昨日のニュースを見て、「そういえば民進党という政党があったなぁ…」と思い出しました。
目次
ゴキブリの巣理論
そういえば、民進党とかいう政党がありました
私自身、すっかり忘れていたのですが、昨日は「民進党」という政党の代表選が行われたようです。
民進党新代表に前原氏、野党再編含みの船出(2017/9/1 15:11付 日本経済新聞電子版より)
民進党は、「いちおうは」日本の最大野党です。そして、9月1日午後に行われた臨時党大会で、前原誠司氏を代表に選出しました。
いろいろツッコミどころがあり過ぎて、どこからどう書けば良いのかよくわかりません。とりあえずは前原氏の経歴から紹介しておきましょう。
前原氏は1962年生まれの55歳で、1993年の衆議院議員総選挙に日本新党の公認で立候補し、初当選。新党さきがけ、民主党(旧)などを経て、1998年の民主党結党に参加し、2005年には民主党の代表に選出されます。
しかし、国会で永田寿康衆議院議員(民主党)が捏造された電子メールをもとに国会質疑を行ったことが表面化(いわゆる「永田メール事件」)。この事件の責任を取り、前原代表は辞任しています。
また、2009年9月に成立した鳩山由紀夫政権では、国土交通大臣として入閣し、さっそく、八ッ場ダムなどの建設事業を中止。さらに、民主党が政権公約に掲げていた高速道路の無料化については結局実現しないなど、無用の混乱をもたらしました。
なお、いちおう前原氏の名誉のために付記しておきますと、航空行政については、羽田空港の24時間化と国際空港化を打ち出したことや、伊丹空港を株式会社化したうえで関西空港と経営統合したことなど、国土交通大臣としての実績は皆無ではありません。
ただ、こうやって彼の経歴を書き連ねてみると、法律の無視、根回しのなさ、現実的な財源の欠如など、政治家としての基本的な資質に疑問符が付く人物でもあります。行動力は認めますが、やはり、私は彼に安倍晋三総理大臣の後任首相にはなってほしくありません。
しかし、今の民進党の人材難に思いを致すならば、民進党の急速な瓦解を防ぐという観点からは、一番マシな候補者が当選したということだと思います。
いかにも民進党らしい、村田蓮舫氏の罪
それでは、そもそもなぜ、このタイミングで民進党の代表選が行われたのでしょうか?
昨年9月、村田蓮舫(むらた・れんほう、中国名「謝蓮舫」=しゃれんほう)氏が民進党の代表に就任しました。しかし、村田氏は自身の二重国籍問題を巡り、説明が二転三転。最終的には彼女自身が国籍法に反し、台湾国籍を保持していたという事実を認めましたが、それでも彼女はあくまでも「台湾国籍を抜くのをうっかり忘れていた」というスタンスで一貫していました。
そして、民進党に激甘なマス・メディアが村田蓮舫氏を追及しなかったことを良しとして、村田蓮舫氏は自身の二重国籍問題を強引に幕引きし、逃げ切りを図りました。しかし、日本国民もバカではありません。民進党に対する支持率は伸びるどころか低迷。面白いことに、今年6月以降、マス・メディアが「もり・かけ問題」ばかり報道するようになり、内閣支持率が低迷していた時期に、民進党の支持率も低迷。時事通信の調査によると、2017年8月時点で民進党に対する支持率は3.2%にまで激減しています(図表1)。
図表1 時事通信が報じた政党支持率
政党 | 8月 | 7月 | 6月 |
---|---|---|---|
自民 | 25.7% | 21.1% | 25.0% |
民進 | 3.2% | 3.8% | 4.2% |
公明 | 2.5% | 3.2% | 3.5% |
共産 | 2.3% | 2.1% | 2.4% |
維新 | 0.8% | 1.1% | 1.3% |
自由 | 0.2% | 0.0% | 0.1% |
社民 | 0.8% | 0.3% | 0.3% |
こころ | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
支持なし | 62.2% | 65.3% | 60.8% |
(【出所】時事通信『政党支持率』より著者作成。ただし、内容は2017年8月10日掲載のものであり、リンク先の記事は上書きされるため注意)
もっとも、民進党の支持率が急落しているのは、村田蓮舫氏のせいだけではないかもしれません。「ガソリーヌ」こと山尾しおり衆議院議員は、明らかに政治資金規正法違反を犯している犯罪者ですし、後藤祐一衆議院議員は女性官僚に対するパワハラや泥酔してタクシーに乗り、暴行事件を起こしています。あるいは小西洋之参議院議員は、国会内で「ダイビング」を行った男として有名ですが、他にも貴重な国会質問の場でクイズをやってみたり、ツイッターに「共謀罪が成立したら亡命する」と書きこんでみたり、と、実に香ばしい人物でもあります。
さらに、玉木雄一郎衆議院議員は、加計学園「問題」のさなか、前川喜平・前文科省事務次官と連携し、朝日新聞に捏造した文書を持ち込み、そこから安倍政権への報道テロを企てました(詳しくは『疑惑深まるタマキード事件』をご参照ください)。
民進党という組織は、不思議なほど「人罪」(『人材』、ではない)が揃っています。やはり、マス・メディアから絶対に叩かれることがないため、慢心し切っているのでしょうか?
まともな野党が不在の日本の不幸
私には以前から持論があります。それは、日本にまともな野党が存在しないことです。
非常に残念なことに、民進党は日本の「最大野党」です。そして、日本の小選挙区制度は、第1党と第2党の得票差が数百万票付けば、議席数に4倍もの開きが生じるという、非常に歪んだ仕組になっています(図表2)。
図表2 衆議院議員総選挙の小選挙区における得票と議席数
2009年の総選挙では、自民党は2730万票を得ていながら、小選挙区での獲得議席数は64議席に留まりました。これに対し、民主党は3348万票で、自民党を600万票程度上回っただけなのに、獲得議席数は221議席です。いわば、得票数ではわずか23%しか上回っていないのに、議席数で4倍もの開きが生じた格好です。
言い換えれば、少なくとも2000年以降、自民党の小選挙区での獲得票数は2500万~3000万票程度で一定しているため、仮に自民党が2500万票のときに3000万票を獲得する政党が出現すれば、再び政権交代が発生するということです。ということは、まかり間違って民進党が3000万票を獲得すれば、外国人である村田蓮舫氏が首相になってしまうという危険性もあったのです(もっとも、いまや村田氏は、無事、民進党の代表ではなくなりましたが…)。
今のところ私は、安倍政権の事を大筋では信頼しており、支持しています(もっとも、安倍政権の政策には賛同できない点や不満も沢山ありますが…)。しかし、仮に自民党が1990年代の宮澤内閣時代のように歪み、腐敗し、河野洋平のような独裁者が権力を握る時代に逆戻りしてしまえば、日本国民の多くは不幸になります。
その意味で、いつでも自民党に対抗し得るような、健全な政策を掲げる提案型の野党が、日本に存在しないことは、不幸というほかありません。残念ながら、この状況は2012年12月に政権交代が生じて以来、全く変わっていないのです。
前原代表を「とりあえずは」歓迎する
こうした中、私は今回の前原代表の民進党代表への就任を、「とりあえずは」歓迎したいと思います。
私が前原氏に期待したいことは、民進党の崩壊を、少しでも食い止めることです。残念ながら村田蓮舫氏時代があまりにも酷く、民進党の将来的な崩壊を防ぐことは不可能だと考えています。ただ、民進党が求心力を回復し、政党支持率が上向けば、「離党ラッシュ」も一巡するはずです。
私が民進党の崩壊を望んでいない理由は、ただ1点しかありません。それは、「ゴキブリの巣理論」です。害虫を駆除する時には、害虫の巣を壊滅させるのが手っ取り早いというのも事実です。ただ、害虫に逃げ道がある状態で巣を駆除しても、害虫は四方八方に逃げてしまい、結局は駆除に失敗してしまいます。
民進党もこれと全く同じで、民進党があまりにも急速に求心力を失えば、民進党議員は政党ロンダリングよろしく、離党して新党に合流し、経歴をロンダリングして再び国会議員に選ばれてしまうかもしれません。その意味で私が一番恐れているのは、自民党を離党した若狭勝衆議院議員と、民進党を離党した長島昭久衆議院議員、細野豪志衆議院議員あたりが合流し、小池百合子・東京都知事の人気にあやかる「小池ファースト党」を立ち上げることです。
非常に失礼ながら、私の見立てでは、民進党の議員の中にまともに政策を議論できる者はほとんどいません。マス・メディアが民進党を全力で擁護してくれるがために、選挙で当選してくるような政治屋ばかりです。ただ、ここまでマス・メディアが全力で擁護しているにも関わらず、民進党の悪評は酷く、このままだと次の総選挙で民進党はさらに獲得議席数を落とすことにもなりかねません。
そのような段階で「小池ファースト党」が立ち上がれば、民進党議員が雪崩を打ったように「小池ファースト党」に合流し、テレビのワイドショーを真に受ける情報弱者層の票を得て、再び国政選挙で大勝する可能性もあります。
したがって、前原氏には、もう少しの間、民進党を崩壊させないように頑張ってほしいのです。民進党をゴキブリの巣に例えるのはゴキブリに対して非常に失礼ですが(笑)、害虫は一箇所に固まっている方が駆除しやすいのです。
村田蓮舫氏の代表辞任と前原誠司氏の代表就任を、まずはお祝い申し上げたいと思います。また、本日の文章の中に、不適切な表現がありました。ゴキブリの皆様に不快感を抱かせたことを、深くお詫び申し上げます。
成熟した民主主義国家になるために
日本にまともな野党がないことは、非常に困った問題です。私は個人的に、日本維新の会や「日本のこころ」などに期待していますが、それでも、政党支持率や獲得議席数などのデータで見る限り、これらの会派が躍進する可能性は、現状では非常に低いというのが実情です。
また、2016年7月の都知事選に出馬した桜井誠氏は、現在、「日本第一党」という政党を立ち上げていますが(※ちなみに若狭氏の「日本ファーストの会」は桜井氏のネーミングのパクリです)、今年7月の都議選では「日本第一党」からの公認候補は泡沫候補なみの得票数で終わってしまいました。
これが現実です。
私はマス・メディアの人間と異なり、「自民党一党独裁は日本にとって好ましくないから、民進党を躍進させるべきだ」とは考えていません。というのも、現状、民進党が掲げる政策には全く同意できないからです(というよりも、国会質疑でも、民進党は相変わらず、対案を一切出さずに政権の揚げ足取りに終始しています)。
しかし、私は日本の将来を、全く悲観していません。日本国民は、少しずつ――本当に「少しずつ」、ですが――、しかし、確実に賢くなっているからです。その大きな要因は、もちろん、インターネットにあります。
私は「インターネット万能説」を掲げる訳ではありませんが、しかし、新聞・テレビなどのマス・メディア(あるいは「マスゴミ」)に対抗し得るだけの、情報テクノロジーが発展していることは、素直に歓迎したいと思います。
新聞は全国紙が5紙(読売、朝日、毎日、産経、日経)、地方紙が各都道府県に1~2紙という寡占状態にあり、テレビも在京キー局が5局(日テレ、テレ朝、TBS、フジ、テレ東)、NHKが2チャンネル、それから各地方のローカル局、という具合に、ほぼ完全な寡占状態にあります。
しかし、インターネットだと、それこそ資本系列も異なるメディアが、雨後の竹の子のごとく、乱立し始めています。その結果、最近、評論サイトも充実し始めていますし、インターネット・テレビでも良質な番組が数多く配信され始めています。もはや時代は変わりつつあるのです。
もちろん、一時的には旧態依然としたマス・メディアの偏向報道に毒された情報弱者が変な投票行動をして、おかしな議員が出現することは避けられません。しかし、こうしたインターネットを通じた競争が活発になることで、日本の民主主義は確実に良い方向に変わります。
私はそのことを信じて、これからもウェブ評論活動を続けて行こうと考えているのです。
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相も変わらずの呆け老人のたわ言です。
民進党は大きな政府を目指すべきです。私の言う大きな政府とは福祉を充実させ、その財源を増税に求めることです。モデルは北欧型、あるいはアメリカの民主党です。野田政権は消費税増税を打ち出したことで悪評ばかりですが、福祉政策の財源を明示したことで、当時の民主党政権の中では最もまともと評価している。増税策は国民受けが悪く、その必要性を理論立て、筋道を丁寧に説明しないと、理解は得られないものです。野田政権はこれをおろそかにして国民からそっぽを向かれた。それ以後の民主党(民進党)は増税策など口にも出せず、護憲だけを掲げ、共産党もどきになってしまった。日本の安保や防衛のことを考えれば改憲は必然であって、護憲など政策にも値しない。これは北のミサイル開発を見れば明らかだが、共産党もどきは護憲をただひたすら唱えている。今の民進党は改憲など口にもできず、ただの選挙目当ての者だけの集まりになってしまい、離党した長島氏曰く選挙互助会に落ちぶれた。前原氏には安保と防衛を基本に考えて、阿保の護憲ごろつきなどを切り捨て、改憲論議をしてもらいたい。そのうえで、大きな政府を目指してもらいたいものだ。それを地道にこつこつ訴えていけば、心ある国民の中から支持してくれる人たちも出るだろう。
私は小さな政府が持論で、大きな政府には反対の立場だが、小さな政府と大きな政府の政策論争がないとまともな政策論にならない。前原氏には選挙目当てでないまともな政策を示してもらいたいものだ。
そういえば、細野氏が経済政策は大きく振れて構わないが、国益を考えると、国防・外交は政府が変わっても継続させるべきとの発言を某テレビでしていました。細野氏の経済政策には同調しませんが、そういった考え方自体は国会やマスコミに浸透してくれるといいなと思いました。
最近の野田聖子総相の発言のようにアベノミクスが予想を下回っているという論調の人がいます。ただ、何が予想から外れているかと考えると、消費税増税の購買意欲の低下を過小評価していたことと、日本の潜在的な雇用数を過小評価していたという2点だと思います。消費税を増税した時、多くの御用学者は購買意欲の低下は3カ月もすれば落ち着くと言ってましたが、実際に落ち着いたのは最近です。また、雇用が100万人から150万人増えれば、需要は飽和して給与が上がると言われていましたが、安倍政権発足当時から今は300万人増えているけど、まだ需要は上がり続けて飽和する様子はありません。一方、企業の内部留保は400兆円を超えているので、日本には需要が飽和すれば給与が上がる下地があります。
現状を考えると、経済に素人の私でも、現在の緩和政策を続ければ、近い将来には給料が上がって、インフレへと動くだろうということが分かります。そして、今の状態で消費税を上げることは、前回の消費増税の影響が折角落ち着いてきた今するべきことではないということはすぐに分かります。自民党内も含めて今の国会には、アベノミクスを推進することが日本にとって良いと主張する議員が少ないのかが疑問です。
それはさておき、帰省した時に、漠然と「インフレになることをどう思うか(ハイパーインフレでは無く、年2%程度の)」という話を両親としました。すると、両親の感覚としては、インフレになると貯蓄が目減りするので嫌だというイメージのようです。我々の40台以下の世代では、インフレして経済が活性化するメリットを直に感じられますが、退職して年金と貯蓄で食べていっている親世代はデフレの方が良いと潜在的に感じている人も多いのかなと感じました。
先の日経でも書かれていたようにマスコミでは「成長戦略よりも財政再建を優先する高齢者世代と、今の成長戦略を優先して財政再建を先伸ばしにする若者世代」という宣伝をしていますが、実際はバブル後のデフレで財政赤字は膨らんできました。そして、巨視的に見ると財政再建を目指すには先ずは景気を上昇させることが大切で、そのためにはアベノミクスが目指す計画的なインフレは必須だと思います。結局、本当のところは「自分たちの貯蓄を守るために財政再建に抵抗して将来に借金を残そうとしている高齢者世代と、景気を上昇させて将来の財政を健全化させたいと考えている若者世代」という構図になっているのではないでしょうか?
そう考えると、現在の内閣支持率が、若者に高く、高齢者に低いという構図も、単にマスコミに踊らされているだけでなく、今後働くことが無く、貯蓄で食べていく高齢者世代の抵抗といった図式もあるのではないかと思えてきます。
大きな政府、小さな政府どちらにも長所と短所があるので正解が無く難しい所ですが、個人的な理想としてはやはりローマを信仰する者としても小さな政府を私は目指すべきだと思います。
しかし大きな政府?な日本が小さな政府に途中から方針を転換すると国民の皆様に今まで与えていた行政サービスが劣化してしまう可能性があり転換を目指しても弊害が大きくては反対の声が大きくなり問題です。(例小泉政権)ですが超少子高齢化が絶賛進行中の日本では大きな政府を目指しても恩恵を受ける側と搾取される側とで軋轢が大きくなり数が多い高齢者側の意見だけが通りやすくなってしまいこちらもまた危険です。
国民世論が割れた時の危険性は今のアメリカを見ればよく解るでしょう。(なにより政治的混乱は隣国を利するものなので避けるべきです)
そしてもっとも危惧すべきなのが地方の衰退と都市への一極集中です。ローマはこれが一因で滅びたので私はこれが一番怖いのです。地方が衰退し食うに困り都市へ人が流出し都市では格差が大きくなる。地方が衰退をしない様にする為には公共事業や規制緩和、金融政策、若年層をへの優遇政策、高齢者の介護負担軽減策などを行いますがどう見ても大きな政府になってしまいます。
……………書いていて思いましたが結局の所大きな政府を維持する負担を我々国民が許容出来るかが問題ですね、失礼しました。
いつも楽しみに拝読(ツイッターも併せて)しております。
今回の記事はいつもよりユーモアに傾向した部分があって面白かったです。
http://nihonseiji.com/votematches/1
会計士様の結果が気になります。
私は僅差で日本のこころ→自由民主党でした。3番目に維新です。
こっちに書くのもどうかと思うんですが本日北朝鮮が核実験に踏み切りこれまでとは違い震度が大きく水爆の可能性も否定出来なくなってきましたが、ここのブログを閲覧してる人達のコメントも見て見たいので北朝鮮向けの記事をまたお願いします。
しっかしどう見ても日米舐められてますね、このままエスカレートし続けると遅くとも来年には核武装論を国会で議論しかねない程状況がエスカレートするので危険極まりない状況です。(ミサイル警報と避難行動が今後も続くようなら世論は確実に動く)
出来れば左翼さんの意見も聞きたいですね、共産支持以外の人達が今どう言う考えに変化して行くのか興味があります。