いわゆるタワマンは、豪華な共用部や便利な施設などに目が奪われがちですが、物件によっては玄関からマンション出入口までの動線が悪すぎるなど、暮らしてみると意外と不便だとする意見も見られます。こうしたなかで気になるのは、配送業者がタワマンに配達する際に、高額な駐車料金を請求される、貨物用エレベーターが1基しかないなどの不便を強いる物件も存在する、という点です。人手不足が顕在化してくると、タワマンへの宅配システムが崩壊する可能性はないのでしょうか。
都市部の暮らしで考えておきたい3要素
先日の『田の字が良いか皿の字か…都市生活では坂道避けるべき』では、とりわけ都心部などの不動産物件を選ぶ際のポイントとして、①街並みがわかりやすいかどうか、②坂道が多いかどうかに加え、③上下移動、を話題に取り上げました。
| 郊外の広めの敷地にどっしりとした一戸建てを構えた暮らしに憧れる人も多いかもしれませんが、郊外物件だと高齢となり運転免許を返上するなどした場合に生活がかなり不便になる可能性があります。そうなると、子育て期の不便を多少我慢してでも、やはり都心部のマンションなどで暮らすという選択肢が浮上するも自然でしょう。こうしたなか、本稿では勝手ながら、徒歩暮らしの個人的ポイントを綴ってみたいと思います。たまにはミクロな話題でも…自分自身でもときどき設定を忘れそうになるのですが、当ウェブサイトはいちおう「政治経済... 田の字が良いか皿の字か…都市生活では坂道避けるべき - 新宿会計士の政治経済評論 |
これらのうちの①や②はわかりやすいと思います。
「田の字」となっている地域は街の構造がわかりやすいために歩きやすいのですが、とりわけ東京の場合、上空から見て「田の字」となっている街区はさほど多くなく(これには歴史的な理由もあるのかもしれません)、その分、「田の字」構造の街区はそうでない街区と比べてプレミアムが乗る傾向があります。
また、東京の場合は武蔵野台地といくつかの河川が入り組んでいるためでしょうか、街中には案外たくさんの坂道があります(たとえば「渋谷」、「荻窪」、「赤坂」などのように、地名を見ると地形の複雑さがなんとなくわかることもあります)。
このため、「完全に坂道がないフラットな街区」というものは、案外、東京には多くないのかもしれません。
駐車場代が高い都心部に暮らす場合には、多くの人がおもに経済的理由により自家用車を持たない生活とならざるを得ず、そうなると必然的に、中心的な移動手段は公共交通機関(地下鉄、JR、私鉄、バスなど)か徒歩です(電動アシスト自転車や電動キックボードなどのモビリティを使うケースもありますが…)。
こうした現代の都会人にとっては、「坂道が少ない」というのは、それだけでプレミアムものだったりするのかもしれません。
憧れのタワマン…その実情は?
さて、著者自身が考える「都会の生活のしやすさ」という意味では、やはり欠かせないのが、先ほど挙げた③の「上下移動」という論点です。
③の論点は、多くの不動産サイト等では案外触れられていない気がするのですが、都会で暮らす場合は死活的に重要な要素のひとつでもあります。
なぜか。
その理由のひとつは、上下移動は案外不便である、という報告です。
東京などの大都市の都心部に暮らしていると気付くかもしれませんが、最近、都心に近い比較的便利な場所に、雨後の筍のように、にょきにょきにょきと生えてきているのがタワーマンションです。
これらのタワマン物件、居住者が多いためでしょうか、多くのケースでは共用部が非常に充実していて(例:ラウンジ、フィットネスルーム、ゲストルームなど完備)、物件によっては温泉が湧いていたりするようですし、また、物件によっては各階にゴミ捨て場があるケースもあります。
また、タワマンの高層階に居住していれば、毎日のように素晴らしい眺めを楽しむことが出来たりしますし、タワマン共用部も多くの場合、ホテルライクな内廊下で、さらにはタワマンと同じ敷地にスーパーやクリニック、保育所、老健施設などが建っていたりするケースもあるなど、生活には便利だとされています。
ただ、これについてはよくよく調べていくと、そこまで単純ではありません。
タワマンは案外、近隣の音が気になるといいます。「タワマンって防音性能がしっかりしてるんじゃないの?」、などと思うかもしれませんが、そこまで単純ではありません。いくつかのタワマンは高層建築のためか、資材の軽量化が図られ、案外壁が薄かったりするからです。
また、高層階の場合だと、近隣に遮るものがないためでしょうか、遠くの音(パトカーや救急車、消防車などの緊急車両のサイレン、上空に飛来する飛行機の騒音、カラスの鳴き声など)が案外響いてくるとの話もよく耳にします。
タワマンの上下移動、結構大変らしい(物件にもよるが)
そして、やはりタワマン住まいの人(とくに高層階居住者)にとっては、生活における大きなネックのひとつが「動線の悪さ」だそうです。
端的にいうと、(物件にもよりますが)マンションの外に出るまでに時間がかかり過ぎるというのです。
著者の知り合いの不動産業者によると、都心某区にある「●●タワー」(仮)は、高層階の住人が自宅玄関を出てからマンションの通用口まで降りてくるのに、朝のラッシュ時だと(長いときには)10分以上の時間が必要だそうです。
もしマンション出入口に到着した時点で忘れ物に気づいたり、雨が降っていて傘を取りに帰る必要が生じたりしたら、それだけで下手すると20~30分は時間をロスしてしまう計算ですし、学校や職場の遅刻が確定してしまうこともあるでしょう。
したがって、都心部の集合住宅に暮らすのであれば、多少古くても、たとえば10階~15階建て前後の中・低層物件が便利かもしれません。
こうした中・低層物件は共用部にラウンジや温泉やゲストルームなどがあるわけではないですが、物件によっては24時間ゴミ出しが可能ですし、また、自宅玄関からマンション出入口までのリードタイムは長くても2~3分程度です。
著者個人的には、タワマンは見た目の華やかさと裏腹に、生活動線という意味では欠陥を抱えている物件もあると考えていますし、十数年後以降の大規模修繕のタイミングで施工業者不足などが生じ、各地のタワマンから悲鳴が上がる、といった展開すら予想していたりするのです。
配送業者に厳しいタワマン
さて、そんな「タワマン問題」(?)でもうひとつ、配送業を営んでいるという方が、SNSでこんな趣旨のポストを発信しているのが目に入りました。
タワマンのなかには配送業者から駐車料金を徴収するケースがある。1棟で50件以上の配送をこなさなければならないこともあるが、そのタワマンには貨物用エレベーターが1基しかなく、新人ドライバーが配達を担当したため、駐車時間が4時間を超え、駐車料金が3,000円になった
…。
そのタワマンの住民のために配達を請け負っているのに、その業者から駐車料金を請求するタワマン―――。
ちなみにそのタワマンは1回自動車を停めるだけでも400円ほどの駐車料金を取られるようですが、正直、これはどう考えれば良いのか、理解に苦しみます。
もちろん、タワマン側にしたって駐車場の料金はタダじゃない、といった発想もわからないではないのですが(実際、大手の配送業者は都心部に小規模な物流拠点を複数設け、そこから徒歩で配達しているなどのケースもあります)、これはなかなかの困りものです。
また、タワマン以外の物件でも、本来ならば配送トラックを有料の駐車場に停めるべき、といった発想も考えられるのですが(配送業者が駐停車禁止場所で駐停車しているのはよく見かけます)、さすがにタワマンの場合、その指定の駐車場に自動車を停める必要があるわけです。
なにより、一部のタワマンが駐車料金を配送業者に請求しているような場合、そのコストは物流コスト全体を押し上げていくことにもつながりかねず、タワマン住民以外の配送サービス利用者がそのコストを負担しなければなりません。
あるいは最悪の場合、配送業界のマンパワーが足りなくなり、タワマン向けなどの配達困難物件への配送がネックとなり、宅配網が崩壊してしまうリスクだってあり得ます。
追加コストをどう負担するかの問題?
こうした考えからすれば、配送が難しい物件の場合、「追加コストを請求する」という流れが、今後は発生する可能性には注意が必要です。
たとえば、こんな具合です。
近未来の料金表(想像図)
- 物件数が300戸を超えているのに荷物用エレベーターが1基しか存在しない場合…+100円
- マンション側から指定された有料駐車場を利用しなければならない場合…+100円
- マンション側で管理人室が荷物をまとめて引き取ってくれ、代わりに配ってくれる場合…-200円
- マンション側で十分な数の宅配ボックスを準備してくれているような場合…-100円
もちろん、上記は著者の勝手な考えですし、現実問題、こうした細かな料金設定をすることはなかなかに難しいでしょう。宅配はコンビニ等、宅配業者以外の店頭でも集荷されるからです(現実的には「配送先がマンションの場合、離島に準じた料金とする」、といった対応にせざるを得ないのかもしれませんが…)。
ただ、こうした問題について考えて行かないと、そのうち業者の側で、「対応が悪いタワマンへの宅配は拒絶する」、といった動きが生じてくるかもしれませんし、極端な話、業者自体が労働力不足・人手不足で廃業を余儀なくされるかもしれません。
このあたり、現在は「見えないコスト」かもしれませんが、タワマンが増加し、労働力不足が顕在化していけば、いずれ無視できないコストとして社会問題化するのではないか、などと思う次第です。
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タワマンは住むものではなく、遠くから眺めるもの、ということでしょうか。
交通困難地一覧に「なんとかビューかんとかアーバンタワー」などが続々と掲載されたりして....
https://www.post.japanpost.jp/about/yakkan/1-7.pdf
自宅と職場の近くにもタワマンが建ってますが、いくらお金があったとしても住もうとは思いません。
エレベーターが複数基設置されていたり、低層用と高層用に分かれていたりと工夫はされているようですが、災害などによる停電や故障が不安だからです。
窓面積が大きいタワマンに住んでいる元同僚は、窓の断熱が最悪で夏は電気料金が異常に跳ね上がったりもしているようです。
そのうち、各タワマンの宅配料金は離島扱いになるかもしれませんね。
駐車料金を取るようなタワマンの宅配料金は当然に上がるでしょうね。