳細を明かさないこと
    が重要かと思います

  • やはりゴネ始めました。
    はてさて、ドイツが撤去を強行できますかね?
    彼らのしつこさは二つの意味で天下一品ですよ。

  • 日本学術会議もエサを与えられなくなるから、騒いでるのでしょうか。
    次は外国に言いつけるかも。

  • 日本としては慰安婦問題を含む戦時補償の解決の経験をもとにベトナムのライダイハン当事者の支援を世界各国と協調しておこなっていく活動を世界的な規模で展開します。位なこと表明してもいいのではないかと思うのですが、行動を起こすことで20万とも30万人とも言われるライダイハン当事者を支援できると思いますし新たな展開なるのでと考えます。彼らのことなので地雷まいとけばかならず踏みます、盛大に自爆すると思います。

  • 自分のところは国連まで訴状を出しておきながら、戦線を拡げるなとは、相変わらず愉快な連中ですね。

  • 彼らには「論理的思考」と言うものが欠落してるようですね。
    AイコールB,BイコールC,よってAイコールXぐらい跳んでますよww
    米の起源やソメイヨシノの起源の主張の様に、まず20万人誘拐したという結論ありきで検証はどうでもいいようです。

    >「任命拒否は不当だ」などと大騒ぎをし始めたところ、逆に本学術会議が中国科学技術協会と覚書を結んでいたり、国民に悪評の高いレジ袋有料化を提言したと言い出したりするなど···

    確かに似た者同士かも。菅総理は最初から学術会議の正体を暴くのが目的だったとすると、総理もなかなかの人物ですね。

    • > 結論ありきで検証はどうでもいいようです。

      彼らの思考回路は、「A=Xであるはずニダ」そのためには「A=Bでなければならないニダ」「B=Cでなければならないニダ」「Xまで辿り着くのが面倒だから、とにかくウリは正しいニダ!」ですので。

  • 人の横面を張っておいて、こちらが身構えると「暴力はよくない!」と言われた様な時空のねじれを感じます。怒りより先にその不条理感に脳味噌が痺れます。実存主義哲学に目覚めそうです。グレゴール・ザムザ(byカフカ)やジャン・ピエール・ポルナレフ(by荒木飛呂彦)はこんな気持ちだったのでしょうか。

    コミュニケイション・ブレイクダウン
    いつも同じ
    ナーバス・ブレイクダウンになるよ
    気が狂いそうだ
    (byレッド・ツェッペリン)

      • 神は日本に試練を与えた。日本は日韓問題という岩を山頂に運ぶという課題をこなすのだが、山頂に運び終えたその瞬間に日韓問題は転がり落ちてまたスタートに戻ってしまう。同じ行動を何度繰り返しても、結局は同じ結果にしかならないのだった。(byカミュ?)

  • 更新ありがとうございます。

    さて10月14日が締め日でしたっけ?像をぶっ潰す。じゃない撤去(笑)。「期限が過ぎたら撤去費用も韓国系団体に請求する」とミッテ区は言ってます。

    ずるこい韓国人のやり方にドイツ人は手を焼くでしょう。まともじゃないから。でも案外、「2国間の問題を持ち込むな」と、15日以後早い日に、鉄球で粉々にしてくれる気がします。ソウナレバイインダケド。

    そしたら「戦犯国同士は永遠に謝罪をすべきだ!」と穢い口で罵るでしょう。韓国人嫌いのドイツ人、更に韓国朝鮮人が嫌いになる、韓国朝鮮籍の出入国、輸入輸出が厳格化される。。良い流れです。

    • BBCの調査により、ドイツ人が韓国人を否定的に見ていることは広く知られるところとなりましたが、それはそれとして、「ドイツは歴史を反省したが日本はしていない」というストーリーはドイツにとって美味しいのです。同じ敗戦国であっても、悔い改め許されたドイツ、反省なくいまだ許されざる日本という図式を固定化できれば、ドイツの地位が上がりますから。

      ドイツは転倒的に反日国家であり、口では理想を語りながら本音は人種差別の塊ですから、韓国人を嫌っているからと言って、日本の肩を持ってはくれません。今回の案件は、実際に慰安婦像が撤去されるまで油断できません。

      ありがたいことに日本政府は警戒を怠っていないようですから、今後の悶着にも迅速に対応してくれると思います。

      • > ドイツは伝統的に反日国家であり、口では理想を語りながら本音は人種差別の塊です
        そうですね。かつて黄禍論を言い出したのがドイツ皇帝ヴィルヘルム2世であったことを忘れてはいけないと思います。

        • ヨーロッパを回ってみて、イタリア人の人なつっこさには癒やされましたが、ドイツ人のアジア人を見下す視線は不快でした。かといって、もう一回イタリア人と組んで戦争をしたいとは思いません、本当にヘタリアですから。ドイツ人もダメです。彼らは「ドイツ人の」理想を追求する余り、現実と折り合いを付けられず、毎回敗戦国になります。

      • 阿野煮鱒様

        レスありがとうございます。

        私も正直言ってドイツ人は好き嫌いで言うと嫌いです。

        それは行って肌で感じました。ドイツは反日国家です。環境の理想を語り、人類は平等と言う。しかし、本音は人種差別の塊です。かと言って私は英国や仏国、伊国が好きかと聞かれるとノーです。

        独国は真面目、勤勉、努力家と良いイメージで言われてますが、全然違う。外国人を溢れるほど入れ、ドイツ人の仕事、住を奪った。或いは環境を悪くした。

        もう80年以上前ですが、日独伊の枢軸国に何故日本が回ったのか、当時の政治家や官僚、軍人の考えが理解出来ません。如何に日本が米国はじめ先進国からいじめられ、ハミゴにされても、あのグループは無いでしょう。日本以外独裁国ばかりですよ(笑)。

        売春婦像の行方もどうなるか、最後まで破壊するか撤去するまで見届けたいです。

        • 単純馬鹿的に「敵の敵は味方」論以上の拠は無かったのではないでしょうかね?
          ついふた昔ほど前にその相手の権益をドサマギ的に頂いちゃってるの、忘れてたわけはナイはずなんですが

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