特定野党の国会質問を新聞、テレビなどのオールドメディアがとくに大きく取り上げることで、有権者の投票行動にも影響を与えて来た可能性が高い―――。これは、当ウェブサイトでこれまで何度となく指摘してきた論点のひとつです。こうしたなかで、「立憲民主党の質問内容が低レベルすぎる」とするネットの主張に対し、立憲民主党の杉尾秀哉参議院議員がXに「低レベルな質問なら、翌日の新聞朝刊が揃って大きく我々の質疑内容を取り上げているのはなぜか」と疑念を呈したことが話題となっています。
杉尾秀哉参議院議員のポストが話題
当ウェブサイトでは普段から、「官僚機構→マスコミ→野党議員」という流れが存在していると指摘してきました。
そのなかでも、マスコミが野党議員(それも特定政党の議員)に対し、基本的には好意的に報じることが多く、そのことが長年、有権者の投票行動に影響を与えてきた可能性があると考えている次第です。
こうしたなかで、立憲民主党の杉尾秀哉参議院議員が9日にXにポストしたこんな内容が、Xでちょっとした話題となっているようです。
杉尾氏は『ツイッター速報』というサイトのアカウントが発信した「国会における立憲民主党の質問内容が低レベルすぎる問題」などとする内容に対し、「そんなに低レベルな質問なら、翌日の新聞朝刊が揃って大きく我々の質疑内容を取り上げているのはなぜか」、と反論したのです。
メディアが投票行動に影響を与えて来た可能性も?
これは、ある意味で非常に興味深い内容です。
立憲民主党の質問内容のレベルが高いのか、低いのかについては、私たち個々の有権者が適切に判断すれば良いことであり、本稿ではこれについて敢えて言及することはしません。
ただ、それ以上に重要なことは、いみじくも杉尾氏の主張にもあったとおり、新聞(あるいはテレビも?)に代表されるマスコミ・マスメディアが立憲民主党など野党の質問を非常に大きく取り上げている、という点です。
こうしたメディアの報道姿勢は(あくまでも個人的な見解ですが)有権者のこれまでの投票行動にも少なくない影響を与え、結果的に立憲民主党が最大野党の地位を獲得することに寄与している可能性はないのでしょうか?
数年前の『先祖返りする立憲民主党、今度の標語は「変えよう。」』などでも指摘しましたが、新聞、テレビなどのマスコミ・マスメディアは過去の選挙においても、明らかに報道内容が有権者の投票行動に影響を及ぼしてきたのです。
急速に下がるマスメディアの影響力
ただ、『若い女性が圧倒的に支持:年代により不支持率0%も!』などを含め、以前から当ウェブサイトで何度となく指摘してきましたが、昨今はこのメディア自体の社会的影響力自体が急速に低下しているフシがあります。
たとえば現実に、若年層ほど高市早苗総理大臣に対する支持率が高くて石破茂・前首相に対する支持率が低く、高齢層ほど高市総理に対する支持率が低くて石破前首相に対する支持率が高かった、という事実が存在していますが、それだけではありません。
たとえば総務省が毎年公表している『情報通信白書』などに掲載されている調査によれば、近年になればなるほどオールドメディアの利用時間(テレビ視聴時間や新聞購読時間など)が減り、ネット利用時間が増えるという傾向が見られます(図表1、図表2)。
図表1 平日の年代別メディア利用時間(2013年)
図表2 平日の年代別メディア利用時間(2024年)
これで見るとわかりますが、若年層から中年層、とりわけ50代以下の層にとっては、テレビ視聴時間はネット利用時間よりも短く、新聞に至ってはほぼ若年層・中年層から相手にされておらず、そしてテレビはとりわけ60代以上の高齢層の娯楽と化しているフシがあるのです。
これからがどうなるかはわからない
こうした状況から想像するに、仮に杉尾氏がいうように野党(たとえば立憲民主党)の質疑をメディアが大きく取り上げてくれているにしても、それが選挙結果に与える影響は少なくなるのではないでしょうか。
昨年秋の衆院選や今年の東京都議選、参院選などでは、自民党が「石破茂体制」で「自滅」したという状況もあってか、こうした効果が見え辛かった気がします(とくに衆院選では自民党が盛大にズッコケたためか、立憲民主党が勢力を50議席増やしています)。
しかし、これからの時代は、そういうわけにはいきません。
新聞、テレビがどんなに特定政党を好意的に取り上げてくれたとしても、ネット、とりわけSNSで良い反応を得ることができなければ、その政党は議席を伸ばすことも、議席を維持することも難しくなるのではないでしょうか。
くどいようですが、立憲民主党の国会質問のレベルが高いか低いかについては、わたしたち国民が適切に判断するはずであり、その結果、私たち国民がオールドメディアがそれを好意的に報じるかどうかはあまり関係なくなりつつあります。
とりあえず、次のいくつかの国政選挙で、順次、それが判明していくことでしょう。
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1 2 3 次へ »新聞は、立憲の質問を大きく扱っているのではなくて、野党第一党の質問を大きく扱っているのではないでしょうか。
蛇足ですが、良い質問かどうかは人によって異なりますが、質問した政党が野党第一党がどうかは、全員が同じ答えです。
自民党が野党第一党だった時にはそんなことはなかったような。
個人的には、バックに中国様(昔はソ連様)がついているかどうかで扱いがだいぶ変わっているように見えます
では、新聞は自民党を批判する最も大きな政党の質問を大きく取り扱う、ということでしょうか。
>バックに中国様(昔はソ連様)がついているかどうかちゅご
中国様が、立憲以外の政党のバックにつけば、新聞の今の立憲への扱いが変わる、ということでしょうか。
情弱のオールドメディアがバックに付いた政党が変わったことに気づけますかね?
自力で新しい情報を取り入れるための投資をしていないように見えるオールドメディアに出来る事は、未来永劫前提条件が変わらない事を想定して、的外れな分析を垂れ流す、もしくは誰かに作ってもらった社説的なものを横流しするかのどちらかしか無いように思います
優しいマスコミ
坂本弁護士事件を黙殺してくれますね
与党の裏金問題を追及するときも
陸山会事件や秘書給与流用を蒸し返すこともしません
すごく特定の野党に優しく報道します。
坂本弁護士事件が広まった際に杉尾議員は再選できるでしょうか?
低レベルな質問故にメディアに大きく取り上げられる可能性もあるのでは(勿論立憲推しのオールドメディアにその自覚は無いと思いますが)?
あまり信用されなくなっている、新聞 TVが大きく取り扱っているだけでは。
>そんなに低レベルな質問なら、なぜ翌日の新聞朝刊が揃って大きく我々の質疑内容を取り上げているのは何故でしょう?
それは新聞発行者のレベルが(以下略)。
単純に、新聞朝刊に取り上げられることが、質問のレベルの高さを証明することにはならないですがね。杉尾氏の論理性もアレですね。(今さら)
立憲民主党と政策の親和性が非常に高く大連立の可能性すら一時囁かれた石破自民党。石破総理の事をオールドメディアが悪く言った印象はあまりない(見てないので断言できないが)。
与党か野党かじゃなく敵か味方かで扱いを変えてるだけだとすれば大きくポジティブに取り上げられたらオールドメディアの味方認定。つまり一般国民の敵のようなもの認定。
んー読んだコト無いから知らんけども、『赤旗』は日本共産党の国会活動よく取り上げたりしてへんの?
そーゆーコトちゃうん??
知らんけど
「ルールが無いんだから非合理的なことでもやって良いんだ!」
「新聞がとりあげるんだからレベルが高いんだ!」
良いですね。そうやってご自身が正しいと考える主張は、自信と信念と矜持を高らかに示して世間に問うと良いかと思います。自らSNSに上げているくらいだから、多数の賛同を期待してのことでしょう。私もSNSはやりませんが微力ながらふれてまわります。そして受け入れるかはこちらで決めます。これぞ民主主義。いやほんとよく恥ずかしくないな……
自身らのヤジは誇りを持てる民主主義だ、でも俺に対するヤジは民主主義の冒涜だなどというのと仲がよろしいだけあります。杉尾氏が議員をしている限り「長野県民ってバカなの?」と言われても、甘んじて受ける所存です。恥を知るべきは、杉尾氏や小西氏ではなく、有権者なのだという事の理解が拡がれば、こんな実に下らない非効率的な政治も徐々に無くなることでしょう。
メディアのレベル、品質が高いという前提だが、それはもう理解されないだろ
今のメディアは目の敵にしてるネット、SNSと変わらないだろ
比較の話ではあるが、即反論がくる分だけネットの方が健全だとすら思う
今日の午前中の予算委中継でも酷かったですねこの方、生活保護受給者に対する総理の考え方とかどうでもいいことに延々と噛み付いて全く国政についての議論がなされない有様。キイキイ煩くてついに我慢できずにラジオを消してしまいました。
自身の後援企業の会社の休憩時間を潰して演説するというグレーな事をやっておきながら弱者の味方ヅラしているのは本当に腹立たしい。