中国が、またもや一線を越えて来た感があります。すでに話題になっている通り、中国海軍が日本の自衛隊機に対し、火器管制(FC)レーダーを照射してきたからです。しかも、防衛省の発表によると、FCレーダー照射は2回、別の機体に対して行われました。まったく非常識な話です。ただ、日本の自衛隊機が無法国家によるレーダー照射の被害を受けるのは今回が初めてではありません。その意味では、「前回」の経験は生きているのではないでしょうか。
目次
FCレーダー照射事案が発生:しかも1日で2回も!
なんというか、ついに一線を越えて来たのでしょうか。
すでに多くのメディアが取り上げている通り、防衛省の発表によると、またしても火器管制(FC)レーダー照射事件が発生しました。
といっても、今回のFCレーダー照射事件を発生させたのは韓国海軍ではありません。中国人民解放軍です。
防衛省によると、FCレーダー照射事件は12月6日に、沖縄本島南東の公海上空で、合計2回発生しました。
1回目は16時32分ごろから35分ごろにかけて発生したもので、中国海軍の空母「遼寧(りょうねい)」から発艦したJ-15戦闘機が航空自衛隊のF-15戦闘機に対しFCレーダーを断続的に照射。
2回目は18時37分ごろから19時08分ごろまでの間に、同じく「遼寧」から発艦したJ-15戦闘機が別のF-15戦闘機に対してFCレーダーを断続的に照射したのだそうです。
「1発だけなら誤射かもしれない」→2回行われた
幸いにも自衛隊員と自衛隊機に被害はなかったそうですが、これ、大変に危険な行為です。
FCレーダー照射自体、たとえていうならば、他人に向けて銃口を合わせ、あとは引き金を引く状態にするのと同じようなものであり、状況が状況なら準戦闘行為とみなされ、そこから交戦状態に陥ることすらあり得るからです。
防衛省は「航空機の安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為」であるとしたうえで、「このような事案が発生したことは極めて遺憾」として「中国側には強く抗議し、再発防止を厳重に申し入れた」と述べていますが、これは当然の話でしょう。
しかも、2018年12月に発生した韓国海軍駆逐艦「広開土王」によるFCレーダー照射事件と異なり、FCレーダー照射が2回発生している点も注目に値します。
1回目と2回目のFCレーダー照射事件で照射したJ-15戦闘機が同一の機体なのかどうかはわかりませんが、わざわざ2回にわたってレーダー照射するということは、かなり意図的なもの(つまり、「わざと」)であると疑わざるを得ません。
そのむかし、「1発だけなら誤射かもしれない」という名言(?)を吐いた新聞が存在したそうですが、今回「誤射」云々は成り立ちません。さすがに2機の別々の航空機に対してそれぞれFCレーダーを照射するというのは異常であり、戦闘の意思があるとみなされても不思議ではないほどだからです。
「前回」の経験は生きている
ちなみに中国海軍側は、「日本の自衛隊機が訓練中の中国海軍に何度も接近して妨害した」などとして開き直っているのだそうです(メディアによっては中国側が「日本はただちに中傷をやめよ」と要求した、というものもあります)。
中国海軍、日本の主張は「事実と矛盾」 レーダー照射巡り
―――2025年12月7日14:50 GMT+9付 ロイターより
「自衛隊機が安全を脅かした」 中国海軍が主張、中国軍機のレーダー照射には触れず
―――2025/12/07 15:08付 産経ニュースより
このあたり、個人的にはちょっと意外な気がしました。中国側は(現在のところは)FCレーダー照射を行ったかどうかについては言明を避けているにせよ、少なくとも「行っていない」とするウソはついていないようだからです。
韓国海軍のときは「行方不明の漁船を捜索していて探査レーダーを稼働させていたので自衛隊機に照射されたのはFCレーダーではない」という虚偽の言い分を公表し、日本側からは速攻で証拠付きで否定されていたのを思い出します。
ただ、お叱りを覚悟で申し上げるならば、あくまでも個人的な感想ですが、2018年12月の韓国によるFCレーダー照射事件を経験したことが、結果として日本にとっても「経験値」を蓄えるという観点からは良かったのかもしれません。
ここから先はあくまでも想像ですが、韓国海軍によるFCレーダー照射事件のときと同様、自衛隊/防衛省の側も、おそらおくは今回の中国海軍によるFCレーダー照射の証拠を残しているものと思われます。
無法国家との間で「やった」「やっていない」の論争に入るのを防ぐという観点からは、日本には一日の長があるのです。その意味では、「無法国家からFCレーダー照射を受ける」というのは初めてのことではなく、自衛隊には「前回」の経験が生きているのです。
これに加えて日本国民も自衛隊員や自衛隊機がFCレーダー照射の被害に遭うという経験は初めてではありませんので、ネット世論も完全に自衛隊の味方であろうと考えられ、オールドメディアによる自衛隊攻撃は完全に無効化されるでしょう。
レーダー照射の「国際化」を図るべし
しかも、今回の件が韓国の場合と決定的に異なるのは、徹底的に国際社会を巻き込める点にあります。
前回のFCレーダー照射事案では、犯人である韓国が日本と同様に米国の同盟国ということもあり、米国を含めた西側諸国は対応に苦慮していたフシもあるのですが、今回問題を発生させた中国は米国の同盟国ではないうえに、日本以外にいくつかの国が中国による無法行為の被害を受けていたりもします。
そして、小泉進次郎防衛相は7日、おりしも日本を訪れているリチャード・マールズ副首相兼国防相と都内で会談したところ、マールズ氏は会談後の共同会見で「深く憂慮している」としたうえで、「ルールに基づく秩序の維持という点で日本とともに行動したい」と語ったと報じられています。
小泉防衛相、中国軍のレーダー照射を説明 豪国防相「深く憂慮」 中国は反論
―――2025年12月7日16:00 GMT+9 付 ロイターより
さっそくに、事案の国際化を図った格好です。
一部報道で中国側が「日本は中国への中傷をやめよ」と述べた、などとありますが、これも言い換えれば、日本側が国際社会で大騒ぎし、事案が拡大することが、中国にとっては大変不都合であるということを意味しているのでしょう(本当にわかりやすい国です)。
いずれにせよ、FCレーダー照射という行為は、自衛隊員や自衛隊機に対する攻撃に留まりません。
れっきとした私たち日本国民を含めた日本国に対する攻撃でもあるのです。
これを機に有権者も投票行動改めては?
といっても、正直、『対中認識はさらに悪化するのか=外交に関する世論調査』でも指摘したとおり、すでに日本国民の対中感情/対中認識は過去最悪レベルにあるため、それがこれ以上悪化する可能性がどの程度あるのかはよくわかりません。
しかし、少なくとも現在の中国を友好国と認識する日本国民はおそらくこれからかなりの少数派になるとも考えられますし、なにより、日本の友人たち(米国、豪州、英国、台湾、インド、ASEAN諸国など)との関係をさらに強化していく良い機会となることは間違いありません。
さらにいえば、日本国内の左巻きの人たちは、これからさらに肩身が狭くなるのではないでしょうか。
驚くことに、日本国内にもごく一部には、「日中関係は大事だ」、「だから中国を刺激しないために、日本も高市早苗総理大臣の(11月7日の台湾に関する)答弁を撤回せよ」、などと主張する人たちがいるわけですが、そのような主張は、これからますます少数派となるでしょう。
むろん、事態をいたずらに悪化させないための日本政府の努力はとても重要ですし、実際に日本政府はよく努力しているとも思いますが、それとともに中国が一線を越えてきたことを改めて認識していくことがなによりも重要です。
そのためには選挙で変な政党には1議席も与えない程度には私たち日本国民が賢くなっていかなければならないと思うのですが、いかがでしょうか?
オマケ:ちょっとしたブーメラン
せっかくなのでちょっとしたオマケです。中国政府の頭の悪さがよくわかると思いますので、山手線の駅名を冠した怪しい自称会計士のちょっとしたポストを置いておきたいと思う次第です。
View Comments (18)
*中共の最優先事項は、対内権威(面子)
中国は、尖閣国有化の際にもFCレーダーの打ち逃げで終息を謀ったんじゃなかったでしょうか?
日本が強く国際問題化しなかった事で、ガス抜き(日本は反省した)とされた感は否めないですね。
左巻き思想ではこれも中国様を怒らした高市総理の責任と喧伝しそうですね。
昔、電信柱が高いのも郵便ポストも赤いのもみんな○○のせいって言うはやし言葉を思い出しました。
赤い生命保険会社と、赤い経済団体と、赤い経済新聞のせいです。
「なっ、みんな」
「い”~」
高市総理の台湾発言から間を置かずに沖縄近海でレーダー照射事態が発生したのは見過ごせません。
中国にしてみれば口喧嘩の相手にナイフを見せびらかして凄んで見せたといったところでしょうか。
安倍氏の「台湾有事は日本有事」という発言もあり、高市総理が一歩踏み出して中国を挑発したというプロパガンダに賛同する日本国民(や諸外国)は多くはないでしょうが、今回のレーダー照射はまごうことなき挑発行為と認定されますので、日本政府は事件の詳細を公表し中国のプロパガンダを上書きするのが良いと思われます。
防衛省の大臣発信に対して中国海軍からも発信があっやうデスが、高市総理の発信に対するリアクションや如何に?
このまま中国海軍によるリアクションにとどめるとは思えませんし、まずはソレ待ちスな
で中共が国として政府公式にナンゾ威勢かましてきたとき、『現場レベルでの事実上の宣戦布告に準ずるFCレーダー照射』に対し高市政権としてどのやうな対応をとるのか、注視さしていただきま
毎度、ばかばかしいお話を。
朝日新聞:「中国の自衛隊機へのFCレーダー照射。1回なら誤射かもしれない。2回でも誤射かもしれない。10回でも誤射かもしれない。100回でも誤射かもしれない」
この話は2025年12月8日時点では笑い話である。しかし、明日はどうなるかは分からない。
日本の銀行にも貸借対照表というものがあります。ざっくり左側が資金の運用形態、何に資金を使っているか、右側が資金の調達源泉、どこから資金を得ているかです。仮に、日本の銀行の資金の多くが海岸のテトラポットで運用されていて、この銀行に皆様が預金していた場合、預金を続けますか?ヤバそうですよね。中国の銀行がこの状態で中国人民が、この事実に気づきはじめて、習近平さんが焦っているということです。中国の銀行は、テトラポットではなく、テトラポットのようなものに資金を使ってしまっています。預金者から預金を返せと言われても、預金を返せない状況になりつつあるようです。今回のレーダー照射の背景のようです。中国の方が80兆円を日本から投資して欲しいですよね。
その一方で、日本の金融機関は、海外投資に振り向けていた膨大なカネを本国に戻したほうが儲かるという構図が成立しそうな趨勢ですから、カネを引き揚げられて万事が窮すのはどこどこかという喫緊課題も、あるところには、あるんでしょうね。
中国としては、中国の銀行システムを維持するために、戦争で需要を作り、銀行にお金を回して、金融恐慌にならないようにしたいのでしょうね。日本の尖閣諸島をターゲットにしていると思います。日本の金融機関もご指摘の通りで海外エクスポージャーを減らすタイミングなのでしょうね。
ロシア化して行く中華人民共和国
この要約で現代社会試験の合格点は取れそうでしょうか。
一番中国に「やめてくれ」と思っているのは、購読者を怒らせて販売を減らしているかもしれないほどアクロバティック擁護を延々と続ける羽目になっている親中メディアじゃないですかね……
習慣的になっている職場の経済新聞購読を今こそ止める。
企業活動における「情報関連・テクノロジー関連支出」は拡大する一方です。なぜなら、今は B2B 形オンラインサービスの新規性・有効性・優位性を競う時代だからです。freee 社が伸びる背景とはこんなものです。機能強化・低価格化は宿命であり永遠の目標です。
CIO とか CTO の重大任務の一つは、限られた社用予算が、実利ある形で効率的に費消されているかを継続的にチェックし、必要ならより優れたものに取り換え続けることです。身近な例でいうと、PCを買い替えることや、机を最新型(デスク型から配線変更が容易なテーブル型へ)に買い替えることです。
継続的な経費見直しの一環として、習慣的になっている経済新聞購読を打ち切るのは手がけて当然です。売り上げが蒸発してしまっては新聞社は大変ですから、お客が逃げない(人気を失う=ポピュラリティ喪失)ようにするのは実際大変ですわなあ(他人事)
報道各社は、記事文章ではなくて、進化し続ける「利便」改良され続ける「機能」におカネを払ってもらう会社に脱皮できないといけない。とっく分かっているはずですよね。
2017年に沖縄の保育園の屋根にヘリのカバー部品が落ちてきた(らしい)という大騒動も何故か急に続報が途絶えましたし、都合の悪いことはすぐ忘れることができる人達ですからそのへんは心配ないかと…w
今回の話、防衛省のサイトから以下の内容が確認出来ます。
・12/6 16:32~16:35:1回目レーダー照射(自衛隊機F-15)
・12/6 18:37~19:08:2回目レーダー照射(別個体のF-15)
・遼寧から発艦したJ-15による断続照射 →「明確に狙って照射」したと評価可能
この中で「断続照射」というのが厄介で、J-15に搭載するレーダーPESAは、半機械式で探索用レーダーと火器管制用レーダーを切り替えて使用するタイプ。つまり、探索用レーダーを使っていたという言い訳が出来る予知があるということになります。
ただし、当然ながら防衛省はこれについて十分承知をした上で、火器管制レーダーを照射されたと認定しています。断続的に照射というのは探索用から火器管制用に切り替えたという意味合いで使っているのでしょう。尤も、自衛隊機にはレーダー照射パターンからロックオンを検出する機構が付いていて、おそらくはロックオン警報が喧しく鳴ったということなんでしょうから、自衛隊機側の認定が間違っているとは思えません。
相手方も、PESA搭載型だということは伏せておきたい可能性(アップグレード型ではAESA搭載に切り替えている)がある。そう判断して防衛省も言葉を濁した可能性があるのかなと。
レーダー照射2回なら偶発じゃなく確信犯であることを日本に示しているのでしょう。「オレは怒ってる!」
で、自衛隊機が「中国海軍に何度も接近し、妨害した」と言うあたり、「哨戒機の低空威嚇飛行」からヒントを得たんじゃないのと。ある意味の西朝鮮化を感じました。(笑)
よくわかんないのが、今時中国が「日本がウソをついている」と言っても信じる国はもはやなく、対国際社会ではやり損。露朝のような悪の枢軸国に対しては今さらアピールも必要ないでしょう。
日本が挑発に応じて戦闘しないのはわかっているので、日本と戦闘したいわけでもない。
現場の自衛隊には脅威となるでしょうが、日本政府への圧力になるかというと逆に中国への批判が高まるだけで政権擁護にしかならない。
中国国内向けのガス抜きとしても、対外的にデメリットが多いこの手でなければならない理由はないし。
いやー、どうしてこの手を打ったのかサッパリわかりません。
習近平様のお怒り(があったとして)に忖度した各現場(国防部・人民解放軍)が知恵を振り絞ってやった結果、ということなのかな?
以前に南シナ海でレーダー照射があった時、その質問をされた外交部報道官は事実を知らなかったらしくあからさまに目が泳いでいました。外交部はそのヤバさを知っているようです。
解放軍の戦闘機はパイロットの顔が見えるくらいまで自衛隊機に異常接近して日常的に挑発しているそうですが(現場がそうやりたがっている)、解放軍の現場の忖度の結果なのかなー、などと推測。(そういや異常接近って自己投影じゃん。朝鮮かよ)
だとするとやはり、アレな国家というオチですかね。
>南シナ海
東シナ海でした。
“ドン”の歓心を買いたい中国海軍の現場における勇み足なんでしょうが、中国海軍の発信がソノママ“ドン”に報告として上がるンでショーからコレカラ更にコジレルでせう、知らんけど
ちいとアタマのマワル中共幹部連は“ヤバい”という感覚を持っているかもシレマセンが現体制下でナニか出来ようも無さそうスし、中共内で“ドン”への“忖度エスカレーション”が加速するなら『台湾侵攻』の前に『対日開戦』も有るかもシレヤセンぜ、知らんけど
一定数“ヤバい”と覚えつつ加速度的に事態がススム…どっかで聞いた??
AI さまの御宣下はこうでした。
盧溝橋事件の発端は、1937年7月7日夜に北京郊外の盧溝橋で日本軍の夜間演習中、中国軍側から実弾が発射されたことと、日本兵1名が一時行方不明になり、これを口実に日本軍が攻撃を始めたことです。これは、日本の華北への圧力を強める中で発生し、日中全面戦争へと発展するきっかけとなりました。
(交戦相手は中華民国軍です。お忘れなきよう)