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慰安婦合意TF、韓国メディアの「逆切れ」

少し異例ですが、本日も2本目の記事を配信します。「メモ」として紹介しておきたい記事を発見したからです。それは、いわば、韓国メディアによる日本に対する「逆切れ」とでもいえる社説です。

支離滅裂なハンギョレ新聞社説

困ったときは「お互いが悪い」

何か都合が悪いことがあれば「お互いが悪い」と言って逆切れし、逃げるのが、あの国の国民性――。そんな私の仮説の正しさを裏付ける社説が、昨日の夜、隣国のメディアに掲載されています。

[社説]日本は「慰安婦」被害者の名誉回復の意義に立ち返れ(2017-12-28 22:48付 ハンギョレ新聞日本語版より)

一昨日公表された、「日韓慰安婦合意」を検証するためのタスクフォース(TF)の報告書を受け、韓国メディアは現在、この報道で一色になってしまっている節があります。

それらの中でも特に酷いメディアが『ハンギョレ新聞』であり、現時点で同新聞(日本語版)のトップページを立ち上げると、上から10本のニュースのうち、7本が慰安婦合意TFに関連する記事です。

リンク先の社説は無駄に冗長ですが、私の文責において主張の要点を抜粋すると、だいたい次の通りです。

  • TFにより2015年の日韓合意で隠されていた部分が明らかになり、韓国国民の怒りが煮えたっている
  • 文在寅(ぶん・ざいいん)大統領は28日、日韓合意に「重大な欠陥があった」などと述べた
  • しかし安倍晋三総理大臣は「合意は1ミリも動かない」と主張した
  • 日韓両国政府は合意の根本的な理由に立ち返るべきだし、(いくつかの内容を)「非公開」にした理由などについて、両国政府の当局は明確に答えなければならない責任がある
  • 「とにかく合意をしたのだから守りなさい」と主張するのは「慰安婦被害者の名誉」はもちろん、国際社会での日本の地位向上にも全く役に立たないだろう

読んでいて、色々と思うところが多々あります。

まず、「韓国国民の怒りが煮え立っていること」、文在寅氏が「日韓合意に重大な欠陥があった」などと述べたことは、韓国側の反応であり、私としては「どうぞご自由に反応してください」としか言い様がありません。

しかし、ハンギョレ新聞は「合意の中で、いくつかの内容が非公開であったこと」を糾弾していますが、これは外交の世界では普通に考えられることです。

むしろ責められるべきは、合意からたった2年で、非公開の内容を勝手に公開してしまった韓国政府の側でしょう。

そして、ハンギョレ新聞はよっぽど今回のTFの公表が「韓国にとって都合が悪い」ことを自覚しているためでしょうか、「日韓両国政府は合意の根本的な理由に立ち返り、いくつかの疑問について明確に答える責任がある」と糾弾しています。

しかし、ここで「合意の根本的な理由に立ち返り、疑問に答える責任」があるのは、「日韓両国政府」ではありません。「韓国政府」です。

さらに、「とにかく合意をしたのだから守りなさい」と主張した結果、国際社会での日本の地位が低下するかどうかどうかは、ハンギョレ新聞が心配する話ではありません。日本の内政問題です。

このように、自分たちに100%非がある場合、「日韓お互い悪いところがある」と主張して、「お互いに反省しなければならない」という詭弁を弄するのは、韓国の論壇の常套手段なのです。

慰安婦捏造新聞の社説を引用してどうするの?

ただ、この問題を巡っては、日本の論壇にも責任がないわけではありません。というのも、慰安婦問題を捏造した朝日新聞を筆頭に、いくつかのメディアが韓国メディアかと疑うような社説を掲載したことも事実だからです。

先ほどのハンギョレ新聞の社説で、2箇所ほど、引用しておきたい部分があります。

日本が指摘する「合意形式の妥当性」にはもちろん一理がある。しかし「合意を守りなさい」と声を高める日本のマスコミでさえ「慰安婦合意の核となる精神は、慰安婦被害者の名誉と尊厳の回復にある」(朝日新聞)、「日本政府も『被害者の視点を欠いていた』とする報告書の指摘に謙虚に耳を傾けてほしい」(東京新聞)と言及している点に日本政府も注目すべきである。

この点、慰安婦問題そのものを捏造した朝日新聞が社説で「慰安婦被害者の名誉と尊厳の回復」などと主張していることは事実です。朝日、毎日、東京などの「反日極左メディア」が韓国にやさしい社説を書くであろうことは、容易に想像が付く点でしょう。

しかし、韓国側のTFを手厳しく批判した、読売新聞や産経新聞、日本経済新聞などの社説を引用しないことは、アンフェアというほかありません。

また、ハンギョレ新聞は途中までは「日韓両国政府」を批判していながら、最後はいきなり日本政府を批判し始めます。

慰安婦問題の合意は、互いに有利なことをやりとりするような通商協定とは性格が全く違う。歴史的意味と人類共通の価値を再確認する崇高な作業だ。これを密室でやりとりするように「取り引き」して両国国民に隠して嘘をついていたことは容認できない。単に朴槿恵(パク・クネ)政権の無能と身勝手ぶりだけを恨むのではなく、日本の安倍政権もまたこの責任を厳重に負うのが当然だ。日本政府は両国が合意になぜ乗り出したかを今からでも振り返り、いかにすることが韓国と日本の未来指向的関係に役立つのか、深く考えるべきである。

この社説を書いた人物は、論理的思考が全くできないか、それとも韓国国民におもねっているのかはわかりません。

しかし、朴槿恵(ぼく・きんけい)政権が決断した以上、韓国国民に対しては朴槿恵政権が第一義的な説明責任を負っていたことは間違いありませんが、安倍政権は韓国国民に対する説明責任を負っていません。

そして、安倍政権は先日の衆議院議員総選挙でも日本国民から信任されており、この慰安婦合意を含めた内外の諸懸案についてのハンドリングは、ハンギョレ新聞が口を出すべき筋合いのものではありません。

安倍政権が説明しなければならない相手は日本国民であり、韓国国民ではないのです。

今後、韓国は外交交渉ができなくなる

以上、典型的な韓国国民の思考パターンの片鱗がわかる社説を紹介しました。

ところで、冷静になって考えてみると、今回の慰安婦合意TFは、韓国という国自体に非常に大きな打撃を与えたといえます。

なぜでしょうか?

それは、「政権が代わったら非公開の外交交渉の経緯を勝手に公表してしまう」ということが、明らかになったからです。

これは韓国だけでなく、韓国と外交交渉を行うすべての国にとっても非常に大きなリスクです。

外交の世界では、外国とのやり取りや約束事の全てが逐一、公表されるわけではありません。これは世界の常識です。

当然、これは韓国自身も同じであり、直近の事例で言えば、「中韓通貨スワップ協定」を巡って、おそらく中国側とさまざまな密約を交わしているのではないでしょうか?

また、私は米国が近い将来、北朝鮮攻撃に踏み切る可能性が非常に高いと見ていますが、それにより最も大きな影響を受ける国は韓国です。

今回、韓国が日本との交渉の経緯を明らかにしたことで、慰安婦合意を仲介した米国にも、「韓国政府に何かを通告しても、勝手に公表されたり、北朝鮮に通告されたりするのではないか?」と疑念を持たれたことは間違いないでしょう。

ということは、万が一、米国が北朝鮮攻撃を実行し、北朝鮮の体制が崩壊するようなことがあった場合の「戦後処理」の会議にも、韓国は招かれない可能性がある、ということです。

いずれにせよ、北朝鮮の核開発という「現実」から目をそむけ、日本という「韓国に全く脅威をもたらさない国」を叩くことで溜飲を下げ続けた韓国という国は、結局、自分で自分を非常に良くない状況に追い込んでしまったのだ、と総括することができるでしょう。

新宿会計士:

View Comments (9)

  • 慰安婦合意に対する文大統領声明を読んでみると大統領と政府は別物で大統領は合意を認めていないが、政府がどうするか見守りたいとまるでひとごとまたいな発言でした。韓国の大統領はアメリカ大統領と同じで行政権を持ってるはずですが、自分は政府の代表者ではないと言っている訳です。まあ、責任逃れに言っているのでしょう。安部総理は平昌五輪に出席するかは不明としていますが、屋根がなく氷点下になる開会式場で暖房は毛布とカイロだけという寂しい式典は総理はおろか選手も出席させない方がいいでしょう。選手代表が一人いれば十分です。

  • >むしろ責められるべきは、合意からたった2年で、非公開の内容を勝手に公開してしまった韓国政府の側でしょう。

    その通りだとは思いますが、ここの部分は日本政府として取り立てて攻め立てる必要はないかと。
    合意のうちの非公開とされた部分ですが、どの項目も日本側があえて非公開を要望する類の項目は見当たりません。
    韓国側が非公開を希望し、日本側が同意したものばかりというのが正しい見方かと思います。
    要は、非公開項目とは韓国側こそが伏せておきたかった内容ばかりという、完全な自滅です。

    約束を破った外交的責任を糾弾する材料にするのもありですし、外交の場で多少のアピールはしてもいいかと思いますが、あくまで合意全体からすれば枝葉の部分であるとういう点と、実は日本国内で「非公開」の中身のほとんどが、かなり以前から周知の事実になってることを考えると、安倍首相の方もしっかりリークしてたという事なのでしょう。
    いまのとこ気付いてる韓国メディアは見かけませんが、あまり突き過ぎるとヤブヘビになりかねないですw

    攻めるべき本丸は、あくまで合意不履行であり、ウィーン条約に違反した現状でしょう。
    安倍首相としても、悲観的予測の一つとは言え、十分に予期できた「想定内」の事態でしょうから、あとはシナリオを微修正をしつつ断交にならないギリギリのラインで「韓国切り」を粛々と進めるんだと思います。

    • リークなどしませんよ。国家間の約束ごとの未公開部分をベラベラ喋ってる朝鮮人じゃないんだから。自民党政権なんですよ、国際法に反することはしません。

      • 団塊さん、まーおそらく山紀有さんは「リークしない」んじゃなくて、「リークしたのが安倍首相だとわからないように上手にリークする」とおっしゃりたかったんじゃないですか?団塊さんがおっしゃるとおり安倍政権は公然とリークなんかしません。やるとしたら山紀有さんがおっしゃる通りうまくリークするんだと思いますよ。ブログ主さんによると安倍首相はいい意味で狡猾ですからね。

  • こんにちは♪いつも楽しく拝見しています。
    経済評論家、作家の中島孝志さんが自身のブログで2018年韓国経済は崩壊すると断言されてますね。
    日本にしれっと援助を頼んでくるだろうと書かれてますけど、今の日韓関係ではまず無理でしょうね~
    韓国は頑張って自力で何とかしてください!

  • < 毎日の更新ありがとうございます。
    < 文大統領の慰安婦問題発表全文読みましたが、これが当事国の大統領か、と思うほど凡百な内容ですね。アチラの国の言い回しの特徴ですが、綺麗に意味のない言葉を散りばめているだけ。「私じゃない、前任者だ、重罪だ」と言いたいのが見え見え。しかし「手続き的にも内容的にも重大な欠陥がある」とのことで、選挙公約通り「早い時期に後続措置を準備するよう望む」と合意の破棄を示唆した。
    < 破棄したらどうなるか、分かっているのかな?まず、北有事に攻撃を受けても、在日米軍は日本国の承認ないと、半島に行かないぞ。間違いなくボコボコにされる。在韓米軍も沖縄か岩国まで撤退する。また、昔みたいに釜山まで下がってから攻め直すか(笑)。南北鮮の避難者は水際で追い返す。死傷者は人口の20%、1,000万人は固い。それと30年間非公開の合意文を2年で破る常識なし、これも対韓カードに使える。最近、ほっといても良いカードがどんどんたまりますね。
    < しかし、昨日はとうとう韓国の新聞屋がキレて対中国には絶対に言えないことを、日本に言い放ちました。「日本も合意の抜本的な理由に立ち返り疑問について明確に答える責任がある」(ハンギョレ新聞)。ハア?なぜ日本に責があるのか、すべて韓国だろう。こういう自分らが困った時の言い方、「お互いが反省しなければならない」あるある(笑)。そうそう常套句。そう言って悪気を感じる訳でもなく踏ん反り返っている阿呆民族です。治りまへん。
    < 新宿会計士様の紹介があった 韓国の新聞社も、極左から保守系反日の薄いものまで、いろいろありますね。東亜日報など日本と手を切れとまで言ってる。「日本国大使館前の慰安婦像の移転を主張し、韓国民の反感をかったのは日本だ。日本が韓日関係がどうなってもいいという態度に出るなら、韓国が執着する必要はない」だって。ナント偉そうな。半面、朝鮮日報は「日本を批判するのは韓国の政治家として非常に魅力がある。しかし日本を敵視する文大統領は国益を計算しているのか」(そんなもん、計算してるはずないやろ)。
    < 日本のマスゴミ、朝日、毎日、東京も酷い。彼等は京城本社の東京駐在員か。此の期に及んでも、日本の対応の難点を指摘する。なんか韓国紙に東京で軒下貸してる社もあるし。3悪紙は早急に従業員に賃金支払い不能のレベルまで落ちることを望む。
    < 失礼いたしました。

  • むしろ韓国が国として約束したことを
    ・国民が納得しない
    ということを理由として履行しないことが他国からすれば統治能力の喪失として見られるのではなかろうか
    大使の受任からなにから「貴方は本当に帰貴国を代表しているのか」と確認が必要となりますがさて何処の誰に?
    ということでこれが国際的に広まると外交交渉のまず第一歩、誰がカウンターパートかの確認すらできなくなって外交が何もできなくなりますわな。

  • 更新ありがとうございます。

    今回の非公開内容の一方的な公開は、日本にとって痛くも痒くもないものです。しかしながら、例えば相手が中国だったとすれば、韓国は中国の同意なし非公開内容を公開したりするでしょうか。

    そう考えると、今回の「勝手に公開」という行為は、相手が日本だからこその「見下し的」ニュアンスを含んでいると解するべきです。仮に韓国にそこまでの姦計はなく単なるウッカリなのだとしても、またそれによって自ら墓穴を掘ったのだとしても、そんなことに顧慮することなく、日本としては一方的な背信行為として対応するべきでしょう。

    文在寅は、ほとんど合意破棄に近いようなことを口にしていながら、日本に決定的言質を与えぬよう、のらりくらりとやり過ごしているつもりのようです。しかし、非公開内容の一方的公開自体が、ほとんど合意破棄と同等の背信であり、一世紀前なら戦争のきっかけになるような事態であると見るべきです。

    日本政府としては、大使館前の慰安婦増について、ウィーン条約違反によるICJ提訴の準備を明示的に進めるべきでしょう。もちろん、拙速に提訴してしまうと「日本から合意破棄した」とされる可能性があるため、非公開内容の一方的公開を大きく責めつつ準備を進めるというのがよいと思います。

    ちなみに竹島案件とは違い、ウィーン条約関係に関しては、日本からの一方的提訴によって国際司法裁判所は審理に入ることが可能なようです。竹島案件についても、世界的アピールのためには提訴準備を進めるべきかもしれません。

    冬季オリンピックについても、選手には気の毒ですが、不参加とするべきなのかもしれませんね。まあ、それ以前に北朝鮮問題でオリンピック自体流れる可能性もあるわけですが。