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情報のストック化で早速躓く新党

「情報はフローではなくストックに変わった」。これ、じつは大変に重要な社会の変化です。なぜならインターネットがなかった時代だとスルーされてしまいがちな政治家の過去の言動の矛盾が、情報のストック化によって顕在化したからです。とりわけ立憲民主党が過去に基本政策で「原子力発電所の新設・増設は行わず、すべての原子力発電所の速やかな停止と廃炉決定をめざします」と宣言したことが掘り起こされているみたいですよ。

ネット化の本質は情報の民主化

インターネットの出現は私たちの社会の在り方そのものを根底から変革しつつありますが、その最たるものは情報の民主化ではないかと思います。

ネットが出現する以前であれば、全国の不特定多数の人に向けて毎日のように情報発信できるのは、それこそ全国紙の記者か、テレビ局(とくに全国ネット局)の関係者あたり、あとは雑誌社・出版社の関係者などに限られていたのではないかと思います。

つまり、情報を発信する側に立つためには、新聞社やテレビ局といった大手メディアの選別を受ける必要があり、その選別に合格するのは至難の業だった、というわけです。

ところが、ネットの登場で、この情報発信のためのコストが、限界にまで下がりました。

その気になれば、誰でもインターネットにアクセスし、そこから情報発信することができるようになったからです。

しかも、その「情報発信のハードル」ですら、下がり続けています。今から約10年前くらいであればブログを開設するというのが一般的な手法であり、多くの場合は最低限のPCやウェブ言語などのスキルが必要でしたが、これがいまやSNSの発達と普及により、こうしたウェブ知識なしに情報発信ができるのです。

メディアの虚報体質がバレ始めた

しかも、情報発信できる内容には画像や動画、音声といったさまざまなものが含まれており、文字情報に限られません。極端な話、お手持ちのスマートフォンで動画を撮影し、それをXなどのSNSにアップロードすることだってできるわけです。

このため、事件・事故に居合わせた人がその様子を動画で撮影し、Xにポストする、といったパターンの投稿も増えていますし、テレビの報道番組でも、SNSや動画サイトの投稿動画がそのまま流れたりすることもあるようです。

当然、そうなってくると、新聞・テレビなどが持っていた「全国の人に情報を流すという特権的地位」が失われることになります。

そして、新聞やテレビなどのオールドメディア関係者にとって不都合な事実も徐々にバレ始めています。

それは、メディアの虚報体質です。

オールドメディアは(すべてがそうだとは言いませんが)一般に虚報や「情報の切り取り」、「角度を付けた報道」などが大変に多く、メディア報道に疑問を覚える人も多かったのですが、SNSが発達・普及したことで、その虚報体質が可視化され、あっというまに人々に共有されるようになったのです。

最近、オールドメディア関係者から、「確かな情報は新聞・テレビから」、といった言説に加え、「SNSのデマは社会問題となっている」だの、「SNSのデマを取り締まれ」だのといった主張が出てくるのも、じつはデマが多かったのはオールドメディアの側だということが人々にバレ始めているのが現状でしょう。

情報のストック化

ただ、オールドメディア関係者らにとって不都合な事実は、それだけではありません。

情報のストック化です。

この「情報のストック化」とは、昨年の『ネット出現で情報はフローから「ストック」に変わった』などでも議論したとおり、都合の悪い情報がネット空間にいつまでも残ることをいいます。

官僚も、オールドメディアも、一部の政治家も、情報をそろそろアップデートしてください。インターネットが出現したことで、オールドメディアが情報を独占していた時代は終わりを告げ、なにより情報が「フロー」から「ストック」の時代に変わったのです。オールドメディアが「首相にふさわしい」とやたらともてはやす人物を巡っても、ネット空間にはデジタルタトゥーがやたらと残っていたりもします。そして私たち国民はネットの助けも得つつ、選挙のたびに質の低い政治家を落としていくべきなのです。質の低いメディア報道ウェブサイ...
ネット出現で情報はフローから「ストック」に変わった - 新宿会計士の政治経済評論

これで困ったことになる者たちは、オールドメディアの支配から恩恵を受けて来た勢力―――端的にいえば、とりわけ官僚機構と特定野党です。

たとえば財務省は旧大蔵省時代から政治に圧力を掛け、増税を実現させ続けて来た官庁のひとつですが、1989年に消費税を導入した際の言い分が「直間比率の是正」だったはずなのに、現在は「社会保障財源」に変わってしまっています。

しかし、社会がネット化したことで、財務省(あるいはその関係者)が増税を言い出した場合、ネット空間では即、反論が生じ、財務省が「火だるま」になることも生じ始めています。

速攻で否定される枝野さん

そして、本稿で取り上げておきたいのが、特定野党の事例です。

最大野党である立憲民主党が、昨年10月まで連立与党の一角を占めていた公明党と手を結び、来月の衆院選に向けて新党「中道改革連合」を設立するという話題は、『「左翼新党」はSNSで不評?ますます読み辛い総選挙』などでも取り上げました。

「中道」と名乗れば保守層からの支持も集められる、などと思っているのだとしたら、それはそれでかなり筋が悪い発想だとは思いますが、それ以上に興味深いのが、こんな事例です。

報じられている「中道改革連合」の政策に原発再稼働容認が含まれていることを受け、一般のユーザーから従来の立憲民主党の政策との整合性を問われ、立憲民主党の事実上の創設者でもある枝野幸男氏がこう述べたのです。

立憲民主党が、例外なくすべての原発再稼働に反対という政策を決めたことはないと思います」。

これ、Xなどでは速攻で否定されているとおり、立憲民主党は例外なくすべての原発再稼働に反対しています。その根拠が、同党の基本政策(2021年3月30日付)です。

立憲民主党基本政策

―――2021年3月30日付 立憲民主党HPより

この2(ウ)には、こんな記述があることが確認できます。

原子力発電所の新設・増設は行わず、すべての原子力発電所の速やかな停止と廃炉決定をめざします。

これなど、「情報はフローからストックに変わった」という点の真骨頂です。

普段から矛盾する言動を取っている人たちが何より嫌うのは過去の自分たちの言動だったりするわけですが、社会のネット化によって過去の言動がストック化されてしまっている状況が新党にとってどう出るかについては、見守る価値がある論点のひとつといえるかもしれません。

新宿会計士:

View Comments (19)

  • 某新党は、「(情報がストック化されるようになった)ネット時代に、ついていけない」ということでしょうか。

  • >「立憲民主党が、例外なくすべての原発再稼働に反対という政策を決めたことはないと思います」。

    「変節しますゴメンナサイ」と言えないばかりに正当化の沼を突き進む。
    謝ったら死ぬ病って大変ですね。
    リプ欄でもこんなこと言ってますね。(笑)

    https://x.com/edanoyukio0531/status/2013392664486363282
    ミスリードする広報物が存在したこと、深くお詫び申し上げます。

    • 暴走機関車立憲民主党、これから言動はどんどん支離滅裂になって行きます。新聞報道 TV 報道を含めて、まるごとネットのエンタメと化す「甘美な」予感。

  • ポピュリズム。Google先生によると、「日本では「大衆迎合主義」と訳され、エリート層に対抗し、大衆の不安や不満に訴えかける(しばしば単純化された)主張で支持を集める手法」。
    これこそが、立憲民主党が本来望むターゲット層に対するマーケティング手法でしょう。
    TVをダラダラと観て、TVのコメンテーターの言う事が何となく刷り込まれ、難しい事は解らないが、何となくこの人良さそう、と漠然とした印象で投票する人。この方々がターゲット層です。層も厚い(厚かった)。
    なので、その時その時に応じて無責任だが耳あたりのよい発言でそういう方々を引きつける為のその場しのぎの甘い言葉を使う。
    しかし与党になる気は更々無い。もうこりごり。無責任が座右の銘。
    こういう連中が立憲民主党の本質と思っています。
    ポピュリズム有権者を対象にメシを喰っていた連中が、やれポピュリズムがー、と言ったところで何にも納得感が無い。
    情報のストック化で益々もって連中の実態が赤裸々になる事でしょう。

    • (立憲に限りませんが)それまでのビジネスモデルが崩れた時、組織は、どう対応するのでしょうか。

      • 立憲さんに関しては、現議席数では上ですが、既に公明さんより格下の雰囲気です。比例区は公明さんが抑えたみたいだし。荒海である小選挙区は立民さん頑張ってね、と。
        今回の選挙で敗北すればまた離婚して立憲さんは社民党の辿った道へ。そこそこ議席を確保できたら主(あるじ)は公明さん、奴隷が立憲さんになるのでは?と予想します。

    • >それまでのビジネスモデルが崩れた時、組織は、どう対応

      これは重要な問いです。組織として立憲民主党は「とうとう」壊れてしまった。今の執行部は投票日までもたない。構成員も、外野も、報道も、立憲民主党の存在存続に指弾の矢を向け続ける事態に陥るだろう。どこにも求心力が見いだせないので離反していく。それが当方の判断です。

  • 一般的な話として、年を重ねると過去の自分の発言を簡単に忘れたりする。特に重要視してない事柄についてはつじつまの合わないことを自信満々に口にしたりする。他人事ではないが、なんでそんなに自信満々なんだ……と思うこともしばしば。
    一つ言えるとしたら、政治家が政策について記憶だけを頼りに不用意なことを言わない方がいいだろう。信用を失うという当たり前のことを気にするならば。

    • 時代遅れseさま
      >年を重ねると過去の自分の発言を簡単に忘れたりする
      自分が他人に覚えておいてもらいたいことは、いつまでも覚えているものですよ。

      • 言葉が軽いと忘れやすいかも、ですね。
        忘れるのは仕方ないとしても記憶を捏造してそれを確信してるんじゃないか、と疑わしい場合もあり、さらに話が長く同じことを繰り返すようになると……

    • 時代遅れse さま
      >年を重ねると過去の自分の発言を簡単に忘れたりする
      これは、オールドメディアにもあてはまるのでは。

  • 時代遅れseさま
    >年を重ねると過去の自分の発言を簡単に忘れたりする
    自分が他人に覚えておいてもらいたいことは、いつまでも覚えているものですよ。

  • ネットタトゥーもさることながら、特殊な訓練を受けたネット民が外部記憶装置を駆使して速攻突っ込み晒してくれるのはありがたいことです。

  • 私は、意見が変わることは別にダメな事ではないと思ってます。
    ただ、意見が変わる際には下記を明言する必要があるんじゃないかと思います。
    ・過去の自分の発言を素直に認める。
    ・なぜ意見が変わったのかその理由を述べる

    1つ目に関しては、その時そう思っていたのなら堂々とそう言えばいいし、2つ目に関しては、意見が変わる「何か」があったんだろうからそれを説明すればいい。別に「前の主張だと選挙に勝てそうにない」と思って意見を覆すならそう言えばいいと思う。

    中核連に代表される左派がダメダメなところは、矛盾を指摘されて誤魔化そうとするところ、ひどい場合だと逆切れするところ。普段は「納得するまで丁寧に説明しろ」と言っている本人が説明できないのがダメですね。

    昔はみんな『忘れてくれた』んでしょうけど、今はこの論考の通り、情報がストック型に変わりました。矛盾があればすぐに指摘されます。そういう意味では、その人の人間性(本性)を見るのにいい時代になったな、と思います。

    • >普段は「納得するまで丁寧に説明しろ」と言っている本人が説明できないのがダメ

      そのとおりです。
      新聞 TV が都合の悪いことを糊塗しようとも、発掘され検証され指弾され続ける。なぜなら騙され続けてきたと分かっているから。動機付けられてしまっているから。失った信用がこうゆう結果を導いているのです。

  • シンプルに
    「嘘をつかなければよい」

    というだけの話ですよね。
    そんなことで蹴躓いてるのが情けなや。

    ポイントは、賛否あったとして
    「そのどちらにも良い顔をしたがる根性」
    が問題なのだと思いますよ。

    賛成なら賛成、反対なら反対で、首尾一貫していたならば問題なし。
    もし考え方が変わったならば支持者にその旨を広く説明して、その道を行けば問題なし。

    SNSでバレ易くなったとはいえ、ものすごくシンプルな話かと。
    そんなことすらできない奴ら⋯