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公認会計士合格者数の推移

本来、このウェブサイトは「公認会計士試験」のことを書くブログではないのですが、それでも、一人の公認会計士として、どうしても気になることがあります。それは、最近、公認会計士試験の受験者数が減少し始めている、ということです。

公認会計士試験制度は法改正により、それまでの「3次・5段階の試験制度」から、2006年以降、「1次・2段階の試験制度」に変更されました(図表1)。

図表1 公認会計士試験制度の変革

ちなみに私自身は2005年以前に行われた旧「第三次試験」を受験した年代です(このあたり、あまり詳しく書くと歳がばれるので、わざとぼかします)。2006年の前後で試験制度そのものが変わっているため、公認会計士試験の「合格者数」に関する単純比較はできないのですが、「平成27年度公認会計士試験合格者調」をもとに、旧第二次試験・新試験についての「願書提出者数、論文式合格者数、合格率」をグラフにしてみると、図表2の通りです(2006年以降の数値は旧公認会計士第二次試験合格者を含まない)。

図表2 公認会計士試験の合格者の推移

これを見ていただくと、2007年と2008年の合格者数が前後の年度と比べて激増していることがご確認いただけると思います。これをもう少し詳しく見てみると、図表3の通りです。

図表3 公認会計士試験の2007年・2008年問題
2007年度(平成19年度) 2008年度(平成20年度)
受験者数 20,443人 25,147人
合格者数 2,695人 3,024人
合格率 14.79% 15.32%

※? 「受験者」とは願書提出者数、「合格者」とは論文式試験合格者数で、いずれも旧第二次試験合格者を含まない

これが世にいう「大量合格者問題」です。

当時の公認会計士業界(や金融庁)は、「J-SOX」(日本版の「内部統制監査制度」)の導入に加え、「公認会計士の社会的ニーズの高まり」を当て込んで、公認会計士を大量合格させたのですが、実際にはJ-SOXに関する需要はそれほど伸びず、また、監査法人以外の一般企業による公認会計士試験合格者の採用も抑制的だったため、「せっかく公認会計士試験に合格したのに就職先がない」という問題が発生しました。私自身も当時、一般企業(※名前や業種は明かせません)に勤めていたのですが、公認会計士試験合格者を採用するという話は全く出ませんでした。私の個人的な見解ですが、理由の一つには「公認会計士試験合格者」というだけで、新卒者を採用する企業は、まだ日本には多くなかったこと、もう一つはリーマン・ショックによる景気冷え込みがあったと思います。

ただ、その後、公認会計士業界や金融庁が、「インチキ会計基準」であるIFRSの強引な採用を狙ったのも、じつはこの「大量合格者の未就職問題」を解決することを目論んでいたからではないでしょうか?しかし、企業会計・財務内容の開示は、投資家や会社債権者など、社会全体のためにあるものであり、決して公認会計士業界のためにあるものではありません。

いずれにせよ、その後、公認会計士試験に対する願書の提出者数自体が減少していると報じられているのは気になる点ですが、この問題については引き続き、当ブログでもトレースしていきたいと考えています。

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