本日も珍しく2本目のエントリーです。昨日、最大野党・民進党の代表に選出されたばかりの蓮舫(れんほう)参議院議員が「二重国籍」という国籍法違反を犯している問題で、法務省がマス・メディアの報道に対し訂正を求めた、とする記事が公表されています。本日は、時事通信、毎日新聞、朝日新聞の誤報(というか捏造報道?)を取り上げますが、毎日は不十分ながらも記事を取り消し、時事は誤報を正面から受け止めず、朝日は法務省が後から説明を変えたかのような記事を掲載しています。いずれにせよ、かかる不誠実な報道を行う大手メディアは、もはや「三流」と呼んで良いでしょう。そして、我々国民・有権者による厳しい監視を受けなければならないのは、むしろこうしたマス・メディアの側ではないでしょうか?
目次
2016/09/20 17:30時点での追記
オリジナルのエントリーに対し、当記事の末尾に「追記」を付け加えて再度公表いたします。
「アゴラ」編集部、法務省に取材
「言論プラットフォーム」を標榜するウェブサイト「アゴラ」に、非常に興味深い記事が掲載されています。それは、法務省が報道各紙に対し、「蓮舫氏には中国本土の法律が適用される」とした報道を訂正するように申し入れている、という情報です。
【特報】法務省、「蓮舫氏に中国大陸法適用」報道に訂正申し入れ(2016年09月14日 16:00付 アゴラより)
また、これと併せて、徳島文理大学大学院教授の八幡和郎氏(同ウェブサイトによると評論家、歴史作家でもあるそうです)が興味深い記事を寄稿されています。
蓮舫二重国籍についての法務省見解はこうだ(増補あり)(2016年09月15日 08:00付 アゴラより)
事件の概要はマス・メディア各社(といっても朝日、毎日などの大手三流極左メディアですが)が、相次いで
「日本政府の見解では、日本は台湾と国交がないため、台湾籍の人には中国の法律が適用される。中国の国籍法では『外国籍を取得した者は中国籍を自動的に失う』と定めており、この見解に基づけば、二重国籍の問題は生じない」
などと報道。悪質なことに、一部のメディアはこれらを「法務省の公式見解である」とウソをついていたとされる問題です。アゴラによると、法務省は報道した各社に対して訂正を申し入れたのだそうです。そして、各社がここ数日、相次いで訂正報道を行っている事実を考えるならば、今回「アゴラ」が掲載した記事の信憑性は高いと思います。本稿では、各社の当初報道とそれに対する訂正記事を確認しておきましょう。
時事通信の9月7日付報道
まず、時事通信です。同社は9月7日付で、次の記事を配信しています。
「台湾籍」問題が波紋=蓮舫氏、揺れる説明-民進代表選(2016/09/07-22:10付 時事通信より)
時事通信は、記事の末尾ではっきりと、こう記載しています。
「一方、日本政府の見解では、日本は台湾と国交がないため、台湾籍の人には中国の法律が適用される。中国の国籍法では「外国籍を取得した者は中国籍を自動的に失う」と定めており、この見解に基づけば、二重国籍の問題は生じない。」
時事通信ははっきりと、「日本政府の見解では」と報道しています。ポイントは、マス・メディアにありがちな「政府関係者の見解では」、ではなく、「日本政府の見解では」、となっている点です。政府として法の解釈を明確に示すとすれば、自然に考えると「法務省がそのように表明した」という意味にしか読み取れません。
毎日新聞の9月13日付報道
次に、毎日新聞です。
「台湾籍残っていた」会見で陳謝「二重国籍」問題(2016年9月13日 13時26分付 毎日新聞デジタルより)
毎日新聞も、「松本晃」という署名入りの記事の中で、次の内容を報じています。
「日本政府は台湾を国として承認しておらず、台湾籍の人には中国の法律が適用されるとの見解を示している。中国の国籍法では「外国籍を取得した場合は中国籍を自動的に失う」と規定。蓮舫氏はこの見解に基づき、「違法性はない」と強調した。」
ここも、主語は「日本政府は」となっています。誤報としては、相当に悪質でしょう。
朝日新聞の9月8日付報道
そして、従軍慰安婦問題を捏造したことで知られる、「慰安婦捏造新聞」こと朝日新聞です。
蓮舫氏の台湾籍放棄 何が問題なの? 論点を整理(2016年9月8日04時57分付 朝日新聞デジタルより)
慰安婦問題を捏造したことで有名な朝日新聞の報道では、リンク先の記事の中に、次の記述が確認できます。
「日本政府は台湾と国交がないため、日本国内で台湾籍を持つ人には、中国の法律が適用されるとの立場をとる。中国の国籍法は「外国に定住している中国人で、自己の意思で外国籍を取得した者は、中国籍を自動的に失う」などと規定。中国法に基づけば、蓮舫氏が日本国籍を取得した85年の時点で、中国籍を喪失したという解釈が成り立つ余地がある。」
この記事も、主語は「日本政府は」、となっています。
訂正申し入れは効いたのか?
「アゴラ」の一連の記事によれば、法務省は既に、これらの意図的な誤報(というか、ここまで来ると私は捏造だと思いますが…)を行った報道各社に、訂正報道を申し入れているのだとか。いちおう、現時点で時事通信、毎日新聞、「慰安婦問題を捏造したことで有名な」朝日新聞の各社が訂正報道(らしきもの)を行っています。
ただ、これらの記事を読む限り、訂正は全く不十分です。
時事は不十分だが、毎日は明確に訂正
まず、時事通信です。
「二重国籍」か判断避ける=蓮舫氏問題で法務省(2016/09/13-22:34付 時事通信より)
時事通信の記事は、「法務省の担当者は蓮舫氏のケースで同氏の国籍が台湾か中国かについて明らかにしなかった」として、訂正になっていない訂正を行っています。
「法務省の担当者は13日、「実際に外国籍があるかどうかは、その外国政府が判断すべき事柄だ」と指摘する一方、蓮舫氏のケースで「外国政府」が台湾当局と中国政府のどちらを指すかは特定しなかった。」
非常に不誠実ですね。明確に、「9月7日付の当社の報道は誤りだった」と、どうして認められないのでしょうか?(もしくは、本日遅い時間に訂正報道を出すのかもしれませんが…。)
一方、私の中で比較的、好感度が高いのは、次の記事です。
法務省「台湾出身者には日本の国籍法適用」(2016年9月15日 23時10分付 毎日新聞デジタルより)
毎日新聞は、法務省が「国籍事務において、台湾出身者の人に中国の法律を適用していない。日本の国籍法が適用される」との見解を明らかにしたと報じたうえで、記事の末尾に、次のような訂正を入れています。
「毎日新聞は「日本は台湾を国として承認していないため、台湾籍の人には中国の法律が適用される」と報じてきましたが、誤りでした。」
明確な「お詫び」文言ではありませんが、それでも「誤り」は「誤り」だと認められるのは、個人的にはまだ許せる気がします。
どこまでも往生際が悪い朝日新聞
さて、以上、時事と毎日の対応について眺めてきましたが、ここで、朝日新聞を見ておきましょう。やはり、「慰安婦問題」を捏造したことで知られる新聞だけあって、明らかに法務省に対して責任転嫁をする卑劣な記事を掲載しています。
国籍めぐる事務、法務省見解示す(2016年9月16日05時00分付 朝日新聞デジタルより
朝日新聞はこの記事で、
「民進党の蓮舫代表の台湾籍で注目を集めた国籍事務について、法務省は15日、記者団に対して「台湾出身者に中国の法律を適用していない」などとする見解を示した」
としたうえで、
「朝日新聞など複数のメディアが法務省への取材に基づき、日本政府は台湾と国交がないため、台湾籍を持つ人に中国の法律が適用されるとの立場をとるなどと報じたため、日本在住の台湾出身者に不安が広がっているとして、法務省はこの日、「言葉が足りなかった」として改めて説明した。」
と、あたかも法務省に過失があったかのような報道ぶりです。さすが「慰安婦捏造新聞社」ですね。しかも、
「朝日新聞は8日付朝刊で、中国の国籍法の規定を紹介。蓮舫氏の台湾籍について、「中国法に基づけば、日本国籍を取得した85年の時点で、中国籍を喪失したという解釈が成り立つ余地がある」としたが、喪失するかどうかについて法務省は判断しないという。」
とありますから、この書き方だと、あくまでも「朝日新聞は正当な取材をしたが、法務省が後から説明を変えた」かのような表現です。しかし、実情は、朝日新聞をはじめとする三流大手メディアが一斉に捏造報道を行い、法務省がそれに訂正を求めた、という可能性がきわめて高いと考えられます。
改めて、メディアの監視が必要だ!
朝日新聞社といえば、「朝鮮半島で日本軍が少女20万人を組織的に拉致し、性的奴隷として強制連行した」とされる「従軍慰安婦問題」を捏造したことで知られる、反社会的メディアです。同社はいまだに「朝日新聞」を廃刊せず、のうのうと新聞の刊行を続けていますが、こうした行為は、明らかな社会的不正義です。そして、今回の蓮舫氏の一件でも明らかになった通り、朝日新聞社は少なくとも捏造体質が強く残存しており、内部からの自浄作用が望めないことはあきらかでしょう。
ただ、朝日新聞以外にも、今回は時事通信と毎日新聞について取り上げましたが、この手の「誤報」(もしくは「捏造報道」)は枚挙に暇がありません。権力に対する監視は必要ですが、この場合、最も監視が必要な対象は、官庁というよりは、取材能力が低い癖に社会的な影響力が大きすぎる大手メディア(私はこれらを「三流メディア」と呼んで良いと思います)だと思います。しかし、一つだけ希望があるとすれば、インターネットを通じた言論空間が少しずつ成長しており、蓮舫氏と同氏を不当に擁護する三流極左メディアの「逃げ切り」を許さないという社会基盤が出来上がりつつあることです。
いずれにせよ、私自身はジャーナリストではありませんが、「金融の専門家」として、自分にできる範囲でメディアの監視を怠らないようにしたいと考えていますし、そうすることによって、報道から日本を変えていくことができると信じています。
時事通信・訂正になっていない報道【2016/09/20 17:30 追記】
追記です。
この記事の中で、「時事通信は訂正が不十分だ」と批判しましたが、そればかりか、従来の報道を「上書き」する格好で、蓮舫氏を擁護する奇妙な記事を掲載しています。
二重国籍、何が問題=「蓮舫首相」は可、禁止の動きも-ニュースを探るQ&A(2016/09/19-17:29付 時事通信より)
リンク先記事の中で時事通信は
「国籍事務の現場では台湾籍も国籍と同じように扱われるから、日本国籍を取得した在日台湾人は台湾籍の離脱を求められる」
として、9月7日付の記事「「台湾籍」問題が波紋=蓮舫氏、揺れる説明-民進代表選」で述べた
「一方、日本政府の見解では、日本は台湾と国交がないため、台湾籍の人には中国の法律が適用される。中国の国籍法では「外国籍を取得した者は中国籍を自動的に失う」と定めており、この見解に基づけば、二重国籍の問題は生じない。」
との下りをしれっと「上書き」しています。「日本政府の見解では、日本と台湾は国交がないため、台湾国籍者には中国の法律が適用される」という説明は、明らかな誤りだったわけですが、これを明確に否定していないことは時事通信の不誠実さの証拠でしょう。ただ、時事通信は
-二重国籍でも首相や閣僚になれるの?
日本国籍があれば問題はない。国会議員も同じだ。ただ、外交官については、外務公務員法で外国籍を持つ者の採用を禁止している。
と、「日本国籍があれば首相や閣僚になるのに問題はない」と述べていますが、確かに「国家公務員法上」は、「日本国籍を持たない者」の国家公務員就任を禁止していません。ちなみに、外国公務員法第7条第1項では、次の者の「外務公務員就任」を明確に排除しています。
- 国籍を有しない者
- 外国の国籍を有する者
したがって、外交官のような「無国籍者、外国籍者に対する排除既定」が設けられていない場合には、現行法上、二重国籍者や、極端な話「日本国籍を持たない者」であっても、首相や閣僚に就任できてしまう、ということです。確かに、言われてみれば、これは深刻な法の不備です。
記事の訂正について【2016/09/20 17:30 追記】
なお、この問題を巡っては、まずは台湾政府が蓮舫氏の台湾国籍離脱を認めるかどうかが見物ですが、万が一、台湾政府がそれを認めなかった場合、蓮舫氏の台湾国籍保持という状態は解消されません。その場合、「国籍法第11条第2項」に従い、日本の法務省が蓮舫氏の日本国籍の剥奪に踏み切るかどうかが次のポイントですが、法の規定を読む限り、この場合でも、蓮舫氏を国会議員から失職させることは難しそうです。その意味で、先日私は「日本国籍を失えば自動的に国会議員ではなくなる」などと申し上げてしまいましたが、日本国憲法を読んでも国会法を読んでも、そのような規定は見つかりません。したがって、この部分については「日本国籍を失ったからといって国会議員ではなくなるという規定は存在しない」と訂正いたします。