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茂木外相「習近平氏訪日日程、具体的調整段階にない」

茂木敏充外相は昨日のBSフジ『プライムニュース』に出演し、習近平中国国家主席の国賓訪日を巡って、「少なくとも現時点で具体的な日程調整をするという段階にないのは確かだ」、としたうえで、もしそれが実現するにしても「G20より後にならざるを得ない」、「中国に対して言うべきことを言うことが日中新時代につながる」とする見解を述べました。非常に力強い発言です。ところが、これが毎日新聞の手に係ると、『習近平氏来日「11月のG20サミット後に」 BS番組で茂木外相』という記事になってしまうようです。

毎日新聞「茂木氏、G20サミット後に中国主席が訪日」

久しぶりに驚いてしまいました。

毎日新聞にこんな記事が掲載されていたからです。

習近平氏来日「11月のG20サミット後に」 BS番組で茂木外相(2020年6月3日 22時45分付 毎日新聞デジタル日本語版より)

何を血迷ったのか、茂木敏充外相は昨日のBSフジの番組に出演し、習近平(しゅう・きんぺい)中国国家主席の国賓来日が、11月のG20サミット後になるとの見通しを示した、というのです。

これが事実なら、由々しき問題です。

中国は武漢コロナウィルスを全世界にばら撒いた「加害者」であるとともに、ウィルスや新型肺炎などに関する重要な情報を隠蔽し続けているような国です。また、今回のコロナ禍が全世界に広まったのも、中国が世界保健機関(WHO)にも強い影響力を行使した結果ではないかと疑われているほどです。

また、中国は香港における「一国家二制度」の建付けを破壊するような「国家安全法」などの整備を進めており、国際社会との約束をないがしろにしようとしています。

さらに、中国は現在進行形で、日本の固有の領土である尖閣諸島・領海への中国公船等の侵入を繰り返しているほどです(海上保安庁『尖閣諸島周辺海域における中国公船等の動向と我が国の対処』等参照)。

そんな国の国家元首を国賓として招くなど、言語道断ではないでしょうか。

毎日新聞の報道によれば、茂木氏は「新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期となっている中国の習近平国家主席の国賓来日について、11月にサウジアラビアで予定されるG20首脳会議の後になるとの見通しを示した」のだそうで、同時に

10年に1度となる国賓来日で習氏を迎える以上、成果を上げるよう日本の事前調整や外交手腕が試される

などと語ったのだそうです。

まるで「国賓来日に成果があがるよう、日本は中国に対して譲歩しますよ」、と言外に述べているかのようですね。もしこの毎日新聞の報道が事実なら、正直、茂木氏には失望を禁じ得ません。

ちょっと待て、その報道は正しいのか?

…。

ただ、ここで引っ掛かるのは、そもそも普段の茂木外相は、むしろ、「尖閣問題などで言うべきことを言う」、などの発言をしていたような気がしますし、茂木外相が積極的に習近平氏の国賓訪問を推進しているという話は初耳です。

記者会見ではなく報道番組に出演したという事情もあるにせよ、さすがにここまで普段の言動とかけ離れたことを、茂木外相が言うものなのでしょうか。

その「答え合わせ」をしておきましょう。

結論からいえば、茂木氏は「11月のG20サミット後に習近平氏の国賓来日を調整している」などと述べたという事実はありません。

該当する動画は、BSフジ『プライムニュース』のページで6月4日午後8時まで視聴可能ですが、ここではファクトチェックをしておきましょう。

まず、茂木外相は、動画の52:10以降で、「少なくとも今は具体的な日程調整をする段階ではないのは確か」と断言しています。この時点で、「習近平氏の来日が11月のG20サミット後になるとの見通しを示した」という点は、事実ではありません。

また、茂木氏は動画の58:32で「外交日程的に申し上げるとどう考えてもG7サミットの方が先に来る」と述べたことは事実ですが、これは「G7やG20のあとで習近平氏の来日を実現させる」、という意味ではありません。

さらに、茂木氏は

中国国家主席の訪日は毎年あるものではない。前回が2008年ですからだいたい10年に1回。こうした機会を捉え中国に対して言うべきことを言う。このことこそが日中新時代を開く」(動画の52:20~)

という趣旨の発言をしましたが、毎日新聞が報じた

10年に1度となる国賓来日で習氏を迎える以上、成果を上げるよう日本の事前調整や外交手腕が試される

という発言は確認できませんでした。

さすがにこれはマズイでしょう…

いずれにせよ、茂木氏は番組のなかで、「G7やG20などの場を使って国際世論の形成を行う」といった趣旨の発言をしていますので、自然に考えるなら、習近平国家主席の来日に関する茂木氏の見解は、

現時点で習近平氏の国賓訪日の具体的な日程を調整する段階ではない。万が一、それが実現するにしても、G7やG20などの場を利用して国際世論の形成を図ったうえでのことであり、また、10年に1回という中国国家主席訪日の機会を捉えて日本として言うべきことを言う

というものであると理解するのが妥当でしょう。

それがどうして

10年に1度となる国賓来日で習氏を迎える以上、成果を上げるよう日本の事前調整や外交手腕が試される

という文章につながるのでしょうか。

毎日新聞さん、さすがにこの記事は茂木氏の発言を180度捻じ曲げていると批判されても仕方がないと思います。

新宿会計士:

View Comments (44)

  • >成果を上げるよう日本の事前調整や外交手腕が試される

    ハングル語で考えて無理やり日本語にしたとき顕著にあらわになる特徴、すなわち「新聞記者脳」文章の典型例ではないでしょうか。この言葉遣い、自動判定AIボキャブラリー行きです。

  • ブログ主様

    注意しないで読むと、単なる要約や言いかえのようでいて、実は全く正反対のことを書く、いつもながらマスコミには要注意ですね。

    私が分かっていないだけかもしれませんが、以前からこんなにひどかったのでしょうか。

    • >私が分かっていないだけかもしれませんが、以前からこんなにひどかったのでしょうか。

      私もこれ気になります。

      いつぐらいからひどくなったのか?
      ここ数年~10年くらい戦前戦後?
      江戸時代とかどうだったのでしょうか?(そもそもマスコミが存在しない?)

      マスコミがひどいという指摘とは別により良い形を考えて提案したい!
      ただ歴史すらわからないのが実情。学校で教わった公権力に対抗する一つの手段と思っていたんですが違いましたw

      提案1
      現状なら右とか左のようにしっかり分かれて偏向報道してくれた方がいいような気がする。
      マスコミの二大政党制の様なものですかね。(日本の文化には合わないけどな~・・・)

      • 山本夏彦「私の岩波物語」からの引用です。
        「私が子供のころ、大正末年から昭和初年にかけては子供に新聞を読むことを禁ずる家庭がまだ沢山あった。新聞はうそを書く、誇張する、好んで醜聞を掲げる、大人はそれがうそまたは誇張だと察することができるが子供はできない。故に大きくなるまでは読ませない」
        新聞というものはそもそもそういうものだと考えておかないといけないものなのでしょう。
        でも私が子供の頃は、例えば国語力を身につけるために新聞を読みなさいという話がよくされていたと記憶してます。
        例えば天声人語を書き写しなさいとか。
        言ってみれば新聞屋の宣伝に乗らされてしまったのかもしれませんし、日教組による洗脳なのかもと考えたりもします。

        • たい様

          貴重な情報ありがとうございます。

          戦後に与えられたものと思っていましたが、違ったのですね

          >子供に新聞を読むことを禁ずる家庭がまだ沢山あった
          今とは真逆で驚きです。

        • 山本夏彦は一時期ハマりました。雑誌「室内」まで買ったくらいハマった。
          確かこういうのもありました。
          「大人は新聞に書いてある事を話半分に割り引いて読むからいいが、子供は新聞に書いてある事を全部本当の事だと思い込むから毒だ。」と言われて父親に読んでた新聞を取り上げられた、といったエピソード。
          あと明治の新聞記者は羽織ゴロと呼ばれて半分ゴロツキ扱いされてた、という話。

    • 東京カモノハシ倶楽部様

      1972年の佐藤栄作総理の退任会見が思い起こされます。

      「新聞は偏向だ」と言ってテレビを通じて国民に直接メッセージを伝えようとして、反発した新聞記者たちが会見場を後にする。

      構図を、執権中マスコミから批判に晒され続けた末の傲慢と捉えるか、偏向に基づいた報道に最後の最後で本心を吐露できたと捉えるか、個人的に以前は前者でしたが、今は後者に傾きます。

      政府が国会での委員会審議の映像や、各閣僚の記者会見映像をインターネットで公開しておりますが、各マスコミにすれば「政府による民業圧迫だ。」なんて主張をしたら面白いなーなんて思います。

  • さすが毎日新聞。ホットペッパーのCM並の改変ですな。
    「あんなん出たらな。みんな関西弁で吹き替えられるねんで」
    「お前もうなってるよ」
    「アホな」
    みたいな。
    フランス書院と化した創作報道の毎日デイリーニュースWAIWAIってのもありました。

  • 中国忖度新聞社もどき怪文書製作会社ならそういう意味に聞こえてしまう特殊な耳を持っているのか?
    あちらは国賓来日して天皇との接見を望んでいるのだろうが、絶対にさせてはならない。
    天安門事件で国際制裁を受けた時に、天皇を利用して切り抜けた汚事実を繰り返させてはいけない。

  • 毎日嘘つき新聞のこの記事は、yahooニュースでも日本政府への否定的なコメントで溢れかえっています。

    つまり、ほとんどの人が11月以降に習近平を国賓として迎えること、頑張って成果を上げようと考えているといった公式見解を出したものと誤解しているのです。

    まあ、この書き方だとそう思って当然ですが。

    それにしても、政権を貶めるためには曲解・捏造も辞さない、旭日新聞社にもヒケを取らない卑劣さですね。

  • 「茂木氏、G20サミット後に中国主席が訪日」

    私も気になって朝方ファクトチェックしたのですが、どこで言っているのかさっぱりわかりませんでした。

    文字起こししないと理解できないのはやっかいです。(自分の理解力が低いだけですかもw)

    茂木敏充外相が慎重な言葉選びであったのは認めますが・・・・

  • 昨日のプライムニュースを確認していただけれは、誤報というより、捏造であることは分かります。

    毎日新聞がここまで露骨な記事を書く背景に、中共いえ、習近平氏の強い焦りを見るのは私だけかしら?

    どちらで教えていただいたか、たぶん、こちらじゃないかと思うのですが、毎日新聞では積極的に中共PR冊子を配布しているのじゃなかったかしら。もちろん、チャイナマネーを沢山いただいてです。なにが言いたいのかと言うと、毎日新聞のこの記事は、習近平氏の願望なのではないかと言うことです。

    茂木外相は、あのアメリカをうんざりさせ、あのロシアとぶっ続け8時間交渉を行った交渉ファイターではありますが、その分厚い顔に相手国に対する好悪を見ることはできません。まさに、ぬりかべ外相でしょう(笑)。毎日新聞(習近平)さん、この人、そんなに甘い相手ではありませんよ。

    •  どちらかと言えば、消極的政権支持層に対する離反工作の線が濃いかと。未だに極悪習近平を国賓として迎え外交成果を積み上げ政権浮揚を画策している安倍は国賊!みたいな。

       大陸での布教の許しを夢見る(?)団体を支持母体に持つ政党の代表は訪日を心待ちにじてるようだし。

      • 匿名様

        >政権支持層に対する離反工作の線が濃いかと。未だに極悪習近平を国賓として迎え外交成果を積み上げ政権浮揚を画策している安倍は国賊!みたいな。

        おやおや、でも工作としたら、安っぽい(笑)。すぐにバレで尻尾が見えました。

  • 茂木氏は習近平氏の国賓来日を見送るとは言っていない。
    中国に対して言うべきことを言うなどと言う発言も国内向けに過ぎず、国賓として招くことに関しての国際的な位置付けに変更があるわけではない。
    だから毎日新聞の様な解釈が出てくるのでしょうね。

    • 新聞記事執筆の要諦は、読みたがっているであろう読者の目に留まるような見出しを選ぶことから始まるはずです。あのような見出しの記事を待ち受けていたひとたちのために書かれた記事。そうだったかと懐疑に思い記事内容を精査しようと寄って来る向きには、誘蛾灯的な作用を果たします。

  •  独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
    (こうお断りしておかないと、慰安婦報道の朝日新聞に倣って、毎日新聞
    から訴えられる恐れがありますから)

     『プライムニュース』としては、毎日新聞の人間を呼んで、番組を作っ
    てくれないでしょうか。そうすれば、毎日新聞の愛読者も視聴してくれる
    ので、数字が取れるでしょう。(できれば、本日の番組内で、このことに
    触れることを期待します)
     さらに毎日新聞には『プライムニュース』内で、「私には茂木外相の心
    の声が聞こえた」と言ってもらうことで、お笑い芸人の弟子を集めて、お
    笑い番組を制作することも期待します。

     話は変わりますが、昨日の『プライムニュース』内で、「G7の正式メ
    ンバーを増やそうと思えば、自薦他薦の国が大勢いるので簡単ではない」
    との発言がありました。こちらの方が重要ではないでしょうか。

     駄文にて失礼しました。

    •  すみません。追加です。
       毎日新聞の記者は、新型コロナウィルスで自宅から出られないので、テ
      レビを見て、記事を書いているのではないでしょうか。

       駄文にて失礼しました。

    • 引きこもり中年様 あなた様の豊かな想像力とセンスに脱帽です(笑)。

      >さらに毎日新聞には『プライムニュース』内で、「私には茂木外相の心の声が聞こえた」と言ってもらうことで、

      反町MC:面白い企画ですが、カラーが違うので、他局ですが『そんなこと言って~』あたりで、お願いします(苦笑)。だったりして(笑)

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