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最大野党は中道改革連合なのか?それとも国民民主党?

最大野党や「第2党」は中道改革連合か、立憲民主党か、国民民主党か、日本維新の会か―――。結論からいえば、衆院では49議席の中道改革連が、参院では40議席の立民が、国会全体では53議席の国民民主が、そして「第2党」は国会全体で自民党に次ぐ55議席を持つ維新が、それぞれ該当します。この複雑な状況、いったいどう考えれば良いのでしょうか。

衆参両院の勢力図

先日の『参院選までの2年半活用し憲法改正を現実的議論にせよ』では会派ベースで国会の勢力図を掲載したのですが、これについては図表1のような状況です(※ただし、衆参の合計欄を加えています)。

図表1 国会における勢力図(会派ベース)
会派 衆院 参院 合計
自民 316議席 101議席 417議席
維新 36議席 19議席 55議席
与党合計 352議席 120議席 472議席
中道 49議席 61議席 110議席
立民 21議席 40議席 61議席
公明 28議席 21議席 49議席
国民 28議席 25議席 53議席
参政 15議席 15議席 30議席
みらい 11議席 2議席 13議席
共産 4議席 7議席 11議席
れ新 1議席 5議席 6議席
社民 2議席 2議席
保守 2議席 2議席
沖縄 2議席 2議席
減ゆ 1議席 1議席
無所属 4議席 6議席 10議席
欠員 1議席 1議席
合計 465議席 248議席 713議席

(【出所】衆院は『衆議院議員総選挙・最高裁判所 裁判官国民審査結果調(速報)』、参院は『会派別所属議員数一覧(令和8年2月10日現在)』をもとに作成。ただし衆院側は自民党について、追加公認の斉木武志氏と無所属の世耕弘成氏を含め議席に含めたうえ、議長に相当する1人分を除外している。一方、中道については副議長を除外していない。このため、報道や『ウィキペディア』などの数値とは異なる可能性がある)

衆院で3分の2超の自民、参院がダメでも法案通せる!

これによると衆参ともに自民党が最大会派であり、衆院側で316議席(※異説あり)、参院側で101議席(※会派ベース)、合計417議席という圧倒的な勢力を抱えています。

参院側では過半数ライン(125議席)に達していないものの、衆院側では3分の2ライン(310議席)を上回っていて、少なくとも通常の法案に関しては、「参院で否決されても衆院で再可決する」という手を使い、バンバン通していくことが可能です。

日本国憲法第59条第2項

衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。

しかも、自民党と連立を組む相手である日本維新の会は、衆院では36議席にとどまるものの、参院側では19議席、あわせて55議席を保有しており、自維両党合わせても参院では120議席と過半数には届かないにせよ、過半数まであと5議席です。

このうち、「無所属」の望月良男氏は事実上の自民系議員ですし、平山佐知子氏やNHK党の齊藤健一郎氏は前回の首班指名選挙で高市早苗氏に投票するなど、比較的自民党に近い議員と考えられるため、残り2議席で、参院側でもなんとか法案は通せます。

※もっとも、この「2議席」がなかなかに難しいのですが…。

じつは参院側でも、改憲発議はギリギリ可能

さて、先週、この図表を作った目的は、憲法改正に向けたハードルを検証するためでしたが、そのついでにもうひとつ興味深い使い方があるとしたら、野党―――とくに「左派政党」―――の減退っぷりを改めて実感する、といったものがあるかもしれません。

中道改革連は政党名に「中道」という文字を冠していますが、出身母体や掲げる政策などから判断すると、「中道政党」ではなく「左派政党」とみなすのが妥当な考え方でしょう。

そのうえで、左派政党としては、衆院側では中道改革連、日本共産党、れいわ新選組の合計54議席、参院側ではその3党に「沖縄の風」と社民党を加えた合計77議席とカウントすることができ、これは改憲を阻止する3分の1ラインを、衆参両院で下回っているのです。

著者の理解だと、自民党が単独で3分の2を占めてしまった衆院はもちろんのこと、参院側でも改憲に何が何でも反対する人たちはこの77議席が基本であり、それ以外の政党(たとえば自維両党、国民民主党、参政党、チームみらい、日本保守党)は、条件次第では改憲発議に賛同するでしょう。

この「条件次第で改憲発議に賛同する可能性がある党または議員」をカウントしていくと、じつは現状でも167人と、3分の2のライン(166議席)をギリギリ1議席超えていたりします。

余談ですが、とりあえず改憲を「やってみる」のであれば、たとえば「憲法第9条第2項の削除」や「緊急事態条項の創設」など、焦点を絞ったうえで、参院側で167人のコンセンサス形成を急ぐ、というのはひとつのやり方としてはアリかもしれない、などと思う次第です。

中道改革連って最大野党なんですか?

さて、余談はともかくとして、本稿で改めて注目しておきたい論点が、「最大野党」です。

図表1からもわかるとおり、中道改革連は、衆院側では49議席を持っているほか、参院側では仮に立民40議席、公明21議席が統一会派を形成した場合は61議席ですので、合計すると110議席を所持しています。すなわち同党は「3ケタの議席」を持っている唯一の野党、ということです。

ただ、先ほど掲げた図表1のもととなる図表は先週時点で作成したものですが、一箇所、正確でない部分が出て来ました。それは、中道改革連について、衆院、参院それぞれの議席を合計したうえで、公明党と立憲民主党に分かれた場合の内訳を記していた点です。

その後の報道等を見ると、中道改革連は当面、衆院側のみの政党として活動し、参院側(あるいは地方議会など)では、立憲民主党と公明党が、当分存続する、という観測がもっぱらとなってきたのです。

この観測が正確であるならば、先ほどの図表1についても、次の図表2のように書き換えなければなりません。

図表2 国会における勢力図(会派ベース)
会派 衆院 参院 合計
自民 316議席 101議席 417議席
維新 36議席 19議席 55議席
与党合計 352議席 120議席 472議席
中道 49議席 49議席
立民 40議席 40議席
公明 21議席 21議席
国民 28議席 25議席 53議席
参政 15議席 15議席 30議席
みらい 11議席 2議席 13議席
共産 4議席 7議席 11議席
れ新 1議席 5議席 6議席
社民 2議席 2議席
保守 2議席 2議席
沖縄 2議席 2議席
減ゆ 1議席 1議席
無所属 4議席 6議席 10議席
欠員 1議席 1議席
合計 465議席 248議席 713議席

(【出所】衆院は『衆議院議員総選挙・最高裁判所 裁判官国民審査結果調(速報)』、参院は『会派別所属議員数一覧(令和8年2月10日現在)』をもとに作成。ただし衆院側は自民党について、追加公認の斉木武志氏と無所属の世耕弘成氏を含め議席に含めたうえ、議長に相当する1人分を除外している。一方、中道については副議長を除外していない。このため、報道や『ウィキペディア』などの数値とは異なる可能性がある)

野党各党の「合計」欄に注目してみると…!?

…。

いかがでしょうか。

野党側の「合計」欄に注目していただきたいのですが、図表1だと中道改革連は衆院49議席、参院61議席で合計110議席でしたが、こちらの図表2だと中道改革連の総議席数は衆院のみで合計49議席、立憲民主は参院のみで合計40議席、同じく公明も参院のみで合計21議席です。

そして、「合計」欄だけに注目すると、国民民主党が53議席で、中道改革連(49議席)、立憲民主党(40議席)を上回って「最大野党」に浮上するのです。

念のため、(少し意地悪ですが)図表2を「野党部分は議席順に並べ替えた」

図表3 国会における勢力図(会派ベース)
会派 衆院 参院 合計
自民 316議席 101議席 417議席
維新 36議席 19議席 55議席
与党合計 352議席 120議席 472議席
国民 28議席 25議席 53議席
中道 49議席 49議席
立民 40議席 40議席
公明 21議席 21議席
国民 28議席 25議席 53議席
参政 15議席 15議席 30議席
みらい 11議席 2議席 13議席
共産 4議席 7議席 11議席
れ新 1議席 5議席 6議席
社民 2議席 2議席
保守 2議席 2議席
沖縄 2議席 2議席
減ゆ 1議席 1議席
無所属 4議席 6議席 10議席
欠員 1議席 1議席
合計 465議席 248議席 713議席

(【出所】衆院は『衆議院議員総選挙・最高裁判所 裁判官国民審査結果調(速報)』、参院は『会派別所属議員数一覧(令和8年2月10日現在)』をもとに作成。ただし衆院側は自民党について、追加公認の斉木武志氏と無所属の世耕弘成氏を含め議席に含めたうえ、議長に相当する1人分を除外している。一方、中道については副議長を除外していない。このため、報道や『ウィキペディア』などの数値とは異なる可能性がある)

最大野党は国民民主、議会第2党は維新

これは、なかなかに面白い事態となりました。

もちろん、「最大野党」にはさまざまな定義がある点には注意が必要で、たとえば多くの場合、「衆院の最大野党」、「参院の最大野党」といった具合に、衆参別々に野党をカウントします。この場合は図表2で見るとおり、衆院側の最大野党は中道改革連、参院側の最大野党は立憲民主党です。

しかし、「最大野党」を「国会全体で野党最大の議席数を持つ政党」と定義するならば、図表3で見るとおり、最大野党は衆院で28議席、参院で25議席、両院あわせて53議席を持つ国民民主党です。衆院選前はどの意味でも最大野党は立憲民主党だったのが、衆院選惨敗で状況がガラッと変わったのです。

また、「最大野党」と似た言葉で「第2会派」、「第2党」といった表現があり、これは一般に「国会内で2番目に多い議席を持つ政党」を意味しますが、これは現在、衆院側で36議席、参院側で19議席、あわせて55議席を持つ日本維新の会であり、やはり中道改革連でも立憲民主党でもありません。

維新が「最大野党」にならない理由は、現在、自維連立を組んでいるからに過ぎませんので、仮に維新が連立から離脱すれば、勢力が国民民主を2議席上回る維新が最大野党となります。

本日、高市総理が再任される見通し

このあたり、著者などは「中道改革連も選挙が終わったら分裂して立民と公明に戻るんじゃないかな?」、などと思っていたクチですが、両党の分裂は、当面はないかもしれません。

そもそももし両党に分裂してしまうと、少なくとも立憲民主党にとっては衆院側で最大野党の地位を失いますし、公明党にとっても次の選挙で28議席を維持することは困難です。なにせ、この28議席はいずれも比例上位を独占することで得たものだからです。

その意味では、衆院側では両党それぞれ固有の事情があって、分裂したくてもなかなか難しい状況に陥ってしまった格好です(著者自身の心の声は、「あそこまで主義主張が違うのに…」、です)。

ただ、参院側では「諸般の事情」もあってか、おそらく両党の合流がすんなり進まない可能性も高く、両党が併存したままで2年半後の参院通常選を迎えるかもしれません(ウェブ評論家の立場からすれば、その方が立民、公明両党のその時点の「本当の実力」がわかる、という期待もないではありませんが)。

いずれにせよ、予定だと衆院選後初の国会が本日、召集され、それに先立って高市早苗内閣はいったん総辞職し、高市総理が再び首班指名で内閣総理大臣に選ばれる見通しです。

そして、今後の国会論戦、少なくとも衆院側では野党議員が激減し、国会論戦がどう変わっていくのかについては見ものだと思うのですが、いかがでしょうか?

新宿会計士: