当ウェブサイトの強みは読者コメントにありますが、これに対して、紙媒体で刊行される雑誌には、読者コメントを投稿するという機能が、そもそも存在しません。
目次
ゴシップ誌に思う
NEWSポストセブンとは何者か?
当ウェブサイトに頻繁にコメントを下さる方が、「めがねのおやじ」様です。といっても、当ウェブサイトの記事に無条件に賛同するのではなく、時として非常に筋の通った反対意見を頂くこともあります。このような読者様は、当ウェブサイトにとっても非常に嬉しい存在です。
そんな「めがねのおやじ」様から、昨日、『【夕刊】珍説「安倍と麻生が朝日新聞の信頼度を落とした」』に対して、こんなコメントを頂きました(一部抜粋)。
「更新ありがとうございます。
『NEWSポストセブン』は、単なるゴシップ誌だと確信します。小学館発行で、昔あった(今も生きながらえているのか?)『週刊ポスト』、芸能ネタ中心の『女性セブン』の統合版のようなものです。『週刊ポスト』などまったく、全盛時の憎たらしい『週刊朝日』『サンデー毎日』や、『週刊読売』『週刊新潮』『週刊文春』らには太刀打ちできず、『週刊宝石』『週刊現代』あたりと中高年狙いでしたが、全然パッとしませんでした。」
実に手厳しい意見です。
他にも、「記事の執筆を、いわゆる社外ライターに任せているがために、号によっては筋が通っていないことがある」などの指摘もありましたが、この点についてもまったく同感です。確かに、NEWSポストセブンの記事を読んでいると、共感できるものとそうでないものの落差が激しい気がします。
芸能ネタの塊?
これについて、NEWSポストセブンのウェブサイトを眺めてみると、「めがねのおやじ」様のご指摘どおり、小学館が発行する雑誌を統合したニューズサイトである、という解説が掲載されています。
「NEWS ポストセブン」は小学館が発行する「週刊ポスト」「女性セブン」「SAPIO」「マネーポスト」4誌を統合したニュースサイトです。各誌の最新記事・コラム等をネット用に再編集し、掲載するほか他のニュースサイトにも配信します。
ただし、同ウェブサイトのトップに掲載されている「人気ランキング」は、次のとおり、芸能記事が非常に多いように思えます(※ランキングは昨日時点)。
人気記事ランキングの9位に入っている記事は、今年1月17日付のもので、ヤクザの世界で親分から子分に「お年玉」が支給される、というものですが、それ以外の9つの記事は、いずれも芸能人か有名人の話ばかりのようです。
なお、リンクを記載しておいて恐縮ですが、私自身はこの手の芸能ネタにまったくといって良いほど興味がありません。もし読者の皆様がこれらの記事に興味をお持ちであれば、どうぞリンクをクリックして、お好きに読んでください。ただし、別に私が「推奨」したわけではありませんので、ご注意ください。
雑誌が売れない時代?
ところで、「週刊ポスト」「女性セブン」などの雑誌名については、「めがねのおやじ」様のコメントを読んで、久しぶりに「あぁ、そういえばそんな雑誌、あったなぁ」と思い出した気がします。というのも、私自身、もう長いこと、「雑誌」というものを読んでいないからです。
私自身、独り暮らしの歴史は長く、大学生時代はもちろん、転職のために東京にやって来てからも、しばらくは独り身で過ごしていました。考えてみれば、インターネットもスマートフォンもない時代に、独身でこれといった趣味もない若い男が休日を過ごすとしたら、書店巡りが手っ取り早かったのです。
といっても、社会人になって以降は、週刊ダイヤモンド、週刊東洋経済、日経ビジネスなどの経済誌が好きで、とくにダイヤモンドと東洋経済については、定期購読をしていたほどです。また、それ以外の雑誌についても、たとえばコンビニエンスストアに寄った際に、パラパラと立ち読みをすることもありました。
しかし、いつのころからか、雑誌を手に取らなくなってきたような気がします。
まず、結婚して所帯を持ったことで、コンビニエンスストアに行く機会が激減しましたし、寄ったとしても、仕事中に緊急で何か必要なものを買いに行くときなどに限定されるようになりました。必然的に、時間潰しを目的にした雑誌を手に取ることはなくなったのです。
時代の波とゴシップ誌
まとめサイトに雑誌が負ける?
しかし、もう1つの、そして決定的に重要な理由は、インターネットでかなりの情報が取れるようになったことです。経済誌についても、自分自身で感度を持って調べる癖を付けていれば、わざわざ雑誌に教えてもらうまでもなく、さまざまな話題を目にすることができます。
ましてや、「暇潰し目的のゴシップ誌」など、わざわざ買う必要がなくなります。インターネットのまとめサイトにでも行けば、いくらでも「暇潰し目的の記事」を目にすることができるからです。
たとえば、ひと昔前の女性週刊誌をめくると、芸能人が浮気しただの、子どもができただの、嫁姑問題だの、そういった「軽いネタ」がいくらでもありましたが、そのような話題が読みたければ、もっと面白いサイトがいくらでもあります。
某匿名掲示板の内容をまとめたサイトは、それこそ馬に食わせるほど種類がたくさんありますが、「嫁姑問題」、「離婚問題」、「子育て問題」、「ご近所づきあい」などの話題は、正直、そこら辺の「まとめサイト」にいけば、いくらでも読むことができます。
持ち運びも不便だし、読者の反応も読めない
そして、雑誌がインターネットと比べて決定的に弱い部分があるとすれば、紙媒体であるため、持ち運びが不便であるという点に加え、「同じ記事を読んだ他の読者の反応」がわからない、という点でしょう。
とくに持ち運びの不便さは、非常に大きな問題です。私なども出張で長距離を移動することがあるのですが、大量の荷物に混じって新聞や雑誌などの紙媒体を持ち運ぶのは面倒です。それよりもやはり、スマートフォンを1台持っていく方が、遥かに軽いのです。
また、某匿名掲示板であれば、何か記事があったとしたら、次々とそれに人々の反応が書き込まれます。これらの反応は、さらに「まとめサイト」の運営者の手によって転載され、その「まとめサイト」自体にさらに読者の反応が書き込まれる、といった形で、「他の読者の反応」がリアルタイムで続々と寄せられるのです。
新聞の場合は、まだ、各家庭に宅配されるという仕組みが辛うじて生き残っています。しかし、雑誌の場合は、わざわざ読者が書店に出掛けて購入するという方が一般的であり、そもそも書店に出向かない人が増えれば、雑誌が売れなくなるのも当然のことなのかもしれません。
先鋭化はすでに始まっている?
そうなって来ると、雑誌の方としても、コンテンツの先鋭化で時代の波に対抗しようとする動きが、新聞よりも早く訪れるはずです。最近だと、『週刊文春』による派手なスクープ記事を「文春砲(ぶんしゅんほう)」などと呼ぶようですが、ライバル誌である『週刊新潮』と熾烈な争いをしているようです。
たとえば、『週刊新潮』が『食べてはいけない「国産食品」実名リスト』なる特集記事を組めば、『週刊文春』が『「週刊新潮」食べてはいけない「国産食品」は本当に食べてはいけないのか?』という広告を打つ、といった具合です。
私自身、雑誌が売れようが売れまいが、自分のビジネスとまったく関係がないので、ある意味では「どうでも良い」と思いながらこれらの騒動を眺めています。この点、こうした争いが生じること自体、話題性が生じて雑誌が売れるのであれば、短期的には、両誌にとっては悪い話ではないのかもしれません。
しかし、やはりクオリティの低いゴシップネタだけで派手な記事をぶち上げ続けていれば、結局は「雑誌ってレベルが低いね」という具合に、社会全体からの評価が下され、雑誌の社会的地位は落ち続けていくことになるのだと思います。
もっと言えば、近い将来、新聞もこうはるはずだ、という予感がします。いや、朝日新聞のように、すでに「もりかけ問題」を筆頭に、捏造報道まがいのこともやりながら、論調がどんどん先鋭化し始めている新聞もあります。
新聞にせよ雑誌にせよ、紙媒体だと売れ辛くなるのは当然の話なのかもしれません。
やはり良い雑誌は売れるはず
時代の流れとして、「重いし情報も更新されない」という紙媒体が、「軽くて情報も更新される」という電子媒体に勝てないのは仕方がありません。しかし、新聞や雑誌が売れない理由を分析するなら、「紙媒体が時代遅れ」という点と、「コンテンツ自体が悪い」という点については、きちんと分けて考える必要があります。
実際、この「出版不況」の時代にあっても、良書はきちんと売れています。雑誌だって同じ話であり、日本の新聞やテレビがまじめに取り上げないようなテーマについて、しっかりと調べ上げて記事に仕立てれば、そうしたクオリティの高い記事を読もうとする人は、確実に存在するはずです。
ちなみに、私自身、専門誌や業界紙に連載コラムを持っていて、これらの媒体に記事を実名で寄稿しているのですが、読者の方から「良い記事だった」という有難いご反応を頂くこともあります。専門性が高いという事情もあるのですが、私が寄稿している新聞・雑誌は確実に売れているのです。
一方、匿名で運用しているこちらのウェブサイトについても、雑誌社の方から「商業出版でコラムを書いてくれ」と要請を受ければ、条件次第では応諾するつもりですが、ちょっと論調が過激すぎるせいでしょうか、現在のところ、そのような依頼はありません。まことに残念です(笑)。
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雑誌、特に週刊誌が売れなくなったのはスマホの所為です。現在、電車の中でほとんどの人が見ているのはスマホです。以前は車内でかなりの人が新聞や週刊誌を読んでいましたが、最近以前ほど見かけなくなりました。時代がそういう時代になってしまったのです。
私は当初雑誌記者をしていて、その経験から雑誌、週刊誌、出版物はおろか新聞でさえも消えていく運命にあると悟りました。ですから最近の投稿で不見識なマスコミ記者がマンションの役員からツマミ出される記事をみて、その記者の言わんとしていることやその使命感はよく理解できます。
ただし出版媒体は、専門性や特定の必要性のあるものは残れるでしょうが、部数が出ないので収益はあがらないでしょう。専門の論文を掲載する雑誌でさえ電子版が増えておりそういう時代の流れです。
新宿会計士さんの仇敵「朝日新聞」も例外ではあり得ずそう遠くない将来消滅すると思います。
最近はテレビの関係者でさえかなり神経質に将来を見据え始めました。NHKも生き残りに必死でしょうが、彼らとて国民の大きな意向の波には逆らえないでしょうね。
こんな記事がありました。
インドでフェイクニュースを原因とした暴力事件が多発。拡散に「WhatsApp」が使われる
ネットの噂で5月だけでも12人が殺害されました
https://japanese.engadget.com/2018/07/04/india-fake-news-whatsapp-groups/
関東大震災の時の東京日日新聞(毎日新聞の前身)にしろ大阪朝日新聞(朝日新聞の前身)にしろ、ツールが変わっても人間の本質はそう簡単には変わらないというニュースですな。