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衆院選の実態は自民大躍進というより立民への退場勧告

立憲民主党が公明党の組織票を取り込んだはずなのに、前回衆院選と比べ合計票数が落ち込んでいるし、躍進したはずの自民党は大して得票を伸ばしていない―――。そんな実態が浮かびます。数値で見ると、国民は最大野党である中道改革連合(実態は立憲民主党)に対し退場勧告し、その結果として自民党の議席が一時的に水膨れしたと見るのが、現時点では最も正確な見方ではないでしょうか。

「自民党の圧勝」を予測できたのか

日曜日に投票が行われた衆議院議員総選挙は、結果的に自民党の圧勝に終わりました。

ただ、現時点では「自民党が圧勝した」という結果を知っているわけですが、正直、今回の選挙についてはかなり動向が読み辛かったことも事実です。衆議院議員総選挙は小選挙区が主体であり、小選挙区は「勝者総取り」となるため、ほんの少し風が吹くだけで、選挙結果は大きく変化するからです。

これに関し、当ウェブサイトでは選挙前時点では「(選挙結果に関する)予測は困難だ」としながらも、『野党の動向次第では自民圧勝も自民大敗も両方あり得る』などの記事を皮切りに、選挙の勝敗を決める要因として、次のようなものが考えられると指摘しました。

  • ①立民公明の組織票…自民票⇩減らす要因
  • ②保守票の食い合い…自民票⇩減らす要因
  • ③左派支持層高齢化…自民党⇧増やす要因
  • ④サナエ旋風の発生…自民党⇧増やす要因

まずは、自民党の得票を減らす可能性がある要因として、①立憲民主党と公明党が結合したことによる組織票の拡大、そして②国民民主党、参政党、日本保守党、チームみらいといった「保守(?)野党」の存在。

これとは逆に自民党の得票を増やす可能性がある要因として、③左派支持層(≒テレビ層)の高齢化、④高市早苗総理大臣の個人的な人気による自民党のブースト効果、です。

数字で読む衆院選

速報が公表された

これらの見立てについては、①と②の要因が自民党にとって、とくに大きな脅威となり得るとした一方、③については今回の選挙ではなく、むしろもう少し長期的なタームで生じるものであり、また、④についてはまったく読めない、などと暫定的に結論付けました。

ただ、これについては現時点でもある程度、分析を加えておくことが可能です。総務省が火曜日までに、今回の選挙に関する速報を公表したからです(その原文は『衆議院議員総選挙・最高裁判所 裁判官国民審査結果調(速報)』で読むことができます)。

このうち小選挙区の得票状況に関しては、いちおう現時点で確認できるのですが、これに関しては残念ながら加工も閲覧も困難であり、後日の分析に譲ろうと思います(総務省のこの極めて理不尽なデータのフォーマット、勘弁してほしいところです)。

その一方で、小選挙区や比例代表における得票数や獲得議席数といった部分に関しては、数値の抽出は比較的容易でもありますので、本稿ではこの部分をもとに、今回の選挙についての簡易版のレビューを行ってみたいと思います。

小選挙区で自民党は圧勝した:2位が維新に!

さて、「出オチ」ですが、今回の選挙に関し、先ほどの4つの要因を検証すると、自民党の得票を減らすはずの①と②の要因がほとんど発生せず、自民党の得票を増やす要因である③と④がある程度は出たと考えられるのですが、ただ、④についてもかつての小泉旋風ほどの威力はありませんでした。

先ほどの①~④では説明がつかない要因があるのです。これを本稿では便宜上、「SNS効果」とでも呼びます(詳細は後述します)。

  • ①立民公明の組織票⇒ほとんど発生しなかった
  • ②保守票の食い合い⇒発生したが選挙の大勢に影響を与えなかった
  • ③左派支持層高齢化⇒想定以上の速度で進展していた可能性が高い
  • ④サナエ旋風の発生⇒発生したがかつての小泉旋風ほどではない
  • ⑤上記①~④では説明がつかない要因=SNS効果

これについて概観する前提として、過去の選挙について、小選挙区における状況を確認しておきましょう。まずは当選者数です(図表1)。

図表1 2005年以降の衆院選・獲得議席数(選挙区)
選挙年 第1党の議席数(A) 第2党の議席数(B) A÷B
2005 自民(219議席) 民主(52議席) 4.21倍
2009 民主(221議席) 自民(64議席) 3.45倍
2012 自民(237議席) 民主(27議席) 8.78倍
2014 自民(222議席) 民主(38議席) 5.84倍
2017 自民(215議席) 無所(26議席) 8.27倍
2021 自民(187議席) 立民(57議席) 3.28倍
2024 自民(132議席) 立民(104議席) 1.27倍
2026 自民(248議席) 維新(20議席) 12.40倍

(【出所】『衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査結果』および『衆議院議員総選挙・最高裁判所 裁判官国民審査結果調(速報)』をもとに作成)

※お断り

上記は一般に報じられている議席数(あるいはウィキペディアなどのウェブサイトの情報)とは異なっている可能性がありますが、これは当ウェブサイトではあくまでも総務省の公式発表をベースに議論していることによるものと考えられます。

たとえば今般選挙でも、無所属で立候補し、福井2区で当選した斉木武志氏が自民党の追加公認を受けていると報じられていますが(したがって小選挙区の議席数は249議席と報じられているケースが多いです)、当ウェブサイトでは公式発表ベースである248議席をもとに議論しています。

ここから判明する通り、小選挙区における獲得議席数トップは自民党であり、獲得した議席は故・安倍晋三総理大臣が再登板するきっかけを作った2012年総選挙の237議席をさらに11議席上回る248議席と、高市早苗総理大臣の人気ぶりがうかがえます。

しかも小選挙区で獲得議席数第2位となったのは20議席を獲得した日本維新の会であり、図表には出ていませんが、第3位が8議席を獲得した国民民主党、、そして選挙前に最大野党だったはずの中道改革連合は7議席の確保に留まり、第4位に沈んでいます。

選挙区の得票状況はどうだったのか

少なくとも小選挙区だけで見たら、中道改革連合はすでに最大野党(≒第2党)ですらない、ということなのです。旧公明と旧立民に再分裂すれば、どちらも最大野党でなくなる(かもしれない)、といった可能性すら現実味を帯びてきます。

ではなぜこんなことになったのでしょうか。

これについて詳細な分析を行うためのデータは現時点では不足していますが、ここでは簡易的な分析として、第1党と第2党の獲得議席数(図表1)と総得票数(図表2)を概観しておきましょう。

図表2 2005年以降の衆院選・獲得票数(選挙区)
選挙年 第1党の票数(A) 第2党の票数(B) A÷B
2005年 自民(32,518,390票) 民主(24,804,787票) 1.31倍
2009年 民主(33,475,335票) 自民(27,301,982票) 1.23倍
2012年 自民(25,643,309票) 民主(13,598,774票) 1.89倍
2014年 自民(25,461,449票) 民主(11,916,849票) 2.14倍
2017年 自民(26,500,777票) 希望(11,437,602票) 2.32倍
2021年 自民(27,626,235票) 立民(17,215,621票) 1.60倍
2024年 自民(20,867,762票) 立民(15,740,860票) 1.33倍
2026年 自民(27,710,493票) 中道(12,209,642票) 2.27倍

(【出所】『衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査結果』および『衆議院議員総選挙・最高裁判所 裁判官国民審査結果調(速報)』をもとに作成)

この図表2から判明するのは、比較第1党(今回は自民党)の得票数は比較第2党(今回は中道改革連合)と比べ、今回は2.27倍であり、これは2005年以降で見て2017年の衆院選よりは低い倍率となっています。

自民の得票が増えたというよりも中道の得票が激減した

ただ、これについては、事態はそう単純ではありません。

2017年は当時の最大野党だった民進党が「希望の党」、立憲民主党、無所属の大きく3つの勢力に分裂したタイミングでもあったのに対し、今回の選挙の最大野党の中道改革連合は、前回最大野党だった立憲民主党と、昨年10月に連立から離脱したばかりの公明党が合体した政党である、という事情があるからです。

図表2でも示した通り、中道は得票数が12,209,642票であり、この時点ですでに前回・2024年に立憲民主党が獲得した15,740,860票を3,531,218票も下回ってしまっていますが、おかしいのはそれだけではありません。

先ほど挙げた4つの要因のうち①、つまり「旧・立憲民主党系の候補に公明党の基礎票が乗っかる」という効果が、確認できないのです。

2024年のベースで考えれば、その時点で立憲民主党は15,740,860票を小選挙区で獲得していたわけです。同じ回の選挙で公明党は比例代表で5,964,415票(つまり1選挙区あたり2万票前後)を獲得していたため、これがそのまま立民票と結合すれば、中道は21,705,275票獲得できていたはずです。

それなのに、現実に中道が獲得したのは12,209,642票に過ぎなかったのであり、著者自身が見込んだ①の効果(立憲民主票+公明票)を9,495,633票も下回った格好で、これは上記①~④の要因だけではちょっと説明が付きません。

一方、同じく自民党は前回・2024年選挙で、小選挙区では20,867,762票を獲得していたのですが、このなかに公明票が最大で5,964,415票入っていたと仮定すると、公明票が自民候補から剥落する効果で、自民党の基礎票は14,903,347票に過ぎないはずです。

これは、中道の基礎票(21,705,275票)をじつに6,801,928票も下回っており、したがって、この得票差が実現していれば、自民党は間違いなく惨敗し、政権交代(=野田佳彦首相の実現)も現実のものとなっていたでしょう。

理論値とその乖離を出してみる

ただし、この「自民党-公明党」は2024年、つまり石破茂・前首相のころに行われた衆院選のそれを基礎とした試算であり、この回では自民党が惨敗していたため、2024年のベースで考察するのは妥当ではない、といった考えもあるでしょう。

したがって、さらにその前の回である2021年をベースに考えると、小選挙区で自民党は27,626,235票、立憲民主党は17,215,621票を獲得しており、これに2021年時点の公明比例票(7,114,282票)を加減すると、獲得票数の見込みは自民党が20,511,953票、立憲民主党が24,329,903票です。

また、公明票が近年、支持者層の減少に直面していることを考慮すると、公明票はせいぜい500万票程度だし、2021年の立民票は日本共産党との選挙協力で水膨れしていた、といった事情を考慮すると、獲得票数の見込みは自民党が22,626,235票、中道改革連合が20,740,860票と試算できます。

仮にこれを「理論値(A)」とでも称しましょう。

理論値(A)の算定方法
  • 公明の組織票は500万票と仮定する
  • 自民は2021年並みの27,626,235票から公明票を抜いた22,626,235票を獲得する
  • 中道は2024年の立民の15,740,860票に公明票を足した20,740,860票を獲得する

この場合は自民党が立憲民主党をほんの僅か(1,885,375票)上回るという試算が出てくるものの、やはり現実に生じたダブルスコアの得票差を事前予測から導き出すことはできません。図表2にも示した自民党と中道改革連合の実際の得票(B)と比較すると、やはり非常に大きな差異が出るのです(図表3)。

図表3 自民・中道両党の得票の理論値(A)と実際値(B)の乖離
党派 理論値(A) 実際値(B) B-A
自民党① 22,626,235票 27,710,493票 5,084,258票
中道改革連合② 20,740,860票 12,209,642票 ▲8,531,218票
①-② 1,885,375票 15,500,851票 13,615,476票

(【注記】理論値とは:自民党は2021年の得票から公明票を引いたもの、中道改革連合は2024年の立憲民主党の得票に公明票を足したもの。公明票はちょうど500万票と仮定している)

すなわち、自民党の得票は、理論上予想される値(22,626,235票)を約500万票上回ったのですが、これが「④サナエ旋風」で説明がつく(可能性がある)部分です。あるいは、「結果的に、公明票が剥がれても得票がほとんど変わらなかったのだ」、という言い方もできるかもしれません。

SNS要因をどう見るか

左派政党支持層は高齢化しているが…?

しかし、中道改革連合の理論値との乖離(約850万票)は、ちょっと説明が付きません。

これについて考察する前に、「左派支持層高齢化仮説」に言及しておきましょう。

冒頭に挙げた4つの要因のうち、敢えて最も近い要因を挙げるとしたら、「③左派支持層高齢化」あたりが当てはまるかもしれません。もともと左派政党の支持層が急速に高齢化しているとするもので、たとえば社民党や日本共産党の近年の得票がつるべ落としであることを見れば、そのことは明らかでしょう(図表4)。

図表4 過去の選挙結果(比例代表・得票)【社会民主党vs日本共産党】

社民党は今回の選挙で議席を獲得できず、比例の得票数も73万票と「100万票の大台」を割り込みましたが、得票減という意味では日本共産党も深刻で、ちょうど12年前の2014年衆院選606万票と比べ40%少々の252万票にまで落ち込んでいるのです。

今回の中道改革連合も、こうした日本全体の左派政党の支持層高齢化という影響を大きく受けている可能性はあるのですが、ただ、この「左派政党の支持層が全体的に高齢化している」という要因は、一見するともっともらしいものの、やはり「理論値」と比べて850万票も落ち込んだ理由の説明としては不十分です。

公明の実力を過大に見積もっていた可能性

このように考えていくと、現時点で最も可能性が高いのは、事前に予測した①~④以外にも、なにか「決定的な要因」が隠れている、という可能性です。

申し訳ないのですが、ここから先は、著者自身の主観が入ります。考えられる要因は2つあり、「公明の実力を過大評価していたこと」、「SNSが急速に普及したこと」です。

まず、じつは公明票は500万ではなく、せいぜい200~300万程度に過ぎない、という可能性です。

公明票はここ数年、比例代表における得票を順調に減らしてきており、2005年衆院選の時点で899万票あった比例票が、直近・2025年参院選の時点で521万票にとどまります(図表5)。

図表5 過去の選挙結果(比例代表・得票)【公明党】

しかもこの521万票には、純粋な公明票だけが含まれているわけではないとも考えられます。

じつは当時、公明党はまだ連立与党の一角に留まっており、長年、国土交通大臣ポストを握っていました。建築業、観光行政などを含め、こうした役所関連の票が、公明票に紛れ、公明票を押し上げていた可能性があるのです(その正確な票数は不明ですが)。

SNS効果の存在

ただ、公明党の実力をざっくり300万票だったと仮定すると、先ほどの図表3は、次の図表6のように書き換えることができます。

図表6 自民・中道両党の得票の理論値(A)と実際値(B)の乖離
党派 理論値(A) 実際値(B) B-A
自民党① 24,626,235票 27,710,493票 3,084,258票
中道改革連合② 18,740,860票 12,209,642票 ▲6,531,218票
①-② 5,885,375票 15,500,851票 9,615,476票

(【注記】理論値とは:自民党は2021年の得票から公明票を引いたもの、中道改革連合は2024年の立憲民主党の得票に公明票を足したもの。公明票はちょうど300万票と仮定している)

これだと、乖離が上記図表3と比べ、少し縮まります。

自民党の得票が理論値と比べ約300万票上積みされていますが、これこそが「サナエ旋風」の実力であると考えると腑に落ちます(というか、この程度であれば投票率の上昇で説明が可能なレベルです)。

そのうえで、中道改革連合が票を650万票あまり減らしていることこそが、おそらくは「SNS効果」ではないでしょうか。

ここでいう「SNS効果」とは、「選挙に関する情報を新聞・テレビではなく主にSNSなどから得る」という人が、前回の選挙からの469日間で約650万人増えた、という仮説です。

いくつかのメディアの調査でも示されていますが、若年層や中年層は中道改革連合に投票した人が極端に少なかった可能性が非常に高く、そしてこれらの若年層・中年層は「テレビ層」ではなく「SNS層」です。

端的にいえば、これまで立憲民主党(や今回は中道改革連合)に投票していたような人たちは、基本的に情報の入手手段として新聞・テレビを重んじていたような人たちであり、SNS層からはまったく相手にされない(あるいは憎悪の目を向けられている)のではないでしょうか。

すなわち、ざっくりした仮説ですが、6~7割は立憲民主党に投票していたテレビ層が、この1年あまりで1千万人ほど減り、逆にSNS人口が1千万人ほど増えた、という可能性が浮上するのです。こう考えたら、実にスッキリと説明が付きます。

そう考える根拠はもうひとつあります。比例代表の選挙結果です(図表7)。

図表7 2005年以降の衆院選・獲得票数(比例代表)
選挙年 第1党の票数(A) 第2党の票数(B) A÷B
2005 自民(25,887,798票) 民主(21,036,425票) 1.23倍
2009 民主(29,844,799票) 自民(18,810,217票) 1.59倍
2012 自民(16,624,457票) 維新(12,262,228票) 1.36倍
2014 自民(17,658,916票) 民主(9,775,991票) 1.81倍
2017 自民(18,555,717票) 立民(11,084,890票) 1.67倍
2021 自民(19,914,883票) 立民(11,492,095票) 1.73倍
2024 自民(14,582,690票) 立民(11,564,222票) 1.26倍
2026 自民(21,026,139票) 中道(10,438,801票) 2.01倍

(【出所】『衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査結果』および『衆議院議員総選挙・最高裁判所 裁判官国民審査結果調(速報)』をもとに作成)

ここで、自民党の得票は21,026,139票と、前回・2024年の14,582,690票と比べれば急増しているようにも見えますが、じつは2021年の19,914,883票と比べると、100万票少々上回っているに過ぎません。小泉郵政解散で自民党が圧勝したときの25,887,798票と比べると、むしろ少ないです。

それよりも中道改革連合が10,438,801票と、2024年の立民の11,564,222票を100万票以上下回っている点は注目に値します。先ほどの仮説では公明票が500万票(図表3の場合)ないしは300万票(図表6の場合)と仮定しましたが、これを勘案すると、400~600万票、「逃げ出した」のです。

つまり、自民党の票は2024年の石破茂・前首相の時代が異常に落ち込んだだけであって、今回は「サナエ効果」で多少回復しているにせよ、安倍総理や菅義偉総理、あるいは岸田文雄・元首相らの時代と比べて激増したというわけではありません。

自民党の得票増は極端な話、投票率の上昇だけでほぼ説明が付きますが、中道改革連合の得票激減は、やはりSNS効果の存在を想定した方が自然です。

そして、「SNS効果で中道改革連合から票が逃げ、逃げた票が自民党だけでなく国民民主党、チームみらい、参政党などに分散された」、などと考えると、(少なくとも数字の上では)説明としては整合するのです。

SNSの怒りの矛先は自民党にも中道にも向く

いずれにせよ、表面的には自民党がかつてない議席を得て圧勝したようにも見えますが、その内情としては、「自民党の勝利」というよりは「最大野党である中道改革連合の独り負け」という方が実態に近く、それも「SNSの影響でこれまでのツケを一気に支払わされた」という表現が似合います。

つまり、2024年総選挙では、SNS層の怒りが「石破茂氏のような人物を総裁に選び出すほどにふざけた行動を取った自民党」に向かい、その結果が自民党以外の政党(とくに国民民主党)への投票、あるいは投票自体のボイコットにつながった可能性があります。

しかし、今回の総選挙では、おりしもこの1年あまりでテレビ層がさらにSNS層に切り替わったことに加え、自民党が「石破前首相の轍を踏まないよう、高市総理を選んだ」ことで、SNS層の怒りが向かうターゲットが自民党ではなく中道改革連合となったのではないでしょうか。

中道改革連合にSNS層の怒りが向けられるべき理由は、いくらでもあります。

党綱領と個別候補の発言の食い違い。

SNSで明らかになったこれまでの同党所属候補の言動の数々。

あるいは具体的な政策をほとんど語れない党代表…。

逆に、よくこれで今まで議員を務めていたものだと思いますし、SNSの普及でこれらの議員の普段からの言動の実態が世間にバレ始めていたことを勘案すると、遅かれ早かれ、立憲民主党ないし中道改革連合は惨敗を喫し、国会からの退場を余儀なくされていたのではないでしょうか。

これはもちろん、「いままで新聞、テレビなどのオールドメディアの報道に騙されていた」と感じる有権者が激増しているからでもありますし、また、こうした有権者の怒りが同党の得票の激減として結実するのは時間の問題だったからです。

有権者が失望したら次は自民党が惨敗する

そして、自民党が今後も安心できない理由も、ここにあります。

すでに自民党は石破前首相の時代に有権者の強い怒りを買い、衆院選、都議選、参院選と主要な選挙で3連敗するという「快挙」(?)を成し遂げました。

今回の勝利も、高市総理の効果という点に加え、立憲民主党改め中道改革連合がズッコケたという側面が大きく、数値の上では自民党が過去と比べて得票を激増させたという事実は見当たりません。

もしも今後、減税や社会保険料削減などを掲げる日本自由党などのような政党が出現・台頭し、高市総理が減税や社会保険料削減などで国民をガッカリさせたりすれば、すぐさま国民はそれらの政党を勝たせるでしょうし、自民党は石破前首相時代のごとき惨敗を喫することだってあり得ます。

とりあえず国民は最大野党である中道改革連合(実態は立憲民主党、でしょうか?)に対し退場を勧告ないし要求しただけであって、その結果として自民党の議席が水膨れしただけである、と見るのが、現時点では最も正確な見方ではないかと思うのですが、いかがでしょうか?

新宿会計士:

View Comments (24)

  • 時事報道に値段はつきません。
    報道で売り上げを達成することは極めて困難になった。この世の現実に追いつけていないのは、編集部と言うちっぽけなエコーチャンバーの中で給料が稼げていると思っていた記者たちだけです。

  • 内閣不信任案提出要件に1議席足りない49議席。
    石破政権時に内閣不信任案を出さなかった立憲には50議席も不要だろうという国民の判断。
    偶然にしても物凄く皮肉な結果に感動しました。

    • 比例で6議席を自民党から贈られての49議席なので、国民の判断は43議席だったと思います。それなら飛沫議員と組んでも不信任案出せなかった。。。

  • 衆院選の実態は自民大躍進というより立民への退場勧告は とりもなおさず オールドメディアへの退場勧告とも読める。

  • んー
    選挙が順当に「ダメ候補者に議席を与えない」ベクトルに載ってきたンかしらね
    知らんけど

  • おはようございます。

    数字を駆使した会計士様や諸兄の皆様の投稿に共感。
    時代遅れの左派政党やオールドメディア。

  • 「関ケ原」でしたねえ。

    負けてる側が、もしかしたら勝てるかも?と現状を誤認してのこのこ合戦場に出てきて、激突!

    次はもう勝ち目ないとはっきりしてるので、大阪城に立てこもって、冬の陣&夏の陣。
    なーんてね。

  • *立民が勝手にこけた

    「安保・原発」の踏絵プロセスを見た岩盤支持層の離脱
    「アンチ公明」的スタンスの宗教団体票の離脱
    「共産協力票」の離脱


    最大の要因は、高市政権の誕生が注視されるなか、国会で繰返される「非建設的な質疑」が政治無関心層に刺さったことかな?
    提言型野党との比較で「立民要らない」が認識共有されるくらいにですね。

    ・・・・・
    *他人のふんどしで相撲を取った公明。(これっきりかもですね)

  • 選挙後の高橋洋一氏からのメールに高市総理が返信で、大雪ということもあり与党過半数も心配だった、という。当事者としての切迫感がよく表れていたと思う。
    一方、一票を投じた後は結果を見るだけだった自分のある意味第三者的目線では、300議席超えなんてないだろうと思っていた。思考停止して一言でまとめれば、時代が変わった。
    肌感覚としては、投票先の判断として組織と個人の優先順位の天秤が世代交代によって個人に傾いたこと、利益にならない腹も膨れないような思想や理念では心を動かされない層が多くなったこと、一方向に風が吹くと極端に結果が偏る傾向があるのではないかということ、などなどの仮説は考えられる。
    また、立憲民主を支持していた有権者の考えはよくわからないが、石破自民党になって投票先に困ったのと同じ感覚で中道を見ていた可能性はある。政党名が悪いという人もいるが、比例票だけ減ったならともかく露出の高い有名人が小選挙区で落選していたからそれだけでもないだろう。
    正直言って今回の記事の数字を見ても、何が起きたかなんだかよくわからない。結論として、風向き次第で自民党は簡単に負けるだろう、というのは同意できる。
    しかし、解党もできそうにない中道はぐだぐだし続けて、しばらく自民党の燃料になり高市政権の支持率を押し上げる可能性はそれなりに高いとも思う。

  • 数値解析の専門家でもあるブログ主さまの解析、また選挙ドットコムの鈴木邦和さん(今クロス解析しまくっていて忙しいと言ってたのを聞いた)の解析は信頼に足るものと認識しています。解析ありがとうございます。
    ところで選挙ドットコムの政党マッチングを遅ればせながら試してみました。20問に答える方式で、自分の場合、自民党が1位でした。他の政党順位含めまぁ順当だな、という印象でした。

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