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ネット発「税社保貧乏」に大手メディアも注目する時代

先月の選挙は自民党の勝利・野党勢力の敗北というよりも、「マスコミの敗北」と言った方が正確ではないかと思います。いわゆる「トライアングル利権構造」が、その構造の真ん中に位置するマスコミの影響力の低下により、少なくとも著者自身が予想していたのを遥かに上回る速度で崩落し始めているのです。そして、興味深いのが、「税社保貧乏」という用語をとあるメディアが取り上げてくれたことです。

腐敗トライアングル

官僚機構の権力構造

当ウェブサイトではずいぶんと以前から、財務省、厚生労働省、総務省などの官僚組織と、新聞、テレビを中心とするマスメディアが結託し、世論を誘導・操作しながら、結果的に国民の意にそわない法律や制度、税金などをゴリ押しして来たのではないか、とする仮説を立てています。

それを読み解くカギが、「腐敗トライアングル」です。

「腐敗トライアングル」とは、本来ならば自由・民主主義国家であるはずの日本で、国民から直接選挙で選ばれたわけでもない(あるいは選挙で選ばれているものの多数を占めているわけでもない)のに、やたらと大きな実質的権力を持ってしまっている者達のことを称するために、著者が名付けた概念です。

わかりやすいのが官僚機構でしょう。

官僚機構

国民から選挙で選ばれていない。しかし、政府提出法案や、政省令を起草したりすることを通じて法令解釈権を握っているほか、財務省を筆頭に、何らかの強大な利権をしっかりと握り、下手な国会議員すら凌ぐ実質的権力を持っていることもある

財務省は下手な国会議員より大きな権力:官僚は選挙でクビにならない

彼らは国民から選挙で選ばれた存在ではありませんが、巧みに法律や政省令を起草し、それを通じて法令解釈権限を事実上握ってしまっています。あの無駄に込み入っていて難解な条文も、おそらくは官僚がわざと一般国民にはわかり辛くするための罠のようなものかもしれません。

また、彼らは法律を起草するなどし、実質的な解釈権を握ってしまっているだけではありません。財務省の徴税権や予算編成権などがその典型例ですが、官僚機構が事実上、大きな判断権限を握ってしまっていて、たとえば財務官僚は下手な国会議員を上回る実質的な権力を握ってしまっているのです。

財務省の権力の源泉
  • 国家のサイフの入口:徴税(国税庁)
  • 国家のサイフの出口:予算(主計局)
  • 国家のサイフの中身:円貨(財投特会)
  • 国家のサイフの中身:外貨(外為特会)

そして、怖いのが官僚らは選挙ではクビにならない、という点です。

官僚の上位には大臣、副大臣、そして政務官がいますが(いわゆる政務三役)、彼らは選挙の結果、国民からクビにされることがあり得る存在です。仮に自民党政権が気に入らないと国民が判断すれば、選挙の結果、政権交代が生じ、政務三役が対立政党の政治家と入れ替わることもあり得るのです。

しかし、そのような政権交代が生じたとしても、官僚は基本的にクビになることはありません。

もちろん、政権交代で次官などの幹部人事に影響が及ぶ可能性などもないではないのですが、基本的に選挙の結果、事務次官がクビになり無職になってしまう、といった事態は発生し得ないのです。

官僚と結託するマスコミ:2009年には選挙介入も!

その一方で、その官僚機構と仲が良く、彼らのプロパガンダを垂れ流す機関と化しているのが、新聞、テレビを中心とするマスコミ/マスメディア(あるいはオールドメディア)でしょう。

マスコミ

国民から選挙で選ばれていない。しかし、少数の企業で記者クラブなどを通じて情報流通を独占し、「報道の自由」または「報道しない自由」を悪用することで、自分たちにとって意にそわない政治家を落選させようとしたり、自分たちにとって好都合な政治家を当選させようとしたりする

マスメディアは基本的に、選挙で選ばれた人たちではありませんし、新聞・テレビは歴史的経緯もあり、高い参入障壁で守られてきました。NHKに至っては、選挙で選ばれたわけでもないくせに、NHK受信料という「事実上の税金」をなかば強制的に徴収していく組織でもあります。

しかも、ほんの少し前までであれば、人々は日常的なNEWSを新聞、テレビなどから得ていましたので、彼らオールドメディアが「報道しない自由」を発動し、報道を止めたりしたら、それによって人々は政治家などの正しい情報が得られなくなってしまうのです。

2009年8月に発生した「政権交代事件」などは、1993年の「椿事件」よりも遥かに重篤な、マスメディアによるかなり露骨な選挙介入であり、マスメディアが「報道」という事実上の権力を悪用したという意味では、日本のメディア史に残る汚点でしょう。

特定野党は鬼っ子?

ちなみに「腐敗トライアングル」の権力構造で、やや鬼っ子っぽいものが、特定野党です。

特定野党

官僚、マスコミの両者にとって都合が良い議員。たいていの場合は特定野党の議員だが、まれに自民党非主流派議員のこともある。国民の意思で選ばれた与党などの足を引っ張ることが多い

マスメディアが政府・与党に難癖めいた批判を付けたいときや、政治家らのスキャンダル(不倫など)を報じたときなどは、特定野党議員らが舌鋒鋭く政府・与党を追及し、揚げ足取りや難癖に終始することは、ネット・ユーザーの間ではかなり有名な話ではあります。

もっとも、特定野党議員が官僚を議員会館などに呼びつけてパワハラまがいの嫌がらせやヒアリング大会などを行うことで、むしろ若手官僚が委縮し、精神を病んで休職するなどの事態もあるようですので、特定野党が常に官僚の意のままに動くわけではありません。

ただ、日本の国会では野党(とくに最大野党)が異常に優遇されていて、質問時間も多くが野党に割り当てられるなどしていることは事実であり、多数の民意を得たわけでもないくせに最大野党としての地位を悪用しているという意味では悪質です。

いずれにせよ、官僚機構とマスコミと特定野党にはそれぞれ「腐敗権力」と呼ぶにふさわしい構造ないし振る舞いがあるわけです。

構造の問題と構造の崩壊

結局は「構造」の問題

そして、ここでもっと問題なのが、この三者が結託するという「構造」にあります。マスコミを中心に結託し、日本にとって必要なさまざまなせいさくが進むことを妨害して来たフシがあるのです。

官僚機構+マスコミ

官僚は記者クラブでマスコミを支配する。マスコミは官僚が喜ぶ話題を垂れ流す。官僚もマスコミも「強すぎる与党」を嫌う。

マスコミ+特定議員

マスコミは報道の力を悪用し、特定野党や自民党の非主流派の左派議員らを当選させる一方で、これらの議員はマスコミに好かれるために、敢えてくだらないスキャンダル追及で国会質疑を空費する。

すなわち、マスコミが絶対的な世論操作力を持っているという前提で、マスコミを中心とする腐敗構造が出来上がっていた―――とする仮説を置くと、さまざまなことが一本の線でつながるのです。それが、マスコミを中心とする三者構造です。

官僚機構+マスコミ+特定議員

官僚は記者クラブでマスコミを支配する。マスコミは官僚が喜ぶ話題を垂れ流す。官僚もマスコミも「強すぎる与党」を嫌う。その結果、マスコミは報道の力を使い、特定野党・自民左派など政権の足を引っ張る議員らを当選させてきたし、特定野党議員もマスコミに好かれるためにスキャンダル追及を続けてきた。

この構図を念頭に置いておくと、先日の衆院選で最大野党である中道改革連合が惨敗したことの意味が見えてきます。この「三者構造」が、SNSの発生と普及に伴い、すごい勢いで崩壊し始めたからです。

もちろん、中道改革連合の惨敗は、どちらかといえば獲得議席に多大な差がつく小選挙区を主体とした日本の衆院選挙制度によるものが大きく、したがって参議院議員通常選挙などではまた違った結果が生じるなどの可能性はあります。

しかし、三者構造の真ん中にいたマスコミの社会的影響力が低下していけば、今まではマスコミの「報道しない自由」に最大限守られていた特定野党の得票力にも影響が生じてくるのは当然の話でもあるのです。

もちろん、高齢者層を中心に、まだまだマスコミの報道を信じている人は多いのが実情です。このため、著者個人としては、2026年2月の段階で中道改革連合がここまで派手に惨敗するとは思っていなかったクチではあります。

すなわち、先月の選挙は自民党の勝利というよりもマスコミの敗北と言った方が正確なのです。

税社保高すぎ問題…月収30万で手取り24万に!

この点、SNSなどネットの影響力拡大は急でもあるため、遅かれ早かれこの「腐敗利権構造」が崩壊することは避けられなかったはずではあるのですが、まさかここまで急速にその事態が進んでいるとは、著者としても想定外でした。

ただ、もっと先に考えを進めていくと、それだけでは終わりません。

今後はその「利権構造崩壊の兆候」が、中道改革連合を含めた野党勢の敗北だけでなく、また「別のところ」でも出てくるはずです。

その一例が、「官製世論」の敗北です。

「日本はまだまだ税収が足りない」、「増え続ける『国の借金』や社会保障費を賄うために増税が必要だ」―――。

こういう官僚発のデタラメな話を喜々として展開してきたのがマスコミであり、そのマスコミの神通力が落ちていることで、こうした官製世論が通用しなくなりつつあるのです。

実際、当ウェブサイトでもこれまで、日本の税・社会保険料が高すぎるという話を展開してきました。

たとえば月収30万円・ボーナスなし(=年収360万円)のサラリーマンは、実質的な人件費は419万円であり、その419万円から社会保険料(※会社負担分を含む)と税金を合わせてなんと137万円も取られているのです(図表1、ただし年齢や居住地、令和7年減税の適用年数などにも依存)。

図表1 人件費と年収と手取りの関係(40歳以上・年収360万円の場合)

なんだかメチャメチャです。

しかも、残った手取り282万円から、この人は消費税だ、NHK受信料だ、再エネ賦課金だ、といった具合に、さまざまな公租公課を負担させられます。なかなかに厳しいですね。

年収が上がると控除割合も上がっていく!

一方、年収が上がった場合は、この公租公課負担の割合が上がります。たとえば年収960万円(月収80万円)の場合は、人件費でいえば約1100万円ですが、公租公課を年間406万円取られるため、手取りは月60万円弱、年間で693万円しか残りません(図表2)。

図表2 人件費と年収と手取りの関係(40歳以上・年収960万円の場合)

あなたがもし個人事業主から法人成りしたとして、たとえば1100万円稼げているとすると、その1100万円を自分自身に吸い上げるに際して社保を271万円(!)も横取りされ、諸税を136万円支払うことになるのです。

バカバカしくて勤労意欲をなくす、という人も多いでしょう。

あるいは給料が安い若いうちから一生懸命、NISA口座などに投資を続けるというパターンもあるかもしれません。

こうしたなかで、Xでは日本の税・社会保険料が高すぎる件について、2024年秋ごろからずいぶんと議論が深まってきていると思います。

著者自身は当ウェブサイトを通じ、「日本は税金も社会保険料もバカみたいに高くて、しかも老人福祉などに浪費されている」と警告してきた立場ですが、Xのおかげでその主張を結構広めることができたのではないかと思っています。

ウェブメディアが「税社保貧乏」取り上げる

そして、ちょっと嬉しい話題があるとしたら、これかもしれません。

片山大臣もショック「NISA貧乏」が話題、将来のために今を犠牲にする若者たち「本当は税金・社会保険料貧乏じゃないの?」の声も

―――2026/03/10 17:57付 Yahoo!ニュースより【集英社オンライン配信】

ネットでは「税社保貧乏」という表現が広まっているのですが(※余談ですが、山手線の駅名を冠する怪しい自称会計士も広めた人間のひとりかもしれません)、この話題を、集英社オンラインが報じてくれました。

記事では国会でNISA貧乏を巡り、片山さつき金融担当相が「積み立て自体の目的化は意図していない」と答弁したのですが、これに関連して、Xではむしろ「NISA貧乏」よりも「税社保貧乏」の言葉が広がっている事実を取り上げてくれたのです。

国会質疑そのものは、記事をご確認いただければ良いと思いますが、とりあえず「ネット発」の話題が『集英社オンライン』という雑誌社大手のウェブメディアに掲載されたことが印象的です。

ネットの影響力はさらに高まる!?

ちなみに片山大臣も、あるいは片山氏と同じく財務省OBの玉木雄一郎・国民民主党代表も、X上では山手線の駅名を冠した怪しげな自称会計士のアカウントをフォローしてくれているようですが、さすがにお二方が当ウェブサイト側まで目を通してくださっているかどうかはわかりません(なにせ多忙でしょうから)。

ただ、マスコミの社会的影響力が崩落しつつあるということは、合理的で説得力のある言説ならば、ネットで多くの人の目に留まる可能性が高くなっている、ということでもあります。

上記図表1、図表2のような概念図は、今後も当ウェブサイトにて積極的に掲載していきたいと思っていますので(※上記は引用、転載自由で商業出版への無料利用も可能です)、是非とも減税世論が広まっていくことを期待したいと思う次第です。

新宿会計士: