例の高市答弁からそろそろ1ヵ月が経過します。この期間に露呈したのは、日本のオールドメディアや特定野党の主張のレベルの低さですが、それだけではありません。台湾関連の答弁を撤回させようとする中国政府の努力が、ことごとく空回りしたのです。旅行の自粛、アニメ延期、水産物停止、パンダ回収、会合の中止、Xでの脅迫、告げ口外交、歌手の退場…。ことごとく、「効果なし」で終わったばかりか、ネット大喜利大会で中国政府がバカにされ、コンサート中止では中国リスクを全世界に見せつけました。
目次
高市答弁から1ヵ月
高市早苗総理大臣による「例の国会答弁」から、そろそろ1ヵ月が経ちます。
「例の国会答弁」とは、先月7日、立憲民主党の岡田克也衆議院議員(※元外相・元副首相)からの質問に対し、中国による台湾への攻撃が発生した場合などにはわが国にとっての「存立危機事態」に該当する可能性がある、などと答えたものです。
この答弁に対し、なぜか日本の一部メディアや左派知識人、あるいは特定野党議員らが「軽率な答弁だ」、などと強く反発しているのですが(なぜ「尋ねた法」を批判しないのでしょうか?)、それ以上に興味深いのが、中国政府の対応でしょう。
中国政府は日本に対し、矢継ぎ早にさまざまな「対抗措置」を講じて来たからです。
中国が日本に対して講じた「対抗措置」の例
- 日本向けの団体旅行の自粛
- 日本製のアニメの上映延期
- 日本の水産物輸入を再停止
- パンダの貸与期限の不延長
- よくわからない会合の中止
- Xを使って日本国民を脅迫
- 米国と国連と英国に告げ口
- 歌っている歌手の強制退場
(【注記】一部は報道ベース)
高市総理の答弁、日本政府は撤回せず
もちろん、これらが「対抗措置」になっているのかどうかはいまひとつよくわかりませんが、いずれにせよ、中国が怒っていることだけは間違いありません。
(なお、どうでも良い話ですが、『中国「日本団体旅行中止」は日本経済への脅威にあらず』なども含め、当ウェブサイトでは本件を巡って、一貫して「日本経済に与える悪影響は極めて限定的」と指摘し続けてきましたが、当初はメディアは「中国を怒らせた高市」、という図式で報じている事例も多かったようです。)
こうした中国の怒りを鎮めるためには、「高市総理が答弁を撤回するのが最も手っ取り早い」、といった意見が出るのもある意味では当然ですが、だからこそ、日本の左派メディアや左派言論人、左派政党、あるいは一部大手メディアなどは執拗(しつよう)に答弁撤回などを要求しているのだと思われます。
ただ、現時点において、少なくとも日本政府が答弁を撤回したという事実はありません。
ひと昔前であれば、メディアが政権批判の大合唱を行えば、それだけで政権側が折れて、メディアが望む答弁撤回(あるいは上書き修正)などに応じていたのですが、どうも今回は、事情が異なるのです。
メディアが騒いでも…支持率はビクともせず
しかも、主要メディアが実施した内閣支持率調査で眺めてみても、内閣支持率は顕著に下がっている形跡がありません(図表)。
図表 内閣支持率(2025年11月)
| メディアと調査日 | 支持率(前回比) | 不支持率(前回比) |
| JNN(11/1~2) | 82.0% | 14.3% |
| 朝日新聞(11/15~16) | 69.0%(+1.0) | 17.0%(▲2.0) |
| 共同通信(11/15~16) | 69.9%(+5.5) | 16.5%(▲6.7) |
| 時事通信(11/7~10) | 63.8% | 10.8% |
| 読売・NNN(11/21~23) | 72.0%(+1.0) | 17.0%(▲1.0) |
| 産経・FNN(11/22~23) | 75.2%(▲0.2) | 19.6%(+0.5) |
| 日経・テレ東(11/29~30) | 75.0%(+1.0) | 18.0%(▲1.0) |
(【出所】各社報道)
改めて眺めておくと、それにしても高い支持率です。
とりわけ「中国問題」が表面化して以降の調査、たとえば読売・NNN、産経・FNN、日経・テレ東の3つの調査で見ると、支持率はいずれも70%を超えていて、不支持率は20%を割り込んでいます。少なくとも高市政権が答弁を撤回していないことで支持率が大きく下がっているという事象は観察できないのです。
このことから、少なくともメディアが「支持率下げてやる!」を武器に日本政府に対して答弁撤回を要求するという旧来の手法がまったく通用しなくなったことは間違いありません。
閑話休題:怪しげな調査
※わりとかなりどうでも良い余談ですが、山手線の駅名を冠した怪しい自称会計士が実施した世論調査もどき(期間:2025/12/02 14:10~の24時間、回答者:828名)だと、支持率(「どちらかといえば支持する」も含めたもの)は93.9%だったそうです。
「中国リスクを減らせ」がむしろコンセンサスに
いずれにせよ、メディアのご注進報道も一切効かず、それどころか中国が日本に対して講じてきた措置のなかで、日本行きの旅行自粛に関しても、一部のメディアはここに来て「中国リスクは十分にコントロール可能」などと言い出しているようです。
たとえば日テレNEWSが3日に配信した次の記事などはその事例でしょう。
圧力どこまで…観光業で“中国依存”見直す動き かつて対立した国々の対応に「共通点」
―――2025/12/03 06:33付 Yahoo!ニュースより【日テレNEWSより】
なお、これについてはエコノミスト・経済評論家の門倉貴史氏が『Yahoo!ニュース』のエキスパート・コメント機能で指摘しているこんな趣旨の指摘にすべてが尽くされているのではないかと思います。
ミクロの視点でみれば、それまで中国人観光客に売り上げの多くを依存していた宿泊施設は渡航自粛によって短期的に打撃を受ける可能性があるが、マクロ経済の視点でみればオーバーツーリズム問題の解消による日本人の観光需要の増大など、プラスの経済効果が発生する
インバウンドで中国依存度が高いと中国による経済的威圧による大きなダメージが発生するので、日本はインバウンドの脱中国を急ぐべきである
…。
まったくそのとおりです。
そして、このことは観光だけでなく、ほかのありとあらゆる取引等にも言える話です。
たとえば、日本のコンテンツ産業も、中国だけでなくさまざまな国に輸出先を増やしていくべきですし、投融資も分散・多様化すべきであり、さらにはサプライチェーンについても中国依存度を減らすべきです。
こうした当たり前のことが国全体で認識できたのであれば、それは結局「災い転じて福となす」、です。
繰り返しになりますが、当ウェブサイトとしては、むしろ当該答弁が台湾有事の可能性を大きく低下させたという可能性が高いとすら考えており、したがって、高市早苗総理大臣は該当する答弁を撤回する必要など一切ない、というのが現時点の見解です。
新聞、テレビを中心とするオールドメディアがこれ以上、答弁の撤回などを要求したとしても、高市総理としてはそれに応じないでしょうし(というか、そもそも応じる必要などありません)、少なくとも世論調査などから判断する限り、日本国民の側としても、この対応を支持するものと考えられます。
打つ手打つ手ことごとく効果なし
ただ、本稿ではこれ以上に考えておきたいのが、中国政府の劣化ぶりです。
これまで中国政府が講じた措置が日本にどんな効果を与えたのか。
- 旅行の自粛→効果なし
- アニメ延期→効果なし
- 水産物停止→効果なし
- パンダ回収→効果なし
- 会合の中止→効果なし
- Xでの脅迫→効果なし
- 告げ口外交→効果なし
- 歌手の退場→効果なし
これについては当ウェブサイトでも、『経済制裁から考える日中関係…カードは日本の方が多い』などを含めてずいぶんと論じてきたとおり、中国が本件で日本に対して講じることができる措置は非常に限定的であると断じざるを得ませんが、それだけではありません。
ことに、歌を歌っている最中の歌手を、電源を無理やり落として強制退場させるという措置は、日本に対する脅しとしてまったく効かなかっただけでなく、中国という国の異常性を白日の下にさらし、全世界に伝えるという結果をもたらしました(『日本の巨大な自由経済こそが中国にとっての最大の脅威』等参照)。
さらに、『ネット大喜利でオモチャにされおちょくられる中国政府』でも取り上げましたが、いまや中国政府、あるいは中国の在日大使館や中国の外交官らがXなどで発信する情報は、多くの場合、日本人などの一般ユーザーから即座に反論を喰らったり、オモチャにされて遊ばれたりする状況にあるのです。
私たち日本人にとって、中国政府はともすれば「強かな外交を展開する油断できない国」、「非常に賢い国」、といったイメージを持っている向きもあるのですが、もしそうしたイメージがあるとすれば、それらが間違いであることは、改めて指摘しておく価値がありそうです。
ここまで頭が悪いとは…
正直、著者としても、ここまで中国政府関係者の頭が悪いとは思っていませんでした。
ちなみに日本国民には2009年の偏向報道・政権交代事件などを含め、オールドメディアの偏向報道と戦ってきた歴史がありますので、中国政府の付け焼き刃的なSNS情報発信ごときで日本国民を折伏できると思っている方がよっぽどおめでたい発想です。
そして、中国政府はまた、喧嘩を売る相手を間違えてしまった可能性すらあります。中国が今後失うものは台湾だけなのでしょうか。
見物です。
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1 2 3 次へ »下関条約まで蒸し返されてしまっています。台湾島人に笑い飛ばされています。
中華民国の歴史を、ちゃんと誰かが、21世紀の世相・社会背景・国際情勢を念頭に、解説すべきタイミングのはず。学齢期にはもう上野にパンダがいた世代が中堅どころか経営層にまで広がっており、オールドメディアはアレなひとたちので、中華民国にどんな歴史があり、今日的に意味でどんな存在であるのか、日本人を含めて世界が理解していない。
台湾共和国建国派(そんなものがあると仮定して)は、何も活動発言しないでも自分たちにどんどん都合がよくなってきている情勢にこみ上げる笑いをこらえている状況です。
下関条約って…、もう馬関ね。
まあ、冗談は扨置き、下関条約を締結したのは大清国であり、満州人の愛新覚羅氏による所謂「征服王朝」何ですけれどね。
中華人民共和国は使える反日ネタをトコトン使って、日本を全力で貶めていますが、全て空振りに終わって日本人のみならず海外からも嘲笑されているような気がするのですが、余裕がないのか、そこまで頭が回っていないようですね。
今回はドロンジョ並みでしたね。
それはおいといて、サンフランシスコ条約締結前後の史実を紐解くには
中公文庫「シリーズ戦後史の証言」8冊刊(おそらく)
が役立つと思います。nanashi どのの理解洞察の裏付けに役立ちます。
当方が所有しているのは
2.池田勇人『均衡財政 附・占領下の思い出』
7.西村熊雄『サンフランシスコ講和条約』
8.フランク・コワルスキー『日本再軍備 米軍軍事顧問団幕僚長の記録』
これらのうち7は紛失してしまっています。7は条約局長、8はポーランド移民の米陸軍士官の手による執筆です。全巻揃えなかったことを今は後悔しています。
>こうした中国の怒りを鎮めるためには、「こうした中国の怒りを鎮めるためには、「高市総理が答弁を撤回するのが最も手っ取り早い」、といった意見が出るのもを撤回するのが最も手っ取り早い」、といった意見が出るのも、、、、、、
高市総理の答弁は要約すると日本近辺で米軍が攻撃を受けたら集団的自衛権を行使するという内容ですから撤回は絶対に出来ませんね。
中国が求める撤回は朝日の歪曲報道に端を発する反高市総理派、マスコミが喧伝する「台湾有事発言」(台湾侵攻に対して日本が武力介入する)という誤解でしょう。
いくら日本が説明しても振り上げたこぶしは下せないし、朝日や反高市総理派、マスコミに騙された振りをして撤回を求めるほうが得策と考えても当たり前なのでこのまま風化するまで放っておくしかないですね。
中国政府関係者の頭が悪いとは 自分も思っていません。
でも 中共もKGBもオーム事件も旭川女子中学生いじめ凍死事件も財務真理教もマスゴミも
その中のメンバーたち全員頭が悪かったとも言い切れません。
共通しているのは 恐怖による支配・洗脳と仲間はずれにされる恐怖心ではないかと思っています。
アメリカのトランプ米大統領が「台湾保証実施法案」に署名しました。
高市総理の国会答弁に対して中国はいくつもの「対抗措置」を講じたのですからアメリカに対しても何らかの「対抗措置」を講ずるのでしょうかね。
トランプ大統領が署名撤回などする筈はないでしょうから中国政府関係者の頭の程度がどれ程なのかの判断材料が再度見れそうですね。
駐米大使はトランプの汚い首を切ってやるとかいわないのかな。
多分言い返さないとこにしか言えないシャバぞう国家なのね。
日本は言い返さないけど反応もしないので、なんも出来ない言うキンペー。
本文中の
「・・当ウェブサイトとしては、むしろ当該答弁が台湾有事の可能性を大きく低下させたという可能性が高いとすら考えており・・」の部分、
メディア、個人にかかわらず、「」部分をどの段階で認識できているかどうかで
「オールド」かそうでないか分けられると思いました。
ワシントン、台北中央社)トランプ米大統領は米東部時間2日、台湾との交流に関するガイドラインを定期的に審査するよう国務省に求める「台湾保証実施法案」に署名し、同法が成立した。とありますが、ヤフーニュース以外話題に成っていません。なぜ?
台湾保証法では①米台関係の深化や拡大②住民による自由で公正な選挙で選ばれた政府による台湾の統治③台湾海峡に関する問題の平和的解決に寄与する。とありますが・・・(フォーカス台湾12/3(水) 13:49配信)特に③は今回の騒動ではありませんか?
高市総理の発言と言い、トランプ大統領の行動といい、一連の行動の様に思われるのですが、誰かファクトチェックした人いませんか?
朝日など食いつきそうだけど・・・
>https://www.sankei.com/article/20251204-PL2IDMWDEBMEREE77PXFYJ2THY/
産経新聞によりますと、アメリカで台湾関係強化の法が成立しました。ということは、中国はアメリカへの渡航を自粛して、アメリカの歌手の中国公演を禁止するのでしょうか。
中国とロシア、対日共闘で一致 「軍国主義復活に反撃」というニュースがありました。
これでますます 中国はウクライナ侵攻したロシアと世界中から同一視されるとは思わないのだろうか。なんとかしろと命じられた王毅外相 焦りまくって悪手連投。 ますます首筋が寒そう。
あー“絶対主義”的独裁体制の中共で特に個人独裁色が強まっているココ10ン年の流れから、「強かな外交を展開する油断できない国」「非常に賢い国」といったイメージを構築してきた組織体制が機能不全に陥って久しいンやないですかネ?
ウエニナラエの体制で上がポンコツかつ長居なら“手足”も衰えますわナ、知らんけど
“手足”の中には“デキる奴”が居たとしても「今生き抜けねば明日は来ない」が地で行く状況なら『先見た対応』なんて望み薄無理無理無理〜でショーな、知らんけど
ソーコーしとるうちに“手足”も低み代替わりで劣化してくンやろけど、ナマジ頭数アルだけにリストラクチャも早いか知れんね??
知らんけど
毎度、ばかばかしいお話しを。
中国:「我々は、日本のネット民にネタを提供しているのだ。ネタがなくなったらネット民は、困るだろう」
蛇足ですが、中国共産党内部での出世競争に利用されているのではないでしょうか。
中米ホンジュラスの大統領選挙で、台湾との関係回復を主張する野党2候補が優勢だそうです。もちろん、大統領選挙の結果は確定していませんが、結果次第では中国はホンジュラスに制裁を加えて、逆にホンジュラスに大型経済支援を実施するのでしょうか。
中国の頭の悪い対応に困っているのは、中国マーケットに依存している日本の上場企業のように思います。今回のバカ騒ぎとサステナ開示規制が同期してしまい、ことさらに中国対応戦略を前倒しする必要が出てきてしまいました。中国の人権蹂躙問題がクローズアップされ、日本企業も人権蹂躙に加担できなくなりそうです。日本企業が直面するのは、日本の投資家や消費者です。SNSで自社製品に火が付くのをもっとも心配していると思います。金融庁関連企業は、リスクに敏感なので、中国のエクスポージャーをマネージしていると思いますが、部品メーカーとか売上の半分を中国に依存している企業もあります。