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貿易構造上「日中関係悪化」の打撃は中国の方が大きい

以前から当ウェブサイトでは、日本企業が中国と距離を置き始めているフシがあると指摘してきましたが、こうしたなかで取り上げておきたいのが、中国政府による最近の日本に対する強い調子での非難です。日中関係が悪化し、最悪、断交などの事態に陥れば、日中双方に影響が生じます。ただ、貿易統計を分解していくと、より打撃が大きいのは中国の側であろうと考えられます。素材、部品、装備といった高付加価値な「モノを作るためのモノ」を日本が握っているためです。

日本の貿易構造の特徴

円安メリットを享受する日本

昨日の『統計と理論から確認する「悪い円安」論の大きな間違い』では、久しぶりに「悪い円安」論を話題に取り上げ、円安は日本に対し(悪い影響ももたらしている面もあるにせよ)、総合的に見て、メリットの方が大きい、とする議論を展開しました。

その根拠は、こうです。

①フロー面における輸出効果

円安でプラス効果が生じる部分だが、現在の日本は自動車などを除けば最終製品(川下製品ないしB2C製品)の輸出金額は大きくないため、現在のところ効果は限定的であるものの、下記3番目の代替効果が生じてくれば、日本経済に大きな恩恵をもたらす。

②フロー面における輸入効果

円安でマイナス効果が生じる部分で、現在の日本は原発が稼働停止しているなどの事情もあり、とくにエネルギーの輸入が多い。ただし原発再稼働や新増設を進めるなど、政府がなすべきことをきちんとやれば、解決できる部分も大きい。

③フロー面における代替効果

本来は円安でプラス効果が生じる部分であるが、現在の日本が労働力不足や電力不足に直面していることから、必ずしも十分とは言い難い。ただし、原発再稼働、雇用規制緩和、減税、自動運転導入など、やはり政府による努力でなんとかできる部分も大きい。

④ストック面における資産効果

円安で莫大な恩恵が生じる部分。すでに現在の日本経済に対し、年間40兆円前後の一次所得収支をもたらすなど、大変大きな効果を及ぼしている(が、「悪い円安」論者が決まって無視する論点でもある)。

⑤ストック面における負債効果

円安でマイナス効果が生じるはずの部分だが、現在の日本経済は海外の金融機関などからほとんど外貨建て資金調達を行っておらず、現実的にはほぼ無視して良い。

それぞれの概要については昨日の記事をご参照いただくほか、次の図表1などもご参照いただきたいと思います。

図表1 円高・円安のメリット・デメリット

為替変動は経済に対し、良い影響と悪い影響をもたらし得るわけですが、この図表に示したフレームワークは経済学のごく基礎的な教科書でも載っているものであり、そしてこのフレームワークから逸脱して円安のデメリットを論じても意味をなしません。

よく「悪い円安」論者が「円安のせいで海外旅行に気軽に行けなくなった」などと円安デメリットを一生懸命に煽ったりしていますが、「円安のせいで海外旅行に気軽に行けなくなった」をデメッリトとして持ち出すならば、「円安により外国人が日本旅行をしやすくなった」というメリットにも言及しなければなりません。

(※なお、外国人が日本旅行に大挙して押しかけていることでオーバーツーリズムの問題が生じている、という点は、「経済効果」とはまった別の論点から当ウェブサイトにおいて別途問題提起している点ですが、本稿とは直接の関係がないので省略します。)

つまり、「悪い円安」論を煽る人たちは、得てして経済のごく一部分を切り取って、そのごく一部分をことさらに全体の問題であるかのごとく騒ぎ立てる、というわけです。

日本の貿易相手国ランキング

さて、以上の議論に際して、日本の貿易構造を論じたのですが、本稿はその「副産物」、という側面が強いです。というのも、当ウェブサイトにおいて改めて言及しておきたい論点が別途出て来たからです。

中国です。

せっかく昨日の議論で貿易統計を久しぶりに読み込んだので、ついでに貿易面から中国との関係を探ろうとするのが本稿の狙いのひとつです。後述する通り、日中関係が再び緊迫し始めているなかで、こうした試みは有意義だと思います。

一部メディアの報道を眺めていると、日中関係の緊張の高まりについては、あたかも日本の側にも問題がある、といった論調も目立ちますし、なにより「日中の経済関係」という観点から、ここは日本が中国のメンツを立ててあげるべきだ、とでもいわんばかりの主張が出てくる可能性もあります。

これについては、とくに日中の貿易高が非常に多く、日本にとって中国は(金額だけで見たら)非常に重要な国であることは間違いありません。当然、「日中断交」などということになれば、日本経済にもさまざまな影響が及びかねないでしょう。

こうした日中関係について眺める前に、まずは昨日の議論の続きとして、日本の貿易構造を解明しておきましょう。

図表2は、2025年9月までの日本の相手国・地域別の輸出入高です。

図表2-1 国・地域別輸出高(2025年9月まで累計値)
国・地域 金額 構成比
合計 80兆5608億円 100.00%
1位:米国 15兆0318億円 18.66%
2位:中国 13兆6381億円 16.93%
3位:台湾 5兆7225億円 7.10%
4位:韓国 5兆1601億円 6.41%
5位:香港 4兆5864億円 5.69%
6位:タイ 3兆0898億円 3.84%
7位:シンガポール 2兆3663億円 2.94%
8位:インド 2兆1345億円 2.65%
9位:ベトナム 2兆0312億円 2.52%
10位:ドイツ 1兆9932億円 2.47%
図表2-2 国・地域別輸入高(2025年9月まで累計値)
国・地域 金額 構成比
合計 83兆3967億円 100.00%
1位:中国 19兆3520億円 23.20%
2位:米国 9兆4699億円 11.36%
3位:豪州 5兆0778億円 6.09%
4位:アラブ首長国連邦 3兆6319億円 4.35%
5位:台湾 3兆6000億円 4.32%
6位:韓国 3兆3552億円 4.02%
7位:ベトナム 3兆3247億円 3.99%
8位:サウジアラビア 2兆9318億円 3.52%
9位:タイ 2兆8363億円 3.40%
10位:ドイツ 2兆6350億円 3.16%

(【出所】財務省『普通貿易統計』データをもとに作成。以下図表3、図表4において同じ)

2025年1月から9月までの累計値で見て、輸出高は80兆5608億円、輸入高は83兆3967億円であり、輸出相手国こそトップは米国ですが、それでも米中両国が肩を並べる規模であり、輸入に関しては中国が一国で全体の4分の1弱を占めています。

(※なお、どうでも良い余談ですが、輸出も輸入も今年は台湾が韓国を上回っており、この分だと日本にとっての「3番目の貿易相手国」の地位は、韓国ではなく台湾にとって代わられる可能性が非常に高いです。自由・民主主義「国」である台湾との関係が深まることは、日本にとっても好ましいのではないでしょうか?)

いずれにせよ、金額「だけ」で見たら、日本にとって中国は非常に重要な貿易相手国であることは間違いありません。

日本の貿易構造:輸出側はB2B製品が中心

ただ、以上は「全体の金額」という話であって、貿易・産業の「構造」については、金額だけではよくわかりません。

そこで、日中関係論に入る前に、もう少し詳しく論じておきますが、ここで有意義な論点が品目別の分解です。図表3は、輸出入を品目別に集計したものですが、なかなかに興味深いことが見えてきます。

図表3-1 品目別輸出高(2025年9月まで累計値、主要品目)
品目 金額 割合
合計 80兆5608億円 100.00%
機械類及び輸送用機器 45兆6988億円 51.15%
うち自動車 12兆8538億円 10.61%
うち半導体等電子部品 4兆7133億円 6.81%
うち半導体等製造装置 3兆3607億円 4.78%
うち自動車の部分品 2兆7302億円 3.35%
うち原動機 2兆2310億円 2.19%
うち電気回路等の機器 1兆6499億円 2.00%
うち電気計測機器 1兆5089億円 1.90%
特殊取扱品 9兆8832億円 18.56%
化学製品 8兆7615億円 3.31%
うち有機化合物 1兆4481億円 10.94%
原料別製品 8兆7010億円 2.54%
うち鉄鋼のフラットロール製品 1兆9337億円 7.30%
雑製品 4兆3029億円 3.43%
うち科学光学機器 1兆9707億円 6.66%
原材料 1兆3148億円 3.58%
鉱物性燃料 8787億円 1.12%

まず、輸出の側は、トータル80兆5608億円のうち「機械類および輸送用機器」が45兆6988億円と全体の半分以上を占めており、しかもその内訳は、典型的なB2C/川下製品である自動車(約12.9兆円)などを除けば、基本的にはB2B製品(川上製品)が中心です。

とりわけ半導体等電子部品(4兆7133億円)や半導体製造装置(3兆3607億円)は金額が大きく、半導体関連産業はインバウンドで外国人全体が日本に落とすカネを上回る金額を稼ぎ出していることがわかるでしょう。

(※余談ですが、国土交通省の『訪日外国人の消費動向 2024年年次報告書』によると、2024年の訪日外国人旅行消費額は総額で8兆1257億円と推計されていますので、これを9ヵ月分に換算したら約6兆円程度という計算です。)

また、化学製品や科学光学機器、鉄鋼などの高品位な素材が日本で産出されているという事実も忘れてはなりません。これらの高付加価値品は、日本がB2B大国であることを強く示唆しているのです。

最終製品やエネルギーを輸入している

その一方で、輸入品目はさらに興味深いです。

図表3-2 品目別輸入高(2025年9月まで累計値、主要品目)
品目 金額 割合
合計 83兆3967億円 100.00%
機械類及び輸送用機器 25兆9451億円 31.11%
うち事務用機器 3兆4308億円 4.11%
うち通信機 3兆1545億円 3.78%
うち半導体等電子部品 3兆0178億円 3.62%
うち原動機 1兆6607億円 1.99%
鉱物性燃料 16兆5461億円 19.84%
うち原油及び粗油 7兆1243億円 8.54%
うち石油ガス類 4兆9419億円 5.93%
うち石炭 2兆4939億円 2.99%
うち石油製品 1兆9520億円 2.34%
雑製品 10兆0298億円 12.03%
うち科学光学機器 1兆9037億円 2.28%
化学製品 9兆0709億円 10.88%
原料別製品 6兆9394億円 8.32%
食料品及び動物 6兆6561億円 7.98%
原材料 5兆4066億円 6.48%
うち非鉄金属鉱 2兆0408億円 2.45%

「機械類及び輸送用機器」が25兆9451億円で全体の3割強を占めていますが、内訳は輸出側とまったく異なります。

「事務用機器」(おそらくはPCなどでしょう)が3兆4308億円、「通信機」(スマートフォンが中心であろうと考えられます)が3兆1545億円で、これらはどちらもジャンルとして「最終製品」、すなわち典型的なB2Cの川下製品です。

こうした「最終製品」としては「雑製品」も多く(ちなみに「科学光学機器」は輸入品目側でも出て来ます)、これに加えて16兆5461億円と全体の20%弱を占めているのが「鉱物性燃料」であり、これなど原発の再稼働・新増設が進んでいけば、輸入量をある程度は削減していける項目と考えられます。

以上の日本の貿易全体から判明することは、おそらく次のような内容です。

日本は依然として工業製品の輸出が多いが、自動車などを除けば輸出品目は川上工程のB2B製品が多く、いわば「モノを作るためのモノ」で稼いでいる格好である。また、半導体関連産業の輸出額はインバウンド観光で外国人が日本に落とすカネよりも多い

日本の輸入品目はPC、スマホ、衣類、雑貨といった「最終製品」が多いほか、全体の2割前後をエネルギーが占めており、原発の再稼働や新増設が進めば、これらの輸入品目は減らしていける可能性が高い

そして、こうした姿をもっと統合していくと、日本は高度な技術を持ち、東アジアにおける素材、部品、装備の製造拠点兼司令塔となりながら、日本を中心とする製造拠点網が東アジア全体に構築されているのだ、という言い方ができるのではないでしょうか。

日中貿易の構造

中国政府の日本への批判トーンが強まるが…

以上を踏まえたうえで、もうひとつの論点である日中関係について確認していきましょう。

現在、中国政府が日本に対し、台湾有事に関する高市早苗総理大臣の国会答弁を問題視し、それを撤回するように要求しているのですが、それが次第にエスカレートしているフシがあります。

これについては端的にいえば無視しておいて良いと思われます。著者自身も長年の「中韓ウォッチャー」ですが、中韓などがこうやって相手国を激しい口調で非難してくるときは、たいていの場合、自分たちに非があることを認識し、自分たちの「過失割合」を少しでも減らそうとするときだからです。

(ちなみに中国外交部の画像については日本のネット民によりおもちゃにされているようですので、興味があればXのポストのリプ欄を確認してみてください。なかなかに秀逸です。独裁国家の政府がSNSの情報発信など100億年ほど早かったようです。)

中国総領事の暴言問題とPNG

それはともかく、中国が日本を非難している口調には、彼らなりの焦りもあるのでしょう。

中国の薛剣(せつけん)駐大阪総領事が今月8日、高市総理の台湾有事に関する国会答弁に関し、自身のXに「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない。覚悟ができているのか」とポストしたという事情もあります。

これに関しては自民党も強く問題視しており、自民党広報は11日、同党が政府に対し、「ペルソナ・ノン・グラータ(PNG:外交上の好ましからざる人物として国外退去を求める措置)」を含めた対応を政府に求めたことなども明らかにしています。

正直、日本側の対応は、台湾有事に関していえば当たり前の答弁でありますし、総領事の非常識な発言にPNGを発動すべきと最大与党が政府に求めるのも当然すぎる話ですので、本件については日本政府の対応を見てみたいと思う次第です。

日本の対中輸出は川上工程・B2B製品が中心

ただ、先ほど申し上げたとおり、「日本にとって中国との関係は大切だから、中国に譲歩すべきだ」とする主張が出てきたとして、そうした主張が正しいのかどうかは別問題です。というよりも先ほども確認したとおり、日本の産業はB2B/川上工程に強みがあり、そして、こうした構造は日中貿易にも成り立つからです(図表4)。

図表4-1 中国への輸出(2025年9月まで累計値、主要品目)
品目 金額 割合
合計 13兆6381億円 100.00%
機械類及び輸送用機器 6兆9761億円 51.15%
うち半導体等製造装置 1兆4468億円 10.61%
うち半導体等電子部品 9288億円 6.81%
うち自動車 6525億円 4.78%
うち電気回路等の機器 4571億円 3.35%
うち電気計測機器 2983億円 2.19%
うち原動機 2721億円 2.00%
うち自動車の部分品 2591億円 1.90%
化学製品 2兆5313億円 18.56%
うち有機化合物 4520億円 3.31%
原料別製品 1兆4914億円 10.94%
うち銅及び同合金 3459億円 2.54%
雑製品 9962億円 7.30%
うち科学光学機器 4682億円 3.43%
特殊取扱品 9082億円 6.66%

たとえば、日本から中国への輸出については、2025年1-9月累計で13兆6381億円ですが、品目については半導体製造装置が1兆4468億円でこれだけで全体の1割を占めており、半導体等電子部品や電気回路等を含めると、ざっと全体の2割前後が半導体関連で占められています。

また、全体の2割弱が化学製品、全体の1割ほどが原料別製品(素材)であることなどを踏まえると、中国の日本からの輸入品は(自動車などを除けば)多くがB2B・川上製品であり、このことから逆に、日本からの輸出品がなければ中国の生産活動が停止するケースもあるとの推定が成り立ちます。

日本の対中輸入は川下工程・B2C製品が中心

一方で、中国からの輸入については、同じく2025年1-9月累計で19兆3520億円であり、この時点で日本が中国に対し、大幅な貿易赤字を計上していることがわかりますが、特徴はそれだけではありません。日本の中国からの輸入品目は、雑多な最終製品で占められているのです。

図表3-2 中国からの輸入(2025年9月まで累計値、主要品目)
品目 金額 割合
合計 19兆3520億円 100.00%
機械類及び輸送用機器 10兆0987億円 52.18%
うち通信機 2兆1326億円 11.02%
うち事務用機器 2兆1219億円 10.96%
うち音響・映像機器(含部品) 8026億円 4.15%
うち家庭用電気機器 4844億円 2.50%
うち重電機器 4422億円 2.29%
うち自動車の部分品 4334億円 2.24%
雑製品 4兆1200億円 21.29%
うち衣類及び同附属品 1兆3408億円 6.93%
うちがん具及び遊戯用具 5407億円 2.79%
うち衣類 4833億円 2.50%
原料別製品 2兆2047億円 11.39%
化学製品 1兆3752億円 7.11%
うち有機化合物 4060億円 2.10%
食料品及び動物 9380億円 4.85%

たとえば「通信機」(スマホ等)が2兆1326億円、「事務用機器」(PC等)が2兆1219億円で、それぞれ全体の11%ずつを占めているほか、「衣類および同附属品」が1兆3408億円で全体の7%弱を占めているのです。

なお、「原料別製品」や「化学製品」などのジャンルも見えますが、いわゆるレアアース・レアメタル類のように、金額的には大したものではなくても、製品の製造に欠かせない品目もありますので、これらについては金額「だけ」で判断するのはもちろん適切ではありません。

しかし、少なくとも日中貿易に関していえば、日本が基幹デバイスを握り、中国からは軽工業品ないし最終製品の輸入が多いという構造にあることは間違いありません。極端な言い方をすれば、「労働集約産業」を中国に依存しているだけだ、ということでもあるからです。

日本は毅然と対処すれば良い

もちろん、くどいようですが、日中関係が停滞すれば、悪影響は日中双方に及びます。

しかしながら、国と国との関係を論じる際には、定性面(その相手国が日本と基本的価値を共有しているか、両国の相手国に対する国民感情が良好か、など)のみならず、貿易統計や人的往来、居住者数などの定量的データをも合わせて確認することが必要です。

少なくとも貿易面でいえば、日中断交の悪影響がより大きく出るのは中国の側ですが、それだけではありません。以前の『【数字で見る】中国と徐々に距離を置き始めた日本企業』でも指摘したとおり、人的な関係、金銭的な関係についても、日本企業が中国との距離を置き始めている、という兆候も生じています。

こうしたデータを踏まえて申し上げるなら、今回の事態でよりコントロールが難しいのは中国の側であり、日本の側ではありませんので、日本としては暴言の外交官にPNGを発動するなど、一連の事態に毅然と対処すれば済むだけの話です。

むしろ、中国政府が日本との関係を破壊するかの言動を取ることが、中長期的に見て、中国に対してより悪い影響を及ぼすのではないかと思えてならないのですが、いかがでしょうか?

新宿会計士:

View Comments (14)

  • 政府のやることすべてが国内問題化してしまう。それが中国の宿痾だ。
    職業中国研究家の方が X 投稿でそのような意味の発言をしていました。
    昨夜 21:27 に、日本渡航は警戒せよと香港政府が呼びかけたことを報じる記事を日経が公開しました。香港人、日本観光は年に1度以上は普通で、人生トータルでもっとも出かけている海外旅行先が日本ですから、さすがに、控えるようにとか(間違っても)渡航禁止とか、口にできない実態がある。記事を著した香港駐在のかたは分かって書いてらっしゃるようで、優秀なんでしょう。当局のポチとしか思えない、北京駐在と上海駐在とは違っています。

    常々不思議に感じて来たことがあります。日経の韓国支局と中国支局が送って来る記事の扱いです。
     1.記者が署名記事として表しているケース
     2.[共同]扱いになっているケース
     3.誰が書いたのかソースが不明なケース
    とりあえず3の詮索はおいといて、1と2の違いなんですが、当方が感知している限りにおいて、
     2は韓国・中国に批判的な報道(現地読者は耳が痛い話題)
     1は韓国・中国を翼賛するいつもの『日経構文・日経話法』
    これは間違いありません。当方がその視点で見比べるようになってからずっとそうです。どうしてこうなっているのでしょう。
    当方の推測(ただの邪推)はこうです。
    日経は、海の向こうの韓国人・中国人読者を歓ばせるために普段から1のスタイルの記事を報じ続ける。「日経が日本語でこう書いている」彼らは普段から目を凝らして日本発の報道を読み続けている。だが、かんばしくも麗しくもない記事には、新聞社に不評が集まらないように、記者名は書かずに2のスタイルを「ときどき」使う。なぜかというと、その新聞社は韓国中国事業に入れ込んでおり、好悪を気にする彼らの国民性をふだんから慰撫することが板についたかまぼこだから。この見立ては果たして真だろうかどうだろうか。これからはっきりするような気がします。

    • 素晴らしい解析! 流石です。
      それにしても。中国さん、振り上げた拳。どうやって下ろすんでしょうねぇ…。75日待つのかしら?待っても痕跡は残り続けますし、こんだけ悪騒ぎすれば周辺国はワッチングし続けるでしょうけど。

  • >https://www.sankei.com/article/20251113-67FH3XSM45OSLGQ42F377RWD7Q/
    カナダでのG7外相会議で、「中国の核兵器増強への懸念」、「台湾海峡、南シナ海、東シナ海での平和と現状維持の重要性」の共同声明を発表しました。中国にとっては、これも日本の外相の策謀によるものに、なるのでしょうか。(だとしたら、日本の外相の力を中国が認めたことになります)

    • 特に中国の場合は、一般市民の経済的問題にとどまっている限りは、どうなっても気にならないのでは、ないでしょうか。

  • *彼らは『セルフ制裁の名手!』-----渡日抑制も、渡りに船!-----

    日本の喫緊の課題は、資源(化石燃料・原材料)対策なんですよね。
    平たく云えば、「『モノを作るためのモノ』を作るためのモノ」対策。

    エネルギー対策としては、休止原発の早期再稼働の実現を願います。
    そして原材料(レアアース・蛍石他)の対中依存も下げないとですね。

  • ひとり一人で出来る範囲で、日本を応援中。
    メイド・インC国製のモノや食品を購入せず、例え安くてもね。
    日本企業で、C国製造品が多くて困ってしまう、デカップリング出来たらね。

  • さて、次に中国が繰り出す手は、レアアースやレアメタルの輸出規制でしょうか。

  • んー、どうなんだろうな?中国は資源を握ってるけど、、、?代替え出来るならブログ主の言う通りですね!

  • 数年前には新宿会計士さんは「韓国相手にもしも断交などの事態に陥れば日本にもある程度の打撃はあるが韓国経済には致命傷」と言うお話をされて居ました。今回はその続きの側面と、数年間の時代の流れを感じました。
    中共相手ではさすがに「もし断」で日本に(韓国の時以上に)打撃は大きい、と。だが中共は(致命的打撃迄には至らずとも)日本以上に打撃を負う、と。まぁ日本以上に打撃と言っても日本以上に中共は経済力が今の所あるので打撃への耐久力は中共にあるのでしょうが。それに①トランプのTACO変数、②中共国内の経済事情③中共政権中枢の安定具合、④欧州やインド中南米やアフリカ中東諸国などの対応⑤台灣やフィリピンやベトナムタイなどの対応も変数なのかも知れません。彼我の問題ですから⑥日本国内政治の状況ももちろん変数になり得る。現状高市政権は少数与党ながら大変高い支持率に跳ね上がりました。
    それにつけても日中の外交官の質の差は大変大きいなと感じました。

  •  肥料生産・輸出に関しては、最悪なことに中露が最上位国です。農産物の生産自体はアメリカ、カナダ、オーストラリア、などコチラ側やインドあたりが多いイメージはあるのですが、その元となるものをアチラ側が握っている、しかも平然と外交手段にしてくる、というあたりは痛いところです。韓国も肥料輸出は結構しているのがなんというか……色々アチラ側っぽいなぁ。
     「食料安保」というと、海上輸送路の心配と中露等からの生産品そのものに目が行きがちですが、原材料も目を向けなければならなくなっています。
     まぁ、だから中国様に譲歩しろってハナシには全くならないんですが。逆に「肥料国産化」の流れは岸田政権時につけられていたそうで、数少ない功績っぽいものです。目先の食料自給率なども一旦重要とはいえ、食料を確保するまでの全体像というものへの有権者の意識が強まり、政治家・政党側も農政をウリにするようになってほしいなぁと畑でボケっと考えています。

     その点、カロリーベース自給率だの、有機給食だの自然農法だのって推す政党、全く信用できないんですよねぇ……「中露からの輸入依存を断ち切るために自然農法だ」ってならいくらかマシかもですけど、誰もそうは言わないし。

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