さすがに流行ってもいない用語を「ネットであふれている」と断言してしまうのはいかがなものかと思います。「中国なにするものぞ」「進め一億火の玉だ」「日本国民よ特攻隊になれ」といった「威勢のいい言葉」が「ネット上にあふれている」とする言説が東京新聞に掲載されたのですが、これについては少なくともXで「あふれている」とは言い難いのが実情です。ただ、それ以上に気になるのは、この話題を主要メディアがほとんど取り上げている形跡がないことです。
目次
情報発信の特権を失ったオールドメディア
当ウェブサイトではこれまで、新聞やテレビを中心とするマスメディア(あるいは「オールドメディア」)はもはや「情報発信の特権」を喪失したと指摘してきました。
とりわけ『マスコミ関係者はSNSで一般ユーザーと対等な立場に』では、共同通信社の有志記者らが運営していたらしい「共同通信ヘイト問題取材班」のXアカウント(@kyodonohate)が凍結された話題などを手掛かりに、「メディア記者と一般国民は、少なくともSNS上では完全に対等になった」と指摘しました。
| オールドメディア関係者のXアカウントなどを眺めていると、なかには、「俺たちは情報発信の特権を持っているんだ」、という意識が滲み出ているかのごとき人々を見かけることがあります。しかし、残念ながら、XなどのSNSを使っている時点で、オールドメディア関係者は一般のSNSユーザーと完全に対等な立場になっています。そういえば、昨年はメディアの有志記者のアカウントが凍結される「事件」もありました。「事実と意見を分けること」に留意した10年間当ウェブサイトは、今年で発足から10年が経ちます。『社会のネット化で... マスコミ関係者はSNSで一般ユーザーと対等な立場に - 新宿会計士の政治経済評論 |
(※余談ですが、@kyodonohateは本稿執筆時点においても凍結されたままです。)
ただ、著者などにいわせれば、「オールドメディア」は使っているメディアが古いというだけの話であり、彼らが情報のプロフェッショナルを自負しているのであれば、べつにインターネットという「ニューメディア」が登場したところで、なにも怖いものはないはずです。
自分たちもその「ニューメディア」を活用し、今まで通り「クオリティの高い(?)情報」とやらを発信し続ければ良いだけの話だからです。
SNSのシステム上、一般ユーザーと対等な立場になったとしても、それはあくまでもシステム上の話であり、「情報のプロフェッショナル」であるところのジャーナリストたちの手にかかれば、「情報の素人」であるところの私たち一般人のような情報発信と質の違いを見せつけることができるのではないでしょうか。
情報の素人であるはずの一般人が記者に勝つ時代
しかし、非常に不思議なことに、昨今のSNSなどの言論空間では、「情報の素人」であるはずの私たち一般人が発した情報の方が、「情報のプロフェショナル」であるはずのオールドメディア関係者、ジャーナリストらの情報と比べ、明らかに支持数で「勝っている」のを見かけることもあります。
たとえばXの場合、ポストを見た人がそのポストに「いいね」を付けることで賛意を示すことができるのですが、ジャーナリストや新聞社公式アカウント、準公式アカウントなどのポストを遥かに上回る数の「いいね」を一般ユーザーがかっさらって行くこともあるのです。
だからこそ、もしかするとオールドメディア側から定期的にSNS規制論が出てきたり、「SNSはデマばかり」といった決めつけが出てきたりするのは、あわよくば、SNSの影響力を潰そうとする狙いでもあるのかもしれません(『SNS規制論はオールドメディア自身のためにならない』等参照)。
(※余談ですが、自分たちに都合が悪いポストに多くの「いいね」がつく現象に対し、オールドメディア関係者や特定野党関係者らが「工作活動だ」とでもいわんばかりの不満を漏らすこともあるのですが、この件については別途、おそらく近いうちに取り上げると思います。)
不勉強なのは自業自得では?
さて、こうした「オールドメディア関係者によるSNS敵視論」は、当ウェブサイトに冷酷で無慈悲なコメントを残していくことで知られる「農民」様という読者の方の指摘によるものですが、これは「オールドメディア関係者が正攻法でSNSに対抗するのではなく、SNS攻撃を仕掛けている」とする可能性を示唆しています。
おそらく、この仮説は正しいのでしょう。
新聞、テレビなどのオールドメディアや、これらのオールドメディアを舞台に活動してきたジャーナリストや「有識者」らがSNSで発信している情報が、「情報の素人」であるはずの一般人が発信するものと比べ、クオリティで明らかに見劣りする―――、という事例が散見されるからです。
正直、新聞、テレビなどのオールドメディアがSNSに勝つためには、ちゃんとした取材もさることながら、客観的事実を事実のまま正確に伝えることと、情報を歪めて伝えたりしないこと、ちゃんと専門知識を研鑽(けんさん)することが必要です。
とくに、財務省や厚生労働省、総務省といった役所が垂れ流す財政などに関する説明は得てしてメチャクチャなので、国民がこれらに騙されたりせず、選挙権を正しく行使するためには、メディアこそがきちんとゲートキーパーとして正しい情報を流しておくべきでした(ここを「過去形」にしているのはワザとです)。
その意味において、現実問題として見るならば、新聞やテレビがネットで「オールド」呼ばわりされているのも「自業自得」なのだと、著者自身は最近とみにそう思うようになっているのです。
「支持率下げてやる」事件でメディア業界が沈黙を守った意味
さて、こうしたなかでメディア業界にひとつ苦言を呈しておきたいことがいくつかあるとしたら、そのひとつは、メディアで何らかの不祥事があったときに、同業他社(とくに主要メディア)が沈黙を守っているフシがあることです。
たとえば昨年の『「支持率下げてやる」発言を業界はどう考えているのか』などでも触れたとおり、高市早苗衆議院議員(現・総理大臣)が自民党総裁に選ばれた際のネット中継動画で、高市新総裁を待つメディア関係者らが「支持率下げてやる」などと軽口を叩いていたことが判明したことがあります。
そして、マスコミ、マスメディア業界(つまり「オールドメディア業界」)がなぜ信頼を失ったのかのヒントが、ここに詰まっています。
前提として、一部メディアは「報道という権力」を、自分たちにとって気に食わない政治家を不当に貶めるために悪用してきたフシがあり、ネット側では「オールドメディアが不適切な報道を繰り返してきたこと」に対する不信感が根強いことも間違いありません。
だからこそ、例の「支持率下げてやる」発言がネットで大炎上したときには、マスコミ・マスメディア業界を挙げて、こうした報道の在り方を否定しなければなりませんでした。それをやらなければ、一般国民から見てメディア報道は「やっぱり支持率を下げるために角度が付けられて歪んでいる」とする疑念を確信に変えるからです。
そして、マスコミ・マスメディア業界は、それをやりませんでした。
著者が知る限り、日本新聞協会や民放連、あるいはNHKなどの組織は、このメディア関係者による「支持率下げてやる」発言を特段問題視せず、それどころか黙殺し、時が過ぎるのをじっとやり過ごしているフシもあるのです。
情報はフローではなくストックの時代になった
もしかして、「人々はどうせそのうち忘れるさ」、とでも勘違いしているのでしょうか?
もしそうだとしたら、これはとんでもない勘違いです。
ネットの登場で、情報はフローからストックに変わったからです。
情報は半永久的にネット空間に残り続け、オールドメディアがこれまでメディアスクラムで「報道しない自由」を駆使し続けたことで人々の記憶から忘れ去られる、というテクニックが、とうとう完全に通用しなくなったのです。
その意味では、まさにこれ、個人的にはメディア業界全体を揺るがす昨年の最大の不祥事だと考えています。
「支持率下げてやる」と発言したのはメディア業界のあくまでも個人ですが、本来ならばメディアが全体として、「我々メディアは公正中立の立場から報道をしています」、「読者・視聴者から信頼される報道を最も重視しています」、と全力で宣言すべきインパクトのある事件だったのです。
オールドメディアが業界としてそれをやらなかったことで、正直、オールドメディアはもう完全に後戻りできなくなったのだと思います。
しかも、ここでさらに不都合なことがあるとしたら、ネットが発達したおかげで、私たち一般個人でも簡単にファクトチェックができるようになった、ということではないでしょうか。
中国なにするものぞ/進め一億火の玉だ
こうした文脈で、ちょっと興味深い事例が出て来たので紹介してみましょう。
東京新聞の今年元旦の会員限定記事(社説)を紹介するポストで、リンク先の社説は契約がないと全文は見られませんが、それでも一部分は読むことができます。
無料で閲覧可能な部分の冒頭には、こうあります。
「『中国なにするものぞ』『進め一億火の玉だ』『日本国民よ特攻隊になれ』。ネット上には、威勢のいい言葉があふれています」。
おそらく、著者自身を含めたネット民の多くは、この第1行目で引っ掛かってしまったのではないでしょうか?
- 中国なにするものぞ
- 進め一億火の玉だ
- 日本国民よ特攻隊になれ
…。
簡易ファクトチェックしてみたが…
正直、いわゆる「ネット民」の皆さまの多くは、これらのどれも「見たことも聞いたこともない」のではないでしょうか。
しかも、さらに面白いことに、これについてはネットの機能を使い、簡単にファクトチェックができます。その典型例が、Xの検索機能でしょう。
たとえば、Xの検索ボックスに次のような文字列を入力して検索すると、Xで実際に発信された内容を簡易ファクトチェックすることができます。
- 中国なにするものぞ until:2025-12-31
- 進め一億火の玉だ until:2025-12-31
- 日本国民よ特攻隊になれ until:2025-12-31
演算子の「until:」は、Xでは「~の日付まで」、という意味があるそうです(ただし、日時は米国時間となってしまうようです。日本時間での検索方法は調査中ですが)。
興味がある方は是非ともやっていただきたいのですが、結果的には「中国なにするものぞ」、「進め一億火の玉だ」は、いずれも左派的な思想を持っていると思しきアカウントによる、いわゆる「ネトウヨ」に対する批判的なポストばかりが出てきてしまいます。
たとえば「中国なにするものぞ」については、保守系のインフルエンサーの方による現在の中国に関する分析を、「こういう根拠不明で楽観的な『中国なにするものぞ論』で一番得をするのは中国である」などと批判しているポストが目につきますが、それだけではありません。
高市早苗総理大臣の支持者を批判する文脈で「中国なにするものぞ」が使われていたり、あきらかな皮肉で「中国なにするものぞ」が使われていたりします。また、「進め一億火の玉だ」も、明らかに保守派に対する批判という文脈で使われているケースが圧倒的に多く、「日本国民よ特攻隊になれ」に関しても同様です。
なにより、これらの用語はそもそも、少なくともXにおいてはほとんどトレンドを形成しておらず、同様に、検索エンジンのグーグルのトレンド検索などで調べてみても、これらの用語の検索履歴はほとんど引っ掛かってきません。
このことから、これらの「言葉が(ネット上には)あふれています」、の部分に関しては、そもそも事実とは言い難いのではないでしょうか?
記事を執筆した方がいったい何をもって「中国なにするものぞ」「進め一億火の玉だ」「日本国民よ特攻隊になれ」という「威勢のいい言葉」が「ネット上にあふれている」と判断したのかは謎です。
主要メディアは本件で沈黙しているようだが…
ただ、それ以上に疑問なのが、主要メディアがこの件について取り上げた形跡が見られない点です。
いちおう、調べたら日刊スポーツがこの話題を取り上げていたほか、独身研究家でコラムニストの荒川和久氏がnoteに公表した記事が転載されたと思しき、日経系の『日経COMEMO』というサイトに掲載されていたのが目につきます。
「進め一億火の玉だ」ネット拡散と一般紙コラム主張 中国出身の維新議員が疑問「使うはずない」
―――2026/01/03 11:17付 Yahoo!ニュースより【日刊スポーツ配信】
正月早々「私の中だけの事実」で炎上している人
―――2026年1月3日 16:25付 日経COMEMOより
ただ、これらはいずれもいわゆる大手一般紙(あるいはその記者)が執筆したものではありません。
そして、少なくとも著者自身が調べた限りでは、本件はネット上でそれなりに批判されているようですが、本稿執筆時点までにメディア業界からこの件に関する公式のコメンタリーがほぼ見当たらないのです。
いずれにせよ、時代が大きく変わったことは間違いありません。
新聞、テレビなどのメディアやその関係者(記者など)がSNS上で私たち一般人と完全に対等な立場になったうえ、私たち一般人のレベルでもファクトチェックが本当に簡単にできるようになったからです。
そして、この変化についていけずに取り残されているのが、まさにメディア関係者と特定野党関係者、そして官僚ではないかと思うのです。正直、メディアがここまで急速に弱ってしまうとは想定していませんでした。
当ウェブサイトとしては今年も引き続き、メディア問題を研究していこうとは思っているのですが…。
いずれにせよ、オールドメディア業界の信頼性を下げているのはオールドメディア業界自身ではないかと思うのですが、いかがでしょうか?
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1 2 次へ »毎度、ばかばかしいお話を。
東京新聞:「我々の検索では、これらの用語がネットで流行っている」
どうやら、某会計士の検索がオカシイようです。
蛇足ですが、東京新聞の検索では、これらの用語がヒットするようになっているのではないでしょうか。
毎度、ばかばかしいお話を。
東京新聞:「我々が批判したことで、これらの用語がネットで流行る」
他のオールドメディアが続いてくれたなら。
蛇足ですが、もしそうなれば、情報弱者は「ネットで流行っている」と思うのではないでしょうか。
こんな盲言を吐いている社員や役員はさっさと末端の販売店に送り込んで配達業務をやらせれば良いのです。人手不足(笑)なんでしょう?
日本に在留しているスパイに煽動活動をさせようと
中共の手下の日本のマスメディアに指示した文書でしょうね
さらに、パヨクのお皆様の頭の中は、非合法活動特に戦争のことで
頭の中がイッパイだから、衝動が抑えきれなくなった証でもある
どうせなら、ベネゼエラ大統領に9条を教えてあげれば
米国に捕らえられずにすんだものを
中共の経済破綻を救う道は、米国と同様に日本と戦争を始める事
しか、もう残ってはいないのです
中共は無法国家なのだから、日本のバブル崩壊時のように
国民が納得するように時間をかけて処理する必要もあるまいに
「借金を全部無し」にしてしまえば、処理は早くなるのだから
時事通信も負けてはいません。
維新の一部議員が、徴兵制を検討しているなどなど。
>メディアで何らかの不祥事があったときに、同業他社(とくに主要メディア)が沈黙を守っているフシがあることです。
これは本当にそう思いますね。
以前でしたら、大手メディアが沈黙を守っている事件でも、産経新聞、スポーツ新聞、あるいは(文春砲などと持て囃された)週刊文春など非主流オールドメディアが取り上げて事件の一端を知ることができました。
しかし最近、特に高市総理就任後は、メディアスクラムの締め付けが強化されたのか上記の非主流紙にも漏れてこない事件が多発しています。まるで緘口令でも敷かれているようです。
例を挙げると、中国人留学生の所得税免除特権の廃止や立憲岡田氏の「国民をコントロール」発言に関するニュースはオールドメディアには載らず、国民はSNSによる拡散で事件を知るしかない段階まで来ています。
いよいよ本年はSNS(を構成する国民)と既得権益オールドメディアの戦いが佳境に入っていきそうです。
そもそも『××なにするものぞ』『進め一億火の玉』『特攻隊』といった言葉自体が「オールド」なんですよね。私のような初老の者でさえこんな言葉を使われたなら「何言ってんだこいつ」となるので、ネット民ならキョトンでしょうに。
『××なにするものぞ』『進め一億火の玉』『特攻隊』という威勢のいい言葉をネトウヨが叫んでいるという妄想が、執筆者の脳内にあふれている。
「進め一億火の玉だ」は見ないが
「ジークイオン」はメチャ見る(つか書く
遅れ馳せながら、あけましておめでとうございます。
支持率下げてやるの件にせよ、本件にせよ。「彼ら」のダメなところは、仲間には全力擁護、敵には全力敵対の行動しかとることを許さず、諫言が一切出来ないことですね。だから仲間ウケしか考えずに現実離れした記事を書く。引用する。自省も批判もしない。「今どき一億火の玉なんて誰も言ってないし言わないよ、これ不利になるからやめた方がいいよ」が全く出てこなかったと。
右派による特攻隊評にしても、「隊員への称賛や感謝」は数多でも、「作戦指導部への批判」は右派ですら100%と言っても過言ではない。つまり右派こそが「特攻隊になれ」なんてまず言わない(でも左派からはアベが真っ先に戦争に行け、なんてよく聞こえてきましたね)。しかし全肯定と全否定しかできない左派にはそこが理解できず、"左翼の空想の中の右翼"が言いそうなセリフになってしまっている。
これって彼らの中での「大本営」と全く同じ体質なんですが。右翼よりも左翼の方がよほど旧軍の悪癖を受け継いでいるという皮肉。そして実際にはその悪名高い大本営すら、当時なりの価値観や考えで最善を尽くそうとし失敗した結果論的な評価であり、令和にあって似たようなことをしている(国民感情をコントロール、でしたっけ)彼らは遥かに劣るわけで。そんな人達には、横で批判し合える空間なんて許せないというか理解ができないことでしょう。
オールドどころかもはや亡霊。進歩どころか成仏もできそうにありません。
冷酷で無慈悲なコメントを書こうと特段思っているわけではないのですが、気付いたら新年一発目からチクチクになってしまいました。斬ったオイラが悪いのか、斬られたオメエが悪いのか。
>オールドどころかもはや亡霊。進歩どころか成仏もできそうにありません
SNSの結界で、言霊(コトダマ)が無効化された ”ゴーストメディア” の如くですね。
彼らの言説は、「中共の意を垂れ流す『台本咏(ダイホンエイ)』」なのかとも・・。
新聞読まない テレビ見ないから
こんな話は初耳でした
しかし、オールドメディアさんは、何故に選挙はー?選挙はー?(○○がー。と同じではないでしょうね?)とおねだりする子どものようにしつこいんでしょうか。
総力自身の支持率が高い今、個人的には、任期の全うしてほしいものです。
もちろん消費税減税とか、大きな改革がともなうものであれば、また別ですが。