山手線の駅名を冠した怪しい自称会計士が先日、Xに「立憲民主党も変わっていない、新聞テレビも変わっていない、または変化に追いつけていない、ネット登場で国民が変わった」、「これでだいたい説明が付く」とポストしました。現在、SNS上で立憲民主党などの野党に対する批判が高まっていることはおそらく間違いありませんが、これはやはり、オールドメディアの退潮に加え、国民の情報収集能力の飛躍的な向上を原因に挙げておくべきでしょう。
目次
オールドメディアの信頼は15年かけて完全に崩壊した
『なぜ有権者は特定野党に怒りを覚えるようになったのか』では、「人々が期待を裏切られたときは、①失望、②怒り、③憎悪、④無視、という段階を踏む」という仮説を提示しました。そのうえで、具体例として(1)石破茂政権、(2)新聞、テレビなどのオールドメディア、そして(3)特定野党、を列挙したのです。
もちろんこれは、あくまで単なる仮説にすぎません。
ただ、著者自身はだてに20年近く、新聞もテレビもない生活を続けて来たわけでもなく、ごくたまにメディア報道を眺めると、底知れぬ違和感を覚えてしまうのです。
とくにオールドメディアに関しては、(少なくとも著者自身に関していえば)すでに2009年の段階で「マスゴミ」という揶揄(やゆ)がなされていることを認識していましたし、また、当時は少数派だったオールドメディアに不信感を持つ人が、おそらくは2024年あたりを境に、完全に社会の多数派になったと考えています。
そして、社会が変わるには時間がかかるものの、いったん変わったら元には戻りません。
マスコミの偏向報道で自民党が下野した2009年からSNSが選挙に影響を与え始めた2024年まで、ちょうど15年かかりました。15年といえば、ペリーが浦賀に来航した1853年から明治維新が発生する1868年までの期間とほぼ同じですし、赤ちゃんが生まれて義務教育を終えるまでの年数とも同じです。
冷静に考えたら、15年という月日は、あっという間だったのかもしれません。
そういえば通勤電車で新聞読む人っていなくなりましたね
そういえば、この15年で生じた大きな社会的変化のひとつは、通勤電車内で誰も新聞を読まなくなったことかもしれません。
いや、「誰も読まなくなった」、は少し誇張がありますが(現実に著者自身も都内の電車でごく稀に新聞を読んでいる人を見かけることがあるからです)、ただ、少なくとも15年前は、それこそ「猫も杓子も」(?)新聞を通勤電車に持ち込んでいたわけですから、これは凄い変化です。
新聞の社会的影響力が大きかったのには、職場に向かう人たちが、朝の通勤電車の時間を使って新聞を一生懸命に読み込んでいたという事情があったこともおそらく間違いないと思われます。
しかし、現在ではどうでしょうか、ためしに通勤電車に乗ってみると、新聞を読んでいる人はおそらくほとんどいません。
あなたの周りの人たちは8割から9割がスマートフォンを片手に、ゲームであったり、Xであったり、LINEであったり、など、とにかく何らかの作業に没頭しているのではないでしょうか(※なお、身動きが取れない通勤電車では動画などの人気も高いようですが)。
つまり、ギチギチに人が乗っていて身動きがとり辛い通勤電車という環境において、新聞という「デバイス」が、物理的に考えて、時間潰しにもともと不向きなのです。
そして、もしもその時間を使って情報を取りに行くのだとしたら、その手段は新聞ではなく、『Yahoo!ニュース』などのニューズ・ポータルサイトなどにならざるを得ません。ポータルサイトに行けばさまざまなメディアが配信した記事をヨコ軸で眺めることができる、というわけです。
こうした状況の現代社会において、単独の新聞(しかも紙媒体のもの)を、わざわざ月額4,000円だか5,000円だかのコストを払ってまで購読するのは、習慣や惰性でそうやっている人か、よっぽどのモノ好きか、そのどちらかではないでしょうか。
一般人の情報収集能力が飛躍的に向上した
しかも、話はそれにとどまりません。
社会がネット化すると、一般人の情報収集能力が飛躍的に向上するのです。
たとえば、情報をヨコ軸(たとえば「同じ話題を他社がどう報じているか」など)で見るようになると、今度はタテ軸(たとえば「その社は同じような話題を過去にどう報じていたか」など)にも関心が向かいますし、さらには深さ(その記事の根拠となる一次情報の正確性)も厳しく問われるようになります。
その結果、少なくない国民がメディア報道に接し、自分なりの「ファクトチェック」を行い、その結果、報道が間違っていることもあるという事実に気づくのです。
すなわち結局のところ、昨今のメディア不信の正体は、「メディア報道が劣化したこと」ではなく、「一般国民の情報収集力が飛躍的に上がったこと」にあるのです。
こうしたなかで思い出すのが、『現役層の熱烈な支持はオールド左翼メディア終焉の証拠』でも紹介した、「柿生隠者(かきお・いんじゃ)」さんというペンネームの方が10月31日付でnoteで公開した記事です(再掲しておきます)。
もう左翼オールドメディアを気にしなくていいんだ、と悟った日本政治がどこまで伸びるか
―――2025年10月31日 09:54付 noteより
記事タイトルにもある、「左翼オールドメディアに逆らっても世論で勝てることに政治家が気付いてしまった」は、裏を返していえば、オールドメディアが社会的な影響力をすっかり失っている、ということでもあります。
齊藤蓮舫氏を絶賛する意見はあったのか?
いずれにせよ、国民がメディア報道に失望し、怒りを覚え、憎悪の感情を抱いたのは、オールドメディアが信頼されていためでもある、ということです。しかし、2009年前後からのメディアに対する怒りの感情が消えたのが2024年だったのではないでしょうか。
メディアに対する国民の怒りが消えるというのは、国民がメディアに期待しなくなっただけの話であって、国民がメディアのいい加減な報道の在り方を許した、という意味ではありません。メディアが報じた記事については、簡単にファクトチェックができる時代になり、メディアの信頼性が崩壊した、というだけの話です。
こうした文脈で、本稿でちょっとだけ取り上げておきたい「気になる話題」があるとしたら、そのひとつはこれかもしれません。
【国会中継】国政復帰の蓮舫氏キタ!高市首相に「ズバズバ切り込む」「キレッキレ」「久しぶりに見た」「挙手が速い」
―――2025/11/12 10:42付 Yahoo!ニュースより【スポーツ報知配信】
これは12日に行われた参院予算委員会で、立憲民主党の齊藤蓮舫(※)議員の高市早苗総理大臣に対する質問に「ネットが沸いた」、などとするものです。
(※記事原文では齊藤蓮舫氏のことを「蓮舫」と表記していますが、当ウェブサイトでは国会議員の氏名は正確に表現するという観点から、できるだけ「齊藤蓮舫」という表記を使用するように努めています。)
記事で述べられている齊藤蓮舫氏への絶賛は、こんな具合だそうです。
- 「なんか蓮舫久しぶりに見た」
- 「相変わらずキレキレの追い詰め方の蓮舫さん」
- 「キレッキレ」
- 「ズバズバ切り込む」
- 「イキイキしてるな」
- 「蓮舫さん挙手が速い」
…。
正直、これらがネット上の圧倒的な賛同を得ているようには見えません。Xの文言検索機能を使用して調べてみると、とうていバズを起こしているようには見えないからです。
たとえば「相変わらずキレキレの追い詰め方の蓮舫さん」はとあるユーザーがたしかに11月12日午前10時16分に発信していますが、このポストに対して24時間後の時点で「いいね」は5つしかついておらず、表示回数も1000回に満たない状態です。
また、「蓮舫議員、キレッキレだったな。国会に帰ってきてくれて本当に良かった」、という趣旨のポストも同じく11月12日午前10時25分時点で発信されていることが確認できますが、やはり24時間後の時点で「いいね」は14件、表示回数も1270回に留まっています。
ちなみに「蓮舫さん挙手が速い」については11月12日午前10時12分付でたしかにそういう内容のものがポストされていますが、これは「#立憲民主党いらない」のハッシュタグとともに投稿されており、齊藤蓮舫氏を絶賛するものだと考えるのは、少し無理があります。
ただ、こうしたファクトチェックも、私たち一般人のレベルで簡単にこなせるようになったわけですから、いまや新聞記事を書くこと自体がべつに特権階級の証というわけでもないのです。
怪しい自称会計士のXポスト
なお、ネットで立憲民主党や日本共産党などに対する批判が高まっていることは間違いありませんが、これに関しても少し捕捉をしておきます。立憲民主党などに対するネット上の批判が、今になって突然強まったかにも見えますが、これはおそらく私たちの勘違いではなく、事実です。
ただ、それは立憲民主党が変わったからではありません。新聞、テレビの報道を信じない人が急に増えた(あるいはネットの発達で国会中継などを一次ソースで確認する人が増えた)だけの話です。
たとえば、『立民議員「我々の質問を新聞が大きく取り上げている」』等でも取り上げましたが、立憲民主党の杉尾秀哉参議院議員はXに「(立民の質問が)低レベルな質問なら、翌日の新聞朝刊が揃って大きく我々の質疑内容を取り上げているのはなぜか」とポストしています。
ここからもわかるとおり、オールドメディアが特定政党に偏った取り上げ方をしていたことはほぼ間違いないと考えられる一方で、それを受け取る国民の意識はずいぶんと変わったのではないでしょうか。
これについては山手線の駅名を冠した怪しげな自称会計士を名乗る者がXにこんな内容をポストしています。
結局は国民の意識が変わっただけの話
正直、新聞やテレビを中心とするオールドメディアの取り上げ方も一部政党のふるまいもほとんど変わっていませんが、それを受け取る国民の側の意識が変わっただけのことです。
事実、SNSでは国民民主党の榛葉賀津也幹事長の参院での質疑が絶賛されているようですが、これも良い質疑を行えば国民がそれに注目し、絶賛されるというだけの話であり、それ以上でもそれ以下でもありません。
そして、社会がSNS化したからといって、今後、自民党に対する支持率が伸びるという保証もありません。国民を舐めた政策を取るようであれば、有権者の怒りは容易に自民党にも向きます。おそらくSNSで称賛意見が多い政党が得票や議席を伸ばしていくという傾向は間違いないでしょう。
もちろん、日本の選挙制度は、(とくに衆議院の場合は)大政党に有利であるため、今すぐ解散総選挙が行われた場合も自民党が第1党、立憲民主党が第2党となる可能性が非常に高いです。
ただ、立憲民主党が今のようにSNSで批判される状態が続けば、選挙を2回、3回と重ねて行くにつれて党勢は衰退していくでしょう(昨年秋の衆院選では例外的に立憲民主党は議席を伸ばしましたが、これは自民党の「自爆」が原因です)。
政党が躍進するには良い政策を掲げて良い候補を取り揃え、研鑽を積む以外に方法はありませんが、SNSがそれを助けてくれる力強いツールとなることに関しては保証したいと思う次第です。
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1 2 次へ »BBC が行ってきた捏造・歪曲・印象工作を証拠付きで暴く報道が続いています。
そんなことは誰だって知っていた。しらを切り、開き直りなおって来た。会長は「テフロン・ティム」どんなに批判されてもともへこまない人物とも言われていたのだそうです。ようやく認識が全世界に広まっている。
自説持論に同意しない読者が増加して行くのを、新聞記者は「社会の分断」「ポピュリズムの台頭」と言い換えています。そして彼らは読者を馬鹿にし続けている。ほんのわずかの産業人による驕慢・欺瞞と呼ばずしてなんなのでしょうか。
時事報道にもう値段はつきません。たくさん書けば書くほどそうなります。コモディティだからです。新聞など各種報道産業は別なやりかたを発明し、別な商品を開発して、それらに価値を認めて貰って対価を受け取るほか生き残りはできない。進化の理屈、優勝劣敗の経済理論で、ダメな会社をふるい分けて行く動きが加速していく。印刷を止めたら地位を失う恐怖に取りつかれている間は損金拡大は止まらないというわけです。自分のサイフこそ大問題。消費者は冷静ですから。
ここまで 国民感情が変わってきているのに 広告を出し続けている企業は 完全にオールドメディアと持ちつ持たれつの関係にあるか、もしくはオールドメディアと同じく世の中の変化を察知できず 滅びゆく運命にある企業のみと思われる。
年8%で毎年減少し続けているとされてます。広告代金だって減額になって当然です。
値引きしないなら、もう新聞広告は出さない(暗黙の打ち切り通告)
きついでしょうね、新聞社にとっては。紙面読者の知ったことではありませんが。
>キレッキレ
うん。いつも通りにキレ散らかしていたね。
率直に云って、内容が無いようでした・・。
・・・・・
*「情」の定義
保守層:情=じつじょう(客観)
左巻き:情=おきもち (主観)
・・なのかとも。
たまたま 医学関係の本を読んでいたら「センメルヴェイス反射」という言葉が出てきたので 検索してみた。詳しくはウィキペディアにありますが
保身のために過去の誤りが認められず、権力によって事実を捻じ曲げたり排除したりする行為を指す。つまり「キレッキレ」になることのようです。
こうした反射現象の著しい人集めて党派を作ると 某党となるようです。
状況理解の至らなさを「造り話(おはなばたけ)」で補正する『とりつくろい』の症状も顕著ですね。
国民の情報能力が飛躍的上昇した時に、今のままのオールドメディアに価値観があるでしょうか。また必要とされるでしょうか。もっとも東スポ路線を歩むという手もありますが。
蛇足ですが、オールドメディア(の一部)が、陰謀論路線を歩むということも、あるのでは。「ネットでは分からない、ここだけの情報」として
いやあ~…。
”月刊ムー(無~(夢~))”路線でねえのかいWWW??
オールド・オールズ(Old All’s)-メディアの歩む道はさあー。
>”月刊ムー(無~(夢~))”路線でねえのかいWWW??
月刊ムーから○○新聞にヘットハンティングされるのでしょうか。
>> 月刊ムーから○○新聞にヘットハンティングされるのでしょうか。
月刊ムーでさえ持て余して放逐された人を○○新聞が拾うのでしょう。
「東スポ路線」は、東スポさんに一日の長どころか半世紀以上の蓄積がありますので、今更、お高い○○新聞が路線変更したところで....
逆に、新聞社が倒産するとなったら、「○○新聞から月刊ムーに転職しよう」と考えている新聞記者がいたりして。
引きこもり中年様
誰しも、考えるだけなら自由ですからw
すみません。まえのコメントは裏縦貫線でありますm(_ _)m
(特定方向の)ネットの声を拾うだけの簡単なお仕事です。
メディア事業のなかで、儲かる場所が変わったという感じです。儲かる場所探し競争ですかね。グーグルもマイクロソフトも物理的な世界については、まだ攻め込めていない感じです。ここは日本勢で押さえたいです。
>「人々が期待を裏切られたときは、①失望、②怒り、③憎悪、④無視、という段階を踏む」という仮説
ニーチェぽいですね。(笑)
サザエさんや三丁目の夕陽な時代なら、主婦は徒歩しかなかったから商店街の魚屋が繁盛してました。
今やスーパーやモールやコンビニに代替して、かつての商店街は絶滅危惧。
情報産業も同じこと、かな。
赤旗や聖教新聞は、ニッチに特化しているからしぶとく生き残るんでしょう。
クサヤに特化した商店街の魚屋は遠来の固定客でつぶれないみたいな。
テレビ局や新聞社の中堅の人たちこそ、なんでまだ普通に仕事をしてるのかなあ。
沖縄の社民党ではありませんが、売上拡大の兆しも気力も戦略も見えない。
社員として歯がゆくないのかしら。
マキマ「返事はハイか、ワンだけです。」
赤旗や聖教新聞はほぼほぼ信者向け機関紙なので…
ATM系紙も業容維持したいレベルに応じた信者数を確保できれば信者以外から見放されてもやってけると思いま
まー大手?メディア企業従業者でも機微に敏いや損切り?できる向きは既に尻帆で、入職時の価値観を維持強化教化しちゃっとる層はソノ価値視界がゲシュタルト崩壊するまで留まり続けるンでショーなぁ
て知らんけど
うわああああああ
なんと国会が機能してるぞ
参院予算委員会ライブ中継、これはすごい。エンタメだ
国会での議論が面白くなりましたね。
私の知人も、国会中継をつけっぱなしにするようになったと言っています。
防衛や経済政策などの議論の方向性は、中継しているNHKなどのオールドメディアの意に沿わないものですが。
特にオールドメディア一押しだった小泉進次郎氏の勇ましい発言には複雑な心境では無いかと思います。
現代人に求められるのは情報の即時性と双方向性
多様化する情報の処理に必要なのは本質を見極める力だと思います。
マスコミ、左翼の姿勢や手法は
情報は片道通行、他者の意見は受け入れない、過去をいつまでも、論点ずらし
国民に受け入れられる要素ゼロなんですよね、ことごとく妥当
人に嫌われることばかりするが差別だと喚いているような状況ですかね
ここんとこ妙に多かったですね、立憲議員に「賛否両論」とかいう記事。賛1:否9でも賛否両論。まぁ確かに両方存在はしますが、そんなこと言ったらこの世に賛否どちらかのみのものなどほとんど存在しないし、そもそも賛否が拮抗している状態を指す言葉だと思うのですが。こういう日本語の雑さ(苦手なら仕方ない)と「嘘ではないが本当でもない」を垂れ流すから凋落が止まらないのに、懲りないことで。
こういった記事を出してさえおけば、AIさんも「賛否があるようです」なんて答えてしまうようになるのでしょう。そして「否ばかりじゃないか」というと「いやAIによれば賛否は拮抗している!(だから賛なんだ)」と反論されると。
ところで、AIでシイタケ判定されたキノコがツキヨタケ(毒)という事故事例まで出てきたようです。補強に留め、意思判断を委ねるのはやめましょう。
ネットは陣営に乗っ取られていないので自由な発言と言う名の各陣営のプロパ合戦が繰り広げられていますが、その中でリテラシーを鍛えてくれて判断を助けてくれるのがスレッドです。理詰めでの反証も見受けたり、石丸氏のスレの様にどう見ても信者の右向け右な投稿で余りにも胡散臭く「あ、コイツダメな奴だった」とオウンゴールで教えてくれる事もあります。
前はなんでこんな売国奴と動画見てたんだろうなこともありましたが、「新宿会計士の政治経済評論」他でだんだん自分なりに正しい情報収集をできるようになったかと思います。