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    Categories: 時事

国単位で信頼を失うということ

異例ながら本日3本目の配信です。韓国のメディアが、「国際的な信義」を守ることの重要性を感じさせる、非常に興味深い情報を配信しています。

私は、韓国メディア「中央日報」の日本語版に掲載された次の記事に、「国際的な信義」を守ることの重要性を痛感させる記事が掲載されていました。

韓経:ウォルマートから「爆弾」メール…「韓国海運会社と取引しない」(2017年02月14日09時08分付 中央日報日本語版より【韓国経済新聞配信】)

リンク先の記事は「韓国経済新聞」が配信したものを中央日報が日本語訳したもので、米ウォルマートが韓国の韓進(かんしん)海運の経営破綻を巡る韓国政府の対応に不信感を抱き、「韓国の海運会社と二度と取引しない方針を定めた」とするものです。

情報源は韓国経済新聞ですが、これによると、

  • ウォルマートは1990年代から20年以上にわたり韓進海運と取引してきた
  • ウォルマートの年間海運物流量の1割ほどを韓進海運が担当しており、多い場合は年間コンテナボックス3万本分のウォルマートの製品を韓進海運が輸送。運賃では3000万ドル規模となる
  • しかし、ウォルマートは韓進海運の突然の法定管理申請による物流の混乱で被害を受けた
  • ウォルマートは今年からこの物量を中国など他国の海運会社に回した

といったものです(順序は引用者が適宜入れ替え)。記事の日本語が極めて不正確であるため、「運賃が3,000万ドル」という情報は「1990年代から毎年」なのか、「1990年代からの20年以上の累計」なのかはわかりませんが、ウォルマートの年間海運物流量の1割を占めていたということであれば、おそらく「年間平均3,000万ドル」ということが言いたいのだと思います。

記事によるとウォルマート側は韓進海運の米国営業チームにメールを送り、「これまでの取引に感謝している」としつつも、「韓国政府を信頼できないため、今後、韓国(の)海運会社とは取引しない」計画だと述べたそうです。

これまでの韓国のメディアの報道を総合すると、韓進海運は、「ナッツ・リターン」で知られる大韓航空と同一のグループが保有していたものの、経営破綻直前にグループが同社の株式を売り抜けたそうです。そして、銀行団や韓国政府による同社に資金を注入するかどうかの決断が遅れ、結果的に資金ショートを招いたとか。さらに、同社の船舶は港湾に接岸できず、乗客・乗員・貨物を乗せたまま海上を漂流するなど、全世界に迷惑を掛けました(詳しくは『韓国の経済危機と金融』もご参照ください)。

いずれにせよ、同社の経営破綻とそれに続く韓国政府の破綻処理が、世界中の物流に多大な迷惑を掛けたことは間違いありません。そして、ウォルマートが「(韓進海運の承継会社だけでなく)韓国自体を信頼しない」と述べたことは、非常に示唆に富んでいます。

中央日報は

韓国海運産業全体が破産しないためには政府レベルの信頼回復措置が至急だ

と述べていますが、ビジネスの世界では、一度地に堕ちた信頼を再び確立するのは極めて難しいというのが実情に近いでしょう。ダンピングで顧客をかき集めるという韓国の国を挙げた戦略は、もはや行き詰っているのかもしれません。

新宿会計士: